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2016年11月の記事

入口規制・過労防止策を
2016/11/15

政府の道運法改正案は事故再発防止の実効性に疑問


 政府は軽井沢スキーバス事故の再発防止策として「事業許可の5年ごとの更新制導入」「事業許可を取り消されたバス事業者が再参入できない期間(欠格期間)を2年→5年に延長」「監査機能の補完・自主的改善の促進※1」「罰則強化」を盛り込んだ道路運送法改正案を10月18日に閣議決定し、今臨時国会での成立を目指すとしています。
 この改正案について大阪地連の庭和田書記長・松下書記次長・山本バス部会事務局長が10月31日に日本共産党・清水ただし衆院議員と意見交換を行い、重大事故の再発防止には入口規制の強化、「改善基準」※2の改定と法制化、保安要員の同乗義務化、運賃の適正化が不可欠との認識を共有しました。
 意見交換の内容は次の通り。
 〈組合側〉
 「更新制を導入しても書類検査だけでは悪質事業者を排除できない。入口規制を強化する必要がある。欠格期間を延長しても、全くの別法人を偽装した再参入は阻止できない。『自主的改善の促進』は先にトラック業界で導入されているが実効性がない」
 「保安要員(バスガイド、車掌)が運転者の居眠りや急性疾患発症による重大事故を未然に防止した事例がある。私たちの仲間も高速道路を実車運転中、くも膜下出血で意識を失ったが、ガイドと添乗員がバスを停車させて大事故に至らなかった。乗車定員30人以上の場合、かつては保安要員の同乗が義務付けられていたが規制緩和で外された」
 「新公示運賃の算定基準は、バス運転者と男子常用労働者の賃金格差の半分を上乗せしただけでしかない。運転者は命を預かる職業であり、過労運転を防止するためにも少なくとも時間当たり賃金を同等以上にすべき」
 〈清水議員〉
 「『改善基準』が官・労・使の協議で策定された当時の資料を厚労省に請求したが“資料が残っていない、わからない”との回答だった」
 「法改正を行うに越したことはないが、これまでの事故の大きな要因である長時間労働・過労を防止する施策が入っていない。国会審議を通じてその重要性を政府に追求していく」

 ※1=民間指定機関が巡回指導を行うための費用を貸切バス事業者から徴収する制度を創設。
 ※2=厚生労働省告示「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」。