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2022年01月の記事

〈交運共闘〉交通運輸の労働条件改善、コロナ対策を要請―国土交通省交渉
2022/01/25

〈交運共闘〉交通運輸の労働条件改善、コロナ対策を要請―国土交通省交渉 国交省に要請の趣旨説明をする交運共闘・高城議長(左側中央) 安全・安心確保が最重要
「ライドシェアは認めぬ」

 国交省に対しては、交運共闘加盟単産の「共通課題」として「労働者の感染防止、賃金・労働条件の低下防止、雇用の維持を図り、営業収入が大幅に減少している事業については、事業の存続のため、直接の財政支援など特別の緊急対策を実施すること」やタクシー臨時休車措置などの「コロナ対策」を要請。また改善基準告示改正について、労働者の健康、自動車運行の安全を確保する観点で国交省として積極的に意見を述べるよう求めたほか、「ライドシェア合法化を認めない立場を堅持すること」「タクシーの公共性を損ない、利用者と労働者に負担を強いる変動運賃制(ダイナミック・プライシング)の導入を行わないこと」などを要請しました(左に別掲)。

事業支援予算を増額

 省側はコロナ対策について「タクシーの臨時休車措置は、適用期限を22年3月末まで延長、車両の復活期限についても6月末まで延長した。期限についてはコロナの状況を踏まえつつ柔軟に対応していく」「バス・タクシー事業の支援について、21年度の補正予算において20年度予算を上回る額を用意している」と回答。
 白タク・ライドシェアについて「自動車による旅客の運送において安全・安心の確保が最重要な課題と認識している。自家用車を用いたライドシェアは運行管理や車両整備等について責任を負う主体をおかないままにドライバーが運送責任を負う形態を前提にしている。国交省としてはこのような形態の旅客運送を有償で行うことは安全確保、利用者の保護等の観点から問題があるため、認めるわけにはいかない」と従来の見解を維持しました。

〈交運共闘〉交通運輸の労働条件改善、コロナ対策を要請―厚生労働省交渉
2022/01/25

〈交運共闘〉交通運輸の労働条件改善、コロナ対策を要請―厚生労働省交渉 厚労省に要請する交運共闘交渉団(12月10日、東京・衆院第2議員会館で)

最低賃金引き上げ 中小企業への支援「重要」


 自交総連も加盟する交通運輸労働組合共闘会議(交運共闘、高城政利議長=自交本部委員長)は12月10日、「11・11中央行動」で提出した個人請願書の内容について厚生労働省、国土交通省とそれぞれ交渉を行いました。タクシー・バスにかかわる部分を紹介します。
(自交総連本部『自交労働者情報』12月21日付)

インターバル延長に暗雲
後退案「9時間」根拠なし


 厚労省に対して組合側は、コロナ対策(雇用調整助成金や休業支援金の特例措置延長、交運労働者のPCR検査公費負担など)をはじめ、一般職と同じ残業時間規制の適用、改善基準告示の抜本的改正、最低賃金の大幅引き上げとそのための中小企業支援などを要請。不当解雇でも金を払えば容認される“解雇の金銭解決制度”や、労働者を名ばかり事業主にする“雇用関係によらない働き方”を推進・導入しないよう求めました。

段階的に特例改悪

 省側は雇調金について「22年1月以降、原則的な措置について段階的に見直していく。日額上限1万5000円の特例助成措置は3月末まで延長する予定。4月以降の取り扱いは2月末までに知らせる」、休業支援金について「3月末まで延長する予定。日額上限は1月以降段階的に縮減していく」と回答。
 最賃引き上げに関して省側は「中小零細企業への支援措置は重要」との考えを示し、「業務改善助成金等の要件緩和を行なっており、賃上げに取り組んでいる中小企業の生産性向上を支援している」と話しました。
 改善基準告示について、厚労省が休息期間を現行の「8時間以上」から「11時間以上」に改正する提案を行ないながら、後(のち)に使用者側の反発を受けて「9時間以上」を併記した問題で、組合側は「“9時間で大丈夫”という科学的根拠があるのか」と質問。省側は「根拠はない。9時間で十分な睡眠をとるのは難しい」「現行の8時間から長くするために9時間という案を出している」と弁明しました。

休息期間(インターバル)は11時間以上必要 1071団体・ネット2万7千筆の署名提出
2022/01/25

休息期間(インターバル)は11時間以上必要 1071団体・ネット2万7千筆の署名提出 署名提出後の記者会見 (最左)日の丸労組の高橋さん、2人おいて自交本部・菊池書記長(21年12月24日、東京・厚労省で)

運転者の過労死なくせ


 「自動車運転者の労働時間等の改善の基準」の改正審議で、休息期間(=勤務と次の勤務の間の時間、現行では8時間以上)を「11時間以上」とする厚生労働省の当初案が危うくなっている問題で、自交総連は建交労や雇用共同アクション(全労連、全労協、MIC、全国港湾などが参加)とともに12月24日、厚労省に署名を提出し、記者会見を行いました。

