HOME < ハンドルおおさか
ハンドルおおさか
ハイヤー・タクシー・観光バス労働者の新聞
月別バックナンバー
2016年01月の記事
あいさつ 公共交通食い物にする白タク化
2016/01/05
執行委員長
秋山 民夫
昨年は戦後70年の節目の年、平和憲法のもと平和を享受してきた国民にとり、この国の有り様が変わる様々な出来事があった年でした。特筆すべきは、著名な憲法学者の多くが憲法違反だと指摘し、国民大多数の反対を押し切り、民意も憲法も踏みにじり、衆参両院で強行成立した安保法制いわゆる戦争法をめぐる動きです。国民には何の説明もなく、国会にも上程されていないにも関わらず4月に訪米した安倍首相が夏までの成立を約束するなど国民を愚弄するだけでなく国会を軽視するなど、まさにアメリカの属国に成り下がる愚行と言わざるを得ません。
安倍政権は歴代の自民党政権の中でも突出した極右政権であり、自ら企業が世界で一番活動しやすい国にするという通り、原発再稼働・TPPの大筋合意・労働法制の改悪・消費税の再増税と、危険極まりない政権であり1日も早い退陣を求めなければなりません。また、安倍政権と同じく、労働組合を異常に敵視する橋下維新との闘いも大阪地連にとっては全力を挙げた熾烈な戦いでした。
5月の都構想の住民投票には勝利しましたが、11月のダブル選挙で再び争点とされ、維新政治が4年間続くという結果になりました。一昨年のタクシー特区問題の復活など様々な問題が噴出し非常に大きな悪影響が出るものと思われます。また、労働条件の改善を目的に施行された改正タクシー特措法は規制改革会議の圧力を受けた国土交通省の不作為、また一部事業者のエゴにより遅れに遅れ、昨年11月にようやく大阪市域交通圏が特定地域に指定されましたが、労働条件の改善に役立つという方向性が見えてきません。公定幅運賃訴訟も国・近畿運輸局が敗れ運賃問題も混沌としています。労働条件の改善が一向になされないため若年労働者の流入がなく、高齢化が一層進み、産業の存続さえ危ぶまれる状況です。
このような厳しい状況の中、タクシー産業の存続を根底から脅かす白タク合法化問題が発生。ウーバー・リフトなどの外資系企業が「ライドシェア」と称し、スマホ配車で旅客輸送を2種免許のない市民が行う「不法行為」を正当化する動きが表面化し、京都府京丹後市・兵庫県養父市が国家戦略会議にライドシェアの導入を求めています。特に楽天の三木谷氏が代表理事を努める新経済連盟が「シェアリングエコノミー」の成長戦略を促す法的整備を強く求めています。
また、安倍首相自ら国家戦略会議の諮問会議で「過疎地などで、観光客の交通手段として自家用自動車の活用を拡大する」とスマホ配車を可能にする規制緩和を検討するよう指示していますが、タクシー産業は百年以上の歴史を持ち、公共交通として国民の移動に多大な貢献をしてきた産業でもあり40万人もの労働者がいるということを全く考慮しないで「交通弱者の救済・過疎地の移動手段の確保」などと一企業の利益のためにきれいごとを並べていることに、激しい憤りを覚えます。
そして、観光バス関係では「観光バス労働者の権利と社会的地位の向上、事業の将来のため」にも新運賃違反、脱法的な手数料値上げの是正、日雇い・アルバイト運転手の一掃、低運賃や無理な運行を押し付ける旅行会社の規制、運転時間・交替運転者の配置基準改善、過労防止措置など、労働条件の改善に向けた環境整備を重視していかなければなりません。
このような厳しい情勢の中で、新年を迎えますが労働組合としての存在意義を示すため、闘う大阪地連の本領を発揮し団結して奮闘しましょう。