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2013年10月の記事

自交総連本部・第36回定期大会 大阪からの発言<タクシー>
2013/10/25

労働力の国際的移動自由化に危機感
我々の運動でTPP絶対阻止しよう


運天武史代議員
(国際タクシー労組副委員長・ハンドルおおさか編集長)

はびこるリース制賃金


 大阪交運共闘会議の代表団11人が10月7〜12日にかけてベトナムの首都ハノイに赴き、当地の交通・運輸労働者の実態や、交通事情を調査しました。本日はタクシーの調査結果についてのみ報告いたします。今回はコーディネーターの方に紹介してもらったタクシー乗務員1人、35歳・男性の方に聞き取り調査を行いました。
 この人の乗務形態は日勤で、「朝5時から2時間半の休憩をはさんで19時まで乗務」「1日の走行距離は200キロぐらい」とのことでした。そして休日については「基本的には休まない」との答えでした。
 この人は営業車を会社からローンで購入し、燃料費などの必要経費はすべて自分が負担しているということで、日本でいうところの「企業内個人タクシー」でした。ベトナムではほとんどの乗務員がこの形態で働いているそうです。営業車の購入価格は日本円に換算すると175万円で頭金は75万円、あとはローンで毎月2万5千円ずつ返済しているとのことでした。
 月の売上げは10万円から12万5千円ぐらいで、その中からローン返済のほか、リース料として1万円、さらに燃料費など営業にかかるコストを払うと手取りは4万円ほどしか残らないとのことで、大ざっぱにいえば賃率40%、毎日11時間半・200キロ走って40%ということです。
 この人の話では、ベトナムには日本のような個人タクシー制度は「ない」とのことでした。タクシー会社が乗務員にコストとリスクを負わせて利益だけは確保する仕組みが社会主義の国・ベトナムで蔓延(はびこ)っているんですね。

貧困国で乗務員確保?

 ベトナムのタクシー業界についての評価はさておき、私としてはTPPを意識せざるをえません。農業や医療、保険などいろんな側面から語られるTPPですが、私たち労働者としてはやはり「労働力の国際的な移動の自由化」に危機感を持つべきではないかと思うんです。
 TPPによってタクシー会社が海外から乗務員を引っぱってこれるようになるかもしれません。“手取り15万円保証しますよ”“社宅も用意しますよ”“日本の言葉や地理は責任をもって教育します”などと誘われたら、出稼ぎを望む貧しい国のドライバーには願ってもない話ではないかと思います。最低賃金の引き上げに堂々と反対するような日本のタクシー業界ですから、出稼ぎ乗務員の可能性について研究を始めている会社もあるのではないかと思います。
 ベトナムは国の政策として労働力の輸出に力を入れており、今年の労働輸出の目標を8万5千人としています。現に日本では7千人以上のベトナム人研修生がさまざまな職種で働いています。この研修生が劣悪な労働条件に耐えかねて失踪してしまうことを雇い主もベトナム側も「逃亡」と表現しています。“最近、ベトナム人研修生の逃亡が問題になっている”といった具合です。まるで“囲い込んだ奴隷が脱走しやがった”みたいな言い方じゃないですか。
 ベトナムが労働輸出に力を入れているのは外貨獲得のためですが、日本の財界が海外からの労働力受け入れを進めようとしているのは、あくまでも人件費削減による利益拡大が目的であり、発展途上国の成長を手助けしようというような善意ではありません。
 いま安倍政権が進めようとしている“解雇しやすくする特区”とか“残業代タダ法案”、有期労働規制の緩和などはグローバル大企業の短期的利益のために労働者を奴隷化する政策であり、TPPはその最たるものだと思います。
 TPPによって私たちは貧しい国の労働者とともに、国際的な賃下げ競争に放り込まれることになります。このTPPを私たちの運動で絶対に阻止しなければならないと思います。そして、日本からもベトナムからも貧困をなくし、庶民が安心して暮らしていける社会を実現するための政治闘争に、大阪地連としても奮闘していくことの決意を申しあげます。

