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ハイヤー・タクシー・観光バス労働者の新聞
月別バックナンバー
2011年07月の記事
前代未聞の宣伝禁止仮処分 表現の自由・団結権の危機
2011/07/25
報告集会であいさつする建交労大阪府本部・長島委員長(7月14日)
決定破棄求める声 裁判所に集中しよう
組合員への解雇、差別、不当配転などを続けてきた北港観光バス(大阪市旭区、首藤俊樹社長)に対する建交労大阪府本部(長島和眞委員長)の宣伝行動が、大阪地裁の仮処分命令によって禁じられた問題で、組合側から申し立てた保全異議についての第2回審尋が7月14日に同地裁で行われました。
北港観光バスはこの間、建交労組合員4人に対して雇い止め、配車差別、不当配転、出勤停止処分、退職勧奨、残業代未払いなど、あらゆる違法不当な攻撃を行なってきました。そのため、現在は4件の訴訟が大阪地裁第5民事部に係属しています。
建交労大阪府本部と北港観光バス分会は、会社の不法・不当な組合つぶしの攻撃を許さず、労働者・労働組合の権利を守るため、3月22〜25日までの4日間、北港観光バス本社と高槻市の柱本営業所周辺で宣伝活動を行いました。各日とも宣伝カーで、事実に基づく内容を15分ほど宣伝しましたが、労働組合として正当な活動であり、社会的に批判されるようなものではありません。
理由なき仮処分決定
会社が組合の宣伝を阻止するため大阪地裁に街宣禁止の仮処分を申請すると、同地裁民事第1部(横田典子裁判官)は会社の言い分を鵜呑みにし、宣伝活動が会社の名誉や信用を毀損(きそん)し、業務を妨害する≠ニ判断、宣伝カーなどでの徘徊や演説、ビラ配布を一切禁止するという決定を5月10日付で下しました。民事第1部は労働事件ではなく一般事件担当で、決定には、街宣活動がなぜ正当な組合活動でないのか、なぜ会社の権利を侵害したことになるのかなど一切の理由が示されていません。組合は、仮処分に対し、5月20日付で異議を申し立てました。
引き続き運動強化を
7月14日の第2回審尋終了後に大阪弁護士会館で開かれた「報告集会」で、弁護団の梅田章二弁護士は「この種の事件で大事なことは、宣伝行動が労働者の権利にとっていかに重要なものであるかということを裁判所に認識させることだと思っている。引き続き運動を強化して、団結権や表現の自由が問われている事件だということを裁判所や組織内外に訴えていただきたい」と呼びかけ、参加者らは仮処分決定の取消を求める「要請書」提出に向け奮闘することを意思統一しました。
近大泉州高校・不当解雇事件 原告が逆転勝訴
2011/07/25
支援の謝辞を述べる原告団(右4人)の山本氏。最左は弁護団・戸谷弁護士(7月15日、北区内で)
「首のすげ替え許されない」
労働者への権利侵害を断罪
近大泉州高校・不当解雇撤回闘争の控訴審判決が7月15日に大阪高裁であり、岩田好二裁判長は原告敗訴の一審判決を取り消し、解雇無効を認める逆転勝利判決を言い渡しました。
岸和田市の近畿大学泉州高校(事件発生当時は飛翔館高校、佐々木敏昭理事長)は、「生徒数の激減とそれに伴う法人財政の悪化」を理由に2008年3月31日付で7人の教職員に対する整理解雇を強行しました。
学校側が整理解雇を教職員らに明らかにしたのは、その前月26日に「第2次早期退職希望者募集要綱」を掲示したときが初めてで、同要綱では解雇の時期・人数・対象者の人選基準については触れていません。
3月28日に大私教・分会は解雇を回避すべく団体交渉に臨み、「07年度の卒業生数と08年度の入学生数に差はない」「整理解雇4要件※を満たしていない解雇は不当」と追及しましたが、学校側は「理事会で決めたこと」の一点張りで、解雇時期・人数・方法について回答拒否。解雇された7人は3月29日〜30日着の郵便で、突然の解雇を知りました。
7人のうち5人が同年6月に地位確認と賃金支払いを求めて提訴しましたが、大阪地裁堺支部(山田知司裁判長)は09年12月、5人のうち4人の敗訴判決を下しました。
