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2019年12月の記事

国交省・交政審 予断許さぬ議論つづく
2019/12/19

国交省・交政審 予断許さぬ議論つづく 交政審・地域公共交通部会の審議に合わせて宣伝する東京地連のなかまたち(2019年11月22日、東京・三田共用会議所で)

準タクシーにつながる自家用有償旅客運送の拡大


 自家用有償旅客運送の拡大、道路運送法の改悪にかかわる課題が国土交通省の交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会で審議されています。部会は9月9日に19年度第1回の会合を開き、9月27日第2回、10月25日第3回、11月22日第4回までひらかれ、12月24日に「中間とりまとめ」について議論する予定です。

 国交省内に設置されている交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会(以下、地域公共交通部会)の審議事項は(1)地域公共交通活性化再生法に基づく制度、(2)道路運送法の自家用有償旅客運送等制度、(3)MaaS普及に向けた制度とされており、このうち(2)で自家用有償旅客運送(以下、自家用有償運送)の拡大を取り上げています。
 第3回地域公共交通部会で国交省から2点(※)が提起され、自家用有償運送はバス・タクシーがない地域限定という原則のもとで「乗車対象者は不特定多数でいいということになるのか」など質問が出ていましたが、主要な議論は次回に持ち越しとなりました。
 第4回地域公共交通部会は、まだ議事録が公表されていませんが、傍聴に入った自交総連本部・林執行委員(東京地連)によれば、自家用有償運送を積極的に拡大するべきだという意見はあまりなく、「タクシーは頑張っている。応援する施策が必要」「自家用でも二種免許を義務付けることを考えるべきだ」「事業者の確認を徹底する必要がある」など、むしろ消極的・否定的な意見が多く出された一方で、国交省がインバウンドの増加にともない都市部でも需要があるかのような発言をするなど、官邸を忖度しているのか、極めて憂慮される方向に進めようと企図しているように感じられ、今後の議論を注視しなければなりません。
 取材を進める業界紙でも、「交通事業者が協力してさえいればOKというのはどうなのか」「“緑ナンバーではできない場合に限る”との確認が必要」「輸送対象も限定できるようにした方がよい」などと問題点を指摘しています。
 第5回地域公共交通部会は12月24日に中間とりまとめについて議論し、来年初めに中間とりまとめを公表後、春頃最終とりまとめを行うことになっています。
 審議の経過から、自家用有償運送の拡大については一程度抑制的な内容となっているようですが、今後の審議や法案作成の過程で、交通空白地の明確化や広域化として都市部でも自家用運送ができるようにすることなど無限定な拡大が懸念されます。
 この提案をした未来投資会議や規制改革推進会議の狙いはライドシェアへの「突破口」ですから、今後の動向に予断は許されません。日経新聞は11月28日付の社説で、高齢者の足としてライドシェアに道を開く規制緩和を進めるべきだと歩を合わせるように主張しています。

目先の利便より安心・安全優先しろ
 自交総連本部(高城政利委員長)は、地域公共交通部会の審議が始まる前に全委員に対し、自家用有償運送の拡大に反対する意見書とライドシェア関係の資料を送付し、慎重な審議を求めました。
 11月22日、東京地連のなかま56人が、会場の三田共用会議所前で宣伝と座りこみを行いビラを配布、雨の中、「交政審は目先の利便性より安心・安全を優先しろ」と訴えました。
 各地でも宣伝行動が行われ、関西ブロックは11月20日、ライドシェア解禁の国家戦略特区の提案がされている滋賀県大津市を中心に宣伝にとりくみ(報道済み)、12月12日には越(こし)直美市長の市長選不出馬を受け、その後の対応などを含め大津市職員労働組合連合会との懇談を予定。「自家用有償運送の拡大ではなく地域公共交通の充実を求める請願書」署名への協力も呼びかけます。
 署名活動は、各地でとりくみが開始されています。自交総連本部は、全労連を通じて全単産・地方組織に署名の要請を送り、国民春闘共闘の春闘討論集会でも、参加者に署名用紙を配布して訴えを行いました。
 大阪地連は12月4日、大阪労連に対し、署名活動への協力を要請。大阪労連の菅(かん)義人議長と嘉満(かま)智子事務局長は「全面的に協力する」と応じました。11日に行われた大阪労連第4回幹事会では冒頭、大阪地連・福井委員長が各組織の幹部に、ライドシェアの全面解禁につながる自家用有償運送の危険性を説明し、署名への協力を呼びかけました。
 大阪地連は当面、次の3点を重視して運動をすすめていくことを機関会議で決定しています。(1)署名=組合員と家族全員から集め、関係組合や団体にも協力を求めて広げる。(2)宣伝=広く市民を対象に、自家用有償運送拡大の危険性、ライドシェア反対を訴える宣伝を行う。(3)自治体要請、懇談=交通不便な過疎地を抱える自治体に、危険な自家用有償運送ではなくバス・タクシーの公共交通の充実で住民の足を守ることを訴え、要請・懇談を行う。
 署名の1次集約は来年1月末。最終集約は3月末を予定していますが、組織内集約は自らの職場を守る運動だと自覚した取り組みを求め2月末とします。


