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2021年03月の記事
〈自交本部3.5中央行動〉厚労省に要請
2021/03/25
厚労省に要請書を提出する自交本部・高城委員長(右、3月5日)
雇調金特例措置延長を
自交総連本部(高城政利委員長)が3月5日に東京・霞ヶ関で取り組んだ「中央行動」では、国土交通省と厚生労働省への請願書提出行動と国交省交渉(前号報道済み)に続いて、厚労省交渉と全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連、川鍋一朗会長)交渉を行い、コロナ禍対策や労働条件改善などを訴えました。(参照=自交総連本部『自交労働者情報』3月9日付)
厚労省
コロナでシフト減
「休業手当の対象」
厚労省交渉で組合側は、コロナ禍対策として、(1)雇用調整助成金(雇調金)の特例措置をコロナ終息まで延長し、休業手当はコロナ前の平均賃金の100%を支払うよう使用者に教示すること、(2)コロナ対応休業支援金・給付金制度をコロナ終息まで延長し、労働者が当局に直接申請した場合は当局からの休業確認などに協力するよう事業者に指導すること、(3)シフト勤務労働者への休業手当支払いを使用者に指導すること、(4)タクシー・バス乗務員へのPCR検査が速やかに行われるよう検査費用を公費負担すること、(5)使用者への監督を強化し、最低賃金法違反を是正すること、(6)大きく賃金が低下している労働者に対する直接的な支援として補助金・慰労金などを支給すること─などを要請。
省側は(3)について、「本来なら就業するであろう日があって、そこがコロナで休業だとなれば休業手当の支給対象になり、雇調金の対象になる。雇調金を使うよう周知をしていく」と明言しました。
不当な休憩扱い認めぬ
(2)に関連して「基礎疾患や感染リスクを持つ人にとって休業は切実な問題。会社が休業せず安全配慮義務を守らないので、やむを得ず本人だけが休んだとしても休業支援金は出ない。コロナで休んでいるのだから認めるべきだ」と訴えた組合側に対し、省側は“コロナ以外で休んだという明確な理由がない場合は認められる”との見解を示し、「休業支援金は労働基準法の休業手当の支払義務とはリンクしない。個々のケースはいろいろあるが、実績として過去にどれだけ出ていて、それがコロナで出られなくなったということが確認できれば、休業支援金の対象とできる」と述べました。
また、(5)に関連して組合側が「コロナで最賃に抵触する例が増え、数分の停車時間を休憩扱いにして労働時間から除外する例がある」と指摘し、見解を質すと省側は「停車時間を一律に労働時間から除外して休憩時間とするのは認められない。休憩は労働から解放されていなければいけない。実態をみて判断し、指導を強化していきたい。そういう(労働時間除外の)仕組みがあれば直すように粘り強く指導していく」と応じました。
労働時間の調査実施
組合側はもう一つの要請の柱として、長時間労働・過労死防止の実効性が問われている厚労省告示「自動車運転者の労働時間等の改善基準」について、休息期間を「11時間以上」にするなど実効性のある内容に改正し、法制化も行なって罰則を設けるよう要請。
省側は「現在、専門家会議で議論している。実態調査を実施して、その結果をふまえてこれから労働時間の議論に入る。休息期間については、十分ではないとの意見をもらっている。実態調査の項目にも入っている」と話しました。
大阪労連民間部会が春闘宣伝
2021/03/15
春闘宣伝に奮闘する大阪労連民間部会のなかま(3月8日、難波・高島屋前で)
ストップ!無権利な働き方
普通に働き暮らせる社会へ
大阪労連民間部会(坂本一朗部会長=国労大阪)は3月8日、大阪労連の春闘回答指定日(10日)に向けた宣伝を難波・高島屋前で行い、「大企業は内部留保(ためこみ金)を雇用安定と賃上げに活用すべき」「コロナ禍だからこそ声を上げていこう」などとアピールしました。
宣伝のマイクを握ったJMITU(機械金属産業、情報通信産業の労働者で組織)・久松書記長は「コロナ禍で収入が落ち込み、中には“副業しないと家賃が払えない”という人もいる。そんな実態をいいことに国や企業は労働者に副業・兼業を奨励し、在宅勤務の拡がりに乗じて労働時間管理をやめ、成果主義を強化しようとしている。労働者はさらなる長時間労働を強いられて、健康・命が脅かされる」と指摘。「今春闘では“8時間、普通に働けば普通に暮らせる社会”の実現が切実に求められている」と強調しました。
さらに久松氏は「ウーバーイーツなどフードデリバリーで働く者は自営業者として扱われ、有休もなく、仕事でケガをしても労災の適用が受けられず全ては自己責任。そんな無権利な働き方を国や企業は増やそうとしている。こうした流れにも今春闘の中でストップをかけていきたい」と力を込めました。
