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2006年09月の記事

勤労協夏期講座 「新自由主義」とはなにか
2006/09/15

勤労協夏期講座 「新自由主義」とはなにか 講義する林直道大阪市大名誉教授

格差拡大「構造改革」アメリカがあと押し


 関西勤労者教育協会主催の夏期経済問題講座『新自由主義とはなにか』(講師=林直道大阪市立大名誉教授)の第2回(8月29日)と最終回(9月5日)が、中央区森之宮のアピオ大阪で開催され、大阪地連のなかまも、小泉内閣がおしすすめてきた「構造改革」の本質や、アメリカ・大企業のたくらみについて認識を深めました。

 第2回のテーマは「『新自由主義』の経済理論とその本質」。林教授はフリードマンなど新自由主義経済学者の思想を紹介し、同政策が「市場原理主義の名のもとに、労働者や中小企業に対する国の保護や援助の廃止、社会保障の大削減を求め、独占大企業の思いのままの利潤獲得の自由を代弁する役割を担っている」と解説しました。

新自由主義は超楽観論


 最終回のテーマは「日本の民主的改革の展望」。

 「資本主義の利潤追及活動を活発にしてやれば社会は安定的に成長する」との新自由主義経済学者の理論に対し、林教授は「とんでもない超楽観論だ」として「何もかも手放しで市場経済にまかせると(1)投資の集中によるバブルや過剰生産の恐慌(2)いちじるしい格差拡大(3)地球環境の破壊などのひどい結果が生じる」と指摘しました。

 また郵政民営化や医療保険、商法の改悪など日本の構造改革は「アメリカによって強力にあと押しされたものだった」と断じ、「第2次大戦後の日本の平和と繁栄を支えた戦後民主改革の柱を全部ぶちのめそうとするもの」と強調しました。

 最後に日本の外交について「アメリカ一国との片よった関係、海外軍事同盟という危険な道をやめて、近隣アジア諸国との平和・友好の共同体の道に進むべきです」と述べ、講座を締めくくりました。

宮内オリックス会長の悪質なやり方
2006/09/05

宮内オリックス会長の悪質なやり方 争議の説明を受ける参加者

2段階営業譲渡で


 6月26日に結審し、9月20日に大阪地裁で「判決」が下される建交労・フットワーク争議の勝利を目指す10人を励ます学習決起集会が8月23日午後、中央区のエルおおさかで行われ、西晃弁護士が裁判経過や争点などを報告。大阪労連、大阪争議団の代表が激励し大阪地連のなかまも参加。

 この裁判は、放漫経営を続けたフットワークエクスプレス(旧フットワーク)が経営破綻し会社更生法の下、地裁第6民事部がフットワーク物流(現在、清算手続き)への営業譲渡を認可。

 その後、全員が解雇され、労働条件変更(30%減賃金、人によっては70%減の退職金の扱いなど)を認めた労働者を、オリックス資本のオー・エス・エル(新フットワーク)が新規採用するという悪質な不当労働行為です。本来、事業展開上運転手(人的資源)は絶対に不可欠で事実、原告らにもオー・エス・エルから採用内定通知が出されていました。
 原告らは、解雇無効と同社に対する従業員としての地位確認を求め、たたかっています。

景気回復は小泉『構造改革』の成果でない
2006/09/05

中国の爆発的発注


 「新自由主義とはなにか」と題し、弱肉強食の「格差社会」と小泉政権の「構造改革」について、大阪市立大学の林直道名誉教授を講師に招き第1回目の夏期講座(3回・勤労協主催)が8月29日夕、中央区のアピオ大阪で開催され、同教授は、01年4月に発足した小泉内閣の5年間で何が行われてきたのかを受講生に説きました。

 林教授は、「小泉政権は『聖域なき構造改革』を打ち出し、『自民党がいうことを聞かなければ私が自民党をぶっつぶす』と威勢の良い言葉に国民が、行き詰まりをうち破る新風として歓迎した」。しかし、「多くの国民は『構造改革』とは何をするのかまったく理解していなかった。構造改革とは社会の仕組みを変えることだが…」と指摘し、当時の山崎拓自民党幹事長の発言(「構造改革とは何をするのか、実は私も良く判っていない。『改革』『改革』と叫んでいれば票が入るのですから有り難いこと」=山形県蔵王での演説)を紹介。

 同教授は、「公共事業について、生活関連型とゼネコン型があり、前者は病院、学校、保育所など地域にとってもありがたいものだが、ゼネコン型は、国民の消費力を高める需要には波及しない」と述べました。

 そして、「ブッシュ政権の背後にいるハイエナ企業が二束三文で、日本企業を買いあさるため日本政府に圧力が加えられ、それを受けた小泉政権がしたことは、景気回復政策は何もしないで、最初の2年間は不良債権の強行処理(貸しはがし)と、01年6月の『骨太の方針』に基づく、民営化(郵政民営化など)・規制改革(マネーゲームの自由化など)とチャレンジャー支援だった」と話しました。

 要するに、この「民営化・規制改革」政策の底を流れる考え方は、金もうけ至上主義、資本主義企業の利潤獲得礼賛、市場競争原理主義で、これが新自由主義の根本をなす。小泉構造改革は、こうした金もうけ至上主義を、国の経済の根本原理に高めて、公共サービスを犠牲にした。しかも本来金もうけが主目的でない医療・介護・福祉・教育などの分野にも押し及ぼそうとし、国民生活は大変な苦痛を受けています。

 「負け組の負担激増による勝ち組への大優遇によって、日本では巨大企業が莫大な超過利潤を獲得すると同時に、国民大衆の貧困と格差が急激に増大せざるを得ない状況で、これが小泉構造改革5年間の『成果』である」と林教授は結論づけました。

 そして、現在の景気回復過程で押さえていなければならないこととして、「極端な二極分化に陥っている点と、03年の中国からの爆発的な日本工業品(鉄鋼・家電など)の大量買い付けがなければ日本経済が大崩壊に陥っていたこと。決して、小泉『構造改革』で景気が回復したわけではない」と第1回講義を締めくくりました。

「チャレンジャー支援」とは、極めて露骨な弱肉強食政策。金持ち・投資家を不当に優遇し、国民・勤労者大衆を差別的に痛めつけるもの。