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2010年05月の記事
大阪泉南アスベスト国賠訴訟 原告勝訴
2010/05/26
「勝訴」の旗を掲げる弁護団のメンバーと喜びに沸く支援者ら(5月19日、大阪地裁前で)
国は石綿被害者に不作為責任を謝れ
大阪府泉南地域のアスベスト紡織工場の元従業員や近隣住民ら29人が、「国が必要な対策を怠ったために健康被害を受けた」として国に損害賠償を求めた「大阪泉南アスベスト国賠訴訟」。大阪地裁は5月19日、石綿被害に関する国の責任を初めて認定し、元従業員や遺族計26人への賠償を命じる原告勝利判決を下しました。
アスベスト(石綿)は極めて細かい鉱物繊維で、安価で断熱性、耐火性にも富んでいることから建築資材や様々な工業製品に使用されてきました。しかし長期・大量に吸引すると肺の奥深くに侵入し、石綿肺や肺がん、中皮腫など深刻な健康被害を引き起こす有害物質です。石綿による中皮腫や肺がんは吸引から20年〜50年もの長期の潜伏期間を経て発症することから「静かな時限爆弾」と呼ばれています。
大阪・泉南地域は1900年代初頭から石綿紡績業が発展。その中で中皮腫や肺がんなどの石綿被害も広範かつ深刻に進行し、石綿工場がすべてなくなった現在も多くの元従業員や近隣住民が苦しんでいます。
05年に機械メーカー「クボタ」による石綿被害が社会問題化したことを契機に、大企業による被害補償の動きは進みましたが、泉南地域では被害を発生させた大半が零細企業で既に廃業しており、多くの被害者が置き去りにされています。
国は戦前や終戦直後に、泉南地域の石綿工場労働者を対象に大規模な調査を実施、石綿の危険性を把握していながら経済的有用性を最優先し、規制や対策を長期間にわたって放置してきました。71年に石綿を扱う作業場などに排気装置の設置や、石綿濃度の測定を義務付ける規則を設けましたが、石綿使用製品の製造などをすべて禁止したのは04年になってからです。
報道によると、判決は「59年には石綿肺の医学的・疫学的知見が集積され、(国は)相当重大な被害が発生していると認識するに至ったのであるから、石綿被害の防止策を講ずる必要性を認識していたと言うことができる」「(防止策で企業は)経済的負担を負うが、それを理由に労働者の健康や生命をないがしろにはできない」「しかし、(国は)この時点で排気装置の設置義務付けをしなかった。そのため石綿産業の急成長のもとで石綿粉じんによる被害拡大を招いた」として国の不作為責任を明確に認定。国の責任の範囲を「企業と共同不法行為の関係にある」として高水準の賠償を命じました。
国は判決を真摯に受け止めて被害者に謝罪し、石綿被害の全面的救済と被害根絶に取り組むべきです。
「大阪から争議なくそう」と5・20総行動
2010/05/26
全産業の職場でまん延するイジメ
2010大阪春闘共闘と大阪労連は5月20日、大阪府内で労働争議をかかえる企業や親会社、背景資本に対する抗議・要請行動を「5・20争議支援総行動」として終日取り組み、大阪地連のなかまも「労働者への人権侵害、組合つぶしは許さないぞ!」と拳を突き上げました。また、自交総連関係では委員長の不当解雇を強行した日本キャリーに対する抗議宣伝行動とともに争議の全面解決を同社に要請しました。
行動のスタートとして、近畿高速郵便輸送・大阪エアメール闘争(=JPの輸送委託先見直しの結果、全港湾の組合があった2社が廃業・全員解雇を強行し、全港湾の組合員17人だけが郵便輸送事業から排除された不当解雇事件)の抗議宣伝行動が大阪市・中央区の日本郵政大阪ビル前で行われました。
主催者あいさつで大阪労連の川辺議長は「JR、NTT、郵政と民営化の中で労働者は苦しめられてきました。国策の労働者イジメは絶対に許せません。たたかうなかまを激励し、また自らのたたかいとして1日も早くこの大阪から争議をなくしましょう」と呼び掛けました。
