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2020年02月の記事
自家用有償運送拡大、道路運送法の改定含む地域公共交通活性化法等の改正案、閣議決定
2020/02/25
自家用有償旅客運送の拡大に関わる法案は2月7日に閣議決定されました。
法案は「持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案」という名称です。概要は以下のとおりです。
(1)地域が自らデザインする地域の交通
○地方公共団体による「地域公共交通計画」(マスタープラン)の作成
(2)地域の移動ニーズにきめ細かく対応できるメニューの充実
〈輸送資源の総動員による移動手段の確保〉
○維持が困難となったバス路線等について、多様な選択肢を検討・協議し、地域に最適な旅客運送サービスを継続(地域旅客運送サービス継続事業)
○過疎地等で市町村等が行う自家用有償旅客運送の実施の円滑化
○鉄道・乗合バス等における貨客混載に係る手続の円滑化(貨客運送効率化事業)
〈既存の公共交通サービスの改善の徹底〉
○利用者目線による路線・ダイヤの改善や、運賃の設定等を促進
○MaaSに参加する複数の交通事業者の運賃設定に係る手続のワンストップ化
(3)交通インフラに対する支援の充実
○独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による資金の貸付制度の拡充
この概要でわかるように、関連する広範囲にわたって、いくつもの法律を改正するものを一括した法律案となっています。
この法律案のうち、道路運送法の改定部分は、自家用有償旅客運送に関して、(1)運送対象に観光旅客その他の当該地域を来訪するものを追加する、(2)一般旅客自動車運送事業者の協力を得て行う場合における自家用有償旅客運送の登録の有効期間の特例を設ける、という2点が含まれているほか、一般旅客自動車運送事業の営業区域外旅客運送の禁止に例外を設けることも入っています。
法律自体でも、自家用有償旅客運送の規制を緩和して拡大するものになっていますが、法改定後の運用でいっそうの緩和がはかられる危険性があり、この点についても警戒が必要です。
法案の審議は、予算成立以降になる予定です。今後、法案の内容を分析して、3月5日の中央行動、4月中旬のストを含む全国いっせい宣伝決起行動など、審議状況に合わせて反対運動を強めていきます。
国会内決起集会 自交総連代表が衆参30人の国会議員へ要請
2020/02/25
自家用有償運送の拡大は危険
白タク・ライドシェア合法化につながる自家用有償旅客運送拡大(道路運送法改悪)の阻止をめざす自交総連本部(高城政利委員長)は2月13日、国会の動向を分析し、今後の運動の前進を図るため、国会内での決起集会と議員要請行動に取り組みました。集会には参院議員や関係団体、報道関係者も含めて全体で59人が参加しました。
13時から衆議院第2議員会館第7会議室で決起集会を開会。高城委員長と武田良介参院議員(日本共産党)がそれぞれあいさつを行いました。続いて「障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会」の市橋博会長が連帯あいさつで、「交通弱者にとって自由化は恐ろしい、安心なタクシーに乗りたい」などと訴えました。
その後、石垣・舞弓・庭和田各副委員長、冨松常任執行委員が地方報告を行い(=写真)、庭和田副委員長は「自家用有償運送の拡大は、人の命を守るために設けられた二種免許を形骸化させるもので、自家用有償運送では利用者の安心・安全は守られない」と指摘し、自家用有償運送拡大反対のとりくみやライドシェアの危険性について発言しました。まとめとして菊池書記長が情勢報告・行動提起をしました。
国会議員要請は、2〜3人で1班、全15班をつくり、衆参30人の議員に要請しました。要請の主旨は、(1)地域公共交通活性化・再生法等の一部を改正する法律案のうち、道路運送法の改定に関する部分への反対、(2)「地域公共交通の充実を求める請願書」への賛同、(3)請願書を国会に提出する際の紹介議員になることへの承諾――などです。
要請班から以下の報告。