※地域公共交通部会への提案(国交省)
〇交通事業者が協力する自家用有償旅客運送制度の創設
 交通事業者が委託を受けたり、実施主体に参画することで、運行管理、車両整備管理を担う自家用有償旅客運送制度を創設し、合意形成手続きや申請手続きの簡素化等特例措置を講じる
〇観光ニーズへの対応のための輸送対象の明確化
 地域住民だけでなく観光客を含む来訪者も対象とすることを法律において明確化することを検討

討論まとめ(抜粋)・庭和田裕之書記長
2019/12/05

非人道的な労働は許さない


 運賃改定の頓挫や道路運送法の改正など2020年春闘はすべての単組で、きびしい状況になると言わざるを得ません。運賃改定が年度末までにされるのかどうかという問題もありますが、配車アプリが普及期から利益回収期に移行し、ライドシェア企業の大赤字決算を見ても早晩、手数料が高騰していくのは間違いありません。
 タクシーの運賃は総括原価方式ですから、本来ならアプリの手数料も運賃に乗せなければいけません。ところが現時点でも一部の事業者はチケットやクレジットカードの手数料を乗務員に負担させているのが実態です。
 一般的にタクシーの純利益は営収の約3%といわれています。そこへアプリの手数料が2.5〜3%とか8〜10%なんて、運賃に乗せないで収まるわけがない。クレジットカードの場合は乗車回数に占める割合が今までは低いから、手数料負担もさほど大した額にはならなかった。アプリの場合は、これが浸透してほとんどの利用者が使うようになれば手数料3%でも利益が吹っ飛びます。この問題を根本的にどう対処するのか、国土交通省にはずっと問うていますが、具体的な回答は返ってきません。
 いま我々に押し寄せてくる新たな問題として認識しておかなければならないのは、これまで獲らなかったアプリの手数料負担を乗務員に押しつけてくるのではないかと、一部事業者のようにそもそもの運賃収入から引くという手法をとる可能性も大だと思うのでそこも注視して、同時に労働組合の運動としてそういうことを許さないという声をあげていきたいと思います。

キーワードは「共同」

 ライドシェア合法化阻止闘争は、我々の職場を守る問題と、利用者が安心安全に使えない乗り物が増え、人命に関わる問題だという怖さを、どれだけ多くの人に伝えきれるのかが問われます。闘いのキーワードは「共同」ですが、我々のなかまだけの「共同」とは違います。もっと幅広く他産別の組合やタクシー・バスを利用して下さる利用者も含めた幅広い「共同」です。
 安倍首相が働き方改革などと称して推し進めていますが、働き方の問題と、我々の労働者性をなくすライドシェア問題はまさに一対だといえます。いままで我々の先輩たちが勝ち取ってきた最低賃金であるとか労働法であるとかすべて除外され、何も残りません。
 ライドシェア発祥の地・カリフォルニア州でも「非人道的な働かせ方だ」として規制することになりました。結局ライドシェアが何を生み出すのかといえば、上前をはねる奴らだけが儲けて、実際に働く数多くの人は労働者に足る権利もすべて奪われるということ、これで皆さん幸せが訪れると思いますか。
 カリフォルニアでも空港のそばで寝て、仕事をやっても最低賃金にも届かない。我々も過去に味わいませんでしたか。関西空港や伊丹空港で、なかまが車中寝、弁当を食べ、歯を磨いて、夜通しで順番待ち、これで文化的な生活を営めるはずがない。自交労働者が大変な状況に追い込まれるということは、同時に利用者の安心安全に直結するということを利用者にも、もっと知ってもらう闘いを構築しなければなりません。
 普通に働けば安心して暮らせる、本当に生きてきて良かったなと振り返られるような国をめざす闘いも含め、ライドシェア合法化阻止闘争の前進に向け、できうる限りの奮闘をするという決意を表明し、執行部としてのまとめとします。

大津市で白タク合法化阻止宣伝
2019/12/05

大津市で白タク合法化阻止宣伝 なかまの訴えに耳を傾ける市民(大津京駅で)

市民を危険に晒すな


 自交総連関西ブロックは11月20日、危険な白タク・ライドシェア解禁の国家戦略特区が出されている滋賀県大津市を中心に宣伝に取り組み、大阪・京都両地連から12人が参加。京都駅を皮切りに大津市内のJR大津京駅、瀬田駅、大津駅で白タク合法化阻止を訴えました。

 京都駅で関西ブロック・福井勇議長(大阪地連委員長)は11月2〜8日に大津市で行われたバス無人運転実証実験に触れ、「各地の実証実験では事故が報告されている。無人運転にせよ、ライドシェアにせよ、市民の安全を担保できないものを交通分野に採用してはいけない」と大津市・越直美市長を批判。「私たちは安心・安全・快適な地域公共交通を守るため、危険な白タク・ライドシェア合法化を認めるわけにはいかない」と強調しました。
 大津駅では未来都労組・黒井真司さん(大阪地連執行委員)が「ライドシェアの運賃は普段は安くても災害時には高騰する。皆さんが安心して利用できる公共交通、いまのタクシーの制度を守っていかなければいけない」と訴えました。