HOME < ハンドルおおさか
ハンドルおおさか
ハイヤー・タクシー・観光バス労働者の新聞
月別バックナンバー
2012年08月の記事
原水爆禁止2012年世界大会‐広島
2012/08/27
閉会総会で原発事故による福島県の窮状を述べ、核開発放棄・自然エネルギー普及を訴える福島県浪江町・馬場町長(6日、広島グリーンアリーナで)
放射能被害のない未来を
8月4〜6日、広島市を中心に開かれた「原水爆禁止2012年世界大会‐広島」に大阪地連からは12人が参加。開会、閉会の両総会で核兵器廃絶をめざす運動の熱気を肌で感じるとともに、2日目の分科会では米軍岩国基地や海上自衛隊呉基地の調査行動、「碑・遺跡めぐり」で学習に取り組みました。
4日の開会総会には国内・海外から6800人が参加。主催者報告を行なった冨田宏治・国際会議宣言起草委員長(関西学院大学教授)は、「核兵器の使用は人類と文明に対する犯罪だ。非人道的であることは疑う余地がない」として、「核兵器全面禁止のアピール署名をはじめ、様々な行動を通して、核兵器禁止条約の交渉開始を求める多数派を国際的に形成しよう」と呼びかけました。
来賓あいさつでは、日本被団協・坪井直(すなお)代表委員が自身の被爆体験(当時20歳)について「軽トラで仮治療所に運ばれる時、軍隊は“乗れるのは若い男だけ”と小学生を追い払っていた。戦争に役立つ人間しか人権が認められない、戦争ほどばからしいものはないと思った」と振り返り、「少しずつではあるが夜明けは近い。生きている間に核兵器がなくなることを信じている」と述べました。
翌日の岩国基地調査行動に参加したなかまは、日米軍事同盟のもとで莫大な「思いやり予算」を使って建設された広大な新滑走路を目の当たりにし、墜落事故を繰り返している危険な欠陥機・オスプレイ配備の問題をはじめ、騒音や米兵犯罪などの被害に地域住民が苦しめられている実態を学びました。
核兵器は人類の過ち
「碑・遺跡めぐり/被爆の実相学習会」では、平和記念公園を中心に原爆被害の事実を今に物語る記念碑や遺跡をたどりました。案内役の永原富明さん(広島被団協)は、「広島平和都市記念碑」に刻まれた「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」との文について、「この〈過ち〉は“人類の過ち”という意味です」と強調しました。
同分科会では、午後から被爆体験者の矢野美耶古(みやこ)さんと、広島県原水協・高橋信雄代表理事が講演。
矢野さんは、「原爆症裁判では27連勝しているのに行政はいまだに内部被曝を認めようとはしません」「福島原発事故で、放射線の影響をマスコミや政府が同心円で表示しているのを見て怒りを覚えました。“○キロより先は安心だよ”と暗示をかけられてる思いがしました」「核兵器は絶対に廃絶しなければならないし、原発は1日も早く廃炉にすべきだと思っています」と語りました。
福島県民の生存権守れ
最終日、7200人が参加した閉会総会では、福島第一原発事故で現在もなお2万1千人が避難生活を強いられている福島県・浪江町の馬場有(たもつ)町長が登壇。「(福島県の)生業(なりわい)は崩壊し、地域や家族は離散している。憲法で保障された幸せになる権利、健康で文化的な生活を送る権利は私たちにはないのか」と語気を強め、「自らの利権を得るための核開発、核兵器製造を放棄し、転換すべき」と訴えました。
同総会では「『放射線によって苦しむ人びと』をつくらないという願いをひとつに、原発ゼロをめざす運動との連帯を発展させましょう」とする「広島からのよびかけ」を採択しました。
ツアーバス新基準は危険運行の拡大
2012/08/07
《寄稿》尾崎博明氏(元・大阪地連バス部会事務局長)
関越道バス事故からまもなく3か月。国交省は、事故のあと再発防止にむけて「高速ツアーバス等の過労防止のための検討会」(国交大臣・政務官のもとに専門家の委員から構成)を設置して検討をつづけてきました。
あずみ野バス事故からの課題である「長時間労働・長距離走行、そして夜行のワンマン運行」という、事故要因の改善にむけた協議は、乗客・利用者の命をどう考えるか、と言った点で大きな関心を集めました。
