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2008年01月の記事
三和交通事件府労委第1回審問
2008/01/25
会社側のウソ明らかに
12月27日、三和交通労組(十河広勝委員長)が三和交通(新家照正社長)の不当労働行為について、大阪府労働委員会に救済を申し立てていた事件の第1回審問が同委員会で行なわれ、証言台に立った十河委員長は会社側説明のウソを明快にあばきました。
審問はまず、大阪地連・権田委員長(申立人側補佐人)の質問に十河氏が答える形で行なわれました。
会社側は府労委に対する「答弁書」で、走行経費の還元(営収の5%)廃止については「全運転手を対象に説明会を開き、出席者全員の賛意を得た」「組合員は出席しなかった」と説明していました。
しかし十河氏は「組合には説明会の案内がなかったが、一戸書記長が出席した」「書記長の報告では中身の説明が不十分で、賛否の確認もなかった」「廃止の撤回を求める署名に従業員の過半数が応じている」と証言。
続けて行なわれた元労働者代表・田中幹雄氏への審問では、十河証言の正しさが裏付けられるとともに、会社による労使協定のでっちあげが浮き彫りになりました。
審問中は、核心にふれる質問のたびに会社側の守谷代理人が「これは誘導尋問だ。異議!」などと声を張り上げて妨害し、傍聴支援に駆けつけた30人のなかまから反撃される場面が繰り返されました。
審問終了後、十河氏はなかまに謝辞を述べるとともに「会社側が執拗に妨害してきたのは、追い詰められていることの表れです。今後も府労委闘争は続きますが、皆さんのご支援をお願いします」と述べました。
特集3 これが深夜の大阪駅の実体だ!!
2008/01/09
チャブリ・白タクに境目なし
12月のとある日の深夜。一流企業「ハンドル商事大阪本社」の小泉純一営業二課長(仮名)と部下の安倍新三クン(仮名)は東京出張を終え、新大阪駅に降り立ちました。「もう遅いし、タクシーで帰るか――」
「特集3」は、性格の対照的な2人のサラリーマンが遭遇したチャブリ(客引き行為)集団の実録リポートです。
メーターなんかいりまへん
ワンメーターは乗せまへん
2人が駅の正面口を出てタクシー乗り場に向かおうとすると、5〜6人の運転手らしき男たちが、乗り場の手前で待ち構えていました。その中の1人が声をかけてきました。「はい、タクシー。どちらまで?」
小泉課長の自宅は大阪府南部のA市。通常だと1万2,3千円かかります。一方の安倍クンは天王寺から電車で約10分のB市。約8千円ぐらいです。
「Aは1万円、Bは6千円で行きます。高速代込みで」と、男たち。「よし、これにするか」。
自動ドアも行灯もなし
「Bのかた、こちらへどうぞ」。運転手はタクシー乗り場とは逆方向に、駅の中へ安倍クンを連れていきます。エレベーターで1階に下り、空港バス乗り場へ。そこに黒いセドリック1台が止まっていました。なぜか行灯(あんどん)がついてません。
運転手がトランクを開けました。「荷物はこっちに入れますから。どうぞ乗ってください」。安倍クンは不安そうに荷物を渡し、自分でドアを開けて後部座席に乗りました。何かおかしい。
「それでは、行きますよ」 車が走り出しました。
過当競争の成れの果て
安倍 景気はどうですか?
運転手 ダメですね。大阪の場合はね、お客さんも少ないけど、車が多すぎてね、1台当たりの稼ぎが…バブルの時から比べたら売り上げが半分くらいしかないですよね。
安倍 おれ、東京から帰ってきたとこなんですけど、東京、値上げしてましたよ。どない思います?
運転手 そら、東京はできるけど大阪はできないですわ。値段が不統一やから。車によって違うんですわ。それでいて、さらにややこしい問題があるんですわ。5千円以上は5割引きゆうて、(後略)
安倍 そんだけ安くなってるんやったらお客さん、増えそうなもんやのにね。
運転手 こんなんはね、会社同士の…常に言うてる…過当競争ですわ。今では大阪の85%ぐらいが5割引きやってますよ。
安倍 そないなったら、もう競争ちゃうやん。
運転手 競争によって、そうなったんですよ。
安倍クンは運転手の話を聞きながら思いました。以前にどこかの労働組合の機関紙かなんかで、似た話を読んだことがある…
僕ら5千円以上が専門
安倍 ほんでこの車はなんぼですの?
運転手 6千円です。
安倍 いやいや、ワンメーターいくらとか。
運転手 ワンメーターとかそんなとこ走りませんわ、僕らは。ワンメーターがあっても無くっても。まあ、つまり言うたら5千円以上のところで…
安倍 専門で。
運転手 そうそう。僕ら長年のベテランやから、どっからどこまでなんぼあがるなんて、わかってるわけですよ。ですからそれ以下で、2割3割(引き)の金額しか言いませんから。高いこと言うてお客さん乗ってくれる訳ないんやから。
安倍 今パッと気ついたんやけど、この車、メーターがついてない!(笑)
運転手 メーターなんか…僕らメーターなしで走ってるんですよ。契約で走ってまんねん(ニヤリ)。
安倍 契約?そんな契約あんの?
