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2018年09月の記事
本流逆流(9月25日付コラムより)
2018/09/25
9月14日、京都で「ヤミ民泊」が摘発された。住宅宿泊事業法(民泊新法)と、罰則を強化した改正旅館業法が6月15日に施行されて以降、全国初だという。
新法はこれまでグレーとされてきた民泊営業について、一定の要件を満たし届け出をすることを条件に合法化。事業を行う住宅は家主の許可が必須となったほか、営業日数も年180日以内に制限する。
新法でヤミ民泊が減少するのか、ヤミがさらに深くなって増加するのか、識者の意見は分かれているが、ネットでは前者を見越して『ヤミ民泊が撤退した今だからこそ始めたい。月利回り300%も。[民泊投資]で儲ける最新案内』などと誘うサイトもある(ハーバー・ビジネス・オンラインなど)。
同サイトで「民泊投資家」の大神麗子氏は「始めてしまえば管理や清掃は代行業者に依頼できるので、サラリーマンでも十分に回していけ」るといい、「民泊運営アドバイザー」の新山彰二氏は「365日営業が可能な特区民泊での経営こそ手堅く、新規参入するサラリーマン向き」「中でも最も有利なのは大阪府」と推奨する。
経営戦略コンサルタント・鈴木貴博氏は「月10万円の部屋を借りて、毎月20万円の収入が入って来るという感覚」「副業として考えると儲かるというのが、ヤミ民泊問題の1つの側面」と指摘する(ダイヤモンド・オンライン)。自身の会社が保有している投資用不動産について仲介会社から「賃貸に出すよりも民泊にすればずっと儲かる」と勧誘を受けたことがあるという。
やれば必ず儲かる。そして問題や事件が起これば害を被るのは近隣住民であり、宿泊者である。責任を問われるのはオーナーだが、「民泊投資家」だの「民泊運営アドバイザー」だの仲介会社といった連中が心を痛めるわけがない。
世の中、“儲かりさえすればいい”“今さえ、自分さえ良ければいい”と考える輩が多すぎる。私たちは白タク・ライドシェア問題を通じてこの社会のありようを変えていきたい。
〈発言録〉原水爆禁止2018年世界大会‐広島
2018/09/06
戦争させない・9条壊すな!総がかり行動
実行委員会共同代表
福山真劫さん
分裂を乗り越え安倍政権打倒
「原水爆禁止2018年世界大会‐広島」(原水協=原水爆禁止日本協議会など実行委員会主催)の開会総会(8月4日、広島グリーンアリーナ)で「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」共同代表の福山真劫(しんごう)氏が行なった連帯あいさつを全文紹介します。
福山氏は自治労本部の副委員長・書記長を歴任し、2009年まで原水爆禁止日本国民会議(原水禁)の事務局長を務めました。原水協の大会で原水禁の関係者が発言するのは異例のことですが、参加者は大きな拍手で迎えました。
唯一の被爆国が果たすべき役割
長いたたかいの歴史を誇る原水協の大会にお招きをいただきました。本当にありがとうございます。大変緊張すると同時に、大変感慨深いものがあります。私がこの演壇に立つことは去年までは想像はしておりませんでした。しかし今年は立っております。そして皆さんの熱い、核廃絶、被爆者援護、脱原発への思いを身近に感じて大変うれしく思っております。
今日は原水禁を代表して来ているわけではありません。原水禁と原水協の運動の歴史に関わる経過については触れませんが、日本の原水禁運動の前進のため、過去の経過をどう乗り越えるのかが双方に問われているのではないかと思っております。
戦後の日本の平和運動、民主主義運動、社会運動の多くは率直に言えば「共産党系」「非共産党系」などと囁かれながら、分裂状態の中で取り組まれてきました。そうした中で「総がかり行動実行委員会」は2014年12月、戦争法を廃案に追い込むため、日本の平和運動・民主主義運動の最大の弱点であった分裂状態を乗り越え、戦争法廃案の一点での共闘組織として出発し、共闘課題を拡大し、大きく運動を高揚させ、野党共闘の一翼を担い、現在に至っています。
