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月別バックナンバー
2021年12月の記事
本流逆流(12月15日付コラムより)
2021/12/15
新型コロナの出現から約2年。近頃ではめったに見ない「マスクなし」だが、大分県臼杵市の市会議員がマスクを着けずに議会に出席し、議長から退席を命じられ、一般質問もできないなど波紋を広げている。
欧米などの諸外国では「マスク」着用を極端に嫌う人が多く、規制されることに反対し暴動に発展することも珍しくないが、日本人はなぜか「マスク」をつけることに抵抗感が少なく、マスク生活が「社会常識」に。
波紋を広げる臼杵市議の主張は「形式的なルールによってマスクをさせられている状況を考えた時に安易に私がマスクをして一般質問するという選択はできないという自分自身の結論に達したので、今回はノーマスクで議会に臨むという決断をした」と報道されていた。
市民の代表である議員が、責務である市議会での質問ができない状況に追いやられても、個の主張を繰り返しているが、結果的に職務放棄と同義になる。
移り変わる「常識」に囚われるのは、時として問題がある場合も少なくないが、新型コロナの犠牲者を減らせる「マスク」着用は欠かせない。だけど何時「マスク」を外せる生活に戻れるのか誰か教えて欲しい。
大阪交運共闘第31回定期総会ひらく
2021/12/15
団結ガンバロー三唱で第31回定期総会をしめくくる大阪交運共闘のなかま(12月4日、自交会館で)
交通運輸産業の危機
団結して乗り越える
自交総連大阪地連も加盟する大阪交通運輸労働組合共闘会議(大阪交運共闘、南修三議長=全港湾阪神)は12月4日、第31回定期総会を自交会館(大阪市浪速区)で書面開催し、「2021年度活動報告」「2022年度活動方針」などすべての議案を全産別全会一致の賛成で可決しました。
大阪交運共闘は今回の総会も前回と同様に新型コロナウイルスの感染拡大を考慮して会場出席は役員と総会議長にしぼり、事前に加盟各産別に議案書と議決票を送付、議決票の返送確認をもって総会出席とすること、1産別につき1議決権とすることを第5回幹事会(11月18日)で確認しています。
総会当日は役員12人中、加盟全産別から11人が会場出席。全港湾阪神・久保田書記長を総会議長に選出して議事を開始。運天幹事(自交大阪)が資格審査を務め、加盟6産別すべてから議決票が届いたことを報告、総会成立を宣言しました。
さらなる労働条件悪化
被害は国民全体に及ぶ
あいさつを行なった南議長は2021年度の活動について「昨年に続きコロナ禍のもとで宣伝行動や行政交渉もかなわず、もどかしい一年だった」と振り返り、「燃料費の高騰で交通運輸産業は大変きびしい状況が続いている。22年度こそはコロナが終息し運動にしっかり取り組める状況のもとで、交通運輸の労働条件改善、諸問題解決に向けて前進を図りたい」と抱負を述べました。
議案提案を行なった庭和田事務局長(自交大阪書記長)は「コロナ禍により交通運輸産業は深刻な影響を受け、事業存続さえ危ぶまれている。交通運輸におけるさらなる労働条件悪化は安心・安全の低下、交通事故増加にもつながり、ひいては利用者・国民全体に被害が及ぶ」「新自由主義にもとづく規制緩和政策の抜本的な見直し、交通運輸の労働条件改善に向けて、取り組みの強化が求められる」と訴えました。
議案採決では、すべての議決票が「賛成」であることを総会議長・久保田氏が確認。22年度役員体制も確立し、自交大阪からは庭和田事務局長と運天幹事が再任されました。
10争議解決めざし大阪争議支援総行動
2021/12/15
スタート集会で大阪地裁・高裁に向けて「公平公正な判断を行え」とシュプレヒコールする大阪労連・大争共のなかま(12月10日、大阪市北区で)
権利侵害に苦しむ労働者
ひとりも取り残さない
大阪労連と大阪争議団共闘会議(大争共)は12月10日、「大阪争議支援総行動」(毎年春と秋に実施)を終日展開。大阪府内で争議を抱える使用者や背景資本への抗議・要請行動を10か所で取り組み、自交大阪のなかまも9人が奮闘しました。
行動は大阪市北区の淀屋橋と裁判所前での早朝宣伝からスタート。淀屋橋での宣伝でマイクを握った大阪労連・菅(かん)義人議長は「私たちは頑張っていろんな争議を解決してきたが、泣き寝入りしている人もまだ多くいるはず」「権利侵害に苦しむ労働者を1人も取り残さない、1日も早くこの大阪から争議をなくして憲法が活(い)きる社会をつくっていく、企業にも自治体にも社会的責任を果たしていただく」と語気を強め、「労働者1人だけでは弱い。労働組合として団結するのはもちろんのこと、多くの皆さんの理解と支援が必要」と道行く人々に向けて訴えました。