運動で掴んだ逆転勝訴
一日も早く職場復帰を
控訴審で原告側は「(学校側は)本件解雇に際して、早期希望退職に応じた専任教員1人を常勤講師として採用した」「解雇前に立命館大学や同志社大学に新卒者対象の教員募集をし、多数の非常勤講師を新規採用した。翌年度にも多数の常勤教員を採用している」と指摘し、「この解雇は整理解雇ではなく、人の入れ替えだ」と主張。
この主張に関して控訴審判決は、「人件費の高い労働者を整理解雇するとともに他方では人件費の安いほぼ同数の労働者を新規に雇用し、これによって人件費を削減することは許されない」「なぜならば、(中略)このような人を入れ替える整理解雇を認めるときは、賃金引き下げに容易に応じない労働者の解雇を容認し、その結果として労働者に対して賃金引き下げを強制するなどその正当な権利を不当に侵害するおそれがあるからである」と断じました。
判決後に大阪弁護士会館(大阪市北区)で開かれた「勝利報告集会」で原告の4人がそれぞれ駆けつけた支援者に謝辞を述べ、「のべ1000回以上の街頭宣伝に取り組み、2000人以上に動員をお願いしてきました。運動がなくては勝てなかった、職場に戻り定年までがんばる」(吉野康雄さん)、「高裁向け署名を18911筆寄せていただき、運動の力が大切だと思いました。早く職場復帰できるよう近大泉州を包囲していく」(山本六彦さん)などと決意表明しました。
※整理解雇4要件=(1)人員削減の必要性、(2)解雇回避努力義務の遂行、(3)解雇対象者の選定の合理性、(4)解雇手続きにおける協議義務の具備。
大阪交運共闘が「大阪交通圏政策・学習会」開く
2011/07/15
運動で営利主義を改革
人が中心の都市交通へ
大阪交通運輸労働組合共闘会議(大阪交運共闘、山本和義議長)は7月9日、「人や環境にやさしい交通政策を諸外国に学び発展させよう」として「大阪交通圏政策・学習会」を自交会館で開催し、51人が参加。関西大学・西村弘教授が講演を行なったほか、日航不当解雇撤回闘争の原告が支援を訴えました。
関西大学・西村弘教授が講演
脱クルマへ努力続く台湾
学習会は南副議長(全港湾阪神)の司会で開会。主催者あいさつを行なった山本議長(建交労)は、「わが国では“聖域なき構造改革”によって交通運輸産業の規制緩和が推し進められ、営利優先・安心安全無視の政策がとられてきました。一方、海外には安心安全や環境保護を重視した交通政策を実施している国・地域もあります。私たちはそういう政策を学習し、運動を通じて改革・改善していくことが大事だと考えています。今日の学習をぜひ運動に活かしてもらいたい」と述べました。
ハコモノよりも努力と工夫必要
「台湾の都市交通展開」をテーマに講演を行なった関大・社会安全学部の西村弘教授は台北市の現状について、公共交通整備が遅れたために世界有数のクルマ社会となり、特にバイクの登録台数が人口260万人に対して110万台と高い保有率であることを紹介。
また、もともと観光資源の乏しい同市が都市観光(街歩き、ショッピング、アミューズメントなど)に注目し、その障害となる道路渋滞やアクセス不足を改善するために都市鉄道(MRT)の建設に着手、現在では10路線・総延長100キロに達し、利用者が順調に増えていることや、バスの事例(台北市内14社を台北市政府が監督)、タクシーの事例(同市交通局が所管)もあわせて紹介し、「鉄道とバス、タクシーなどの公共交通を一体的に考えようとする姿勢を日本も学ぶべき。観光施設もハコモノを建てるだけではなくて観光者のニーズを踏まえた努力と工夫が必要」と論じました。
JAL不当解雇撤回闘争・現状報告
労働者分断が大事故招く
