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2011年06月の記事

タクシー運転免許実現めざす政策研究集会・詳報 その2
2011/06/27

タクシー運転免許実現めざす政策研究集会・詳報 その2 規制緩和反対闘争について振り返る交運研・田中事務局長(6月7日)

10年ごとに規制緩和めぐる動き
台数規制と歩合給セットで議論


交通運輸政策研究会・田中事務局長

 規制緩和をめぐる大きな動きは、1979年のOECD勧告から2009年のタクシー活性化法に至るまで、およそ10年ごとに起こっています。
 それでこの10年の間には何が起こるかというと、必ず業界のアウトローが規制緩和を先取りして世の中を騒がせるわけです。トラックの時は佐川急便、タクシーの時はエムケイですね。同時に御用学者も暗躍します。10年の間に、規制緩和を推進する側と止めようとする側のつばぜり合いがあり、その結果が次の法改正、もしくは改悪に表れるんです。
 現場で勝負しなければならない問題が非常に多いと思うんですね。需給調整の問題でも地域協議会で議論するとはいえ、やっぱり現場の問題なんですよ。現場で経営者が「車が多くないと利用者が増えないじゃないか」「歩合給でやっている限り、車は増やさないといけない」と言い続けている間は、この問題は解決できないわけです。いま新しい段階を迎えている台数規制と歩合給の問題をどのようにセットして議論するかということも考えなければなりません。
 これは職場でないと、つばぜり合いができませんね。本部が理論的に解明するのは容易ですが、この会場で「累進歩合制は通達で禁じられている」と何回言っても、やはり現場でその感覚を持たないと、つばぜり合いで勝てないのではないかと思っています。

タクシー運転免許実現めざす政策研究集会・詳報 その1
2011/06/27

タクシー運転免許実現めざす政策研究集会・詳報 その1 被災地のタクシーの状況について報告する宮城地連・石垣書記長

被災地復旧・政策闘争は正念場
タクシー再生めざし現場で勝負


 6月7日に自交本部が開催した「タクシー運転免許実現をめざす政策研究集会」(東京・全労連会館)では、基調講演・問題提起(前号で報道)に続いて、宮城地連・石垣書記長が東日本大震災以降の宮城県のタクシーについて報告しました。交運研事務局長の発言と併せて要旨を掲載します。

復興に欠かせない地域の足守れ
事業者まかせでは立ち行かない


宮城地連・石垣書記長(自交本部副委員長)

 石巻市の北上タクシーと名取市の平和タクシーは、社屋も営業車も被害が深刻で、いま宮城地連はこの2社の復旧に全力を挙げています。
 石巻市が北上タクシーに事業再開を要請していますが、同社はまだ再開のメドが立っていません。組合のほうも60歳以上のなかまが大半で、正念場を迎えています。
 震災前の同社は1か月の営収が20万円前後で、最低賃金法遵守もままならない状態でした。地域には一定のタクシー需要がありましたが、採算ベースから見るとなかなかきびしい状態の中で震災に遭ったわけです。
 また、平和タクシーは本社が岩手県にあるのですが、社長が名取からの撤退の意向を表明しました。けれども従業員が“何とか残せ”とがんばって、つないでいます。全国の皆さんから営業車両など提供していただき、営業再開の見通しが立ってきました。本当に皆さんのおかげだと思っています。
 やはり事業者まかせにしていたのでは、公共交通機関としてのタクシーはいずれ立ち行かなくなると思っています。震災からの復旧・復興をめざすうえで、地域の足を守るために、国や自治体がタクシーにいかなる補助を行なっていくのかがいま問われていると思っています。

自交本部が政策研究集会開く
2011/06/15

自交本部が政策研究集会開く 発言する交運共闘・藤好議長(6月7日)

乗務員・利用者が主人公  タク運転免許実現しよう


 自交総連本部は6月7日、「タクシー運転免許実現をめざす政策研究集会」を東京・全労連会館で開催。北海学園大学・川村雅則准教授が基調講演を行い、各地連、交運共闘、交運研のなかまが発言しました。

