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ハンドルおおさか
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月別バックナンバー
2016年05月の記事
本流逆流(5月15日付コラムより)
2016/05/17
世界各地で莫大な利益をあげている多国籍企業や富裕層が税負担から逃れるために活用するタックスヘイブン(租税回避地)。産業の乏しい国・地域が外資を呼び込むために法人税や所得税などの税金をゼロか、極めて低率にしている。
タックスヘイブンでの会社設立などを手がけるパナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から流出した内部文書を「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)が分析し、文書に登場する21万余の法人とその株主らの名前が10日に公表された。株主などに名前があった日本人は400人。
共同通信の報道によると、楽天・三木谷会長が英領バージン諸島に設立された法人の株主になっていたことが文書から分かった。同報道で三木谷氏は「外国人から投資を持ちかけられ、80万円程度を出したが一部しか戻ってこなかったと説明」しているとのことだが、重大なのはタックスヘイブンに関わっていたという事実である。「モサック・フォンセカ」のような法律事務所は他にもあるだろう。
オバマ米大統領は4月5日の会見で次のように指摘し、議会に対して抜本的な対策を打ち出すよう求めた。「その多くは合法だ。しかしそれこそが問題」「富裕層や大企業だけが利用できる抜け道がある」「中流家庭はこんな事ができる立場にはない」「抜け道の多くは中流家庭の犠牲を伴うものだ。なぜならその失われた歳入はどこかで埋め合わせが必要だからだ」(英紙・ミラー)。会見を日本の大手紙も報じてはいるが、「中流家庭の犠牲」のくだりは見当たらない。
まともな世の中なら国庫に納められるはずの金が様々な手法で海外に蓄積されていく。消費税を上げなければ財政が破綻するだの、社会保障が賄えないだの、やるべきことをやってから言えという話だが、まずは参院選で安倍・自民を政権の座から引きずり降ろさなければ何も変わらない。
安倍政権打倒、維新政治打破めざし第87回大阪メーデー
2016/05/17
メーデー集会の最後にガンバロー三唱する参加者(5月1日、扇町公園で)
改憲タッグに鉄槌を
「働くものの団結で生活と権利を守り、戦争法を廃止し、立憲主義・民主主義を取り戻そう」──5月1日に「第87回大阪メーデー」が開かれ、会場の扇町公園(大阪市北区)には8千人、大阪府下15か所の地域メーデーとあわせると1万5千人が参加(大阪地連=120人)。安倍暴走政治とおおさか維新の「改憲タッグ」との全面対決に向けて力強く意思統一しました。
同メーデー実行委員長としてあいさつに立った大阪労連・川辺和宏議長は、「労働者は長時間労働と不安定、低賃金雇用のもとで悲惨な状況にある。今春闘は大企業ですら低額回答となり消費購買力の改善にはほど遠い。こうした中での派遣法改悪強行、残業代ゼロや首切り自由化など労働法制改悪の策動は許し難い暴挙」「格差が拡大し、一部の大企業と富裕層だけが富める社会構造そのものが異常。医療、介護、年金、生活保護など社会保障の改悪は憲法25条の生存権を踏みにじるものだ」と安倍政権の悪政を指弾。
さらに「辺野古基地建設に反対する沖縄県民の切実な願いへの対決と弾圧、原発再稼働反対の広範な国民の声に対する真っ向からの攻撃。安倍政権の本質は国民と日本社会の利益に相反する点にある。まさしく亡国の政権」と強調。7月の参議院選挙が「政治の流れを変える重大な局面」として奮闘を呼びかけました。
維新政治に
絶対屈しない
3氏が決意表明。大阪憲法会議・丹羽徹幹事長は、安倍首相が熊本地震を利用して憲法に緊急事態条項を入れようとしている、として「災害に対応できなかったのは政府が憲法を活かす努力を怠ってきたから。(安倍首相が)盛り込みたいのは戦争への対応」と指摘。
全大阪消費者団体連絡会・飯田秀男事務局長は「国会決議に違反するTPP批准関連法案は廃案にすべき。安倍政権は農林水産物の82%、重要5品目の28%の関税を撤廃すると約束してしまった」と訴えました。
大阪市労組連の実森之生委員長は「2012年の年明けに一方的に組合事務所から出て行けと当時の橋下市長に言われた。組合弱体化の意図をもって団結権を侵害する行為に私たちは一歩たりとも退くわけにはいかない」と述べ、昨年6月の控訴審敗訴、11月の中央労働委員会での勝利を経て現在は最高裁に上告受理を求めて運動を進めていることを報告。「“市長命令には逆らうな”という上意下達の維新政治には絶対に屈しない。市民一人ひとりの生活を守り豊かにする、子どもたち一人ひとりが大切にされる町づくりのために引き続き奮闘する」と力を込めました。
戦争アカン!平和が好きやねん!戦争法廃止をめざす市民集会
2016/05/10
泥憲和氏の講演に聞き入る参加者(4月22日、大阪市西成区で)
脅威あおるデマ報道
安倍政権による戦争する国づくりが進められる中、「戦争アカン!平和が好きやねん!戦争法廃止をめざす市民集会」が4月22日に西成区民センターで開かれ、元自衛官で軍事評論家の泥(どろ)憲和さんとジャーナリストの西谷文和さんが講演を行いました。
見出しで印象操作
泥憲和氏は、産経新聞が昨年12月に「中国、尖閣近海に軍事拠点整備 レーダー設置、滑走路も」と見出しをつけた記事について、「軍事拠点」が実は小学校のグランド程度の大きさのヘリポートで、位置的にも「尖閣近海」とはいえない(尖閣諸島から300キロ、中国本土から50キロ)ことを紹介し、「こんなのはデマと一緒。あたかも何事かが起こっているかのように報道して危機感を煽っている」「記者としては真実を報道したくても上層部が許さないから記事にならない。私たちには危機情報ばかりが届いて“中国・北朝鮮の脅威”がしみ込んでしまっている、そういう恐ろしい国に私たちは住んでいる」と話しました。
“テロとの戦い”眉つば
西谷文和氏は昨年11月のパリ同時多発テロについて「イスラム教は飲酒を禁じているが実行犯の兄弟はベルギーでパブを経営していた。つまり実行犯はイスラム原理主義者ではなかった」「犯人グループが刑務所で知り合ったということは警察はテロ事件の前から犯人の情報を持っていたはずだが実際に事件が起きた。フランス、ベルギーの警察はそんなに無能なのか」と疑問点を指摘。
そして「私は“テロとの戦い”自体が眉つばだと思っている。戦争が続けば兵器産業や民間軍事会社は大儲けできる」としてイスラム国への空爆に1兆円が投入されたことを紹介。「日本も金を出している、つまり私たちの税金が人殺しに遣われてきた」「政府はメディアを使って世論を戦争賛成に変えていくので注意が必要」と強調しました。