生活保護減額は違法
2021/03/05
弱者追い詰める自民党、厚労省はデタラメで忖度
国が2013年8月から開始した生活保護費引き下げは生存権を保障した憲法25条に違反するとして、府内の生活保護利用者が国と府内12市を相手に、減額処分取り消しなどを求めた訴訟の判決が2月22日にあり、大阪地裁(森鍵一裁判長)は、減額処分は違法であるとして処分を取り消す判決を出しました。
安倍内閣(当時)は2013年から2015年にかけて生活保護費の生活費分(生活扶助)の引き下げを3段階に分けて実施。引き下げ幅は平均6・5%、最大10%に及び、多人数世帯や子どものいる世帯で大きくなる傾向がありました。全国で1千人近くが「引き下げは憲法違反だ」と国と自治体を提訴、大阪では42人の生活保護利用者がたたかってきました。
特異な物価高織り込む
厚生労働省は「大幅な物価下落」を理由に生活保護費を引き下げましたが、その物価下落は、同省が独自に開発した物価指数「生活扶助相当CPI」(生活保護利用者の消費者物価指数)によって導き出したものでした。この指数は二つの点で生活保護世帯の実態を無視しています。
第一に物価が最も上がった2008年と最も下がった2011年を比較しており、第二にその期間、大幅に下落したテレビ、ビデオレコーダー、パソコンなどを生活保護利用者があたかも一般家庭と同様に購入した前提で計算しています。
判決は「特異な物価上昇が織り込まれ、翌年からの下落率が大きくなった」「国の調査では、被保護世帯の教養娯楽用品への支出は一般世帯よりも相当低い」と指摘。「客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠き、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程及び手続きに過誤、欠落があるといわざるを得ず、裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があるというべき」と国を批判、「生活保護法3条(※)、8条2項(※)の規定に違反し、違法である」と断じました。
※生活保護法第3条「最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない」
※生活保護法8条2項「生活保護基準は最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであって、かつ、これを越えないものでなければならない」
生活保護制度は権利
同訴訟原告を支援してきた「いのちのとりで裁判全国アクション」は厚労省の「生活扶助相当CPI」を「物価偽装」と指弾しています。生活保護費引き下げ直前の2012年12月に行われた衆議院選挙で、自民党は「勤労者の所得水準、物価、年金とのバランスを踏まえ、生活保護の給付水準を10%引き下げます」との公約を掲げました。厚労省の「物価偽装」は選挙公約を忖度したものにほかなりません。
東京新聞は2月25日付社説で、「生活保護を巡っては、行政が申請者の親族に援助の可否を尋ねる扶養照会など、申請をためらわせる『壁』の存在も、しばしば指摘される。生活保護を受けるのは憲法が保障する『権利』なのに『施し』と見られかねない社会的偏見をなくしていく必要もある」と論じています。
(参照=全大阪生活と健康を守る会連合会2月24日付「声明」、ダイヤモンド・オンライン「『生活保護費の減額はデタラメ』と厚労省を一蹴した、大阪地裁判決の意義」みわよしこ)
本流逆流(3月5日付コラムより)
2021/03/05
汚職や不正など疑惑の渦中にある政治家が急に病気になって入院したり国会を欠席したりするのはよくある話である。
UR都市機構への口利きの謝礼として建設会社から金銭を受け取っていた甘利明・元経済再生担当相は、2016年1月にそれが報道で発覚すると同月末に閣僚を辞任。野党は甘利氏の証人喚問を与党に求めたが、同氏は睡眠障害を理由に国会を閉会まで約4か月欠席、不起訴が決まった直後に政務復帰している。
で、今回は政治家ではなく官僚である。菅首相の長男などから接待を受けていた山田真貴子内閣広報官が急遽入院、3月1日付で辞表を提出し、受理された。同日は国会で野党の質問に答えるはずだった。SNSでは“飲み会は断らなくても国会は断るのか”などと批判が渦巻いている。
入院先はおそらく個室病床であろう。いま、病床ひっ迫が伝えられる中で特に必要とされているはずだ。病であっても山田氏には説明責任がある。
ニュース番組に出演した菅首相への質問をめぐってNHKに「総理、怒ってますよ」と抗議の電話をかけたとされる山田氏だが、同氏に多くの人々が「怒ってますよ」と伝える手立てはないものか。