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2010年09月の記事
「歴史に学び、歴史をつくる」第9回役員セミナー
2010/09/27
一部の貧困は全体にとって危険
労組の力≠全労働者のために
大阪労連と関西勤労者教育協会は9月18〜19日、「第9回役員セミナー」を奈良県社会教育センターで開き、100人を超えるなかま(大阪地連=4人)が参加。「労働組合の社会的責任」をテーマに講演や分散会で確信を深めました。
開会あいさつで大阪労連の宮武事務局長は、前日の「枚方市非常勤裁判」控訴審判決(大阪高裁、右記事参照)で非常勤職員側が逆転全面勝訴したことを報告。「困難な中でも団結し、たたかいを枚方から大阪、全国へと拡げて大きな世論を作り出したことが逆転勝訴につながった」と評価。「構造改革の攻撃がますます強まっており、貧困と格差の拡大が続いている。このセミナーでこれからの活動に確信と勇気を持ってほしい」述べ、奮闘を呼びかけました。
「労働組合も企業と同じように社会的責任をもっている。自分の所だけ良ければいい≠ナはなく、国全体の労働者がどうなっているのか、ということも労働組合がしっかりと見ていく必要がある」
こう切り出して、基調講演を行なった浜林正夫氏(一橋大学名誉教授)は、「労組は組合員の生活と権利を守るのが基本任務だが、同じ職場の非組合員や非正規労働者が生活や権利を侵害されたときも、やはりたたかうべき」「非正規労働者の組合加入にも取り組む必要がある」と主張。その理由として「弱者救済ではない。一部の貧困≠ヘ全体にとって危険だからだ」と強調しました。
同氏は「日本の低賃金構造を支えているのは、派遣労働者や中小・下請企業の低賃金労働者だ。労働者全体の賃金底上げがなければこの構造は改まらない」「最低賃金を引き上げることが重要だ。この取り組みが日本経済を内需主導型に転換させ、経済成長を可能にする。そして民主主義も発展する」と論じ、「国民全体の取り組みが必要だ。その輪の中に加わることは労働組合の社会的責任といえる」と結びました。
2日目に「補講」を行なった関西勤労協講師・槙野理啓氏は、「まわりの人は自分のことしか考えていない∞日本の労働組合はダメなんじゃないか≠ニ労組役員が悩んでしまうのは、そのように思わされているから」と指摘。「労働組合はすごい≠ニいうことを腹に落とさなければいけない」「メリットがあるからすごい≠ナはなく、労働組合だというだけですごい=vと力を込め、「ただ労働組合をつくるだけではなく、使用者や政府に労組の存在を尊重させる、それが団結権」と強調しました。
そして、使用者が団体交渉を拒否できないことや、正当な組合活動・争議行為は刑事・民事責任が免除されるなど、「すごい力」を労働組合が持っているのは「(労組が)組合員の狭い利益だけでなく、すべての労働者・国民の利益を代表してたたかうものだから」と説きました。