しかし、7月18日「公示」された「交替運転者の配置基準」(乗務距離規制)は、あずみ野バス事故や関越道事故の反省はまったく生かされていないばかりか、「乗務距離の延長」や「夜行のワンマン運行」にお墨付きを与えるものとなりました。
3か月もかけ、公示された「乗務距離基準」は、「特別な安全措置」をクリアすれば1日500キロまで走行可能。回送距離を入れれば、無制限にひとしい距離になっています。その上、スキーバス等の「2地点運行」の送・迎の場合や、夜行の1人運行も可能にするもので、危険運行の拡大と言わなければなりません。
こうした事態を受けて大阪地連バス部会は24日、近畿運輸局にたいして「公示」の内容についての確認をするとともに、安全確保への「7項目の要請事項」を提出して交渉をおこないました。
「要請書」では、国交省が全国のバス労働者を対象にしたアンケートで、「安全に運転できる距離」を、約8割の人が450キロ以内と回答しており、「公示」された500キロはアンケートを無視するもの、と指摘。最高乗務距離を500キロとすることを求めています。
また、現行の「配置基準・670キロ」は、総務省の見直し勧告(運転者の生理学的な影響を考慮したものに改善)を無視したままの状態であり、これが一般観光に固定されていくことは安全への逆行であることを指摘し、改善を強く求めました。
さらに、関越道事故では2つの仲介業者によって運賃の中抜きが行われたことを重視。安全を担保するものは適正な運賃──との立場から、仲介業者の排除と旅行業者への指導・監督の強化を求めました。
あずみ野観光バス事故と関越自動車道事故。2つの事故で共通しているのは潜在的な長時間労働や長距離運行、そして夜行のワンマン運行などの過重な労働と企業の法令違反体質です。こうした共通項をまず取り除くことが求められています。
期待の大きかった「公示」・乗務基準は、走行キロの延長と夜行の一人運行を可能にするもので、まさに教訓を活かさない基準と言わざるを得ません。安全輸送をめざす要求は大きくふくらみ、結集の可能性も広がってきました。乗客利用者の命をまもり、バス労働者自らの命を守るたたかいに大きな期待が寄せられています。頑張ってください。
2012年7月26日
大阪地連バス部会が近畿運輸局・大阪バス協会に要請
2012/08/07
近畿運輸局に要請する大阪地連バス部会のなかま・OB(7月24日)
夜行2人乗務法制化急げ
国土交通省は7月20日、夜行高速ツアーバスの「交替運転者の配置基準」を施行しました。大阪地連バス部会(伊藤文男会長)は7月24日早朝より梅田・茶屋町でバス乗務員に向けてこの改定を周知する宣伝行動に取り組むとともに、大阪運輸局と大阪バス協会に対して「今回の基準では安全が保てない」と改めて夜行運転者完全2人制義務付けなどの要請を行いました。
「高速ツアーバス等の交替運転者の配置基準」では、夜間運行において▼特別な安全措置を実施・公表していない事業者の一運行実車距離が400キロを超える場合▼特別な安全措置を実施・公表している事業者の一運行実車距離が500キロ超える場合▼運転者の1日の乗務時間が10時間を超える場合に、「交替運転者を必要とする」と定めています。
運輸局交渉で組合側は、「和歌山県のバス会社が梅田に配車する場合は一般道を60キロ以上回送している。回送距離を含まない基準では現在よりもひどい規制緩和になってしまう」と指摘。さらに「夜行は自主的な体調管理が難しい」として、距離に関係なく夜行運転者2人制を義務付ける法制化を求めました。
ツアー運行会社
法違反80%以上
局側は、関越道事故の後に行なった重点監査で、高速ツアーバスを運行するバス会社の80%以上に法違反が認められ、改善していないことが判明したとし、「違反事業者に対しては、呼び出し監査を実施する」と回答しました。
午後からの大阪バス協会への要請では▼加盟事業者への法令遵守徹底▼夜行運転者完全2人制義務付け▼「高速ツアーバス等の交替運転者の配置基準」で「特別な安全措置」としている「休息期間=11時間」を大阪バス協会の標準とすること、などを求めました。