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2011年07月の記事

タクシー適正化の現状 大タ協統計から検証
2011/07/25

遠くに霞む適正賃金
減車したのに何でや


 大阪タクシー協会がまとめた「大阪市域タクシー輸送実績」によると、大阪市域の中型車日車営収は昨年12月〜2月が前年比増、東日本大震災の影響を受けた3〜4月は微減、5月になり再び増に転じましたが、2万6千円台と相変わらず厳しい状況です。

減車前と同水準
稼働率8割前後


 中型車に限って数字を拾ってみると、繁忙期の12月は3万円台に回復し、前年比1462円増(以下、増減はすべて前年比)。1月と2月もそれぞれ1295円、1545円の増でした。昨年からの減車の効果が表れたものと思われますが、他産業の賃金水準に追いつくためにはなおいっそうの減車が必要です。
 営収と同様に稼働率も微増。3月以降は3ポイント前後の増で推移していますが、昨年からの減車を経てもなお80%前後の稼働率ですから減車の余地はまだ多く残っています。

僅かな減車効果
大震災で消えた


 3月になると震災による自粛ムードの中で269円の減に転じ、4月も190円の減。5月には1168円の増となりましたが、閑散期でもあり6か月中では最低の26346円でした。
 6か月の日車営収を平均すると28175円となり、仮に月14乗務・賃率55%の条件で年間賃金を推計すると260万3370円。厚労省の「平成22年賃金センサス(大阪府・タクシー・男子)」を元にした年間賃金推計額より約5万円下回っています。

中・小型の格差結局は賃金格差

 中型と小型の日車営収を比較するとすべての月で中型が上回っています。その差額は、多い月で4210円(1月)、少ない月でも3477円(12月)と明確な差がついています。もしワンコインが存在していなければ、また違った結果になっていたかもしれませんが、同じ仕事をしていながら賃金に差がつくのは不条理と言わざるをえません。

大タ協・藤原会長 有期契約・有給休暇未附与問題で「事業者を文書指導する」と公言
2011/07/15

月に1回の労使懇開催を確認
遠割廃止、運賃格差の議論白熱


 大阪タクシー協会(藤原悟朗会長)と在阪労働5団体(自交総連、全自交、交通労連、私鉄関西、私鉄ハイタク)は6月30日午後、大阪市中央区の同協会会議室で労使懇談会を開催し、5.5遠割や運賃格差、減車、労働者の待遇改善問題など業界に横たわる問題を改善していくために、今後も労使が月1回程度で協議していくことを確認しました。