続けて日本航空(JAL)不当解雇撤回闘争の現状報告を行なった同闘争原告団・井原聡子さん(キャビンクルーユニオン=CCU)は、自身が経験したJALによる第二組合育成やCCUつぶしの生々しい実態を紹介し、「今回解雇された客室乗務員の9割以上はCCUの組合員」「過去に会社が第二組合の拡大を図った時期には、立て続けに大きな事故を起こしている。大事故が起こる前には必ず複数の小さな前兆があるが、現在も労働者が分断され、現場がバラバラになり、細かい不安全要因が多く報告されている」「稲盛会長がいくらフィロソフィー(企業の社会的貢献)を叫んでも、彼自身が安全より利益第一と考えている限り、JALの安全は守れない」と指摘。「私たちは単に会社に戻ることだけが目的ではなく、このような現場をなんとか変えさせなければいけない、という思いでたたかっている」と話し、引き続いての支援を訴えました。
2011年原水爆禁止 国民平和大行進
2011/07/15
核兵器廃絶をアピールしながら行進する人々(7月4日、西成区内で)
網の目行進で脱原発も訴える
核兵器廃絶のうねり
継続の力で拡げよう
大阪地連は7月4日、「2011年度原水爆禁止国民平和大行進」(同実行委員会主催)の「網の目行進」(大阪市住之江区役所前→四天王寺西門前、約7キロ)に責任団体として取り組み、地域のなかまとともに「核兵器廃絶」「東日本大震災被災者支援」「原発の見直し、自然エネルギーへの転換」を沿道の人々にアピールしながら120人が元気に歩きました。
出発式で大阪地連・園田委員長は同行進の起源に触れ、1958年6月に1人の反戦・反核活動家が広島を出発し、2か月後に東京に到着した時には1万人を超える大行進になった、と紹介。「継続の力が世界中の反核運動を進めてきました。一昨日に東京であった反原発デモは2万人でしたがこれが10万、20万になれば原発に関わる全体を動かすことができる、そのための継続だということを腹に落としてがんばりましょう」とあいさつしました。
行進が始まるとなかまは「普天間基地は無条件に撤去させよう!」などと元気よくシュプレヒコールに声を張りあげました。
JAL不当解雇撤回闘争・学習決起集会
2011/07/05
行動提起する大阪支援共闘・仲村事務局長と原告団 (6月20日、大阪市北区の国労大阪会館で)
利益優先の企業体質改めろ
日本航空不当解雇撤回・裁判勝利にむけた学習決起集会(主催=JAL不当解雇撤回大阪支援共闘会議)が6月20日、北区の国労大阪会館で開催され支援者ら173人が参加。裁判闘争の現状や今後の展望を原告の人々が報告し、いっそうの支援を訴えました。
黒字は更正計画の3倍
解雇必要ないのは明白
現状報告でキャビンクルーユニオン(CCU)の内田委員長は、「日航は2011年3月期の連結営業利益が1884億円でした。この金額は更正計画で見込んだ黒字額の約3倍。人件費削減額は更正計画で打ち出した削減目標を206億円も上回り、原告165人全員を定年まで雇用してもこの金額には及びません。整理解雇の必要性がなかったのは明白」と指摘、「日航の稲盛会長は雑誌のインタビューで“利益なくして安全なし”という主旨の発言を行なったことから、反感を買っています。法廷に会長を引きずり出して、彼の考えを明らかにしていきたい。勝つまで戦います」と決意を述べました。
激励あいさつを行なった京都総評の佐々木副議長は稲盛氏について「労組敵視政策を露骨にもっている。彼が京セラを成功させた結果、京都は“何でもあり”になってしまった」と批判しました。
解雇を境に職場が萎縮
モチベーション下がる
日航乗員組合の吉田副委員長は「年末にパイロット向けに実施したアンケート結果からも職場が萎縮している様子が浮き彫りになりました。不当解雇が起こった昨年12月を境に会社への無力感、恐怖感などでモチベーションが下がり、細かな安全トラブルが続いていて、会社も抜本的な対策を示せないでいます」と報告。「いまの状況は“利益は出たけど安全はなし”。経営陣はいつも“経営破綻を避けるため”と不当解雇を正当化しますが、私たちはいまの日航の体質が航空機事故につながるのを恐れています。裁判上の勝利をめざすと同時に、会社に自主的解決を迫っていきます」と力を込めました。
行動提起では、大阪支援共闘・仲村事務局長が(1)署名集約と賛同団体への加盟、団体・個人賛同金、(2)支援物品購入、(3)第2次統一行動を呼びかけました。