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2021年10月の記事

本流逆流(10月25日付コラムより)
2021/10/25

 10月4日に就任したばかりの岸田文雄首相が、そのわずか10日後に衆議院を解散。31日に総選挙が行われる。
 岸田氏は「成長と分配の好循環」を政策の柱に据え、「新しい資本主義」との看板を掲げるが、かつて「アベノミクス」と一対(いっつい)で語られた「トリクルダウン」を思い出さずにはいられない。「大企業がもうかれば庶民・労働者に滴(したたり)り落ちる」などと幻想を振りまいて、実態は賃金を抑えて大企業の内部留保を増やしただけだった。「新しい資本主義」も結局は看板を付け替えただけの話で、大企業優遇・米国従属という自公政権の政治姿勢が変わることはあるまい。
 岸田氏が今年6月に立ち上げた「新たな資本主義を創る議員連盟」には最高顧問に安倍晋三元総理と麻生太郎氏(現自民党副総裁)、顧問に甘利明氏(現同党幹事長)、いわゆる「3A」が名を連ねている。岸田内閣の顔ぶれを見ても、萩生田光一経産相や岸信夫防衛相など、安倍氏の意向がかなり反映されているのは明白だ。
 何のことはない、安倍氏が推進し、菅内閣が引き継いだ「アベノミクス」をまた引き継ぐ、それが「新たな資本主義」の本質であろう。「日本資本主義の父」とも呼ばれる渋沢栄一は「経営者がいかに大富豪となっても、そのために社会の多数が貧困に陥るようなことでは、その幸福は継続されない」との言葉(大意)を残している。大企業や富裕層への増税で財源を確保し、中間層・貧困層への減税や消費税減税で経済を活性化させるような政策は自公政権のままでは期待できない。
 「森友・加計」「財務省の公文書改ざん」「桜を見る会」「河井案里前議員への1億5千万円支出」などの真相究明も、モラルが崩壊したこの国の正常化には欠かせない。この総選挙に日本の未来がかかっている。政権交代を私たちの投票で実現しよう。

命守る一票を
2021/10/25

10月31日(日)は衆議院総選挙の投票日


 10月31日投開票で行われる衆議院総選挙は、自公政権、維新首長の大阪府政・大阪市政による昨年来のコロナ禍対応について審判を下す大事な機会です。
 感染抑止に成功している国を見習おうとせず、コロナ前から病床削減や公立病院廃止など医療を破壊し、大多数の反対世論を無視して東京オリンピックや大阪都構想住民投票が強行された結果、感染爆発と医療崩壊という最悪の事態を招きました。日本の人口100万人当たりの死者数は韓国の2.7倍、台湾の4.0倍にものぼり(10月19日現在)、大阪府の死者数は東京都を上回り全国最悪となっています。
 そしてタクシー・バス業界も未曾有の需要低迷から抜け出せず、私たちの雇用危機、生活危機は感染の恐怖とともに継続しています。コロナ禍を1日も早く終息させて元の営業・生活を取り戻すためにも政治を変える必要があります。
 自公政権のままではアベ政治以来の国家私物化・社会腐敗は止まりません。白タク合法化の企ても、自公のブレーンである政商・竹中平蔵氏らがコロナ禍の陰で策略を練っています。
 私たちの投票で政権交代を実現し、自公の補完勢力・維新に鉄槌を下しましょう。

本流逆流(10月15日付コラムより)
2021/10/15

 緊急事態宣言が解除され、仕事帰りの一杯を楽しみたい人にとっては、とりあえず良かったと思われるかもしれないが、第6波が迫っていると言われている中で油断は禁物である。ヨドバシカメラなどは緊急事態宣言中も解除後も同じぐらい賑わっている。ワクチンの普及で危機感が薄れているのかもしれない。
 宣言中に、どうしても外せない用事で大分に行った時に、地元ナンバーではない車で前と後ろに「地元県民です」と張り紙をした車と何台かすれ違った。
 当地の知り合いに聞くと、「都会ではどうか知らないが、田舎では嫌がらせをされることが多いので気をつかう」「遠方に住んでいる子らにも近所の目があるので、しばらく帰ってくるなと言っている」とのこと。親の介護に行くのも県を跨ぐときには張り紙をするらしい。
 そういった地域には宣言解除は非常にありがたいことのように言っていた。すでにウイルスがまん延している大阪では他府県ナンバーが白眼視される恐れはない。
 政府はまたもやGoToキャンペーンをするようだが、感染がぶり返したり新たな変異株が出たりして、再び地方の人々が神経をすり減らすことになりはしないか。

