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2006年07月の記事
旅行業界に「通達」で警告
2006/07/25
国交省 「法令違反幇助に当たる」と
バス部会は、2000年2月の規制緩和以後、新規参入やダンピング競争で観光バスの「安心・安全」が危惧され、いつ重大事故が起こっても不思議でないと、これまで近畿運輸局・大阪労働局との交渉でも一貫して指摘し、観光バスの「安心・安全」を守るためには「適正な価格」と「労働環境の改善」が急務で、早急に関係団体に改善を迫る「告示」「通達」を出すよう本省への上申を求めてきました。
東京交通新聞は7月17日、価格競争が激化する国内旅行業界で、商品に組み込まれるバス会社に安全・労働上無理な運行を強いるケースが生じています。
国土交通省は日本旅行業界(大手系、1251社)と全国旅行業協会(国内中小系・5732社)にこのほど、「ツアーバス」の法令違反は旅行業界の教唆・幇(ほう)助に当たる可能性があると通達で“警告”しました。道路運送法など自動車運送関係法令の順守を旅行業界に求める措置は異例です。
観光やスキーなどを伴わない単に2地点間の移動を主とするツアーバスは昨今、高速路線バスと競合する中、業績が伸びています。通達は旅行者の安全を脅かすことがないよう、(1)無許可事業者との貸切契約など道運法違反(2)運転者に長時間労働を強いる「改善基準違反」(3)最高速度違反│などを防止し、企画旅行の適正化を促しました。日本バス協会にも通知されました。
トラック分野でも、荷主側の要請により重大事故につながった例が多いため、事故報告書に荷主名を記載する措置や、トラック会社と荷主、元請け・下請け事業者が共同で安全運行を推進する「安全パートナーシップ・ガイドライン」の作成などが検討されています。と報道しました。
報道によると異例とされた「通達」だが、観光バスの実態に照らせば当たり前の「通達」で、業界にとっては好転の兆しと言え、労働組合にとっても運動の正当性が改めて示されました。
「改善」なき悪質事業者どうする
2006/07/05
「安心・安全が担保されるバス業界にするため行政として尽力してほしい」と訴える組合代表ら(こちら向き)
フォローアップ監査で対処
「バス業界全体にまん延している異常なダンピング運賃に起因する長時間労働で、いつ重大事故が起こっても不思議でない。未然に防ぐための施策を」とした前回3月30日の近畿運輸局交渉につづき6月28日午前、大阪地連の権田委員長はじめバス部会、バス連絡会の代表ら11人は、前回告発した悪質企業への監査結果や実効性ある指導・是正を求めました。
組合の求めにたいし局は、異動で旅客1課長に就任した松川課長ほか3人と監査指導第1課の笹倉専門官(新)らが回答しました。
冒頭、同課長は「前回、申告された個別事業者は監査指導部が監査した。局としては今後ともコンプライアンス(法令遵守)を徹底したい」と姿勢を示しました。
笹倉専門官は、「クリスタル観光(住之江・京都)は5月23日、ローレル観光は5月11日に監査した」と明かし、「法定運賃外の料金の収受、区域外営業、国交省改善『告示』違反が見受けられた」とし、「東洋ふれあいバスについては大阪運輸支局が現地に赴き指導した」としました。
交渉の中で、区域外営業について、若干の食い違いがあり、観光バスの区域外営業は、「発地・着地が事業区域を有していない場合、区域外営業になりますが、営業所があれば営業区域が広がるため、違反にならない。例として京都に営業所を開設して、大阪に業務の主体を置いた場合は、事業計画の改善を通知するだけ」とのことでした。
NoX・PM法逃れ悩ましいところ
また、局は区域外営業にからんでNoX・PM法逃れとしかいいようのない他府県ナンバーの営業車が大阪で営業している状況にたいし、「常態化している場合は事業計画違反にあたるが、区域外営業とは言えず悩ましいところ」と法律上のグレーゾーンを巧みに使う事業者が多い現状を認識しているが対処できないとした回答でした。
次に組合は、養護学校など公共バス入札に関し、東洋ふれあいバスの安全を担保していると思えない価格について質すと、局は、「下限割れ運賃があるのだからバスの入札はなじまない。府なり、教育委員会などに、この制度を知ってもらわなければならない」と述べました。
局は今後の方針として、「今後、フォローアップ監査を行なう。10月の安全マネジメントを前倒しして8月以降は、事業者ぐるみで飲酒、過労などの重大違反があれば事業の営業停止を行なう、現在の点数制にもプラスする」と事後チェックの強化を改めて示しました。
これにたいし権田委員長は、「全国的に法違反がまん延しているので、個々での対応では間に合わない、業界全体を「通達」なり出して指導してもらいたい。バスの『安心・安全』を守るため行政として尽力してほしい」と求めました。
旅行業界が問題の根源
2006/07/05
バス業界の実態を聞き驚く小林議員(奥)は「秋の臨時国会でバス問題を追及したい」と話す
「秋の臨時国会で追及したい」
日本共産党の小林みえこ参院議員、宮本たけし前参院議員と懇談
日本共産党の小林みえこ参議院議員、宮本たけし前同議員とバス部会のなかまは6月28日夕、自交会館で観光バス業界の劣悪な実態を話し合い、改善に向けた取り組みを協議しました。
バス部会の松下事務局長は「大手エージェントが無茶な料金を押しつけ値下げ競争が激化した結果、実際には公示運賃の3分の1の下限割れ運賃が大半。正規労働者では採算があわないので契約社員や不安定雇用労働者を使い競争し安全を置き去りにしている」
松尾会長も「収入が低下し長時間労働が常態化、大阪から東京行きの夜行バスに乗務後、4時間休憩しただけで大阪行きに乗務する業界でいう『トンボ』を4行程する。低賃金ゆえ極端な過重労働に走らざるを得ない実態が今のバス業界」と紹介しました。
宮本氏は「旅行業界が問題の根源だ。今日の市場は私たちが指摘した『悪化が良貨を駆逐している』状態。『競争にさらせば良いことが起こる』という国の考えを問い直し、規制をもっと強くするべき」と指摘。
小林議員は「規制緩和によってバスの安全が脅かされている状況がよくわかりました。秋の臨時国会で追及し、改善に向けがんばります」と話しました。