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2020年09月の記事
大津市の自動運転バス実証実験で事故
2020/09/25
原因を運転者に転嫁無乗客事故は隠ぺい
報道によると、滋賀県大津市で8月30日、一般客を乗せて実証実験走行中の自動運転バスが接触事故を起こし、実験を一時中断していることがわかりました。同実験では7月にも接触事故が起きていましたが大津市は公表していませんでした。
事故を起こしたのは京阪バス(京都市)と大津市が協力して実証実験していた自動運転バス。7月12日からほぼ毎日、一般客を乗せてJR大津駅とびわ湖大津プリンスホテル間の約3・7キロを10往復していました。
実験は、経済産業省と国土交通省が国立研究開発法人「産業技術総合研究所」(産総研)に委託。産総研が公募で選定した全国5事業者・地域に外注し、京阪バス・大津市はその一つでした。
最初に報道された事故は8月30日、大津市の市道T字路で発生。ハンドルやアクセル、ブレーキが自動制御の状態で走行していたバスが、ルート上でUターンする際に通常より大回りになり、運転者がハンドルを持って自動運転を解除しましたが歩道脇の柵の支柱に接触、バス左前部が破損。バスには運転者のほか添乗員1人と乗客4人が乗っていましたが、けが人はいませんでした。
それでも実験は継続
産総研は事故原因について「運転手が手動運転に切り替えたあと、柵に近づきすぎた人為的ミス」「最終的には運転手の車幅感覚の判断ミスが原因」としていますが、「運転手が、Uターンが普段より大回りになっていると気付いて手動運転に切り替え、ブレーキを踏んだが間に合わなかった」(毎日新聞)、「大回りしているのに気付いた運転手が手動に切り替え、ブレーキをかけながら曲がろうとしたが、曲がりきれなかった」(京都新聞)との報道記事を読む限り、産総研は事故原因を運転者になすりつけていると言わざるを得ません。そもそも大回りがなければ事故は起きていません。
大津市の実証実験では7月25日にも縁石に接触する事故を起こしていましたが、大津市はこの事故について公表していませんでした。毎日放送の報道によると、大津市は「一般客がいなかったため公表は控えた。安全対策を徹底して実験を再開したい」としているとのことです。
無人で安全確保できぬ
国交省は昨年6月、限定地域でバス・タクシーの無人自動運転をすすめるためのガイドラインを公表、「事業者は、運転者が車内にいる場合と同等の安全性と利便性を確保することが必要」などと定めています。
自交総連は「バス・タクシーに求められる安全性・利便性のレベルは自家用車とまったく異なる」「システムの故障や事故は避けられないし、とりわけ大地震や異常気象などの災害が頻発する国で、無人で安全が確保できないことは明らか」として無人自動運転推進に反対。「技術の進歩は安全性向上や労働の負担軽減に役立つように活用されるべき」としています。