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2007年08月の記事
国土交通省ヒヤリング 貸切バス安全対策で
2007/08/06
初めから法律犯すような無理な行程組まない、組ませない法整備が急務
2000年2月から実施された貸切バス事業の規制緩和後、新規事業者が多数参入した結果、競争が激化し安全を無視した熾烈な運賃競争が展開され、その結果の一つに2月18日未明の「あずみ野観光バス(現ダイヤモンドバス)死傷事故」(過労運転)が発生しました。規制緩和の弊害の最たるものです。
こうした貸切バスの実態を改善するため国交省(旅客・観光)は、経営者、労働者、旅行業者の代表を選任し、「貸切バスの安全対策検討委員会」を設置しました。
7月30日、第3回検討委員会が同省で行われ、大阪地連の権田委員長とバス部会の松下事務局長がヒヤリングで「貸切バス事業の現状と課題」について、問題点を指摘しました。
まず、クリスタル観光バスの1日5万円、拘束時間15時間から17時間の内部資料を示しながら松下事務局長は、「公示運賃が守られず、私どもが長年、近畿運輸局に対して具体的資料を示し法違反を繰り返す事業者を摘発するよう求めたが、いまだに局からの是正勧告はなされてない」
また、東京のJTBが毎日新聞に掲載した募集型バスツアーのリーフレットも示して、「これでは1日のワンマン運行16時間の拘束時間を守れない、この行程(お客様が乗車して降車するまで)は14時間以上の企画。夜出庫、翌日夜帰庫で20時間を大きく越えているにもかかわらず、お客がバスから離れるのは3時間半〜5時間程度の行程である。ツーマン運行の最大20時間拘束を越える行程でありながら、4時間以上の休息期間を物理的にも乗務員は取れない」など労働基準法違反の内容が初めから企画されていると指摘しました。
委員からは、最初からこなせない行程について「バス会社と旅行業者間での協議はなされないのか」と質問。「親しい間柄であれば話しもできるかも知れないが、多くの場合できない。また、行程を見た時点で最初から渋滞で遅れることが予想されるゴールデンウイークでも、渋滞のない行程で組んでいる」と回答しました。
また、別の委員から提出した資料を見て、「日帰り行程はワンマン運行なのか」と質問。松下事務局長は「大阪でも同様の行程があるが、すべてワンマン運行である」と回答しました。
そして、「現行法において睡眠時間の問題は早急に改善すべき。業務(退社)から次の業務(出社)までの休息期間が8時間、通勤や食事時間、サービス残業になっている事業者もある入庫後の申し送りやバスの清掃などを考えると、最大で5時間程度の睡眠しか確保できない。安全性を優先するならばバス会社に対して法令を遵守させる取締りを強化し罰則を科すことが求められる。また、旅行業者に対しても法律を犯すような行程は組まない、組ませない法整備が必要である」と意見を述べました。
権田委員長は、貸切バス輸送の安心・安全を確かなものにするために、@運賃のダンピングをやめ「公示運賃」を遵守させること。A平成18年6月30日付けで国交省が旅行業者に発した「『ツアーバス』に係る募集型企画旅行の適正化について」の「通達」を徹底させること。B労働時間などを定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(国交省告示1695号)を遵守させることなどを強く求めました。