本流逆流(10月5日付コラムより)
2021/10/05

 桜田淳子が統一教会の「合同結婚式」に参加してワイドショーを賑わせたのは30年ぐらい前だったか。「テッシー」「マインドコントロール」の文字が連日スポーツ新聞の1面に躍っていた。同じ頃、統一教会の信者だったタレント・飯星景子を父親で作家の飯干晃一氏が説得して脱会させたことも話題になった。
 オウム真理教が世に出る以前はカルト宗教といえば統一教会だった。法外な値段で壺などを売りつける「霊感商法」も社会問題になっていた。被害は現在も続いており、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)も活動中。
 その全国弁連が9月28日付で「衆議院議員 安倍晋三先生へ」との公開抗議文を出した。
 「本年9月12日、韓国の統一教会施設から全世界に配信された統一教会のフロント組織である天宙平和連合(UPF)主催の『神統一韓国のためのTHINK TANK2022希望前進大会』と称するWEB集会において、安倍晋三前内閣総理大臣の基調演説が発信される事態が生じました」「安倍先生が、日本国内で多くの市民に深刻な被害をもたらし、家庭崩壊、人生破壊を生じさせてきた統一教会の現教祖である韓鶴子総裁(文鮮明前教祖の未亡人)を始めとしてUPFつまり統一教会の幹部・関係者に対し、『敬意を表します』と述べたことが、今後日本社会に深刻な悪影響をもたらすことを是非ご認識いただきたい」。
 安倍氏は演説で「(UPFが)家庭の価値を強調する点を高く評価します」と述べたという。安倍氏が統一教会と共有しているのは人権への憎悪である。親や先祖に感謝せよ、お国のために子を産めよ増やせよ──家族を国家の最小単位とし、自立した個人の人権を踏みにじる。「合同結婚式」は自由意思による婚姻へのアンチテーゼでもあった。安倍氏が執着する憲法改悪の企ては“日本カルト化計画”といえよう。

総選挙で「政権交代」「ストップ維新」市民連帯集会ひらく
2021/10/05

いのち守る大阪に


 後手後手のコロナ対策と東京五輪強行で感染爆発を招き、支持率低下→終焉を迎えた菅政権。そして公立病院廃止、職員削減などによる医療崩壊でコロナ死者数が全国最悪となった大阪の維新政治。来る総選挙で自民でも公明でも維新でもない、野党共闘での政権交代を実現しようと「ストップ維新!住んでよかったまち大阪をつくる市民連帯集会」が9月17日、エルおおさか(大阪市中央区)で開かれました。ユーチューブでも配信中です(集会名で検索)。

 集会呼びかけ人の一人、梅田章二弁護士は開会あいさつで、「維新は都構想をあきらめず、今度は条例で大阪市の権限を府に移そうとしている。大阪市の水道事業を府に移管する動きもある」「大阪は依然として維新の勢力が強い。自民・公明は来る総選挙で国民の審判を免れないが、自民の票が維新に回っては意味がない」と訴えました。

維新が医療崩壊招いた

 法学者・冨田宏治氏(関西学院大学教授)が「維新政治を終わらせる展望」と題して基調講演を行いました。
 冨田氏は、このコロナ禍で世界中の人々が命の大切さに気付くとともに、命が平等に扱われていないことに気付き始めている、と指摘。そして維新の新自由主義的政策によって、〈大阪では公立病院の医療従事者が10年間で半分に、保健所職員が4分の3に減らされた〉〈大阪府の100万人あたりのコロナ死者数はインドを上回る〉などのデータを紹介。「維新が医療崩壊をもたらした、このことに多くの人が気付き始めている」「人々の意識の変化にしっかりとした形を与えることができれば維新政治を終わらせることができる」と話しました。
 また冨田氏は維新の選挙での強さについて「格差をテコにして人々を分断し、その分断を組織化して選挙に勝ち続けてきた」と指摘。「維新の組織票に対して、それを上回っていくのは徹底した対話」「路地裏での対話を徹底して行うことで、反維新票を掘り起こしていく、投票率を引き上げることが必要」と強調しました。

住吉市民病院があれば

 集会にビデオメッセージを寄せた元・住吉市民病院院長の舟本仁一氏は、同病院が2018年に廃止されたことについて、「私個人の立場から言えば、やはり間違っていた」との認識を示し、コロナ禍の中で「住吉市民病院があれば、と思わざるを得なかった」と悔しさを滲ませました。その理由として「人口呼吸器の扱いに慣れた医師、看護師が多かった」「敷地が広く、40床以上確保できる病棟が離れたところに存在していたため、ゾーンを分けることが比較的容易だった」と話しました。
 さらに舟本氏は「インテックス大阪に野戦病院という流れになっているが、ここでも最大の課題は人材確保」「災害級の事態に対して、日頃から余裕をもって人材確保、施設確保しておくことが大切」と指摘し、「狭い視野で経済性・効率性を振りかざし、ハード面ばかりに焦点をあてて成果をうたうのは間違っている」と維新府市政を批判しました。