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2018年10月の記事
本流逆流(10月15日付コラムより)
2018/10/15
辺野古の新基地建設の是非が最大の争点となった沖縄県知事選挙で、基礎票では圧倒的多数とみられていた自民・公明・維新・希望推薦の相手候補に、保守・革新の垣根を越えて団結した「オール沖縄」の玉城デニー氏が8万票の差をつけて大勝した。
アメリカのメディアも今回の選挙結果について、「基地問題について日米両政府はもう一度よく話し合うべきだ」と論評している。安倍政権が国家権力を総動員しても勝利できなかった結果を考えれば当然である。それでも基地建設を強行しようとする姿勢はおよそ民主主義国家とは程遠い。アメリカの属国、売国奴のそしりは免れない。
一方、第4次安倍改造内閣が2日に発足、安倍首相は「全員野球内閣」と名付けてご満悦だが、早くも連係ミスが続発。柴山昌彦文部科学大臣が教育勅語について「普遍性を持っている部分が見て取れる」「同胞を大切にするとか、国際的な協調を重んじるとか、基本的な内容を現代的にアレンジして教えていこうという動きもあると聞いている。検討に値する」と発言し、物議を醸している。
アレンジしたところで教育勅語に書かれている12の徳目はすべて“天皇のために”である。主権在民、基本的人権の尊重を原則とする日本国憲法のもとでは相容れない。柴山氏はこの国を、“天皇のために”若者が戦地で命を散らした時代に戻したいのか。
閣外ながら自民党の筆頭副幹事長・総裁特別補佐を兼務する稲田朋美・元防衛大臣は北朝鮮問題に関連して、「ミサイル防衛で1発目のミサイルを撃ち落とし、2発目(が撃たれる)までに敵基地を反撃する能力を持っていない状況でいいのか」と発言したと報じられている。こっちが武力増強すればそれにあわせて向こうも増強するとは思わないのか。
野球の場合は「死」球や刺「殺」といった用語はあっても試合が終われば互いの健闘を称えあう。朝鮮戦争終結、朝鮮半島非核化が期待される中で軍事的緊張を煽る「戦争内閣」は私たちの手で退場処分だ。
「国際貢献」本音は安い労働力 外国人技能実習制度廃止せよ
2018/10/15
対等な労使関係、労働者としての権利保障を
人材育成、技能移転などによる国際貢献をタテマエに、「人手不足」を補う安価な労働力として途上国の若者を使い倒す外国人技能実習制度。安倍政権は6月に「骨太の方針」で外国人労働者受け入れの新制度案を示しましたが、実質的には技能実習期間の延長でしかありません。
実習生は保証金や違約金契約でがんじがらめにされ、強制帰国を恐れて使用者にモノも言えず、最低賃金法違反、長時間過重労働、セクハラ・パワハラなど様々な人権侵害に晒されています。アメリカ国務省の人身取引報告書も同制度を「強制労働」「人身取引」と批判しています。
「骨太の方針」は技能実習制度の存続を前提としており、実習終了後の在留上限を通算5年と定め、家族の帯同も認めていません。しかも同方針には「移民政策とは異なる」と明記。労働力は欲しいが社会保障などの負担はしたくない、定住させたくない、権利主張させたくないという意思がにじみ出ています。使用者側が言う「人手不足」の本質は「奴隷不足」でしかありません。
日本弁護士連合会(日弁連)は10月5日、「新しい外国人労働者受入れ制度を確立し、外国にルーツを持つ人々と共生する社会を構築することを求める宣言」を公表しました。
日弁連は提案理由の中で「外国人が対等な労使関係を築いて労働者としての権利を保障されるための仕組みの構築や、外国人と日本人が日本社会でどのように共生していくかという課題が正面から議論されないままとなり、多くの外国人労働者が低賃金かつ不安定な雇用関係の下で危険な作業にも従事させられる等の過酷な労働環境、人権侵害が大きな社会問題となっている」と指摘。技能実習制度を直ちに廃止し、「賃金等の労働条件における国籍や民族を理由とする差別の禁止を徹底する」ことなどを求めています。
あかんカジノ予算 教育・防災に回せ
2018/10/05
講演で「カジノ実施法は明らかに違憲」と説く阪南大学・桜田照雄教授
自然災害を受け、いま本当に必要なのは
「カジノはあかん」「予算はカジノより教育や防災にまわせ」──9月12日に大阪市議会、26日に大阪府議会が開会。カジノ誘致と巨大開発にお金をつぎ込もうとする維新府市政に対して、反対運動を強めようと府民要求連絡会(府民連)と大阪市対策連絡会議(市対連)が28日に大阪市中央区で学習と交流のつどいを開き、カジノ反対運動に取り組んでいる桜田照雄さん(阪南大学教授、会計学・経営学)が講演を行いました。
