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2009年05月の記事
西日本JRバス乗務員と大阪地連バス部会のなかまが懇談
2009/05/25
安心・安全脅かす“聖域なき企業改革”
西日本JRバスに乗務する国労組合員と大阪地連バス部会の懇談会が5月12日午後、国労会館で行われました。
この懇談会は大阪交運共闘の八剱(やつるぎ)議長が「高速路線バスや観光バスも乗務員として共通の課題や問題点があるのではないか、また労働運動の輪を拡げるきっかけになれば」と提案して実現したものです。
今回、国労から出席したのは近畿地方本部の井戸敏光書記長、近畿自動車協議会の豊田明議長・清水博昭副議長・南忠一副議長、大阪地区本部の八剱秀明副委員長(交運共闘議長)・高速自動車分会の前田眞人さん・田端稔さん・小松一吉さん・河原利昭さん・岡本英敏さん・竹谷昭彦さん・田辺地域分会の安野光男さん。
大阪地連バス部会からは東豊観光労組の松村高喜委員長、大阪はとバス労組の山本雅広委員長、中央交通労組の川西達也執行委員(ローレル観光乗務員)、類グループ労組の藤本浩介委員長、大阪地連の松下書記次長、合計17人が出席しました。
休息期間8時間では睡眠もとれない
国労のなかまからは、
「JRバスでは毎月労働日が変わる1か月の変形労働時間制を採用しているが、会社側が“聖域なき企業改革”と銘打って、大幅な合理化を実行してきている」
「1業務が1日の基礎労働時間7時間31分に満たない部分には他の業務に就かせて労働密度を上げ、“自動車運転者の労働時間等の改善基準”に限りなく近づけることを目標とした労働シフトを計画している」
「8時間の休息期間では、通勤時間などを考えると十分な睡眠もとれない。このまま“聖域なき企業改革”を推し進められたら、安全が脅かされる」などの発言がありました。
共通の認識持って今後も交流を継続
バス部会のなかまは、
「近畿運輸局との交渉で“過労死認定基準”を上回る1か月時間外労働115時間、拘束時間310時間以上を容認している“改善基準”の改定を要求する」
「“改善基準”を基礎とした“2日平均で1日670`”との走行距離規制の指針は、大手旅行業者も参加した“貸切バスに関する安全対策検討会”の報告に基づいている。670`は大阪〜ディズニーランド間に相当する距離で、安心・安全を担保する目的に程遠いものとなっている」と発言しました。
懇談では「“改善基準”を“過労死認定基準”以下に改定しない限り、あずみ野観光バス事故以上の重大事故がいつ起きても不思議ではない」として、危機的状態が続いていることが共通の認識となり、最後に今後も交流を続けて行くことを確認しました。
大阪地連・バス部会が近畿運輸局に要請
2009/05/25
許すな!死を招く走行距離規制・公示割れ運賃
大阪地連バス部会(伊藤文男部会長)は20日、近畿運輸局(各務正人局長)と交渉を行い、「公示運賃違反に対する厳格な取り締まり」や「“2日平均で670`(行程によっては1340`)”の走行距離規制を1日500`にすること」などを要請しました。
局側は下谷旅客一課長、監査指導部・滝口主席監査官ほか3人が応対しました。
組合側からの趣旨説明で大阪地連の松下書記次長は、総務省行政評価局の調査で対象のうち90%以上の事業者が公示運賃以下で受注していることが明らかになったことを紹介し、「公示運賃が形骸化している。行政はまったく動いていないのではないか」と指摘。
また、昨年6月に国交省が試行的に定めた走行距離規制について「あずみ野観光バス事故では走行距離が500`だったが、配置指針では2日平均で1日670`というとんでもない数字が示されている。2日に1回の走行であれば1340`走行しても違反にならない。これでは事実上の無制限だ。安全運行を確保するため労使で決めた走行距離規制まで崩れていく」と批判しました。
局側は「670`」の問題や、現状では過労死認定基準を上回っている「改善基準※」の問題(要請項目の6)については「本省に上申する」と回答しました。
また、公示割れ運賃の問題について「実態は認識している」としながらも「(規制緩和で)認可制から届出制になったので受け身にならざるを得ない。届出しているかどうかしか処分基準がない」と苦渋をにじませました。
組合側は「そもそも運賃は安全コストが含まれているのに、旅行業者の言いなりにならざるを得ない観光バス事業者が規制緩和によって急増し、ないがしろにされてきた結果、安心・安全が崩壊した。そうした実態を霞ヶ関はまったくわかっていない。局は現場の状況をしっかり伝えてほしい。デフレスパイラルに運賃を合わせるようなことがないようにしてもらいたい」とクギを刺しました。
※改善基準=「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(国交省告示)