運転手 ありますねん。どこどこまではいくらで走りますよ、と。走った距離割り出したら値段というのは出てくるわけですわ。それを2割ないし3割のダウンでね。どんな割引きの車も太刀打ちできませんわ。
安倍 それやったら、もっと宣伝してもらわな。
運転手 いや、こんなんはおおやけに宣伝したら…
安倍 宣伝したら売れますよ。なんぼでも乗ってきますやんか。
運転手 それはね、あまりね、やったら…やっかみとかあるんですわ。
潜行して仕事してます
安倍 難しいんやね。
運転手 難しいんですよ。そんなんね、自分さえ良かったらええというようなあれは、みんな、あれですよ、チンコロ入ってしまいます。ねたんでね。あそこはよう儲かってるなと思うところには必ず、やっかみが入るわけですわ。だから静かに潜行して、仕事しとったらよろしいねん。
車は約30分でB市に到着。安倍クンが6千円を支払い、受けとった領収証はH交通のものでした。荷物を受け取った時にナンバープレートを確認すると、やはり白ナンバー……
深夜 暴走する白タク
危険にさらされる利用者
一方の小泉課長が乗った車も、行灯やメーターがありませんでした。
小泉 この車。タクシーと違(ちゃ)うんか?大丈夫なん。
運転手 メチャクチャ大丈夫です。タクシーより乗り心地ええぐらいです。(車は)タクシー仕様やけど、まあ僕らヤミタクでやっているようなパターンですわ。
小泉 ヤミタクて…
運転手 白タクです。
小泉 白タク?白タクってきょうび、まだあるんかいな。
運転手 みんな化けて出てくるんです。
小泉 大阪駅から乗るときもあるけど、大阪駅でも声かけてくる運転手さん、おるな。
運転手 私です。
小泉 私ですんか(笑)。会(お)うたことないけどなあ。
運転手 僕、大阪駅の東にいてるんですよ。東いうのは阪急とあれの間です。
小泉 大阪駅ではタクシーの営業車に乗ってるんか。
運転手 乗ったり、これでおったりしますよ。
小泉 これ自分の車?
運転手 自分のです。タクシー長いこと乗ってるでしょう。軽買おか、プリウス買おか、何にしよかと思ってよう考えたら、いざゆう時でもこんなん乗れるようにタクシー仕様買(こ)うといたら、いちばん便利やなあと。
深夜の高速道路を、平均時速110キロでぶっ飛ばす運転手。時には120キロを超えることも。
ETC減速せず高速で
小泉 もうちょっとスピード落としてや。おれ、あんまり飛ばしていくの気持ちええことないから。運転手さん急いでんのかわからへんけど。
運転手 急いでないですけどね。
小泉 事故されたら怖いからな。
車が中継料金所に差しかかりました。しかし、運転手はまったく減速しません。車は高速のままETCのレーンに突っ込んでいきます。小泉課長危うし!
「うわー!」
ぶつかる寸前でゲートが開き、事なきを得ました。
小泉 あ、あんなスピードで…
運転手 僕、160、170でも走りますけど、大丈夫です。あの器械、当らんようにできてるんです。
小泉 あれ、20キロに落とせって書いてるがな!
運転手の携帯電話の呼び出し音が鳴りました。
白タク組織的に運営か
「はい、Zです。はいA市の近辺、もうすぐ降ろすとこ。岡山?ああいいよ。うん。うん。ほんなら空港で待っといて。なんぼって値段決まっているのかなあ。OK、OK、了解。そんならすぐ電話入れます。よろしく」
小泉 うまいこと仕事あったんか?
運転手 なんか岡山行きがあるから、今から新大阪から伊丹まで積んで、空港で待ってるって。そこから僕が山陽道で。
小泉 岡山?岡山まであるんか?
運転手 あります。僕ら岡山、広島、仙台とか行きますよ。昔は営業車おいて、ガソリン車に乗り換えて行ってました。せやないと燃料が持たない。いろんな仕事がありますね。
悪質運転手排除早急に
小泉 そこ突き当たったとこでええわ。領収書やけどな、ちょうど1万円のメーターってないやろ?1万円に近いとこらへんで書いてくれるか?
運転手 (料金表を見ながら)1万430円にしましょうか。ありがとうございました。またどっかで声かけます。
小泉課長が受け取った領収書はOタクシーのもので、運転手名の欄には電話に出た時のZではなくYと書かれていました。
――以上が新大阪駅のチャブリ+白タク集団の実態です。私たちが事前に想像していた以上に彼らは組織的で、周到でした。安全運転や遵法精神などそっちのけ。事故が起きた場合、利用者への保障はどうなるのか。まじめに働く乗務員がバカを見ています。いつまでこの集団を野放しにするつもりなのか?運輸行政およびタクセン、大阪府警は早急に悪質運転手の排除に取り組むべきです。