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2020年07月の記事

本流逆流(7月25日付コラムより)
2020/07/27

 大きな瞳に美脚でミニスカート。約半世紀前、テレビの歌謡番組で当時の若者は山本リンダに魅了された。
 「噂を信じちゃいけないよ」「もうどうにも止まらない」と男女間の恋愛感情を唄っていたが、今の世の中、その当時の歌詞が次元は違うが安倍政権の新型コロナウイルス対策に当てはまるような気がする。春先にはコロナ感染拡大で緊急事態宣言を発出。国民に不要不急の外出自粛を要請、都道府県をまたいでの移動も自粛。PCR検査を日に2万人受けられる体制を……信じた国民が馬鹿だった。
 今また新型コロナの感染者が春先以上に拡大している中で、観光業の支援策「GoToトラベル」が8月中頃実施予定を今月22日から実施するという。感染症対策を検討する専門家会議は分科会と名称は変わったが、人選は安倍総理のイエスマンばかり、と指摘する知識人もいる。
 その分科会で誰が何を発言したか、議事録も残していないので検証することができない。森友学園の文書改ざん問題と同じ、真実を公表したくないという姿勢がここでも透けて見える。全国に不要不急の自粛要請をした春先よりも、今は東京を中心にコロナ感染者が急増しているのに「GoToトラベル」で国民に旅行せよと奨励する矛盾。
 高校野球や修学旅行まで中止になり、国民に多大な我慢を強いてきたのに、ここにきて国民に全国移動してお金を使って下さいとは。コロナ感染は自分自身が気をつけなければ防げない、安倍総理では……もうどうにも止まらない。

コロナ禍こそ労組の出番──大阪労連「組織集会」
2020/07/27

コロナ禍こそ労組の出番──大阪労連「組織集会」 組織集会で基調報告する大阪労連・河野組織局長(7月11日、大阪市北区の国労大阪会館で)

職場のストレス極限に
悩み聞き取り信頼構築


 大阪労連(菅(かん)義人議長)は2020年度の「組織集会」を7月11日に国労大阪会館(大阪市北区)で開き、各単産・地域から37人が参加。おおさか労働相談センター・宮崎徹事務局次長が「コロナ禍をのり越え、組織の強化・拡大を実現しよう」と題して講義を行いました。

 宮崎氏は「コロナ禍による経済的打撃が、中小零細企業の倒産と労働者の解雇・失業という形で出てくる。これにどう対応し、目に見える運動で労働者の賛同を得て組織の拡大・強化に結びつけていくか」「経済情勢が厳しい、じゃあ組合は何もやることがないのか」との問題意識を示し、「そんな時こそ我々は権利関係をしっかり点検して、自分の組合で何がまだ十分に取り組めていないのかをしっかり洗い出して、そこに集中的に取り組むことが必要」と強調。
 組織拡大の具体的な取り組みとして@職場の未組織労働者への加入よびかけ、A「友人・知人の紹介活動」に取り組んで組合員の身近な人間関係を生かす、B定期的な定点(同じ場所)での宣伝の強化、Cホームページ・SNS・ブログなどを活用した宣伝を強化し組合紹介・労働相談など内容の充実、D個人加盟の合同労組(1人でも入れる労組)を結成して労働相談に訪れた労働者を組織する。組合OB・OGを合同労組に迎え入れて労働相談や争議支援・指導などに力を発揮してもらう、E外国人労働者にも門戸を開いて組織化を進める──などを提言した上で「組織拡大に特効薬はない。地道な活動の継続こそがカギを握る」と結びました。

相談活動ていねいに
新共済もアピールを


 基調報告を行なった大阪労連・河野早苗組織局長は、コロナ禍の中でも組織拡大に成功している事例を紹介。「門前宣伝や大規模集会ができなくても、少人数での組合説明会を実施するなど工夫している」「相談活動にていねいに取り組み、人事、パワハラやコロナ問題も含めて職場での不満や不安を聞き取って、要求に盛り込んでいる」と話しました。
 またコロナ禍での職場実態について、「いままでとは違う働き方を余儀なくされ、業種・職種によっては安全衛生が不充分なこともあり、ストレスが極限に達している」と指摘。「労働者の悩みや気持ちにていねいに寄り添い、信頼関係を構築し、つながりを強めて加入を呼びかけよう。組織拡大年間目標10%増に近づけるための最大限の取り組みを進めよう」と呼びかけました。
 さらに、持病などで医療共済に加入できない人も加入できる「緩和型共済」や、借家住まいの人向けの「借家人賠償責任共済」が新設されたことも紹介し、組織拡大に結びつく共済拡大にも積極的に取り組んでいただきたい、と訴えました。

低下する企業モラル 雇用責任逃れ新手法
2020/07/15

低下する企業モラル 雇用責任逃れ新手法 総行動「スタート集会」で決意表明する朝日放送ラジオ・スタッフユニオンの吉岡委員長(最左)

大阪からすべての争議をなくそう


 大阪労連と大阪争議団共闘会議は7月9日、「大阪争議支援総行動」を終日展開。大阪府内で争議を抱える使用者や背景資本13か所で抗議・要請行動に取り組み、コロナ感染予防に配慮しつつ「大阪からすべての争議をなくそう」と拳を突き上げました。

