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2011年12月の記事

第10回役員セミナー(7)
2011/12/15

第10回役員セミナー(7)

くらし、雇用、いのち、震災復興…
いま本質を見抜く力を
──労働組合だからできること──(7)


槙野理啓(みちひろ)氏(関西勤労者教育協会講師)講演

労働組合は自由と民主主義の担い手

産業革命が共同のきっかけに


 ここで、労働者の歴史を18世紀後半にまで遡(さかのぼ)ってみましょう。
 イギリスでは産業革命の進行とともに、労働者に徹底した低賃金、長時間労働、無権利状態が押しつけられました。雇う側が圧倒的に有利で、労働者が数で対抗しようと思っても、まとまらないようにされているのが資本主義ですから、資本家のやりたい放題です。そうなれば労働者は自然発生的に抵抗せざるを得ません。盗む、壊す、殴る──これが労働者の最初の抵抗でした。しかし、これらの抵抗手段は、いずれも犯罪として罰せられ、労働者に大きな犠牲をもたらすだけで、自らの生活を改善するのには役立ちませんでした。
 ところが、産業革命の発展そのものが事態を変えていきます。
 大工場での生産が始まると、多数の労働者が同じ屋根の下に集められ、毎日一緒に働くようになりました。今では当たり前のことですが、世の中が資本主義になり、それが発展してきたことによって、多くの労働者が集められる、一緒に働く、という状況が生まれたわけです。
 「一緒」というのは、場所や時間のことだけではありません。賃金は安い、仕事はきつい、家族が心配、将来が不安、みんな「一緒」ということですね。みんな劣悪な状況に追い込まれているのが資本主義ですから、不満や不安といったものも含めて共通してくるわけです。

労働組合はパブで生まれた

 イギリスでは「労働組合はパブで生まれた」といいますね。パブ、つまり酒場ですけれども、イギリスの場合は職種によって行くバブが決まってるらしいんですね。金属労働者はこのパブ、繊維労働者はこのパブ、といった具合です。一日の仕事を終えたらパブに集まってビール飲みながらワイワイ話し合うわけです。
 そうすると労働者の間に、親近感や仲間意識が芽生えてきます。なんせ、置かれてる状況が皆一緒ですからね。一人が「賃金安いのう」とぼやいたら隣の者が「安いのう」って相槌(あいづち)をうつわけですよ。「ワシはそうでもないで」なんて憎たらしいことは誰も言わへんわけです。「家族のことが心配やなあ」言(ゆ)うたら「心配やなあ」、「怪我したらどないしよう」言うたら「どないしよう」って話が合うに決まってるわけですわ。みんな劣悪な状況に追い込まれてるということですね。
 やがて、切実な要求で結ばれるようになった労働者は、賃金の一部を出し合って失業や病気に備えたり、仲間の解雇や災害について雇い主に抗議したりし始めました。共同行動が始まってくるわけですね。時にはみんなで結束して仕事を放棄し、要求を通そうとすることもありました。ストライキの始まりです。こうしてストライキを切り札に、労働者がまとまって労働条件の改善を要求し、自らの生活と権利を守るために日常的に資本家階級とたたかうための団結の組織として、労働組合がつくられていきました。したがって、労働組合の当面の目的は、賃金と労働時間の問題に限られていました。

弾圧をはね返す政治闘争へ

 しかし、労働組合の役割は、労働条件の改善だけではありません。
 資本主義というと「自由・平等」ということになっていますが、それはあくまでも資本家たちの「営業の自由」を絶対視するものであり、資本家たちは労働者が労働組合をつくって資本家と交渉するなどということを認めるわけにはいきませんでした。ですから、どこの国でも「団結禁止法」といった弾圧法がつくられて、労働組合は非合法とされました。日本では1900年に「治安警察法」がつくられて、労働組合を弾圧しました。労働組合はまず、こうした弾圧法とたたかうために、政治的影響力を強めなければなりませんでした。
 労働組合の原点・出発点は経済闘争です。しかし、労働組合が望もうが望むまいが、向こうは法的に弾圧してくるわけですから、“私らはお金のことだけですねん”なんて言ってられません。弾圧をはね返すたたかい、つまり政治的なたたかいに移行せざるを得ないということなんです。ですから結果として労働組合は、自由と民主主義の真の担(にな)い手となっていきました。

全国民的要求を掲げて

 こうして労働組合は、自らはそれと自覚せずに、労働者階級の組織化の中心となっていきました。戦後の日本を例にとると、1950年代には勤務評定反対闘争などの全国統一闘争がありました。「勤務評定」は今日(こんにち)でいう成果主義ですが、それが教職員に対して持ち込まれようとした時に全国的な闘争が組まれたんですね。そして60年安保闘争があり、70年代には「国民春闘」が始まります。春闘は、平たく言えば労働組合がまとまって賃上げ要求する運動ですが、70年代になると単に賃上げだけじゃなくて、教育や社会保障、住宅問題、公害問題など、さまざまな国民的課題を掲げてたたかうようになったので、これを労働組合春闘ではなくて「国民春闘」と呼んだわけですね。そのことによって当時の賃上げ闘争も大きく前進しました。このように労働組合は、全国民的要求を掲げて、経済闘争と政治闘争を結合し、社会を根本から変えていくためのたたかいに力を尽くしてきました。
 ということで、ここまで駆け足で話してきました。最初に申し上げたように、まず前提としての基本的な話をしておきたかったんですね。その上で、いよいよ本日のメインテーマに入っていきます。(つづく)

