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2020年10月の記事

本流逆流(10月25日付コラムより)
2020/10/26

 『昔の人は偉かった』─ある民放テレビの情報番組で、局アナ二人が街道を徒歩で各地を訪ね、その土地の名所旧跡、名産品や名物、地元住民の声などを伝えるコーナーである。こういう二人組は良しとしても、政界では東西の二人組が国民や住民を困惑させてきた。
 東は安倍・菅組、西は吉村・松井組。万博やカジノ誘致をめぐって幾度も会合、謀議を重ねてきた。吉・松組は「沖縄の負担を軽減するためにオスプレイを八尾空港に」だの、「福島の風評被害をなくすために原発の処理水放出は大阪湾で」だのと思いつきで打ち上げるが、結局は安・菅組の補完目的でしかない。
 「都構想」にしても、市民向け説明会では「二重行政の無駄を解消」などと従来からの宣伝文句を繰り返すばかりで反発を招いている。危機感を持った吉・松組の依頼を受けて公明党・山口代表が応援に駆けつけたが、橋下徹氏の「人の道」発言からは隔世の感がある。
 かつて高倉健は任侠映画の主題歌で「義理と人情を秤(はかり)にかけりゃ義理が重たい男の世界」と唱ったが、こちらは東西の二人組に「負けたらアカン、道頓堀(とんぼり)人情」で、法善寺の水掛不動さんにお願いしてきまっさぁ。

〈大阪市廃止阻止〉宣伝行動に連日奮闘
2020/10/26

〈大阪市廃止阻止〉宣伝行動に連日奮闘 統一宣伝行動で奮闘する大阪労連のなかま(10日、淀川区で)

後悔しても元に戻せない
迷ったら必ず「反対」票を


 大阪市を廃止して4つの特別区に分割することの是非を問う住民投票(11月1日)が迫る中、市民を犠牲にして大型開発利権を狙う維新の「都構想」を阻止するため、大阪労連は連日の宣伝行動を展開。自交総連大阪地連のなかまも奮闘しています。

 大阪労連は、平日夕はJR大阪環状線の各駅頭で「住民投票まるわかりパンフ」や日刊ビラの配布、土日祝日は淀川区・東淀川区での全戸ビラ配布や宣伝カー運行、スポット宣伝に取り組んでいます。
 平日の駅頭宣伝で自交総連大阪地連は弁天町駅を担当。JMITU、化学一般、全港湾阪神、全港湾築港のなかまや地域の人々とともに奮闘しています。

くらしが壊される

 10月10日、淀川区での宣伝で自交大阪のなかまは生協労連、JMITUのなかまとスポット宣伝に取り組みました。
 マイクを握った生協労連のなかまは、「大阪市廃止の最大の問題は、くらしが壊されること。大阪市の税収の64%が府に移行する上に、特別区設置には15年間で1300億円ものコストがかかります」「特別区の税収は大阪市の3分の1に激減し、不足は府からの交付金でまかなうことになりますが、交付金の財源となる国の地方交付税は必要な額より200億円も不足します。住民サービスを維持したくてもお金がなければできません」と強調しました。
 JMITUのなかまは「過去の湾岸開発失敗の原因はバブルに踊らされた政策の誤り。“二重行政”が原因ではありません」「コロナ対策は国・府・大阪市が一体となって二重・三重の仕事をすることが必要です」「大阪市がなくなれば二度と戻せません。迷ったら棄権や白票でなく『反対』しましょう」と訴えました。

11.1住民投票勝利へ ネットワーク集会
2020/10/15

11.1住民投票勝利へ ネットワーク集会 参加者の拍手に応える発言者(左から)「明るい会」荒田功事務局長、日本共産党・清水ただし衆院議員、元大阪市長・平松邦夫氏、日本共産党・山中智子大阪市議、都市計画学者・中山徹氏、社会民主党・長崎由美子大阪府連代表、立憲民主党・尾辻かな子衆院議員、「よくする会」福井朗事務局長

大阪市なくすな!心はひとつ


 大阪市を廃止して4つの特別区に分割することの是非を問う二度目の住民投票が1か月後に迫る10月1日、「大阪市なくすな!心はひとつ ネットワーク集会」が大阪市中央公会堂(北区中之島)と8か所のサテライト会場を結んで開かれました。

