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ハンドルおおさか
ハイヤー・タクシー・観光バス労働者の新聞
月別バックナンバー
2021年09月の記事
本流逆流(9月15日付コラムより)
2021/09/15
政治の世界は「一寸先は闇」とよく言われる。菅総理の退陣を私は大歓迎するが、退陣理由については理解に苦しむ。解散が先か、総裁選が先かと迷走したあげく、任期満了にともなう総裁選なのに党役員人事まで先行しようとしていた、それほどまでに権力の座に執着していた人物である。
9月3日の会見では「(総裁選)出馬を予定する中で、コロナ対策と選挙活動を考えたときに莫大なエネルギーが必要で、両立はできない。コロナ感染拡大防止に専念したい」と述べていた。
何をいまさら、と怒りがこみあげてくるのと同時に失笑を禁じ得なかった。コロナ対策の無為無策。感染拡大が懸念される中での東京五輪強行。そして感染爆発。その反省も総括もなしに、「感染拡大防止に専念」とは。
9日の会見では「省庁間の縦割りがあって柔軟な対応が難しい、こうした課題を整理していく」と述べた菅総理だが、もはやレームダックの菅氏に何ができるというのか。1年前、総理就任直後の会見でも「縦割り打破」を強調していたが、それは「規制改革」の文脈でしかなかった。
誰が新総裁になろうが自民党政権のままでは埒(らち)があかない。総選挙が待ち遠しい。
大阪労連第56回定期大会ひらく
2021/09/15
ガンバロー三唱で大会を締めくくる大阪労連のなかま(9月4日、Zoom画面)
命守る政治に変えよう
大阪労連(菅(かん)義人議長)は9月4日、第56回定期大会をオンラインで開催し、「市民と野党の共闘を後押しし、私たちの要求が実現する政治に転換するために全力をあげる」などとする22年度運動方針を決定しました。
あいさつを行なった菅(かん)議長は「菅(すが)首相の身勝手な政権投げ出しは、アベ政治に続き“スガ政治を支持しない”という世論に抗しきれない、独善と楽観の末路」「国民の命をないがしろにする自公政権と、維新の会などこれに追随する政治勢力や政策を続けさせるわけにはいかない。菅首相の退陣でリセットにはならない」と訴えました。
議案提案を行なった嘉満(かま)事務局長は、「コロナ禍が多くの命を奪い、労働者・国民の暮らしと雇用を困難に陥れている。強い者だけが報われ、あらゆる分野を市場にゆだねる新自由主義、不公正な経済運営のもとで社会基盤が脆弱(ぜいじゃく)化し、“危機対応喪失社会”をもたらした」と指摘。「誰もが人間らしく生きることができる社会へと転換できるのか、せめぎあいの情勢」と強調し、「選挙で国民のための政治を取り戻そう」「政治を変えて生活を改善しよう」と呼びかけました。
りんくう総合医療センター闘争が勝利和解
2021/09/06
りんくう労組への祝辞と支援組織・弁護団に謝辞を述べる川辺和宏支援共闘会議議長(19日)
「法守らぬ病院に命守れぬ!!」
たたかいながら組織を倍増
りんくう総合医療センター(大阪府泉佐野市)の医療従事者155人が労基法に基づく未払い賃金の支払いを求めていた裁判で和解が成立(大阪地裁堺支部、5月20日)。8月19日に「勝利和解報告集会」が岸和田市内で開かれ、喜びを分かちあいました。同闘争の支援共闘会議には自交総連大阪地連も参加し、宣伝行動や裁判傍聴などに取り組んできました。
りんくう総合医療センターは泉佐野市が設置主体となって2011年4月に設立。非公務員型の地方独立行政法人として市立泉佐野病院から移管。
17年4月、経営悪化を理由に一方的な賃金カットを強行してきた病院側に対し、りんくう総合医療センター労組(常玄大輔委員長)は撤回を求めて労使交渉を重ねながら、労働基準監督署にも訴えて解決をめざしてきました。
さらに組合側が就業規則を調べる中で未払い賃金が判明。病院側は割増賃金の一部を支払ったものの、残りについては支払いを認めず、「未払いはない」という不当な態度を示したことから組合側は18年9月、提訴に踏み切りました。
3か月後の第2次提訴を経て155人が原告となり、組合員数は賃金カットから第2次提訴までの間に103人→220人に倍増しました。
コロナ考慮し和解選択
裁判所は20年12月、原告側の主張をおおむね踏まえた内容の和解案を示しました。りんくう労組は、労基法違反を重ねた病院を断罪する司法判断が何よりも必要との立場から、和解での解決には慎重な姿勢を取っていました。しかしコロナ禍の中で、同病院が泉州地域の救急救命センターとして、また特定感染症指定医療機関としての役割を果たすことが喫緊の課題となっていることから、職員が安心・安全な職場環境のもとで働き、一丸となって感染拡大防止と治療体制を確保することが重要との判断に至り、和解を選択しました。
「勝利報告集会」では、りんくう労組・常玄委員長がオンラインで謝辞を述べるとともに、「法を守らない病院に未来はない」「争議は終わるけれど労使関係はこれからも続く」と決意を表明しました。