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2017年04月の記事
「最賃1000円以上に」なかまの声をきけ
2017/04/18
最賃審労働者委員の公正選任を要請する大阪労連のなかま(3月22日)
最賃審労働者委員を公正に選任せよ
大阪労連が労働局に要請
大阪労連(川辺和宏議長)は3月22日に大阪労働局との交渉を行い、大阪地方最低賃金審議会※(大阪最賃審)の労働者委員に立候補している6人(自交総連大阪地連=松下書記次長)を含む9団体21人が参加。今年新たに任命される労働者委員に大阪労連からも選出するよう要請しました。
大阪労連は「生活が苦しい」という声を最賃審に届けるために、非正規労働者が多く賃金水準の低い労働組合から労働者委員立候補者を募(つの)り、推薦しています。しかし、大阪最賃審の労働者委員は長年にわたり連合大阪の推薦者のみで構成されており、大阪労連は排除され続け、選任の根拠も明らかにされていません。
交渉で労連側が選任の基準を質(ただ)すと、局側は56年前の旧労働省通達で「一般に特別な事情のない限り従来どおりの構成を維持することが紛議を避ける見地から適当」とされていることを紹介。労連側がほかの判断基準を示すよう求めても局側は「諸条件を総合的に勘案して決めている」との回答に終始しました。また「大阪労連の推薦者を落とす根拠はない」とも述べ、明確な基準がないまま連合の推薦者だけを任命していることが浮き彫りになりました。
さらに労連側は、最賃審で実質的な審議を行う専門部会を公開制にすること、監督官を増員してすべての事業者に最低賃金法を遵守させる体制を整えることなどを局側に要請しました。
閣議決定で監督官削減
専門部会の審議が非公開とされていることについて労連側が「すべての審議を公開すべき」と求めたのに対し、局側は「行政としては全体的にオープンの方向だが、専門部会が非公開と決定しているため議事要旨のみを公開している」とした上で、「専門部会に公開の検討をお願いしている。平成29年度についても改めて検討をお願いさせていただく」と回答しました。
最低賃金法違反の取り締まりについて局側は「(今年の)1月から3月にかけて集中的に監督を実施している。特に本年度は昨年の実績を大幅に上回る件数を目標に取り組んでいる」とした上で、安倍内閣が2014年7月に「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」を閣議決定し、「5年ごとに基準年度を設定し、対基準年度末定員比で毎年2%(5年10%)以上を合理化する」としていることを紹介。「監督官の増員要請は大変ありがたい。当局としても増員を希望しているが、現実には非常に厳しい状況」と苦渋をにじませ、「今回の増員要請については本省に上申させていただきたい」と述べました。
労連側は「最低賃金の重要性が高まっている今日において、公正な任命や専門部会の公開は府民に対する責務。正すべきところは正してほしい」と改めて強く要請しました。
※地方最低賃金審議会=各都道府県労働局に設置。公益代表、労働者代表、使用者代表、各同数の委員で構成。大阪府の最低賃金は、中央最賃審から示される引上げ額の目安を参考にしながら、大阪地方最賃審での地域の実情を踏まえた審議・答申などを経て、大阪労働局長により決定。
大阪に不幸招くカジノはいらない!!
2017/04/05
プラスターを掲げ「カジノはいらない」とシュプレヒコールする集会参加者(3月25日、大阪市中央区・エルおおさかで)
子どもの未来守れ
昨年末の国会でカジノ解禁推進法が自民、維新などの賛成で成立。大阪府・大阪市の維新政治はカジノ誘致を推進しています。3月25日に「カジノあかん大阪集会」が中央区で開かれ、参加者は「くらしを壊すカジノはいらない!」と声をあげました。
「こんなにたくさんの皆さんの前で話せる日が来るとは思わなかった。それほど家族にギャンブル依存症がいるということは恥ずかしくて言えなかった」
集会では依存症の母を持つ女性が登壇。自身の半生を次のように振り返り、カジノ誘致反対への思いを切々と語りました。
「子ども時代は日中の大半をパチンコ、ボート、競輪など賭博場で過ごした。そこには自分と同じ境遇の子どもがたくさんいた」「その子たちはほとんどが義務教育を終えると働きに出ていった。そしていつしか親と同じような道を歩んでいく」「中には優秀な子もいたが、私の時代は親がギャンブルに狂っていたら進学はかなわなかった」「支援者、自助グループにめぐりあったことが私にはラッキーだった。でも私のような幸運な人は少ない」「カジノができたら私のように泣く子ども、家族がいっぱい出てくる」「家庭崩壊、失踪、自殺、そんな中から子どもが明日に夢を持って育っていくのは非常に難しい」
まっとうな活性化策を
自由党、社会民主党、日本共産党の代表がスピーチ。共産党の大門実紀史参院議員は「古来、賭博場には必ず暴力・闇金融、売買春がつきもの。こういうおぞましいものを大阪に造らせてはならない」と強調。「カジノは付加価値を生まないから経済対策にはならない。活性化には中小企業の力を引き出すための支援が必要」と説きました。
第30回自交労働学校で「共謀罪」「ライドシェア」の危険性を学習
2017/04/05
共謀罪の危険性について講義する伊賀興一弁護士(3月30日、大阪市浪速区・自交会館で)
今が日本の分かれ目
自交総連大阪地連(福井勇委員長)は3月30日、第30回自交労働学校を自交会館で開き、伊賀興一弁護士(大阪弁護士会・共謀罪法案対策PT座長)が共謀罪の危険性について、講義を行いました。要旨を掲載します。
伊賀弁護士
浅はかなテロ対策
モノ言えぬ社会に
伊賀弁護士は、安倍政権が今国会で成立を狙う「共謀罪」法案について次のように話しました。
「テロ対策が目的だというが、実際は“テロ対策”という言葉を条文に付け足しただけ」「日本はすでにテロ防止関連条約を13本も締結している」
「日本でパリやロンドンのようなテロが発生していないのは、憲法9条によって紛争当事者の一方に与(くみ)していないから」「安倍首相はどうしても紛争当事者の一方に肩入れしたい、そうすると敵側から狙われる、狙われるのなら予防のための何かをつくろうかという浅はかな考え方ではないのか」
「本来なら政治がもっと責任を持って外交努力を尽くすべき」「根深い民族対立、宗教対立など恨みの根底まで議論が尽くされなければならない。警察による市民監視でテロ対策というのは間違っている」
市民生活に監視の網が
「共謀(=犯罪計画を2人以上で相談して合意する)を察知するためには盗聴など通信傍受が必要。捜査が解明型から探知型に変わる」「監視の網が広く、深く、市民生活にかぶさってていく」
「『自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する』とある。フレームアップ(=事件を捏造したり、人に無実の罪を着せたりすること)が起こる。何もなかったのに“あった”と言う人と、“何もなかった”と懸命に訴える人がいた場合、裁判所は前者を信用する傾向が強い」
「犯行未遂・共謀段階の逮捕なら大事件をでっち上げることが可能。1910年の大逆事件では天皇暗殺がでっち上げられ12人が死刑に処せられた」
「共謀罪ができれば労働運動も市民運動も萎縮して“モノを言えば唇寒し”という時代になっていくだろう。共謀罪で1、2件逮捕してテロなど大事件がでっち上げられたら、いっぺんに自主規制に走っていく。いまが分かれ目だ」
「今国会は6月18日まで。モノが言えない社会になってからでは遅すぎる。ぜひ反対の声をあげていただきたい」