大企業の不当性次々と明るみに
大阪争議団共闘の森岡議長は連帯あいさつで「NTT11万人リストラ(50歳退職・賃下げ再雇用)で退職≠ノ応じなかった労働者への見せしめ遠隔地配転は大阪高裁判決(最高裁上告棄却により確定)や高松高裁判決でその不当性が明らかになりました。同じく、元公営企業である郵便事業会社の不当なやり方も改めさせなければならない」と力を込めました。
全港湾阪神支部・大阪エアメール分会のなかまは決意表明し、最後までの支援を呼びかけました。
スタート集会終了後、支援者らは22使用者に対し争議の全面解決を求める要請行動を行うため3隊に分かれ奮闘。自交総連関係では労組結成を嫌悪し委員長を不当解雇した日本キャリー(高槻市)に対し、解雇の即時撤回と争議の全面解決を迫る抗議宣伝とともに要請行動も行いました。
第81回大阪メーデー
2010/05/17
シュプレヒコールで拳を突き上げる大阪地連のなかま
働くものの団結で生活と権利を守り、
平和と民主主義、中立の日本をめざそう
国民本位の政治実現を
5月1日、快晴の扇町公園(大阪市北区)で開かれた「第81回大阪メーデー」には、大阪地連のなかま110人を含む1万人以上の労働者が結集。「大企業は社会的責任を果たせ!」「労働者を使い捨てにするな!」と拳を突き上げました。
主催者あいさつで川辺和宏実行委員長(大阪労連議長)は鳩山連立政権について「派遣法は骨抜き改正、後期高齢者医療制度廃止は先送り、最賃を1000円以上に引き上げる公約も守ろうとしていない」「自民公明政治と同じくアメリカ追随を改めず、普天間基地の問題では沖縄県民の願いに反して公約(県外移転)から後退する方向に転じている」「社会保障の財源確保を名目に消費税率引き上げの議論が始まったが、大企業(内部留保・優遇税制)と軍事費という2つの聖域に対する抜本的施策が不可欠だ」と指摘。政権の変節を許さず、国民本位の政治を実現するためにも「労働者の願いと力を、広汎な国民との共同のたたかいとして、歴史を作る運動に飛躍させよう」と呼び掛けました。
決意表明で個人請負労働者の実態について報告したJMIUビクターアフターサービス分会の山口則幸分会長は、「個人請負という雇用形態では労働者は労災や有休、雇用保険など法律に保護されなくなります。正社員とまったく同じ仕事をしているのに、会社は私たちを“自営業者”として労働組合を認めず、団交を拒否しています。団結権という重要な労働者の権利を守るたたかいに必ず勝利しなければならないと思っています」と力強く訴えました。
5月19日に大阪地裁判決を迎える「大阪泉南アスベスト国賠訴訟」の原告の代表は「肺がんの手術で右肺の下半分を失いました。いまも再発の恐怖に怯えています。40年前に従事した石綿の仕事が私の人生を変えてしまいました。国がアスベストによる健康被害を放置してきたからです。私は絶対納得できません」と述べ、国の責任の明確化、早急な被害者救済に向けた支援を訴えました。
集会が終わるとデモ行進を開始。大阪地連のなかまは「多すぎるタクシーを減らせ!」「バラバラ運賃を是正せよ!」と声を張りあげました。
イラク戦争何だったの?! 市民検証集会
2010/05/06
「ファルージャの声を沖縄から発信したい」と話す高遠氏(右)とワセック氏
イラク残虐行為に私たちの税金
03年3月、世界中で多くの人が反対していたにもかかわらず強行されたイラク戦争。結局、大量破壊兵器は見つからず、WHO(世界保健機構)は民間人15万人が殺されたと推計しています。4月23日に大阪市中央区内で開かれた「イラク戦争なんだったの?! 市民検証集会」(イラク戦争の検証を求めるネットワーク関西、市民社会フォーラムなど7団体共催)では市民の立場から、イラクの人々が受けた人道被害の実相などについて検証を行いました。