 厚労省要請では、この日までに集まった団体署名1071団体、インターネット署名2万7000筆以上を提出。ネット署名には一般の人から多くのコメントが書き込まれています。
 対応した労働基準局監督課・過重労働特別対策室の黒部恭志室長は「一般市民のコメントはすべて読む」としたうえで、「人手不足は長時間労働が敬遠されているということも大きい。使用者側には、目先のことだけでなく将来のことを考えないと若い人が入ってこない、ということは話している」「(時短で)サービスが今までと変わっても、国民にも受け入れていただきたい、という話だ」「休息期間は、総拘束が長くてもここで縛れば効果が出るという点で重要な課題。過労死防止やEUの基準をもとに11時間という案を出したので、そこをめざしたいというのが事務局(厚労省)の思いだ」「(オブ参加の)国交省にも話してもらうようにする」と、世論を受けてかなり前向きの回答がありました。

過労の背景に歩合給

 記者会見では、バス・タクシー・トラックの労働者から実情が述べられ、日の丸自動車労組の高橋昭裕さんは、「夜勤で働いている。タクシーは歩合給で、稼ぎたいために長時間働く人もいて、それで体を壊す人も多い」など実情を話しました。
 自交総連本部・菊池和彦書記長は「厚労省が追加で出した9時間という案には何ら科学的根拠がない。過労死防止、乗客らの安全のためには11時間の休息期間が絶対必要」と説明し、「これに反対している使用者側は安全より事業の都合を上に置くもので、厚労省は妥協するのではなく、11時間で決まるよう説得すべきだ」と述べました。
 記者会見はNHKのインターネットニュースで配信されました。また、自交総連は、この改正を審議している専門委員会の公労使全委員18人と厚労省に12月17日に「意見書」を送りました。
 (自交総連本部『自交労働者情報』21年12月27日付)

福井勇委員長(北東地区協議会議長)インタビュー
2022/01/05

福井勇委員長(北東地区協議会議長)インタビュー コロナ前最後の宣伝となった「怒りの行動」(2020年2月3日、近畿運輸局が入る合同庁舎4号館前で)

二種免許の価値見失うな


 再度の越年となったコロナ禍の中で危機的状況が続くタクシー・観光バス業界。福井委員長に2022年の展望をうかがいました。(インタビュー=12月15日)
 ──いまのところ白タク・ライドシェア合法化を食い止めてはいますが、ダイナミック・プライシング(変動制運賃)といい、相乗りといい、タクシー業界のほうが白タク化を志向しているように見えます。
 二種免許の価値を見失っています。20年6月に成立した改正道路交通法で、二種免の受験資格が緩和され19歳でも取得できるようになります(22年6月までに施行予定)が、全タク連の要求がかなった形です。
 自動車保険の掛金を見れば若年運転者のリスクの高さは明白です。社会人としての経験も浅いのに接客がつとまるでしょうか。
 全タク連は「人手不足」を解決するために二種免の要件緩和を訴えてきたわけですが、まともな賃金・労働条件を用意すれば労働者は集まるんです。完全歩合制という労働者にとっては不安定な賃金制度を放置してきたツケを払わされてるのが今のタクシー業界のありようです。
 ──このコロナ禍で潰れるタクシー会社が続出するのではないかと危惧されていますが、いまのところは一部にとどまっています。
 搾取しまくってる悪質会社は強いですね。事故を起こした乗務員から損害金を実費でとったり、20万30万の罰金をとったり。
 コロナ禍のいまは社会保険料未納の問題でも行政が大目にみていますから、危機が表面化していないのもあります。
 ──コロナが終息してからのほうがヤバいということですか。
 社会保険料は「免除」じゃなくて「猶予」ですから。コロナ終息後の納付では待ってもらった分を上乗せして納付しないといけないわけですから、すごいことになるでしょうね。
 ──我々の側も、厳しい闘いが待っているということですね。
 「同一労働同一賃金」を悪用して合理化を図ろうとする動きはすでにあります。アプリ手数料問題もディディから火がつきそうです。中国政府がディディに米株式市場から撤退するよう求めていますが、上場廃止となると孫正義氏がいままでディディに投資してきた金が全部パーになるわけで、いまソフトバンクの株価が急落しています。
 ──いまは「労使で力を合わせて危機突破」でも、危機が過ぎれば牙をむいてくると。
 でも危機を突破できずに、いきなり「解散」話になる危険性のほうを、まず警戒すべきでしょう。いままでは、いたずらに「賃下げしないと苦しい」などと揺さぶりをかけてきたものですが、いまは本当に「助けてくれ」という状況です。
 ──会社から「もうアカン、やめます!」といわれた時に、いかになかまを守っていくか。
 暮らしを守るために、なかまを全員受け入れてくれる移籍先を探す、もうひとつは会社をつぶさせないことです。雇用を守るためにがんばってくれと。ただし「協力はするけど協調はしませんよ」というのが労働組合のとるべきスタンスです。本当に苦しい時、誠意をもって話してくれたらそれなりのことを協力するけど、危機を脱した時には必ず、みんなに報いてくれよ、ということです。
 ──最後に2022年の抱負をお願いします。
 オミクロン次第ではありますが、コロナで失われた2年間を取り戻すために、積極的に宣伝行動などに取り組みたいと思います。ダイナミック・プライシングの問題では不利益を被る利用者、たとえば障がい者の方々にも声をあげていただきたいと考えています。
 ──7月の参議院選挙では野党共闘の真価が問われます。
 総選挙では戦後3番目の低投票率の結果、維新が伸長しました。維新がいくら強いといっても、都構想は2回否決されたわけです。あの時は市民も必死になって戦いました。憲法改悪の危険性を市民に訴え、あの時の熱気を再現することが必要です。