維新の会が強行狙う「教育基本条例案」
2011/12/15

維新の会が強行狙う「教育基本条例案」 舞台上を歩きながら熱弁を振るう小野田正利氏

米国流の教育破壊許すな


 大阪市の橋下徹新市長と「大阪維新の会」は、「『教育基本条例案』『職員基本条例案』をダブル選挙の争点とする」と公言しながら、選挙公報や「維新の会」ビラで府民にまともな説明をしませんでした。ところが、選挙で勝ったらすべてが「民意」だといい、大阪府議会、堺市議会に加え、大阪市議会にも再提案し、2条例の制定を強行しようとしています。
 12月7日には2条例案に反対する集会が中之島・中央公会堂で開かれ、会場は1400人を超える人々の熱気に包まれました。


 集会は大阪労連など労働・法曹・教育8団体の主催。阪大大学院・小野田正利教授が「教育基本条例案」の危険性をテーマに講演しました。
 小野田氏は2002年にブッシュ政権下の米国で成立した教育改正「落ちこぼれゼロ」法による公教育の崩壊を紹介。教育の質がテストの点数だけで測られる米国では、現場の教師は学力ノルマに追われテスト対策以外のことをする余裕もなく、学力の低い子どもたちを取り巻く貧困状況は変わっていないのに、親身になったケアができません。そして生徒の試験答案や成績を改ざんする事件も発生しています。
 同氏はさらに米国の教育法改正が、教育労組や教育関係者を「利害団体」呼ばわりするネガティヴキャンペーンによってなされたことも紹介し、「弱い者がさらに別の標的をみつけては、それを叩くことによって鬱憤をはらすかのような状況が広がりつつあることを危惧している。それは学校や教育だけではなく、社会の全体で広がりを見せている」と指摘しました。

12・8大阪争議団争議支援総行動
2011/12/15

12・8大阪争議団争議支援総行動 冷たい雨が降る中、争議支援総行動・スタート集会に集まった大阪労連・大争共のなかま(12月8日)

働くよろこびを返せ!
卑劣な権利侵害に反撃


 大阪労連と大阪争議団共闘会議(大争共)は12月8日、大阪府内で労働争議を抱える企業や親会社、背景資本に対する抗議・要請行動を「争議支援総行動」として終日展開。大阪地連のなかま20人も「労働者をモノ扱いするな!」と拳を突き上げました。

 当日朝8時、行動参加のなかまは淀屋橋と裁判所前での早朝宣伝に取り組みました。宣伝カーの上でマイクを握ったJMIUダイキン工業支部・青山委員長は、「長年にわたって偽装請負で労働者を使用してきたダイキン工業に大阪労働局が是正指導を行ないましたが、ダイキンはその対応として私たちに2年半の有期雇用契約を強要しました。同社で20年近く働いてきた私を含めて203人が昨年8月、雇用期間満了を理由に解雇されましたが、会社は入れ替わりに、200人以上を新たに雇い入れました。会社がこんな首のすげ替えを行なったのは、私たちを継続雇用すると雇用責任が生じて自由に首切りできなくなるからです。断じて許せません」と力を込め、道行く人々に支援を訴えました。

なかまの支えが
争議団の勇気に


 大阪高裁・地裁合同庁舎前の若松浜公園で開かれた同行動「スタート集会」で、大阪労連・民間部会の長島部会長は、大阪地裁が建交労大阪府本部に対して「名誉毀損」や「業務妨害」を理由に北港観光バス周辺での宣伝行動を禁ずる仮処分を出した問題について、「政治や社会が狂うと裁判所まで狂ってくるということを実感した。異議審で私が“(宣伝の)どの部分が名誉毀損・業務妨害なのか”と質(ただ)しても裁判官はそれに答えられず、会社側に訊きなおしていた。憲法で保障された労働者の権利や労働三法への認識を欠いた裁判官が人を裁くなどもってのほかだ」と痛烈に批判しました。
 続けて同部会長は大争共のなかまに向けて、「私自身も昔、企業閉鎖で解雇された経験がある。なかまが多く集まって支えてくれるのは本当に勇気づけられるし、皆さんのたたかいもまた、なかまを勇気づけることにもなる。今日の行動で会社がいかに卑劣な行為に及んでいるかということを地域に知らせながら、1日も早い解決へと追い込もう」と激励しました。
 集会が終わるとなかまは3班に分かれてダイキンやビクターアフターサービスなど13使用者を巡り、抗議宣伝・要請を行いました。

第10回役員セミナー(6)
2011/12/05

第10回役員セミナー(6)

