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ハイヤー・タクシー・観光バス労働者の新聞
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2008年09月の記事
大阪労連民間部会 第18回定期総会
2008/09/25
今総会を最後に勇退した川辺前部会長(左から4人目)と09年度の抱負を語る長島新部会長
総選挙で発揮しよう民間労働者のパワー
大阪労連・民間部会は9月17日、第18回定期総会を大阪市北区の国労会館で開き、09年度の活動方針を決定するとともに、大阪労連議長に就任した川辺部会長に代わる新部会長として長島和眞氏(建交労)を選出しました。
総会は大阪地連の久保書記長が座長として進行しました。
主催者あいさつで川辺部会長は目前に近づいた総選挙について「私たちがこの間の大きな運動で政府を追い込んできた結果、この2年間で総理が2人続けて政権を投げ出しました。民間労働者は公務労働者と違い選挙法の規制を受けず自由に選挙をたたかえます。選挙をたたかい抜いて要求を前進させましょう」と呼びかけました。
また、原油高騰の問題では「中小企業の経営が非常に厳しい時代になっており、民間の労働組合が経営者とともにたたかう時代に突入しました。課題は非常に大きいですが、引き続き、結束と共同の行動を強めていきましょう」と呼びかけました。
子や孫に誇れる運動を
各単産からの報告で大阪地連の岡田副委員長は、大阪のタクシーについて、「利用者が減っているのに規制緩和による増車と低運賃競争で営業収入が低迷し、いまやタクシー労働者の年収は約270万円にまで落ち込みました。会社の仮眠室で寝泊まりする“タクシーホームレス”も増えています」と実態を報告。
また、国交省が来年の通常国会で道路運送法を改正する方針を明らかにしたことについて「我々の運動で行政も規制強化へ動き出しましたが、一方で規制緩和推進派が巻き返そうとしています。今秋から年末にかけての行動が非常に重要になります」と強調しました。
総会の最後にあいさつした長島新部会長は「すばらしい運動をしてるのに組織が大きくならないのは、私たち幹部が運動を苦しいもの、辛(つら)いものというふうにイメージしているからではないかと感じています。幹部が自分の子や孫に“組合に入れ”“組合はすばらしいぞ”と言えるような運動スタイルをつくりあげたいし、大阪労連を支える強力な民間部会に仕上げたい」と抱負を語りました。
私たちとともにたたかう政党を総選挙で伸ばそう
2008/09/25
大阪府の日本共産党国会議員と労組・民主団体代表が懇談
9月13日午後、大阪府選出の日本共産党国会議員と大阪府下の労働組合、民主団体代表との「国会報告と要求懇談会」が大商連会館(大阪市中央区)で開かれ、意見を交換しました。
規制強化へ協力を要請
この懇談会には、日本共産党吉井英勝衆院議員、山下よしき参院議員、宮本たけし前参院議員が参加。そして、この懇談会の呼びかけに応じた労働組合などの代表70人が参加し要望などを出し合いました。
懇談会はまず、同党大阪府委員会の山口委員長が主催者あいさつ。続けて国会報告を行なった吉井英勝衆院議員は解散・総選挙ぶくみの政局にふれ、「福田首相の政権投げ出しは、国民の生活を顧(かえり)みず、原油の高騰の原因となっている投機マネーの規制などについても何ら有効な手を打てない、政権の行き詰まりの結果だ」と国会報告。また、自交総連が大阪タクシー協会などと取り組んだ「9・3合同集会・パレード」に参加した模様を報告し、こうした共同の取り組みの重要性を指摘しました。
懇談会では、自交総連大阪地連から権田委員長が発言。「9・3合同集会・パレード」の報告をするとともに、合同パレードが開催された背景を説明しました。
その大きな背景としては、2000年5月に日本共産党以外の政党の賛成によってタクシー事業の規制緩和を盛り込んだ改正道路運送法が成立。02年2月に法律が実施された後、3000台の大量増車と運賃値下げによる競争の激化で、賃金の大幅ダウンと労働環境の悪化によって交通事故が増加、そして「安心・安全・快適」が破壊されてきたことを説明しました。