優先順位違う松井知事
開会あいさつを行なった杉本和さん(府民連世話人・新婦人の会大阪府本部会長)は大阪府・松井一郎知事について、「台風21号直後の9月7日、災害対策本部も立てないまま沖縄県知事選挙の佐喜真陣営の応援に行き、帰ってきたら今度は9〜16日まで万博の誘致活動で欧州へ、しかも“早期復旧した関空は災害に強い”と言いながら中部空港から出発した」「もっと知事としてやることがあるはず」と指弾。「いま本当に関空や咲洲庁舎(南港WTC)の問題も含めて“万博付きのカジノあかんやろ!”という声を大きく拡げていく時だ」と呼びかけました。
“依存症”で地域の振興
講演を行なった桜田照雄さんは、松井知事のラジオ番組での発言を紹介し、同知事がカジノ事業者に「1兆円の投資」を期待していると分析し、カジノ実施法=違憲論を次の通り展開しました。
「“1兆円の投資”とは、世界最大規模のカジノを造るということ」
「世界最大規模のベネチアン・マカオは粗利(あらり)が年に2800億円。仮にこの規模でカジノ税30%を徴収すると840億円。国と折半するので自治体の取り分は420億円。ベネチアンでの賭け金は年4兆円を超えるので、賭け金の1%が地元に落ちる計算になる」
「ギャンブル依存症の罹患率(りかんりつ)は1〜3%だと推進派の人は言う。“1%”に注目すると、地元に落ちる金=依存症患者の金。“カジノで地域振興”というのは“依存症で地域振興”ということ。こんな馬鹿げた話がどこにあるのか」
カジノより貧困対策に
続けて大阪保育運動連絡会、大阪教職員組合、全大阪生活と健康を守る会、大阪府保険医協会、民青大阪府委員会、市民ネットワークの代表がリレートークを行い、各代表は「カジノより教育に」「カジノより医療に」「カジノより防災に」などと訴えました。
大阪府保険医協会の代表は、大阪府下の小中高校を対象に行われた「学校健診後治療調査」を紹介。回答があった270校・10万人のうち、健康診断で医療機関での受診を通知されても、眼科で2万6千人、耳鼻科で4700人、内科で1800人が未受診だった(16年度)といい、「内科で心臓について要受診となったにも関わらず未受診の生徒がおり、水泳や運動会、マラソン大会の時期は非常に不安という、命に関わる事例もあった」と報告しました。
そして「松井知事が災害対応を放ったらかして海外に誘致活動に出かけた2025年万博では、“命輝く未来社会のデザイン”というテーマが掲げられている。ギャンブル依存症の危険性を考えると、いったい何のブラックジョークかと思う」「未来を担う子どもの貧困対策や、住民福祉にお金を遣(つか)わずに世界に対していったいどんな都市像を見せるというのか。カジノより子どもの貧困対策、住民福祉の向上にしっかり予算をつけるべき」と訴えました。
辺野古新基地ノー オール沖縄が大勝
2018/10/05
沖縄県の翁長雄志知事の死去に伴う知事選挙が9月30日に行われ、翁長氏の遺志を引き継ぎ辺野古新基地建設阻止を掲げた「オール沖縄」の玉城デニー氏が、安倍官邸丸抱えの佐喜真淳氏らを破り、初当選しました。投票率は63.24%、玉城氏の得票数は同選挙における過去最多です。
選挙戦で佐喜真陣営は、菅義偉官房長官や小泉進次郎衆議院議員、小池百合子都知事が沖縄入り。SNS上では「玉城氏が当選すれば中国が攻めてくる」「玉城氏が辺野古基地工事を落札した建設会社から献金をもらっていた」などの悪質なデマが拡げられました。期日前投票が過去最多となりましたが、同陣営が県内の建設業者などに呼びかけた結果と思われます。投票ノルマなどの締めつけも報じられています。
前回は自主投票だった公明党も今回は佐喜真氏支持を打ち出し、報道によると支持母体の創価学会は運動員5千人を沖縄に送り込み、電話による支持訴えや、学会員や自民党員を投票所へ連れて行く役割を負ったといいます。しかし朝日新聞などの出口調査では、公明支持層の2割以上が玉城氏に投票したといいます。玉城氏の演説会場や当選直後の同氏事務所でも創価学会の三色旗が振られていました。
大阪地連は、沖縄に縁のある組合員に玉城氏への支持を拡げるよう呼びかけると共に、沖縄県労連にカンパを送り戦いました。
佐喜真陣営のなりふり構わぬ作戦をはね返し明確に示された沖縄の民意。安倍政権は辺野古新基地建設を断念すべきです。