くらし、雇用、いのち、震災復興…
いま本質を見抜く力を
──労働組合だからできること──(6)


槙野理啓(みちひろ)氏(関西勤労者教育協会講師)講演

利益第一主義を変えていく運動の実践を

新しい社会を実現していく条件


 貧困と格差の拡大、恐慌の発生、地球規模での環境破壊といった資本主義の矛盾の中で、それを克服し、新しい社会を実現していく条件が成熟していることを見逃してはなりません。
 ひとつには、資本主義による生産力の向上は、新しい社会への発展を保障する物質的な条件になるということです。ただし、利潤第一主義の狭い枠組みを脱(ぬ)け出すことができたならの話です。これが難しいんですけどね。
 巨大な生産力は、国民生活を豊かに支えるための物資生産・流通を可能にしただけではなく、情報・通信・教育などのシステムを作り出しています。平たく言(ゆ)うたら、資本主義がモノを豊かに作り出しているのは「事実」だということです。それが一部の人のところに偏(かたよ)っているのが問題なのであって、作り出す能力は資本主義がもたらしたということです。
 もうひとつは、資本主義が生み出した労働者階級が、新しい社会への移行とその発展を担(にな)う主体的な条件として成長している、ということです。社会を変えていく人を資本主義が生み出した、ということですね。
 人格的に自立し、豊かな個性と能力をもった自由な人間、つまり社会を変えていく人間自体が、資本主義とともにあらわれてきました。それが労働者です。労働者は生産手段から切り離されているから貧乏です。だけど同時に自由なんです。仕事が選べるようになったということですね。そうして生まれた労働者階級は、数を増やすだけでなく、現代人にふさわしい科学性を身につけ…皆さんつけてますか(笑)、資本との闘争を通じて、人間らしく生きるためには団結してたたかうしかないことを学びとっています。

対米従属、財界の横暴断ち切ろう

 では、どのようにして社会を変えていくのか。資本主義の害悪を根本から解決するためには、経済と社会のありかたの全体を利潤第一主義から解放していかなければなりません。「ルールある経済社会」を徹底するとともに、「大企業の民主的規制」を進めていく必要があります。いまは規制緩和でまったく逆の方向に進んでますけど、大企業には本来、大きな力を持っているからこそ果たすべき社会的な責任があります。結局のところ、資本の手にある生産手段を社会全体のものに変えていく、ということです。
 “そんなこと、本当にできるのか”と疑問に思うのも当然ですけれども、例えばヨーロッパでの「幸せな国をつくる」試(こころ)み、福祉国家論ですけどね、少なくとも日本よりは住み心地が良いみたいですよ。特にデンマークやスウェーデンなど北欧諸国では、社会保障が充実しています。けれども、スウェーデンもデンマークも資本主義です。しかも君主制、王様のいる国ですわ。資本主義の下(もと)にあっても、国民生活を豊かにするのは不可能ではないということです。
 また、南米諸国では新しい社会主義を模索する動きが、この数年の間に強まっています。“新しい”というのは“ソ連型の社会主義ではない”ということです。欧州と南米、どちらの動きも現実的な方向だといえます。資本主義そのものが新しい社会への発展の条件を作り出しているのですから、資本主義は必ず新しい社会へと発展していくことになるでしょう。
 とはいえ、それは社会が自動的に変わっていくことを意味するわけではありません。喜ばせたり残念がらせたり行ったり来たりですけど(笑)、これまでも命と暮らしを守る運動、平和や民主主義を実現する運動などが繰り広げられてきました。そうした社会的実践こそが、資本主義から新しい社会への移行を推進していきます。今日(こんにち)の日本では、まず異常な対米従属と大企業・財界の横暴を断ち切り、誰もが平和で豊かな生活を送れる社会、自由で人間らしい生活を送れる社会をめざすことになります。

労資間に公平な取引はありえない

 資本主義の本質について理解した上で、いよいよ労働組合の問題を考えます。なぜ労働組合をつくるのか、ということですね。
 資本主義社会では、すべての人間は法的に「対等・平等」であり、資本家と労働者との間の雇用契約も、形式的には「公平」に結ばれることになっています。いきなり目隠しされて、袋につめこまれて“気がついたらこの会社に入ってた”なんて、そんな人おらへんでしょう(笑)。雇われる時は一応、自由意思で勤めてもいいし、勤めなくてもいいわけです。会社側から断られる場合が多いですけど(笑)。
 しかし実際には、資本家と労働者の間に公平な取引はありえません。資本家は巨大な富を蓄積していて、単なる個人ではなく、会社という機構の代表者であり、労働者を雇い、指揮命令して働かせることができるという圧倒的に優位な立場に立っています。ですから、労働者が個人でバラバラに資本家に立ち向かっても、労働者に勝ち目はありません。
 労働者が持つ唯一の社会的な力は、その人数が多いことです。この人数の力を、ひとつにまとめる以外に資本家と対抗する道はありません。しかし、人数の力は労働者同士の競争によってくじかれます…労働者がまとまらないようにされているから難しい…となるわけですわ。(つづく)