 大阪市北区・裁判所前の公園で開かれた「スタート集会」であいさつを行なった大阪労連・菅(かん)義人議長は、「立場の弱い労働者がコロナ禍で賃金だけでなく雇用まで脅かされている」「閣僚の不祥事に首相が“責任を痛感する”だけで終わる、そんな国だから企業モラルも低下していく」と指弾し、「大きな怒りをもって告発し、きちんと正していくことが求められる」と奮闘を呼びかけました。
 決意表明を行なった朝日放送ラジオ・スタッフユニオンの吉岡雅史委員長は、「朝日放送は2年前、説明もせず一方的に我々を解雇した。言論機関が言葉でもって説明できないという情けない現状だ」と訴えました。吉岡さんらは派遣社員としてラジオのニュース原稿作成を担当、災害時などの速報体制を24時間三交代で支えてきました。2011年2月に朝日放送側の提案でダミーの派遣会社を設立、移籍しますが18年3月末に会社間の契約を一方的に切る形で首切りされました。大阪府労働委員会は朝日放送が「直接雇用を避けるため派遣制度を利用した」として実質的な使用者だったと認定しています。
 集会に先立って行われた早朝宣伝で同労組の組合員は「コロナ禍で多くの弱者が切り捨てられている。こんな手法が拡がったら大変なことになる」と警鐘を鳴らし、支援を訴えました。

大阪労連「三四労の会」 第17回学習交流会・総会ひらく
2020/07/06

大阪労連「三四労の会」 第17回学習交流会・総会ひらく 開会あいさつする三四労の会・辻会長(6月27日、大阪市北区で)

たたかう労組の価値 コロナ禍で明らかに


 大阪労連の30〜40代の活動家のつどい「三四労(さんしろう)の会」は6月27日、第17回学習交流会・総会を大阪グリーン会館(大阪市北区)で開き、26人が参加。西川大史弁護士(南大阪法律事務所)が講義を行いました。
 西川氏は「企業の営業の自由、経営の自由も憲法上は保障されているが、それらと対立する労働者の権利をより強く保障しているのが憲法28条(団結権、団体交渉権、団体行動権)。団体交渉権と団体行動(ストライキなど)権を行使できるのは労働組合だけ」と解説。東京・ロイヤルリムジングループの退職強要を労働組合が撤回させた事例に触れ、「労働者が組合に加入しない自由もあるが、考えてほしいのは加入しないことによる“不自由”」「たたかう労働組合の必要性、重要性がコロナ禍で明らかになった」と強調しました。
 講義後、各単産の代表が日々の活動や課題、コロナ禍の対応について発言し、交流しました。
 3月23日に学童保育指導員13人が突然の雇い止め宣告を受けた守口学童保育指導員労組(大阪自治労連)の代表は、「私たちの職場は昨年4月、共立メンテナンスへの民間委託になってしまった。利益優先の企業は保育や教育の場にふさわしくないと私は思っている。子どもたち一人ひとりの性格を把握し、その子に合った関わり方をするためにはいろんな経験、勉強も必要。長く続けられることがそのことに活かされる」と語り、署名など争議支援を要請しました。

本流逆流(7月5日付コラムより)
2020/07/06

 コロナ禍拡大前の1月、大分〜宮崎方面を旅して驚いたのは、JR九州の特急列車がワンマンで運行されていたことだ。駅に着くたびに運転士がホームに降り、異常がないことを指さし確認してから、再び運転台に戻って発車する。近年は省力化が進んで車内検札もなくなったとはいえ、利用者に対応する車掌がいないのは心許(もと)ないし、運転士は運転に専念してほしいと思う。同社の労働条件を調べたわけではないが、普通に考えてワンマン化=労働強化であろう。
 JR東日本は首都圏の運行系統のひとつである京浜東北線のワンマン化の検討を始めたという。東京に行くたびに電車や駅の混雑には辟易(へきえき)するが、京浜東北線の混雑は首都圏でも屈指で、電車はすべて4扉車10両編成。全駅にホームドアが設置されるとはいえ、経営難でもあるまいし、利益を増やすためにそこまでやるか。緊急時を想像すると身の毛がよだつ。
 利用者が少ない駅の無人化は大阪でも進行中だ。昨年末、友人との忘年会の帰路、JR大和路線・加美駅東側の踏切で縁石に乗り上げ立ち往生している車に遭遇し、友人と協力して救援には成功したが、非常ボタンを押して電車も駅の向こうで緊急停車しているにもかかわらず駅員が駆けつけてこない。後で調べてみると始発から23時まで駅員不在の時間が細(こま)切れに計8時間40分あることがわかった。いずれは完全無人化に向かうのか。
 JR学研都市線・鴫野駅ではカーブ上に位置するホーム形状ゆえに利用者の転落事故が後を絶たない。ホーム係員を配置するよう再三訴えてもJR西日本は馬耳東風だ。福知山線脱線事故や信楽高原鉄道事故の慰霊式のたびにJR西日本の社長は神妙な面持ちで安全への誓いを口にするが、現状では“口先だけじゃないか”との誹(そし)りは免れまい。金儲け第一主義に毒された公共交通事業者は社会のリスクである。