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2021年02月の記事

労働者の暮らし・命守る21春闘
2021/02/25

自交総連本部・菊池和彦書記長

 全労連・国民春闘共闘が2月5日に行なった記者会見で、自交総連本部・菊池和彦書記長(全労連幹事)はコロナ禍におけるタクシー労働者の窮状と21春闘について次の通り発言しました。


 私たち自交総連のなかまもこの春闘で大幅賃上げ、そして底上げをしないと本当に生きていけない、生活が維持できない、そういう切実な状態に追い込まれています。お年寄りや障害を持つ人など交通弱者にとってタクシーはコロナ禍の中でも絶対必要で、タクシー労働者もエッセンシャルワーカーということで社会にとって必要な仕事をしているわけですけれども、タクシーの労働条件はもともと悪くて、それがコロナで本当に大変なことになりました。

 アンケートで訊いてみますと年収が「減った」という人が89.5%。なぜそうなるのかといいますと、タクシーの賃金はほぼ全て歩合給で、売上に%をかけて給料が決まるわけですね。このコロナ禍で売上が3月以降、ものすごく減りまして、5月には全国平均で前年同月比6割以上減りました。7〜8月には3割減まで戻りましたが、11月以降第3波でまた4割減。1月はまだ統計が出ていませんが、現場で働いているなかまの声を聞きますと「昼も夜もまったくお客さんがいない、どういう数字になるのか恐ろしい」とのことですから、もっと減ってると思います。売上が6割減るということは給料もそのまま6割減るということなんですね。タクシー労働者の年収を厚労省の統計から推計すると2019年は全国平均で308万円、もともと低いんです。これが6割減ってしまうということになると、年収120万円ぐらいになってしまう、もう生活保護も最低賃金も割り込むような水準に落ちてしまったということなんです。

 ですからタクシーの計画休業ということで街に出てるタクシーを減らす、そうするとお客さんが減っても1台あたりの売上は何とか確保できるということで半分ぐらいは休ませる、休んだ人には休業手当を払うということで私たちも取り組んできました。けれども休業手当というのは平均賃金×各職場の支給率で決まります。平均賃金は、過去3か月の賃金を労働日数ではなく91とか92の暦日で割って算出しますから、平均賃金×100%でも休業手当はコロナ前の6〜7割ということで少ないし、働いて得た賃金も少ないということで大幅な賃金減になってしまったということです。

 アンケートでは一番ひどい月の売上減少比についても訊きましたが、全体の74%の人がコロナ前の「60%未満」で、41.1%が「40%未満」でした。「その月の月収はいくらになりましたか」との設問では実に「10万円未満」という人が56.3%。「2万円未満」だったという人も4.1%いました。本当に生きていけないような賃金になってしまったということです。給料が2万円というのは明らかに最低賃金法に抵触しています。労働組合のある職場なら協定で最賃との差額を会社に補填させることができますが、労働組合のない職場では会社が知らん顔して最賃未満の給料をそのまま払ってるケースも多数あると思います。アンケートの自由記載欄では「1か月8万円しかない、死にそう」「家賃、光熱費、通信費すら払えない」「遠くない将来の破綻が怖い」などという声や、「配属3か月目なので稼げない、仕事を覚えるまでもたない」という新人乗務員の声もありました。

 本当にこのままでは生きていけない状況ですから、この春闘で賃金を大幅に引き上げる、休業を継続して1台あたりの売上を確保する、そして休んだ人には最大限の休業補償で生活を維持できるようにしていきたい、ということで会社と交渉をしていますし、同時にこれは国の政策の問題でもあります。平均賃金の計算の仕方も含めてきっちりコロナ前の賃金が得られるような休業補償にさせる、そしてタクシーはコロナ禍の中でも“公共交通機関としての役割を果たしてくれ”と国交省からいわれるわけですけれども、大きく減った売上を補填してくれるかといってもまったく支援がないわけですから、国の支援等も要求して、何とか本当に生活していける賃金を得られる、そういう春闘にしたいと思っています。

