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ハンドルおおさか
ハイヤー・タクシー・観光バス労働者の新聞
月別バックナンバー
2021年05月の記事
本流逆流(5月25日付コラムより)
2021/05/26
コロナ変異株が猛威を振るい医療崩壊が現実に起こっている中、最近の世論調査では東京五輪の中止・延期を求める声は7割にものぼる。にも関わらず菅首相は「すでにIOCが開催を決定している」の一点張りだ。昨年来、“いくらなんでも五輪は無理だろう”と誰もが見立てていたが、このまま時間切れを迎えるのか。
中止にできない理由がメディアやネットで語られる。莫大な違約金を支払わないといけない。これまでの投資がすべて無駄になる。東京が中止で北京の冬季五輪が開催となればメンツがつぶれる。電通がIOCから買った放映権をアジア22か国に販売済みで、中止になると払い戻さなければならない──いろいろあるが、人命と天秤にかけてもよい理由などひとつもない。
NHKでは「今日の感染者数・死者数」を報じた同じニュース番組で「聖火リレーダイジェスト」などとやっている。まるで戦時下の「大本営発表」だ。アジア太平洋戦争は軍事的に大勢が決した後も非戦闘員が屍の山を築くまで終わらなかった。
五輪が仇となってコロナが制御不能に陥った場合、誰が責任を取るのか。「仮定の話」に答えられない宰相など無責任の極みだ。
大阪労連三四労の会 第18回学習交流会・総会ひらく
2021/05/26
学習会で講義する大阪革新懇・大原事務局長(5月8日、大阪市北区・国労大阪会館で)
市民と野党の共闘で政権交代実現しよう
大阪労連の30〜40代の活動家のつどい「三四労の会」は5月8日、第18回学習交流会・総会を国労大阪会館で開き、22人が参加。大阪革新懇の大原真事務局長(元大阪自治労連委員長)が「『市民と野党の共闘』で菅自公政権を倒し新しい日本と大阪を築こう」と題して講義を行いました。
大原氏は昨年の大阪市住民投票を振り返り、「維新は市民の力を読み違えた」「住民投票が始まると多くの市民が反対運動に自主的に協力した。市民のエネルギーは2015年の住民投票で終わったわけではなくて蓄積されていた」と分析。公明党が都構想賛成に転じ、世論調査でも賛成が多数、コロナ禍で吉村知事のメディア露出が増えるなど維新に有利な状況のもとで、「維新は派手な宣伝を控える戦略をとったのが裏目に出た。逆に言えば、選挙に関心を持ってもらって市民に足を運んでもらうのが勝利の秘訣」と話し、「住民投票では労働組合の力も発揮された。そこに確信をもって今後も取り組んでほしい」と激励しました。
本流逆流(5月15日付コラムより)
2021/05/17
米ワシントン・ポスト紙は五輪中止を勧めるコラムで、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長を「ぼったくり男爵」と痛烈に批判。日本で同記事が紹介されると、共感する人が次々と拡散させた。
東京五輪開催に前のめりのバッハ会長を指しての造語だが、実に的を射て年末の流行語大賞を獲得するのではないか。ネーミングがピタッとはまるとコミカルに感じるとともに、何気に興味が沸くのが人間の性(さが)だと思うが今回ばかりは笑えない。
新型コロナウイルスの変異株が日本中で猛威を振るい、日に何十人もの人が亡くなっているにもかかわらず、東京都も、日本政府も、IOCもまったく意に介さず邁進する。
近年、IOCはオリンピックを商業化させるとともに、耳ざわりのよい「選手ファースト」と宣う(のたま)が、内実はまったく違う。米メディア大手が払う多額の放映権料や大手スポンサー料など莫大なマネーに群がる集団。
一方現下のコロナ禍の惨状を開催国内閣官房参与の高橋洋一氏は、「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイッターに投稿。類は友を呼ぶと言うが、彼らの頭の中は、お花畑が広がっているのだろう。
コロナ禍だからこそ賃上げを─第92回大阪メーデー
2021/05/17
ガンバロー三唱で第92回大阪メーデーを締めくくる参加者(5月1日、国労大阪会館で)
働く者のいのち守れ
新型コロナウイルスの感染拡大で3回目の緊急事態宣言が発出される中、第92回大阪メーデー集会が国労大阪会館(大阪市北区)でオンライン開催され、「政府に対し、『軍事費を削って、コロナ対策にまわせ』、『医療提供体制や公衆衛生体制、公務公共サービスの拡充を』などを求めましょう」「解散総選挙にむけて、市民と野党共闘の実現へ奮闘していきましょう」などとするメーデー宣言を採択しました。
同メーデー実行委員長としてあいさつに立った大阪労連・菅(かん)義人議長は、コロナ新規感染者が連日1千人を超え、重症者が病床数を上回り、患者が自宅で亡くなるなど医療崩壊に直面している大阪の状況について、「医療や公衆衛生を削り、カジノ誘致や大阪市住民投票、府市一元化条例など不要不急の施策にかまけてきた維新政治の責任は重大」と指弾。
さらに菅(すが)政権について「五輪開催が前提・経済活動優先で、コロナ対策は後手後手で場当たり的。繰り返される“政治とカネ”問題に対し、4月の国政3選挙では野党統一候補が勝利し、厳しい審判が下された」と述べ、「来る総選挙では市民と野党の共闘の力で自公政権を退陣に追い込もう」と訴えました。
五輪きっぱり中止せよ
政党あいさつでは日本共産党・清水ただし衆院議員が東京オリンピック・パラリンピックについて「組織委員会は500人の看護師動員を要請したとのことだが、強行すればさらに医療機関に負担を押しつけることは間違いない。この際、五輪はきっぱり中止を決めて、コロナ対策に集中していく、こうした政治の決断がいま求められている」と強調しました。
大阪医療労働組合連合会(大阪医労連)の代喜(しろき)伸吾副委員長が決意表明。「国の医療費抑制政策、病床削減がコロナで医療崩壊を招いたことがはっきりした。“増え続ける医療費”という言葉は受診抑制につながり、重症化にもつながる。医療の国民負担40%強に対し、国庫負担はたったの26%弱、大幅に増やしてほしい。そして75歳以上の窓口2割負担は絶対ノーだ」と力を込めました。