 主催者あいさつを行なった「大阪市をよくする会」(よくする会)の福井朗事務局長は、「コロナ禍終息はいまだ見える状況ではない。そんな時に、感染防止の拠点となるべき大阪市を廃止するなどもってのほか」と批判。「明るい民主大阪府政をつくる会」とよくする会が共同で発行した「住民投票まるわかりパンフ」を紹介し、「全戸配布とともに対話の決定打として活用してほしい」と訴えました。
 議会報告を行なった山中智子大阪市議(日本共産党)は「住民の役に立ちたいと思って公務員になった人たちが、このコロナの中でそういう仕事をさせてもらえない、雨合羽の整理に駆り出されたあげくに大阪市をつぶす仕事をさせられる、本当にみんな怒っている」という市職員の声を紹介し、「大阪市に住む友人や親戚にも『反対』の声を拡げて、市民が主人公の大阪市をよみがえらせていこう」と呼びかけました。

守れたはずの命を失う

 基調講演を行なった都市計画学者・中山徹氏(奈良女子大学教授)は、大阪府の新型コロナによる死者数が8月と9月は東京都を抜いて全国最多だったことを紹介し、「吉村大阪府知事は『大阪モデル』で赤信号が出ると住民投票は難しいと説明していた。ところが大阪府は赤の発令を避けるためにコロナ対策を強化するのではなく、陽性者が増えても発令しないように赤の基準を変更した」と指摘。「府民の命を守るよりも、住民投票の実現を優先させた大阪府の姿勢が、死者数全国最多の結果を招いた」との見解を示しました。
 さらに中山氏は「コロナ第2波以降、全国の各市町村では地域の実態を踏まえて独自施策を展開しているが、大阪市は国費による事業か、現金給付しかやっていない」「コロナ対策を府と市が両方やると、自分たちが批判してきた『二重行政』になるので肝心かなめの大阪市が動かない、それが大阪府全体に深刻な事態を招いた」と指摘し、「コロナ対策は国が全国的な視点で、都道府県は広域自治体として、市町村は身近な自治体として施策をとる、二重三重の対策を進めるべき」と論じました。

都市劣化への片道切符

 元大阪市長・平松邦夫氏、立憲民主党・尾辻かな子衆院議員、社会民主党・長崎由美子大阪府連代表、日本共産党・清水ただし衆院議員、元大阪府副知事・小西禎一氏がゲストスピーチ。
 尾辻衆院議員は「コロナ禍の中でリーダーがやるべきことは、“声かけあって、つながって、みんなで危機を乗り越えよう”という呼びかけだ。いま大阪のリーダーは分断と対立を煽ってばかり。だからこそ私たちは一緒に立ち上がりたい」「維新の、維新による、維新のための大阪市廃止、行政の私物化を許してはいけない」と訴えました。
 清水衆院議員は「過去のベイエリア開発の失敗は、府と市が競い合ったからではなく、それぞれの首長と議会がバブル経済に踊らされてのゼネコン奉仕、政治の中身の失敗だ」「いま維新がやろうとしているのはカジノ誘致の巨大開発。必要なのは都構想ではなく政治のチェック機能だ」と強調。「大阪市が廃止されて半人前の特別区に解体されたら住民サービスは維持できない。一度廃止されたら二度と大阪市には戻れない、住民サービス低下の片道切符だ」と警鐘を鳴らしました。

大阪市11.1住民投票 「反対」票で大阪市を守ろう
2020/10/05

後悔先に立たず─どんなに投票率が低くても
1票でも「賛成」多数なら大阪市廃止・分割


棄権は危険


コロナ禍なのに「都構想」に費やされる金と労力
「特別区」初期コスト241億 維持コスト年30億

 11月1日に大阪市廃止・特別区設置の賛否を問う住民投票が行われます。どんなに投票率が低くても、たとえ1票でも「賛成」が多かったら大阪市は2025年1月に廃止・分割され、税収の6割以上が大阪府に吸い上げられます。そしていま、コロナ対策に最大限の力を注ぐべきときに、膨大なお金と労力、時間が大阪市廃止・分割のために費やされるのです。後で後悔しても、いったん分裂した市を元に戻す法律はありません。


 2015年5月12日、参議院総務委員会で「大阪都構想」の質疑が行われました。「大阪市が廃止された場合、元に戻れるか」との質問に対し、高市早苗総務大臣(当時)は「元に戻る法律はございません」と答弁しています。
 大阪市が廃止されると、大阪市の税収8602億円のうち、5515億円が大阪府に吸い上げられます。
 大阪府・市の財政一元化による「成長戦略」がめざすのは、夢洲IRカジノなどの巨大開発。行政制度を変えても、かつて財政赤字を招いた湾岸開発の失敗が繰り返されるだけです。
 特別区は大阪府から「財政調整交付金」を受けますが、「交付金」の支出は府の自由裁量です。カジノIRなどの巨大開発が失敗して府の財政が苦しくなればいつでもカットされ、敬老パスや子ども医療費助成などの住民サービスは維持できなくなります。
 4分割により同じ部局を4つそろえ運営するのですから、経費は増大します。システム改修や移転などの初期コストは241億円。移行後はシステム運用などの維持コストだけでも年30億円増えます。

