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2015年06月の記事

第23回非正規ではたらくなかまの全国交流集会
2015/06/26

第23回非正規ではたらくなかまの全国交流集会 支援を要請する非正規労働者の争議団(6月13日、大阪市中央区で)

人間らしく働き続けたい
労働者をモノ扱いするな


 「私たちはモノではありません」「仕事に誇りを持って働く労働者です」──安倍政権の雇用破壊攻撃を打ち破り、労働者派遣法などの労働法制改悪を阻止しようと「第23回非正規ではたらくなかまの全国交流集会」が6月13〜14日にエルおおさか(大阪市中央区)で開かれました。

自己肯定感が必要


 主催は全労連非正規雇用労働者全国センターと大阪労連。13日に全体集会、14日に分科会とパレードが行われました。
 全体集会では目玉企画として、雨宮(あまみや)処凜(かりん)氏(作家・活動家)と東海林(とうかいりん)智(さとし)氏(毎日新聞記者)によるトークセッションが「生きづらさを克服する働き方へ」と題して行われました。
 雨宮氏は「ひどいパワハラを受けても怒るどころか“自分のようなダメ人間を雇ってもらってありがたい”と感謝する、そんな若い人が多い。“自分は暴力を振るわれていいような人間ではない”という自己肯定感がないと怒ることはできない。多くの人が学校教育や家庭生活で自己肯定感を奪われており、“怒れない”問題は根深い」と指摘。「まったく怒れない人に“怒れ”と言っても仕方がない。もっと自分を大切に思えるようにするところから始めないといけない。怒ることすらできない状況におかれている人たちのことから考えないと、いろんな運動、全体の解決につながっていかないのではないか」と語りました。
 東海林氏は「1987年にできた労働者派遣法が雇用劣化の出発点になった。そもそも派遣法は労働法ではなく商法。労働者を守る法律ではない」「それが改正を重ねてどんどん派遣の対象が拡がり、自由化されていった。今回またひどい改正が行われようとしている。働くということの商品化がここ10年の本当にひどい流れだ」と批判。「安倍政権で雇用政策を進める経済再生諮問会議などは労働者を商品として扱う言葉づかいで議論している。彼らは余剰人員のことを余剰在庫といい、賃金のことを価格と呼ぶ。余剰在庫を抱えながら価格調整に失敗した、つまり余剰人員を解雇せず賃下げで対応したからデフレになった、などという」「(労働の商品化が)働く人の心にかなり影響している」と怒りを込めて指摘しました。

減産理由に一方的解雇

 さらに全体集会では、派遣社員に対する派遣切り、自治体非常勤職員に対する雇い止めなど非正規労働者の8争議団が紹介され、代表して資生堂アンフィニ派遣社員雇い止め争議団の池田和代さんが支援を要請しました。
 池田さんは「非正規労働者は1分1秒を金に換える努力をしなければ生きていけないんです。口紅の検品作業は1本につき7秒。1日7.75時間プラス残業2時間、これを私たちはずっと誇りを持ってやってきました。にもかかわらず私たちは2009年、減産というだけの理由で解雇されてしまいました」「いま私たちはダブルワーク、トリプルワークで何とか生活を支えています。しかしこれも非正規、このままではいつかまた、収入が絶たれるのではないかと不安な日々を送っています」と切々と訴え、「安心な生活を取り戻すために、どんな苦境にあっても逃げずに、あきらめずに、一日も早く現場復帰できるようにがんばっていきたい」と決意表明し、参加者は大きな拍手で応えました。

草の根の一点共闘に確信
2015/06/05

執行委員長 秋山 民夫

 橋下市長が仕掛けた「大阪都構想」の本当の狙いは…。5月17日、薄ら笑いを浮かべながら任期満了での政界引退表明の記者会見を見て腹の底から怒りが込み上げた。反対票が1万票余り上回ったが、市民の税金を使い39回もの住民説明会を開催し、反対派の質問には全く応じず、「これは僕の説明会だ」と言い放ち独演会を演じた。また、選挙期間中は連日テレビCMを流し数百台ともいわれる宣伝カーを走らせ終盤には1千人を超える議員・秘書を動員し、各地で反対派市民グループを恫喝するなど、強権ぶりを発揮した。
 5億円ともいわれる政党交付金をつぎ込み、「反対票が上回れば政界を引退する」と自身の信任投票に持ち込んだ。結果は投票率は11年の市長選挙を6%程度上回ったが、橋下市長は5万票以上票を減らし反対派は18万票以上も増えた。市・府議会で否決された法案を、裏から(官邸から)手を回すという策を用い強引に住民投票に持ち込んだ。
 他人の意見は一切聞かず対立を煽り汚い言葉で相手を罵る橋下市長の独裁的な政治手法は、タレント弁護士時代と変わらない。大衆受けを狙い、テレビ番組で山口県光市の母子殺害事件の弁護団への懲戒請求を行うよう視聴者に呼びかけ、懲戒請求の対象とされた弁護士から損害賠償請求訴訟を起こされた。一審・二審で敗れ最高裁が逆転勝訴を認めた時の発言が橋下市長のすべてである。「ありがたい、きちんと判断していただいた僕は弁護士に向いている」と自賛した。最高裁は金銭で償うほどではないが「弁護士であることを考慮すると」その言動は「慎重な配慮を欠いた行為であり発言にも不適切な点」があるとした。にもかかわらず橋下市長は都合の良いところだけを取り自賛したのである。
 橋下・維新は危機感を煽り都構想のイメージを先行させる戦略だったが、我々の宣伝が功を奏し多くの市民が彼の胡散臭(うさんくさ)さに気づき反対が上回った。もし賛成が上回っていたとしても大阪府は大阪府のままで大阪都などできない。しかし今回の住民投票で市民を二分し、地域のコミュニティーを分断してまで対立を煽り住民投票を実施した橋下市長に大阪市の未来など語る資格はない、任期を待たずして辞任すべきである。
 今回の住民投票は別の側面もあった。住民投票に理解を示した安倍首相に応え、住民投票は憲法改正の予行演習とまで言い切った橋下市長、まるで戦前ヒットラーがオーストリア併合をするために行った国民投票を彷彿させる独裁ぶりだ。降って沸いたような不毛な住民投票であったが、良いところを探せば一昨年の堺市長選挙に続き共通の問題であれば草の根で“一点共闘”という形がとれたこと。
 橋下維新を使い憲法改正を企む安倍首相にとって、今回の投票結果は大きな誤算であり打撃を与えたことは間違いない。橋下市長の府知事時代からの7年間、大阪市民・府民は何一つ良いことがない。また業界にとっても「タクシー自由化特区構想」もあり維新政治の打破を掲げている大阪地連としては、稀代の大嘘つきである橋下市長の政界引退と、府下の維新政治の一掃を成し遂げなければならない。
 休日返上で連日連夜奮闘した組合員をはじめ全国の自交総連のなかまに心から感謝を申し上げる。