◎ 共産・清水忠史衆院議員=要請団を応接間に通し、要請主旨を8分ほど話す。清水議員は、持参した資料について「わかりやすいですね」と話し、紹介議員になることについても快く承諾してくれた。
◎ 国民・小宮山泰子衆院議員(理事)=紹介議員がいない場合、なってもよいと返事をもらった。
◎ 共産・伊藤岳参院議員=丁寧に対応してくれた。こちらの要請内容を理解し、紹介議員になることを了解していただいた。
安倍首相の「意味のない質問」とした不規則発言の影響で、衆議院は慌ただしく議員がいない所が多く秘書が「議員に資料を渡します」と応対するところが大半を占めました。
要請先
衆議院議員18人(自民6、公明1、立憲2、共産7、国民1、無1)
参議院議員12人(自民2、公明1、立憲1、共産4、国民3、れ新1)
(各国土交通委員会委員長・全理事=衆10、参6人を含む)
深夜早朝割増廃止、下限割れ運賃、アプリ手数料問題──「現状でいいとは思わぬ」
2020/02/17
〈怒りの行動・対行政交渉〉苦渋滲ませる近畿運輸局
自交総連大阪地連は2月3日、「2・1怒りの行動」の一環として近畿運輸局交渉を京都地連のなかまとともに取り組み、不当な乗務員負担制度の一掃など労働条件改善の実効性が伴う施策を講じるよう要請しました。
交渉に組合側は大阪地連・吉田栄二副委員長、京都地連・吉村勇路委員長ら13人が参加。運輸局側は自動車交通部旅客第二課・藤原幸嗣課長、監査指導部・田内文雄首席自動車監査官ら7人が応対しました。
京都地連・吉村委員長は「京都市域では深夜早朝割増を廃止した事業者が4社ある。後発で同割増を廃止した8社は前々回の運賃改定時にすべて継続が認められなかったが、先の4社は事実上の恒久認可になっている。平等性に欠けているのではないか」「エムケイの下限割れ運賃が6年も放置されている。エムケイは安売り運賃を大々的に宣伝し、深夜の利用者を独り占めしている」「規制緩和以降、京都でも競争が激化し、会社側は我々の労働条件を引き下げて切り抜けてきた。運賃が改定されてもスライド賃下げされた。我々としては値下げ競争させたくない」と訴え、局側に改善を要請。局側は「深夜割増も、下限割れも、いまの状況でいいとは思っていない。どうやって改善させるかということを考えながら対応している」と答えました。
大阪地連の庭和田書記長は「運改毎にリセットすると言うことがおかしい。違法運賃だと断言しているのであれば年度内に指導し改善させないのは行政の怠慢ではないか」と迫りましたが、局からは最後まで直接的な言及がありませんでした。つづけて、同書記長はアプリやキャッシュレスの手数料・コスト負担が今後増えてくる問題について、「査定基準を変えるべき。今後運賃改定もできず、事業者も労働者も真綿で首をしめられる状況になる」「いまでも不当な乗務員負担が横行している中でアプリの手数料が上がっていったらどうなるのか」と指摘。
局側は「いいとは思っていないが、労使間の話を超えて指導や命令はできない。そこは、運改をしたのはなぜかということを言い続けるしかない。要請や査定基準については全国的な問題になるので本省に伝える」と回答しました。
命守る規制 緩めるな
2020/02/17
横断幕でアピールするなかま(2月3日、谷四・合同庁舎4号館前で)
ライドシェアにつながる道路運送法改悪は危険
「2・1怒りの行動」
2002年2月1日のタクシー規制緩和から丸18年。自交総連の各地方組織は2月3日に統一宣伝「怒りの行動」を実施。大阪地連(福井勇委員長)も近畿運輸局が入る大阪合同庁舎4号館(大阪市中央区)前で「ライドシェアにつながる道路運送法の改悪は危険」「庶民の足を守る公共交通の充実を」とアピールしました。また同局との交渉も行い「国民の安心・安全、自交労働者の労働条件改善」を要請しました。
宣伝のマイクをにぎった福井委員長はいまのタクシー産業について、「規制緩和当時に私たちが危惧した通り惨憺たる状況だ。事故を起こせば全額乗務員負担で借金漬けにするなど、前近代的なやり方で労働者を食いものにする悪質事業者もいる」「有休を取得したら月収が極端に減るような賃金制度では休みたくても休めない。有休を付与していないのと同じだ」「受益者負担と称してクレジットカードの手数料、大口契約の割引き分などを乗務員に負担させている。労働者に与えるべきものを与えず、徹底的に搾取している」と厳しく指弾しました。