自交総連の運動の柱は、「街にあふれるタクシー減らせ」「同一地域同一運賃」制度の確立、労働条件改善で「安心・安全」のタクシー輸送の確立です。
規制緩和され6年余り、日本共産党は規制緩和の弊害を国会で告発し規制緩和の失敗を追及してきました。同時に自交総連も運動と世論の声を背景に、国土交通省を追い詰めてきました。その結果、国土交通省も「市場の失敗」があったと認めざるを得なくなり、来年の「通常国会」に規制強化策を盛り込んだ「改正」道路運送法を提出しようしています。
権田委員長は、この法案のいっそうの充実と成立めざして、国会での日本共産党議員団の協力を要請しました。
その後、14人が発言。懇談会のまとめで労働・民主団体側から出された意見、要望などは積極的に受け止めて今後の国会審議に反映していくと決意表明しました。
関西勤労協・槙野理啓氏講演 最終回
2008/09/16
「労働組合はいざというときの保険か」
労組はみんなの利益を代表してたたかう
本欄では、関西勤労者教育協会講師の槙野理啓(みちひろ)氏が「第7回役員セミナー第3回実行委・プレ学習会」(7月15日)で行なった講演「労働組合はいざというときの保険か」の要旨を連載しています。
いま労働組合に参加してきている若い人たちはもうすでにその良さを実感してるわけですけど、それがどこにあるのかというと、労働組合というものが、狭い意味での組合員の利益だけでなく、すべての労働者・国民の利益を代表してたたかうんだということですね。
そら表面的には「私に支払われてない残業代を出してもらわな困る」ということであったり、「長年続けてきた仕事を勝手に切られたんでは困る、仕事を続けたい」ということであったりするけど、私の首がつながるか、私の賃金が出るかという問題だけじゃなくて、自分がそこで頑張ることが職場を変えていくとか、社会を変えていくとか。おかしいことを「おかしい」と誰かが言い出さなあかんのやったら自分がまず言おうかと。そのためには個人的な勇気ではあかんわけでね。労働組合としてその行動をとらなきゃならん。労働組合の活動というのは個人的な面は表面的にはあったとしても、それは常にすべての労働者・国民の利益を代表してたたかってるんだという位置付けでなければならない。
そして、「みんなのためにたたかうんや」言(ゆ)うたら、きれいごと言うてるみたいですけど単なるきれいごとじゃないわけです。「みんなのためにたたかう」という形をとるからこそ、自分らの要求も実現するということです。自分らの要求だけを実現したいとして動いたら孤立させられて結局失敗します。決してきれいごとではない。「自分たちの要求を実現するためにこそ、みんなのためにたたかう」でなければならんと、これが労働組合だというふうに思うんですね。
「労働組合は踏みにじられた幾百万の大衆の解放を目標とするものだということを、一般の世人に納得させなければならない」、これはマルクスの『労働組合―その過去現在未来』の結びの言葉です。この中の最後の部分に注目したいと思ってるんです。つまり、「労働組合とはこんなにすごいんですよ」って労働組合の中でなんぼ頑張ってもあかんのですわ。なんぼ声張り上げたって、スローガン掲げたってあかんのです。「一般の世人」を「納得」させなければならない。
例えば、現在のように橋下知事が次々と府民犠牲を押しつけてくる時に、府関連の組合が「おかしいぞ」と声をあげた時に府民が「そうだ!」ってなるような状況を作らなあかんですね。いまは残念ながら「橋下さん頑張ってるやないの」って状況を作られているわけです。もちろんあきらめているわけじゃなくて、これからどんどん押し返していかなあかんわけですけど、そのためには今日お話ししたことが組合員はもちろんのこと、組合外のすべての人々に理解されることが必要です。
労働組合の役割とは何か。そしてそれを多くの人に知らせる。私が言いたかったのは最後のこれなんですね。
役員セミナー(9月20〜21日)では「労働組合の社会的な役割」を、みんなで議論してみたいと思います。一泊の学習会ですから、皆さんどうしの議論でもこの中身を深めていただきたいと思います。(おわり)
関西勤労協・槙野理啓氏講演 連載C
2008/09/08
「労働組合はいざというときの保険か」
組合費は組合員のためだけに使う?