世論を味方に
抗議・要請行動の出発前に「スタート集会」が裁判所前の公園で開かれました。
あいさつを行なった大争共・粕谷武志議長は、「裁判闘争では運動をきちんとつくりあげて、署名集めや宣伝を目一杯やっていくことが必要。少しでも手を抜くと裁判官は力の強いほうに向いてしまう。驚くような不当判決が出ることもある」「不当解雇や賃金未払いなど“こんな酷(ひど)い企業を許していいのか”と世間に訴えて世論を味方につける、不買運動も拡げて企業を追いつめていく、そういう取り組みが必要」と述べ、「今日一日、みんなで力を合わせてがんばろう」と呼びかけました。
決意表明を行なった大阪市役所労働組合・井脇和枝委員長は「市民のために働きたいという市職員の願いが踏みにじられている。“市民のために”という思いがない維新を退場させなければ大阪市の争議はなくならない」と訴えました。
労働者の声 置き去りにするな
2021/12/06
労働者と市民の権利を擁護するために法律家(弁護士や学者)と労働組合・市民団体が手を携えて活動する民主法律協会は11月26日、「解雇無効時の金銭救済制度に反対する声明」を発出。制度の導入ありきの議論を直ちに中止するよう求めています。
解雇無効時の金銭救済制度導入に反対する声明
2021年11月26日
民主法律協会 会長 萬井 隆令
1 厚生労働省は、2018年6月12日に、「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」(座長は山川隆一東京大学教授。以下「法技術検討会」という。)を設置し、現在まで計15回開催して、いわゆる「解雇の金銭解決制度」について取りまとめの段階に至っているようである。
2 法技術検討会は、その趣旨・目的を「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的な論点について議論して整理を行うこと」(「解雇無効時」とあるが「労働契約法19条に該当する雇止め時」を含むものとされている)として設置された。
厚労省の当初案は、使用者側からの申立権をも認めたものであったため、反対の声が大きく、それを取り下げて、労働者だけが申立てをできる案とした。しかし、現在でも、労働者が希望すれば和解によって金銭解決は可能であり、それとは別に新たに制度を作る必要はない。しかし、厚労省は、制度導入に固執し、「法技術的な論点」だけを検討するとして法技術検討会を設置し、実態は導入ありきの議論に終始している。
3 労働者は、解雇・雇止めされれば、生活の資である賃金が突如として得られなくなり、積み上げてきたキャリアが水泡に帰すことになる。
同制度は、裁判において解雇が違法・無効とされた場合になお、一定額の金銭の支払によって解雇を容認する。使用者に、裁判所が違法・無効と判断した解雇であっても、金銭さえ支払えば当該労働者を企業から排除できるという感覚を醸成するものであり、違法・不当な解雇・雇止めを助長することは必至である。違法・不当な解雇を抑制することを目的とする法規制とは真逆の効果を生じさせるものでしかない。
現在検討されている制度では労働者申立権に限定しているが、解雇の金銭解決が定着すれば、違法・不当な解雇・雇止めについて金銭で解決することが普通のことと考えられるようになり、使用者側にも申立権を認めるべきとの動きが拡大するおそれが大きい。
使用者側にも申立権が認められれば、金銭を支払えば組合員を職場から排除することが可能となる。それは労働者の団結と組合活動の権利を著しく阻害するもので、不当労働行為の救済として原職復帰を含めた原状回復が原則とされていることとも相容れない。
4 法技術検討会は「労働者保護の観点から、紛争解決に係る労働者の選択肢を増やすこと」を議論の基本的視点としているが、第4回検討会で労働者側弁護士らのヒアリングを行い、制度導入反対の厳しい意見が出されたにもかかわらず、その後も導入ありきの議論しかなされておらず、ヒアリング自体がアリバイ的になされたとのそしりを免れない。
労働者不在での議論が進められた結果、法技術検討会では、雇用の安定を求める労働者の声が置き去りにされてしまっている。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多数の労働者が雇用を奪われ、雇用に対する不安が大きい。解雇規制を緩和し、違法な解雇・雇止めを助長することが必至な制度の導入ではなく、雇用の安定の実現こそが望まれる。
5 民主法律協会は、労働者の権利を擁護することを目的とする団体として、上述の理由により「解雇の金銭解決制度」の導入に断固として反対するとともに、法技術検討会における制度の導入ありきの議論を直ちに中止するよう求める。