 主催者あいさつで自交本部・飯沼委員長は、「自交総連は21世紀の日本のタクシーが進むべき道として、輸送の安心・安全、誇りの持てる働き方、地域貢献を掲げてこの間運動を進めてきた。タクシー運転免許構想を発表してから12年が経過している。このタクシー運転免許制度は、乗務員の資質を高め、働き方の選択権を保障する。そして運転者数の制限によって適正な台数を維持し、利用者と運転者が主人公になる制度だ」として、同構想実現に向けた今後の政策提言についての活発な討議を呼び掛けました。

 「基調講演」に続いて「問題提起」を行なった本部・今村書記長は、「いまの地域協議会を発展継続させ、台数や運賃、地域のタクシー政策に決定権を持つような仕組みをつくる」などの目標を示すとともに、「地域的に最賃違反を一掃すること。最低賃金を基礎とした固定給部分の制度的獲得を図る」「最賃違反にならない賃金システムができれば減車にも結びつく」と強調。「地域計画で示された適正車両数は、規制緩和前(2001年度)の水準に戻すという考え方だが、到底必要な労働条件改善に結びつかず、問題が残る。今後、たたかいをどう強化していくのかが非常に重要になってくる」と指摘しました。

 大阪地連の庭和田書記長は、「全国的に乗務員資質が低下している。タクシー運転免許法制化を進めるにあたって、悪質乗務員に免許を付与させない仕組みが必要」として、大阪タクシーセンターの「苦情事例集」を紹介。「労使の努力で信頼を取り戻さなければ産業が本当に壊れてしまう」と危機感を表明しました。

大阪駅新乗り場認知度£痰「!?
2011/06/07

大阪駅新乗り場認知度£痰「!? ビル出入口の近いところにEV車、その後部にHV車=同日、13時32分

利用者はEVから


 5月23日にオープンした大阪駅ノースゲートビルのタクシー乗り場は、電気自動車(EV)とハイブリッド車(HV)限定のため、期待していたのに入構できずにガッカリしているなかまも多いはず。同29日(日)の新乗り場の様子をリポートします。

 新乗り場は「三越伊勢丹」2階の西端にあります。新装オープン間もないこともあり、駅・百貨店ともに買い物客や見物の人で大賑わいでしたが、乗り場の一角はひっそりとした佇(たたず)まい。EVとHVのブースが1つずつあり、待機場は乗り場から見えません。営業時間は7時〜25時20分、EVは走行可能距離の関係から近・中距離専用(15`以内)、HVは全距離対応です。

 13時からきっちり1時間、調査してみました。百貨店から出てきた人の大半は駐車場行きのシャトルバスに乗り込みます。それでも5〜10分ごとにタクシー利用があり、実車回数はEVが5回、HVが4回でした。うち、EV・HV1台ずつが2回実車。どうやら待機車はゼロのようです。利用者がHVに乗ったのは、すべてEVがブースにいない時でした。また、両ブースとも空いている時間が10分程度ありました。

 調査を終え、EVに利用者として乗り(JR天満まで=1460円)、乗務員A氏と会話してみました。

EV乗務ストレスたまる

 A氏によると実車回数は日勤乗務で1日11〜12回。ガス車に乗務していた時と比べると給料は「大幅に下がった」とのこと。A氏にEV車の乗務を希望したのか尋ねると、「会社から乗務して欲しいと言われた。給料が下がっているので元に戻して欲しいと言っているが、返答してくれない」と不満を漏らします。

 また、つねに燃料残量を気にしなければならないので、待機中はアイドリングをストップしているうえに、「長距離利用者を乗せられないので、すごくストレスがたまる」と吐露していました。

 EVに乗車して思ったことは、加速も良く走りがなめらかなうえ室内が静か、新車でたばこ臭もなく快適な空間でした。利用者が選んでいるのも頷けますが、A氏の努力を聞いていたのでクーラー使用時に本来のタクシーとしての役割が果たせるのか、夏場に再調査する必要性を感じました。