本欄では、関西勤労者教育協会講師の槙野理啓(みちひろ)氏が「第7回役員セミナー第3回実行委・プレ学習会」(7月15日)で行なった講演「労働組合はいざというときの保険か」の要旨を連載しています。
「組合費は組合員のために使う」、これは当たり前なんです。しかし、「組合員だけ」のために使うということではないわけです。
「組合員のためだけに使う」というふうに狭く見ちゃうとね、例えばこんど東京で集会があるから代表を送らなあかんと。すると、組合員さんが「そんなもん行ったって何が関係あんねん、世のなか変わらへんて」「そんなことにお金使うくらいやったら私らにもっと使ってよ」とかね。未組織労働者対策なんてまさにそうですよ。組織拡大のためのお金って、まだ入ってへん人のために使うわけでしょ。「組合費を払ってもいない人のためにこんなきれいなビラ作ることないで」とかね。結構出てくるんですよね、これ。
実はそのこと自体が問題じゃなくて、職場での活動に何かギクシャクしたものがあると組合員さんはそういう所を突いてくるわけですわ。「もっと組合員のために金使えよ!」って言うわけですわね。
これもやはり「そんなこと言うやつがおかしい」じゃなくて、何でそういうことになってくるのか活動の見直しが必要だと思うんですけど、「組合員のためだけに組合費は使うんだ」って言うのやったらね、……最初から集めへんかったらええわけでしょ、どうせ戻すんやったら(笑)。
集めたお金をいかに活用するかという問題です。たいがいどこの組合も上部団体に所属してますよね。集めた組合費のうちのかなりの部分が上部団体へいくわけでしょ。何のために、上部団体に参加するのかということですし、さらに地域の運動、地域労連へと参加していくと、そこでもやっぱり出さなあかんですね。上にも出すわ、横にも出すわ、ねえ。もちろん自分とこの職場にも使うわ、いろんな所へお金を使うわけですけど、何のために使ってるのかと。
全国的な運動への連帯は何のためなのか。未組織労働者の組織化というのは余裕がある時にやることなのか。今みたいに大変やったらやらんでええのかと。
「組合とは何か」ということから離れてしまうとね、「こんなに大変やねんからそこまでせんでもええやないか」というような話とか、逆に「私らのためにもっと使ってよ」みたいな形で言われますが、これはお金の問題を言ってるんじゃなくて、組合のあり方を問うてるんやと思うんですよ。
それに対して役員さん、答える側の立場の人がどれだけ的確に、的確ということは正確な答をいきなりポンと出せということじゃなくてね、ちゃんと対話できるかどうか。組合員さんから言われたときにウッと黙ってしまうとか、「何やエラそうに、私ら一生懸命走り回ってるのに!」とかね、なっちゃうと、相手の思うツボというか、「やっぱりそうか」と。「役員さんも確信持ててないような運動やねんな」というふうな雰囲気が拡がっちゃうわけでしょ。だからそこの活動が問われてる。「組合費は組合員のために」というのは活動のあり方が問われてるんやと思うんです。
労働組合はまとまらなければ力にならない。まとめるためにどうするか。まとまったところで、水戸黄門みたいに印篭(いんろう)出して終(しま)いみたいな体(てい)にはなってないわけですから、まとまったうえでさらに行動して、実践活動の中から解決していく、そういう問題だろうと思います。
どこから見てもやっぱり「保険」ではない。「あなたの保険料が出るかどうかは、あなたの活動次第」なんて誰が言うねん、そんなもん、ねえ(笑)。「保険」とは掛金払ったらそれに対して見合ったものが出てくる、見合ったものが出てこないなら解約する、そういう話です。労働組合はそうじゃない、自分たちで作っていくものだということですね。(つづく)