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2015年07月の記事
根源問題 改善基準 かみ合わぬ議論
2015/07/27
バスの安全確保と労働条件改善を国交省に要請する石垣全国バス部会長(左)
10日、自交総連バス部会の石垣部会長は国交省に対し、「北陸道における宮城交通の事故原因をシンポジウムを開き、学識者や現場労働者、バスガイドなど様々な角度で検証したが、休息時間の短さや深夜労働問題があり、改善が急がれる」と述べ回答を求めました。
交渉で大阪地連の松下書記次長は「バス運転者の健康を起因とした事故は、93年は195件、規制緩和以降の02年は302件、12年には434件と年々増加し、10年前に比べて3倍以上に増えている」などと、労働環境の悪化が進んでいることを指摘しました。
庭和田書記長は「高速バスや各地のインバウンドの実態を調査し手立てを講じなければ、観光立国をめざすとしているが、外国人観光客が犠牲になる重大事故が懸念される」「各地から報告があったが問題の根源は改善基準。連合組合も含め改善を求めているが一向に変わらない、どうしたら変えてもらえるのか?厚労省の対応を見ても埒があかない、国交省として独自の基準づくりを」と求めました。
国交省は「旅客の安全を守るためにしっかりと対策を講じていく。事故には、労働時間や健康起因の問題もあるので、健康管理をトータル的に考えていくべきだと考えている」と回答。
しかし、“改善基準”に関しては“変えたくない”マインドがあるのか、最後までかみ合いませんでした。
バス部会 国交省交渉
2015/07/27
インバウンドも危ない
安全守る手立て講じよ
自交総連バス部会(石垣部会長・本部副委員長)の代表ら9人は7月10日、新公示運賃の収受やインバウンド(海外から日本へ来る観光客を扱う)事業者の実態を調査せよと、国交省交渉を行いました。
要請に対し、国交省は、「新運賃の収受状況や手数料の実態はバス協会を通じて調査し、フォローアップ会議(7〜8月開催予定)で報告される。
手数料は民間同士の商習慣だが、その増額が新運賃の安全確保の趣旨を損なうことがあれば対策を講じたい」と回答しました。
組合は、既存会社も問題だが、インバウンド事業者など新規事業者はバス協会に加盟していない、そうした事業者の実態こそ調査すべきだと、迫りました。
厚労・国交省の怠慢 繰り返される高速バス重大事故
2015/07/27
「改善基準告示」を変えない限り悲劇つづく
繰り返される悲劇――。7月14日午前3時15分ごろ、三重県四日市市の東名阪道下り線で、夜行高速路線バス(ウィラーエクスプレス)が大型ダンプカーに追突し、2台とも左側ガードレールを突き破り2メートル下の茶畑に転落。双方の男性運転者と女性乗客の計3人が重傷を負ったのをはじめ計27人が病院に搬送される重大事故が発生しました。
今回重大事故を起こしたバスは、13日午後8時に千葉県の東京ディズニーランドを出発し、新宿などを経由して、岡山県倉敷市に向かっていました。
ダンプカーの運転者は「走行車線を走っていたら後ろからバスがぶつかってきた」と話し、バスの運転者は「追い越し車線から走行車線に車線変更しようとしたのを覚えている」と話しているとの報道です。
ウィラーは12年4月9日、同様の事故を倉敷市玉島道口の山陽自動車道下り線でも起こしています。この事故も走行車線上の大型トラックに追突、あごを骨折するなど3人が重傷、24人が軽傷を負いました。
いずれの事故も、深夜の3時と1時頃に、走行車線上の大型車に追突しています。運転者が前を見ていれば絶対に起こらない事故で、考えられるのは“居眠り運転”です。
これらの事故とは別に同様の事故が11年9月、12年3月、13年7月と毎年発生しています。13年の事故ではバス運転者が死亡しました。「ウィラーエクスプレス」は自社でバス運行をせず、前回の事故は大阪の「さやま交通」、今回の事故は岡山の「ロウズ観光」に委託していました。
高速ツアーバスの安全性が世間でもクローズアップされる経緯になった07年2月の「あずみ野観光バス事故」(1人死亡26人重軽傷)のあと、同年4月に「NHKスペシャル」でウィラー・トラベルの村瀬茂高代表は「バス公示運賃より料金を下げても経営は可能」「安全と安さは両立する」と持論を述べていましたが、実際には利用者を巻き込む重大事故は後を立たず空論としか言いようがありません。「今回の事故も受委託先の問題」とするトカゲの尻尾切りを許してはなりません。
貨物・旅客運送業に係る「改善基準告示」は、厚労省自らが認める過労死認定基準1か月時間外労働80時間を大きく上回る最大115時間以上を容認しており、過労の蓄積を防ぎ安全を担保することはできず、厳しい罰則が伴う改正・法制化をしない限り悲劇は続きます。