コロナ禍で業界に見切り
2021/02/25

府下で1649人も減少 1.5倍化した原因は事業者の対応


 大阪タクシーセンターの統計によると、管内の21年1月30日現在の運転者証交付数(個人タクシーは事業者乗務証)は20627人で前年同月からの1年間で1460人減少。減少幅が前々年→前年(985人)の1.5倍となっており、深刻な営収低下や事業者の不当な対応に見切りをつけ職場を去る乗務員が増えるなどコロナ禍による影響がうかがえます。

 現役ドライバーの人数を示す運転者証交付総数(別掲)を見ると、昨年同月比で1460人減少し、大阪府B地域(189人)も含めると1649人も減少し、減少数は約1.5倍増加しています。
 「65歳以上70歳未満」を見ると、946人の減ですが、「70歳以上75歳未満」は280人増。「75歳以上」も255人増で、70歳以上の層だけ増加していることが分かりました。
 「50歳未満」「50歳以上55歳未満」「55歳以上60歳未満」「60歳以上65歳未満」をいわゆる現役世代としてひとくくりにして見ると、すべて減少に転じています。
 全体に占める現役世代の割合は49.6%(19年48.9%、20年51.1%)と、ほぼ横ばいでしたが、総じて見ると、今年1年で大幅にタクシー業界から退出した労働者が急増していることが分かります。

労働者に寄り添わず
「最賃」も支払わない


 この間、大阪地連に寄せられた労働相談の中身を総括すると、「最低賃金を支払ってくれない」「基礎疾患がありコロナが怖いのに休ませて貰えない」「雇用調整助成金の活用やコロナ対策休業支援金に会社が協力しない」など、労働者のくらしに直結する賃金問題に対して、事業者が労働者に寄り添わないだけでなく、コロナだから労働基準法違反は当たり前だと言わんばかりの不当な対応が現場で行われ、タクシー業界に見切りをつけた労働者が続発した結果だと言えます。
 「乗務員不足」を口にする事業者が少なくありませんが、こうした不当な対応を行っている限り、人の流入は期待できず、この状況が改善されなければ、早晩白タク・ライドシェア等の勢力に業界ごと呑み込まれ、霧散してしまうことを労使で真剣に協議し、抜本的に改善する必要に迫られているのではないでしょうか。
(書記長・庭和田)

自交総連本部が厚生労働省に緊急要請
2021/02/15

自交総連本部が厚生労働省に緊急要請 雇調金や休業支援金の改善を厚労省に要請する自交総連交渉団(2月2日、東京・衆議院第一議員会館で)

雇調金活用の休業手当
コロナ前実績で支給を


 自交総連本部は2月2日、コロナ対応の雇用調整助成金(雇調金=休業手当を支払った事業者への助成)や休業支援金(休業手当を払えない中小企業の労働者を対象に支給)の改善、適正な運用について、宮本徹衆院議員(日本共産党)の協力をえて、緊急に厚生労働省に申し入れ、交渉を行いました。

コロナ終息まで延長を


 今回組合側は、雇調金の特例措置や休業支援金について、「緊急事態宣言発出の有無にかかわらず全国でコロナが終息するまで延長すること」「使用者が休業の指示を出さない場合でも、実態が休業すべき状況と認められる場合は、実情に応じて労働者の申請で休業支援金が支給されるようにすること」など計12項目を要請しました(別掲)。