また労働条件改善を目的に2月1日に行われた運賃改定について「不当な乗務員負担が一掃されなければ労働条件が改善されたとはいえない」との考えを示すとともに「またしてもバラバラ運賃を認めるような結果に憤りを感じている」と運輸行政を批判しました。
さらに福井氏は白タク・ライドシェア合法化の動きについて「米ウーバーでは2017〜18年の2年間で性的暴行被害が5981件、うちレイプが464件、殺人事件の被害者は19人に及んでいる」「人の命を守る法律や制度を、強化することはあっても緩和する必要は一切ない」と声を枯らして訴えました。
安心して働ける産業に
続けてマイクを握った大阪労連・菅義人議長は、「安心して働く、そのことがきちんとしたサービスの提供につながる。私たちは、すべての労働者が8時間働けば人間らしく暮らせる社会をめざしてたたかいを進めている。本日の自交総連のの行動もその一環として大きく支援し、一緒にたたかっていく」と激励、決意表明しました。
北東地協・南西地協が2020年旗びらき
2020/02/05
団結して20春闘闘おう
自交総連大阪地連の北東地区協議会と南西地区協議会は1月25日、2020年の旗開きをそれぞれ行い、白タク合法化阻止・労働条件改善の決意を誓いあいました。
手数料問題の顕在化
北東地協の旗びらきで、福井議長は「2月1日から距離短縮の新運賃が始まるが、収束しかけていた運賃がまたバラバラになる。680円、600円、550円や少数だが下限割れも残るようだ」と指摘し、「最近現金払いが減り、アプリやカードなどのキャッシュレス化が日増しに進んでいる。20春闘では各種手数料問題が顕在化する単組も出てくるが、団結し春闘にあたろう」と呼びかけました。ひきつづき荒木副議長(関中自労組)の発声で「乾杯」し、なかまは交流を深めました。
バラバラ運賃が悪化
大阪市浪速区で行われた南西地協の旗びらきには15人が参加しました。
年頭あいさつを行なった吉田議長は「2月1日の運賃改定ではバラバラ運賃がさらにひどくなる。運輸行政の責任も追及しなければならない」と強調。
各単組からは「前経営者の都合で職場が移転することになったがいまだに移転先が決まらず不安が拡がっている」(国際タ労組)などの報告がありました。
自交本部第42回中央委員会 2020年春闘はじまる
2020/02/05
「政治を変えなければタクシー業界の存続も危ぶまれる」とあいさつする自交総連本部・高城委員長(1月28日、東京都文京区の全労連会館で)
安倍フレンズの企み阻止
自交総連本部(高城政利委員長)は1月28〜29日、第42回中央委員会を東京都文京区で開き、「この春闘を『道路運送法改悪阻止、地域公共交通の充実、賃上げ、職場権利の確立 20春闘』と位置付けてたたかう」とする20春闘方針を決定しました。
あいさつを行なった高城委員長は、安倍首相が通常国会の施政方針演説で自家用有償運送の「規制緩和を行う」と述べ、道路運送法が改悪されようとしていることについて、「規制緩和論者の竹中平蔵氏もライドシェア解禁の『突破口』と述べていることから、目的は利用者の足の確保ではなくプラットフォーマーに道を開くものであることは明白。プラットフォーマーに巨額出資しているのが“安倍フレンズ”である楽天の三木谷氏、ソフトバンクの孫氏。『桜を見る会』やモリカケ問題と同様のことが公共交通分野でも行われようとしている」と指摘。「早期解散、総選挙に追い込み、道運法改悪を阻止しなければならない」と訴えました。
ノースラ勝ち取ろう
議案提案を行なった菊池和彦書記長は、自家用有償運送拡大を阻止するための具体的な取り組みとして、「地域公共交通の充実を求める請願」署名運動、宣伝、自治体への要請、国会要請などを精力的に進めていくとともに、全国一斉ストを含む職場集会、統一宣伝などの決起行動を提案。
また菊池氏は今春闘の重要課題として、運賃改定時のスライド賃下げ問題を取り上げ、「歩率を下げたり足切り額を上げたりして、運改による増収分を独り占めしようとする経営者がいる」として警鐘を鳴らすとともに、国交省が12月10日に発出した通達で「各事業者において、適切に運転者の労働条件の改善措置を講ずること」としていることも紹介。「通達も活用し、春闘の中できっちりとノースライドを勝ち取らなければならない」と力を込めました。
討論に大阪地連からは吉田栄二副委員長が参加。提案された議案はすべて満場一致の賛成で決定しました。