自交総連本部が第36回定期大会で新年度運動方針を決定
2013/10/25

自交総連本部が第36回定期大会で新年度運動方針を決定 あいさつする高城中央委員長(16日)

タクシー適正化 経営者みずから努力せよ


 自交総連本部(高城政利中央委員長)は10月16〜17日、「公共交通にふさわしい労働条件をめざし、力を合わせて自交総連を強く大きく」を中心スローガンに第36回定期大会を東京都文京区の全労連会館で開き、新年度の運動方針、予算などを決定しました。

 大会は議長団に月村(東京地連)、吉田(大阪地連)の両氏を選出して議事を開始。あいさつに立った高城委員長は「タクシー適正化・活性化特措法の改正案を自公民3党(実務者)が合意し、事業者団体などは臨時国会での提出を求めているが、規制緩和に再び揺り戻そうとする勢力があり安倍首相も構造改革路線を打ち出していることを鑑(かんが)み、基本的には動向を見守りたい」との考えを示し、「経営者みずから利用者利便を担保しながら公共交通機関として社会的水準の賃金・労働条件、安心・安全の確保をどう図っていくのかを明らかにしていくことが必要だ。最低賃金法違反の一掃など法人企業としての存在意義を示すことが求められている」と述べました。
 議案提案を行なった今村書記長は、「消費税増税が強行されて売上が前年実績より下がった場合、経営者が増税分を賃下げや負担金徴収などの形で労働者に負担させることも考えられる。消費税増税阻止のたたかいと同時に、予測される危機に対して対策を練ることが重要」と強調しました。

世代交代できる業界に

 大会は新年度運動方針案などを全会一致の賛成で可決。また、園田公作副中央委員長(大阪地連委員長)の死去にともなう役員の補充が提案され、大会は秋山民夫氏の副中央委員長就任を満場の拍手で承認。初仕事として閉会あいさつに立った秋山副中央委員長は、JR北海道の事故を例に「将来、団塊世代が引退した後のタクシー業界が安心・安全を守れるのか危惧する。若い世代が入ってきて生活できるよう公共交通にふさわしい労働条件をめざして頑張っていかなければならない」と訴えました。

福岡地裁、小手先の最低賃金法違反逃れを断罪
2013/10/07

待ち営業は休憩にあらず


 福岡市博多区の元タクシー乗務員が、勤務していた09年4月〜10年10月の間、手待ち時間を休憩時間とみなされ賃金を不当に減額されたとして、同市南区の五十川(ごじっかわ)タクシーに未払い賃金などの支払いを求めた訴訟の判決が9月19日、福岡地裁でありました。吉田祈代裁判官は「客待ち時間は客が来ればいつでも運行させなければならず、休憩時間とは評価できない」(読売新聞9月20日付)として、原告の請求通り未払い賃金約85万円と、制裁に当たる同額の付加金、計約170万円の支払いを同社に命令しました。
 同社は、本社車庫以外で5分以上、手待ち停車した場合を休憩とみなして労働時間から除外していました。吉田裁判官は「常に走行しながら客を取る『流し営業』しかできず、客待ちを事実上禁じている」(同)と指摘。タコグラフを精査した結果、地域最低賃金に照らして105万円の未払い賃金を認定。判決では、一部賃金は請求権の時効に当たるとして原告の請求の範囲内で賠償を命じました。

供給過剰は経営者の責任

 厚生労働省や大阪労働局は、自交本部や大阪地連との交渉で、「労働者が自由に車を離れることができ、自由に時間を使えなければ、休憩とはならない」との見解を明確にしています。
 そもそも私たち乗務員が「待ち営業」を行わざるを得ないのはなぜか。それは、ひたすら流しても、自分の前後左右に空車が走っている状況では利用者に当たらないからにほかなりません。1時間、2時間と空車のまま時間が過ぎていく恐怖を経営者は理解すべきです。多くのなかまが休憩時間を返上して「待ち営業」を行なっているのが実態です。歩合制である以上、需給バランスが適正であれば自然に「流し営業」になるはずです。供給過剰に陥った責任をかえりみず、小手先の最賃法違反逃れを行う異常な業界にメスを入れるべきです。