「総がかり」を突き動かしたものは、分裂していたのでは安倍自公政権の暴走を止めることができない、ということの深い思いであります。また、両者の共闘は、未来に責任を持とうとするすべての者の心からの願いでもあります。日本の平和運動、民主主義運動は分裂の時代から確実に共闘の時代へと新しいステージの上に立っていると思います。
原水協の世界大会実行委員会が5月24日にアピールを発表しました。その中で、核兵器廃絶のたたかいとあわせて、安倍9条改憲ノー、辺野古新基地ストップ、原発ゼロ、貧困と格差の解消などのたたかいを紹介し、「憲法改悪反対など、大きな共同がひろがりつつある中で、これまで世界大会に参加したことのない団体や個人のみなさんにもひろくよびかけ、大きな参加で成功させましょう」とありました。「総がかり行動実行委員会」にも参加の呼びかけがあり、原水禁運動も新しいステージに立ってもらうべく「総がかり行動実行委員会」として連帯のあいさつに参加させていただいたところであります。
さて、通常国会でも、安倍政権の国家権力の私物化、官僚機構の腐敗、ウソの政治、信じられないような悪事が次から次へと暴露されました。憲法9条を改悪し、戦争する国・軍事大国への暴走も止まっていません。
唯一の被爆国でありながら、核兵器禁止条約に反対し、世界の反核・平和勢力の期待を裏切り、犯罪的な役割すら果たしています。歴史的な6・12米朝首脳会談が開催され、東アジアで非核・平和への大きな流れがつくられているにもかかわらず、日本の果たさなければならない役割を理解できていません。脱原発の課題でも、東京電力福島原発事故の収束のメドすら立たない中で、原発を優先するエネルギー基本計画を策定し、原発推進政策を明らかにしています。被爆者支援の課題も、原爆症認定、被爆者2世・3世の課題など不十分なものです。
沖縄の辺野古新基地建設をめぐっては県民の8割が反対し、連日座り込み、抵抗を続けています。6・23沖縄慰霊の日(の戦没者追悼式で)、翁長知事が安倍総理を前にして述べた「辺野古に新基地を造らせないという決意は揺らぐことはない」との宣言が私たちの胸に突き刺さっています。それでも安倍政権は本土の機動隊を動員し、暴力で基地建設を強行しています。
軍事大国化・ファシズム許すな
アベノミクスで貧困と格差がさらに深刻になっています。これが安倍政権のつくり出した日本の現状です。行き着く先は、戦争する国、軍事大国、ファシズムです。皆さん、こんな安倍政権を許せますか!絶対に許せません!安倍自公政権の暴走を止め、核軍縮、被爆者支援、脱原発、憲法9条擁護、沖縄新基地建設阻止、平和・民主主義の時代をつくりだすためには、そのことをめざすすべての市民、団体、野党が、連携・連帯してたたかう必要があります。分裂していたのでは安倍政権に勝てません。共闘の中にこそ、私たちの未来があります。
今回の原水協大会は「大きな共同」「大きな参加」を呼びかけました。さらなる発展への大きな第一歩になると確信しています。未来のために共にがんばりましょう。
(文責=編集部、一部意訳)
本流逆流(9月5日付コラムより)
2018/09/06
3・11東日本大震災の大津波を受け、街が破壊されてから丸7年半が経過しようとしている三陸沿岸部。時の移ろいとともに新しい街並みに生まれ変わろうとしているが、本当のところはどうなのか――。
3年前私は、大阪交運共闘のなかまとともに、仙台市、女川町、南三陸町、気仙沼市、陸前高田市などの交通事情調査に赴いたが、当時は震災の傷跡があっちこっちに残っていて、大津波の恐ろしさを肌で感じたのを今も忘れられない。
8月27〜29日にかけて、再度大阪交運共闘のなかまとともに同地を訪れたのだが、思ったほど整備が進んでおらず、盛り土と堤防でまったく海が見えない街になっていたのを見て、堤防より高台に向けた避難道の整備の方が速く、安く済むのにと率直に感じた。
津波からの「減災」をキーワードに、圧迫感を抑えるために台形状に建造されている堤防とのことだが、その大きさには圧倒される。海とともに、海の恩恵を受けてくらしてきた住民にとって、この景色がどのように映っているのか。
今回の調査ではっきりしたことは、津波で一人の犠牲も出したくないという市・町長の決意を感じた一方、街づくりはまだまだ道半ば。