 藤原会長は、「労働団体からも遠割廃止の要求があり、地域協議会でも労働者の待遇改善など協議し、業界の適正化活性化を目指しているが、なかなか労働者の待遇が改善されていない現状を踏まえ、協会としても膝を交えて毎月1回ぐらい皆さんと忌憚(きたん)のない協議をしたい」とあいさつしました。
 大タ協に対して大阪交運労協ハイタク部会が、「遠割を辞めてもらいたい」と要請していたことから同会の幹部は「一定の回答を」と求めましたが、藤原会長は「早晩やらなくてはならない問題だと思っているが、利用者が認知している運賃なので3者(利用者、労使)の接点を見いださなければならない。またこの機会に様々な問題を協議したい」と応えました 。これに対し、同会幹部らは「割引分を会社が負担すべき」「現実的にできるのは遠割廃止しかない、他はハードルが高い」「遠割を止めたらお客が減るやろか」など意見を述べました。
 自交総連は、5.5遠割について、「廃止していく方向性は反対のないところだと思うが、利用者目線、利用者の利益という観点も考えなくてはならない、これまで大口割引はあったが、一般利用者に対しては何も無かった。遠割は利用者から見れば間違いなく利益の部分であり、廃止に向けてまず理解を求める取り組みが必要、そして一定の理解が進んだうえで労使が許容できる穏やかなものに変えていくべきではないか」と問題提起しました。
 また、園田委員長は、「普通企業が50%割引をするとした場合、従業員にそのしわ寄せをする企業はあり得ない、しかしタクシー業界はそこから出発してしまった。しかし今その話をしても始まらない、今後どうするのかを協議していくべきだ」と釘を刺しました。
 大タ協の薬師寺常任理事(経営委員会相談役)は、「労働組合は、遠割をやめた場合の営業収入の増減を調べて廃止を言っているのか」と質した上で、営業収入の仮想変動を数値化し、「1.47回減ればプラマイゼロ、減収を覚悟でみんながやるというのであれば反対しない」と明言しました。
 また、藤原会長が労使懇談会を毎月1回ペースで開きたいと表明したことに対し、薬師寺常任理事は「私が9年間会長をしていた時に、あなたたちに3、4回できかないぐらい議論しようと呼びかけたが、自交総連が参加するのなら参加しないと断った事実があるが、今後そうしたことはないのか」と大阪交運労協の幹部らを質しました。同幹部らは「昔はそうしたことがあったのかは知らないが、今後そういうことはない」と異口同音に答える一幕もありました。
 自交総連は、嘱託労働者の有期雇用、有給休暇問題について、協会が4か月、6か月など細(こま)切れ契約でも再契約した場合、有給休暇が発生すると公式見解として発したことは、評価できるとしたうえで、やらない事業者をどうするのか質すと、藤原会長は「文書をもって指導をする」と即答しました。
 この「回答」を引き出せたことで今後、労働組合として有給休暇が使えているのか、賃金としても不利益が起こっていないのかを調査し、実態を浮き彫りにしていく必要性があります。
 懇談会を終え、園田委員長は「初の労使懇談会であったが、議論は労使とも活発で、薬師寺氏の中小型の運賃格差問題に対して、全自交幹部の車種区分問題だとの反論など様々な相違点があったが、こうした議論が本格的にできる舞台ができたことは、業界にとってプラス。自交総連は利用者目線も持ち、そして現場で働く労働者の労働条件が1日も早く改善できるようイニシアチブを発揮して議論をリードしていきたい」と抱負を寄せました。

大タ協 嘱託者の期間契約、有給問題に公式見解
2011/07/05

世間並みの労働条件整備急げ
公正な競争阻害する一因


 業界紙によると、大阪タクシー協会(藤原悟朗会長)が6月理事会で、嘱託労働者の雇用問題について、期間を定めた雇用(4か月、6か月など)の更新(一定期間空けたものも含む)が行われた場合、有給休暇を法令通り与えなければならない、とした基本的見解を確認したとのことです。
 大阪地連は、これまで大タ協にたいし、嘱託者に有給休暇を附与しない事業者が散見されることから、個別事案も示し、再三議論の俎上に上げ、協会がイニシアチブを発揮して加盟事業者をまず指導せよと求めてきました。
 その都度、大タ協は「法令を遵守するのは当然で、個別事案については、内容を把握していないので申し上げようがないが、ただ違法行為が明らかであれば、協会としてできる範囲で対処することは可能かと思う」と、はっきりしない回答を繰り返してきました。
 この問題は、法令遵守に努める事業者と、脱法行為もいとわない事業者が混在するタクシー業界にあって、“公正な競争”を阻害する一つの原因でもあり、今回、協会が「公式見解」として、この問題を明確に打ち出したことは評価でき、業界全体で迅速に改善すべき問題です。
 この業界は、有給休暇の問題ひとつとっても、休暇を与えている事業者は当然経費が掛かり、他方与えない(使わせない)事業者はリスクが軽くなるというあってはならない矛盾を抱えた業界です。とくに労働組合が存在しない事業者は、こうした傾向が強く立場の弱い労働者が泣き寝入りさせられてきたことは周知の事実、有給単価の問題も然りです。
 大阪地連の庭和田書記長は、「労基法39条(年次有給休暇)では、使用者は、有給休暇の期間については、就業規則その他これに準ずるもので定め、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金もしくは労使協定したうえで健保の標準報酬日額を支払わなければなりません。これは使用者が有給休暇を取得した労働者に対し、賃金の減額やその他不利益な取扱をしてはならないということ。今回協会が公式見解を発したということは重要で、協会自らが世間並みの労働条件の整備を急ぐ必要性に駆られているとも言えます。業界の労働環境を改善するスピード感を増すためにも垣根を越えた労働組合の共同が重要だと思う」とコメントしています。