医療・保健所体制
強化し検査拡大を


 吉村大阪府知事は連日メディアに登場し、コロナ対策をアピールしますが、10月1日10時現在、大阪府の感染者数は10534人(死者204人)で東京都に次いで全国2位。3位の神奈川県は6814人(138人)ですが、人口(大阪府=882・3万、神奈川県=905・8万)を考えると大阪府のコロナ対策が成功しているとは言い難い状況です。
 松井大阪市長は「検査数を増やすと医療崩壊を起こす」と言いますが、大阪市の医療体制、保健所体制の強化こそが急務なのであり、「都構想」にうつつを抜かしている場合ではありません。

本流逆流(10月5日付コラムより)
2020/10/05

 故中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬が10月17日に行われる。「コロナの感染状況が落ち着いてきたことから開催を決定した」という(時事、9月10日付)。費用1億9千万円のうち9600万は税金で賄われる
 ニュースサイト「リテラ」に「ベテラン政治評論家」の解説として興味深い話が載っていた。安倍前首相の祖父・岸信介元首相の合同葬を取り仕切ったのが当時の中曽根首相であり、「元A級戦犯の容疑者である上、60年安保を強行したことで国民から盛大な葬儀を行うことには反発が強くあった」が合同葬は盛大に執り行われた。「そういうことに恩義を感じた安倍さんが、盛大にやるように菅さんに申し送りをした結果ではないか」というのが評論家氏の見立てだ。安倍首相として最後の公私混同案件か。
 元首相といえば森喜朗・東京五輪組織委会長が同五輪について「どんなことがあっても、来年は必ずやる」と述べたという。9月30日に新規感染者が194人を数えた東京のGoToもやがて解禁される。
 もはや世間はこの感染状況を受け入れてしまった感がある。やんごとなき人々のメンツだの利権だのの前では我々の命など鴻毛のごとく軽い。

大阪労連「決起集会」開く
2020/10/05

大阪労連「決起集会」開く 集会最後に「私は都構想に反対です」と書かれたポテッカーを掲げる大阪労連のなかま

大阪市廃止ノー


 大阪労連は9月28日、「大阪市廃止反対!維新の会の横暴許すな!決起集会」を国労大阪会館(大阪市北区)で開き、大阪市住民投票(11月1日)勝利に向けた決意を固めあいました。

 主催者あいさつを行なった大阪労連・菅(かん)義人議長は、「11月1日に行われるのは大阪市の住民投票だが大阪市だけの問題ではない。大阪市が廃止されたらその後は隣接する各自治体にも波及する」「“安倍改憲”は阻止できたが菅(すが)首相も改憲にしがみついている。その補完勢力としての日本維新の会を止める意味でも、住民投票を勝ちきらないといけない」と強調し、奮闘を呼びかけました。

大阪に「二重行政」なし

 続いて学習会が開かれ、「大阪市をよくする会」の中山直和事務局長が「大阪都構想」の問題点、大阪市が廃止された場合に予想される事態などについて解説しました。
 中山氏は、松井大阪市長が8月の市議会本会議で「いまは“バーチャル大阪都”で府知事と連携できているから大阪に二重行政はない」と明言し、「二重行政の解消」という「都構想」の謳(うた)い文句と矛盾していることを紹介。
 さらに中山氏は「維新の『成長戦略』はインバウンドが相手の大型開発が中心だがコロナ禍で破たんした」「我々の運動として、どんな大阪、どんな日本をつくるのかを示す必要がある」と指摘。「コロナ禍で医療、福祉、教育の大切さが明らかになった。ここにお金をつぎ込んで待遇を良くして、人を増やそう」「貧困撲滅、格差是正による個人消費の拡大で地域経済を良くしよう」「世論調査では『都構想』について『説明不十分』が7割。腰を据えて対話に取り組もう」と呼びかけました。

投票日まで連日宣伝

 行動提起を行なった大阪労連・嘉満智子事務局長は「『都構想』は大阪維新の会の“1丁目1番地”。これを阻止することは、維新の存在意義を削ぎ、カジノ誘致阻止につながる」と強調。「住民投票告示日行動」(10月12日)や、投票日まで連日行われる宣伝行動などへの協力を要請しました。