集会ではイラク・ファルージャ市在住の人道支援活動家、ワセック・ジャシム氏と、イラク支援ボランティアの高遠奈穂子氏が映像を交えながら、米軍によるファルージャ総攻撃の凄惨な実態を報告しました。
高遠氏は04年にファルージャ近郊で武装グループに拘束され、帰国後に心ない人々から自己責任バッシングを受けましたが、その後はショックから立ち直り、現在も活発にイラクの民間支援活動を続けています。 同氏は、普天間飛行場の「早期返還」と「国外・県外への移設」を求める沖縄県民大会にワセック氏と参加することを表明し、「ファルージャ総攻撃ではキャンプハンセンの海兵隊が主力でした。海兵隊がファルージャで何をしたのかということを、沖縄から発信したい」と話しました。
ワセック氏は2度目のファルージャ総攻撃(04年11月)直後に撮影した、米軍が避難民に遺体返還した時の映像を公開。プロジェクタに映し出された遺体の多くは焼け焦げていたり腐敗が進んでいるため、身元確認が不可能な状態でした。同氏は「(撮影後)1か月は手や体を何千回洗っても、腐臭が記憶にこびりついていました」と回想。
続けてファルージャ病院の小児科医からもらったという先天性異常の赤ちゃんの写真が映し出されると、「目や鼻がない」「背中に大きな腫瘍がある」などあまりの惨さに会場では涙ぐむ人もいました。先天性異常は劣化ウラン弾の影響によるものと見られています。
高遠氏は最後に「私はイラク支援は“賠償”だと思っています。残虐行為に私たちの税金が注ぎ込まれ、自衛隊が後方支援していたとすれば私たちは加害者側だと思います」「世界に向けて謝罪するよう政府に求めていきたい」と締めくくりました。
なくそう核兵器 4・25 府民のつどい
2010/05/06
フィナーレでは「NPT再検討会議」に核兵器廃絶を訴えに行く大阪原水協の要請代表団が舞台前に集まり、参加者全員で合唱(4月25日、中之島中央公会堂で)
被爆国に住む私たちが行動しなければ
NPT再検討会議成功させよう
核兵器廃絶への大きな前進が期待される核不拡散条約(NPT)再検討会議(5月3〜28日、ニューヨーク)が目前にせまる中、同会議の成功をめざす取り組みの一環として4月25日、「なくそう核兵器4・25府民のつどい」が中之島中央公会堂で開かれ、900人が参加しました。
集会をよびかけたのは石田法子氏(弁護士)、小林栄一氏(此花診療所所長)、坂口善次郎氏(大阪原爆被団協理事長)。よびかけ人を代表して石田氏が「私は平和というのは幸せに生きるための基本だと考えている」「世界唯一の被爆国の国民として、また平和憲法を持つ国の国民として、私たちこそ核兵器廃絶に向けて行動する責任、権利を持っている」と述べ、「今日のつどいを、世界中の人々と力を合わせる第一歩にしよう」とあいさつしました。
戦争はウソから始まる
「さあ、赤いカードはどれでしょう?」
記念講演で立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長の安斎育郎氏は、@白・A赤・B白のカードを裏返してから参加者に問いかけました。Aは裏返したまま@とBを引っくり返すと当然、白。ところがその次に引っくり返されたAも白。部分的に赤いカード2枚と真っ白のカード1枚を使って、引っくり返した時に赤い部分を巧みに隠すのがタネです。
擬似科学やオカルト現象の批判・解明でも知られる安斎氏は「見えている部分から全体を推定するのは、理性的な心の働きですが、それが落とし穴になります」と強調。「イラクの大量破壊兵器保有」が無実だったこと、トンキン湾事件(ベトナム戦争の発端)や柳条湖事件(満州事変の発端)が自作自演だったことを挙げ、「戦争はしばしばウソで始まってとてつもない被害を招きます。詐欺師が人を騙すときには都合のいい情報だけ見せるものです。国家が戦争を起こすときも、憲法を変えるときも同じです」と説きました。