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月別バックナンバー
2012年11月の記事
総選挙12月4日公示、16日投票
2012/11/28
マスコミの争点隠しに騙されるな!
野田佳彦首相は11月14日の党首討論で自民党の安倍晋三総裁に対し「16日にも解散してもいい」と表明、総選挙は12月4日に公示、同16日投票が確定しました。
この間、マスコミは橋下徹大阪市長と維新の会、石原慎太郎前東京都知事の動向を流し続け、“国民は3年間の民主党政治をどう評価するのか、自民党が政権奪回を果たすのか、はたまた第三極が”といった具合に3つの勢力だけで争われているような報道に終始していますが、この選挙の争点は消費税増税、TPP、原発です。この3点において前出の3勢力の態度に差はありません。TPP推進、原発再稼働は財界、アメリカの要求であり、消費税については談合で増税を決めた民主と自民・公明に対する批判票を維新が取り込む、というのが支配層が描くシナリオです。
消費税増税阻止、TPP反対、原発即時ゼロを明確にする政党対「民主・自民・公明・維新」、これが総選挙の正しい構図です。大阪地連は組合員の政党支持の自由を保障したうえで、日本の未来のための「政策選挙」に全力をあげます。
形式的判断で反社会的行為容認 司法は有期労働者の苦痛を知れ
2012/11/15
集会後のデモ行進で「ダイキンは労働者を人間らしく扱え」と拳を突き上げるなかま(大阪市北区のダイキン本社前で)
ダイキン「有期間社員」
雇い止め撤回闘争
大阪地裁が不当判決
JMIUダイキン工業争議・地位確認裁判は11月1日、大阪地裁第5民事部(別所卓郎裁判官)が原告・組合側の請求を棄却。企業論理に迎合し、労働者の雇用を不当に奪った反社会的行為を容認する不当判決を下しました。JMIUダイキン工業支部のなかまは引き続きたたかう決意を表明しています。
2006年末に大阪労働局から偽装請負の是正指導を受けたダイキンは、請負会社に登録して働いてきた「支援従業員」を直接雇用に切り替えますが有期(2年6か月)か職場を去るかの二者択一でした。原告の4人はただちに職を失うのを恐れやむなく契約書に捺印しましたが、この時点で同社でのキャリアを6〜17年重ねており、偽装請負期間中にいわゆる「黙示の労働契約」が成立していたのは明らかです。
同社は2010年2月以降、240人以上を新たに有期契約で雇用する一方で、同年8月31日に期間満了となった203人を雇い止めにしました。ダイキンがこのような首のすげ替えを行なったのは、契約を継続・反復すると「期間の定めのない契約」とみなされ、会社都合の身勝手な首切りができなくなるからです。脱法的に雇用責任の回避を図ったわけです。
裁判では、こうした背景や事情を勘案した上で雇い止めが認められるのかが争われてきましたが、今回の判決で大阪地裁・別所裁判官は「黙示の労働契約」を認めず、形式的な判断だけで契約書の「合意」を有効としました。
支援共闘会議など5団体が判決を受けて同日に発表した「声明」は「裁判所がいかなる判断を下そうとも、ダイキンが長期にわたって続けた違法な偽装請負の事実や、これを改めることを口実に合理的理由のない有期雇用に切り替え、仕事があるにもかかわらず大量203名もの労働者の雇用を奪った反社会的な行為の真実が正当化されたわけではない」としています。
情勢変える運動を
JMIUダイキン工業支部・青山委員長は、JMIU大阪地本発行のビラに掲載した手記の中で「裁判所の役割をかなぐり捨て、企業の論理を優先させた極めて不当な判決。企業に対して雇われる労働者が圧倒的に弱い立場にあることから、その権利保護を目的とした労働法の趣旨をまったく理解せずただ企業の主張のみを鵜呑みにし、結果的に企業に与(くみ)した」と指弾。「判決をこのまま野放しにすると自由自在に有期雇用が認められてしまい、労働情勢に大きな影響を与えてしまう」「このような判決を平然と書かせてしまった今の日本の情勢や世論に大きな問題があるということを私たちは再認識し、これを変えてゆく運動を強めなければいけない」と記しています。
11月7日に同地本が扇町公園で開いた「決起集会」でも青山氏は「この不当判決を控訴審で覆したい」と力を込め、引き続いての支援を訴えました。
弱者の足奪う橋下市政
2012/11/15
市営交通の「民営化を問う学習会」には230人が参加(11月3日)
地下鉄・市バスは市民の財産
学者、労働組合、市民団体で組織する「市民の交通権と大阪市営交通を守り発展させる会」(大阪市営交通の会)が11月3日に結成されました。同会の結成準備会主催の学習会が同日に大阪市中央区で開かれ、橋下大阪市長が狙う地下鉄民営化、市バスの不採算路線廃止について、市民の財産が財界に売り飛ばされ交通弱者が切り捨てられる問題点を明らかにするとともに、将来の都市交通のあり方など、活発な討論が行われました。
基調報告で土居靖範・立命館大学教授は市営地下鉄の民営化について、大阪市民が多額の税金拠出や運営負担で築きあげてきた貴重な財産を民間交通資本に安く売り飛ばすものだと指摘。他方、採算のとれない市バス、特に赤バスを廃止すれば高齢化が著しい大阪市民の交通権が奪われ、高齢者は病院や買い物などへの外出が困難になり「じっと死を待つのみになる」と橋下大阪市長を批判しました。
土居教授はさらに、大阪都市圏住民の交通権を保障する指標として、すべての住民に「バス停は自宅から300メートル・徒歩5分以内」とする総合交通政策を提起しました。
市民は大損
鉄道大手は大儲け
参加した視覚障害者からは「地下鉄今里筋線と長堀鶴見緑地線の全駅ホームに可動柵を設置するなど市交通局は安全対策に力を入れている。混雑が最も激しい御堂筋線にも導入が予定されているが、民営化になればどうなるのか不安」との発言がありました。
また、各団体の代表から「敬老パスは高齢者の社会参加や医療費削減に寄与している」「高齢化で自動車を運転できない人が増える時代なのに、橋下市長は公共交通のない社会を目指している」「交通局の財務処理は健全。民営化の必要はない」「市バス守口車庫(12904平方メートル)は簿価で1283万円だが実勢価格は38億7千万円。民営化で京阪バスが買えば大儲け、大損するのは市民」などと報告がありました。
最後に「大阪市営交通の会」結成の提案と行動提起が行われ、地下鉄・市バス民営化の問題点、市営交通の役割を広く知らせる宣伝行動や、市当局・市議会への働きかけを強め、陳情、請願署名、議員要請、政策研究活動や学習会、集会に取り組むことを確認し閉会しました。
自治体への運動
さらに強めていく
同会には自交総連大阪地連も参加。学習会に参加した大阪地連・松下書記次長は「都市の交通政策は市民の交通圏を確実に保障する観点で、基軸となる鉄道から個別輸送機関であるタクシーまで総合的に検討されなければならないが、橋下市長は交通事業を金儲けの観点でしか見ていない。私たちも大阪市に向けて自治体としての責務を果たすよう、さらに強く求めていく」と話しました。