「60%」は法定最低限

 組合側は、雇調金を活用する事業者が「休業手当を決めるにあたって平均賃金を算出する場合、(原則とされる)直近3か月だとコロナ禍で大きく減少した営収にもとづいた額になり、休業手当が少なくなってしまう」と指摘し、通常時(コロナ前)の賃金をもとに算出するよう事業者に教示、徹底するよう省側に要請。
 組合側は、休業手当が法定最低限(平均賃金の60%)しか払われないケースを念頭に、「休業手当の額を平均賃金の60%以上と定めた労働基準法26条の数字は“あくまで最低限のもの”という認識で間違いないか」と質問。省側は「そのとおりだ」と応じ、「雇調金は、使用者がこれまでの就労実績にもとづいて支払った休業手当が助成の対象になる」「労基法の最低基準ではなく、実態に応じて支払ったものに助成する。このことは今後も周知していきたい」と説明しました。
 また、事業者からの問い合わせに労働局が「平均賃金とは直近3か月の平均だ」と答えるケースもあるとの組合側の指摘に対し、省側は、平均賃金を算出する「3か月」が仮に1年以上前であっても「合理的な理由をもって1年以上さかのぼって決めているというのが確認でき、就労の実績にもとづいて決めているなら、雇調金で対応可能」と明言しました。

自交本部が第43回弁護士交流会ひらく
2021/02/15

自交本部が第43回弁護士交流会ひらく 各地の裁判闘争について交流する顧問弁護士ら

割増賃金裁判で明暗
二次訴訟勝利めざす


 自交総連本部の第43回弁護士交流会が1月25日、ZoomをつかったWEB会議形式で行われ、11地方22人の弁護士が参加、本部執行委員も傍聴しました。
 会議では、基調報告として、(1)コロナ危機のなかでの自交労働者の闘い(菊池書記長)、(2)ライドシェア・ギグ労働の最近の国際的動向(菅俊治弁護士、東京法律事務所)が行われ、菅弁護士は、ウーバーイーツなどのプラットフォームによるギグ労働がコロナで拡大している状況を説明し、欧州や韓国などで規制の動きがある一方、米・カリフォルニアでは規制への巻き返しも起こっていることなどを報告しました。
 特別報告として、(1)国際自動車事件=割増賃金を歩合給から差し引く賃金の最高裁判決(中村優介弁護士、江東総合法律事務所)、(2)東交通事件=割増賃金を歩合給から差し引く賃金での高裁不当判決、最高裁上告棄却(齋藤耕弁護士、さいとう耕法律事務所)、(3)センバ流通事件=コロナ危機を理由にした解雇で仮処分勝利(長沼拓弁護士、一番町法律事務所)が報告され、意見交換がされました。
 国際自動車事件は、一度は最高裁で不当な判断がされたものを再逆転したもので、割増賃金を歩合給から差し引いて総額が変わらない賃金は、割増賃金を支払ったことにならないということが明確にされました。
 これと同様の賃金で、最高裁で上告が棄却された東交通事件については、なぜ最高裁が異なる判断をしたのかについて質問も出され、二次訴訟での勝利をめざすとの決意が述べられました。
 センバ流通の事件は、コロナによる解雇を無効としたもので、全国的にも大きな影響を与えたと評価されましたが、賃金仮払いが極端に低額にされていることについては、裁判所の全国的な傾向でもあり、警戒を要するとの意見が出されました。

自交総連本部2021年春闘方針決まる
2021/02/15

自交総連本部2021年春闘方針決まる zoomで接続(=奥のモニター)して議事進行する自交本部役員

危機突破、雇用守れ


 自交総連本部(高城政利委員長)は1月27日、東京・自交共済会議室で第43回中央委員会をひらき、会場出席とリモート出席を合わせて22地方から49人が出席。「コロナ危機突破、ライドシェア阻止 雇用を守れ、人間らしく暮らせる賃金確保 21春闘」をスローガンとする春闘方針を決めました。

 今年度の中央委員会は、第43回定期大会と同様、コロナ禍終息の目途がたたない中で組合員や関係者を感染から守るために書面開催となりました。会場出席の本部執行委員が議決結果を確認し、2021年春闘方針案など全議案を満場一致で決定しました。
 高城委員長は「中央委員会挨拶」を書面で発表。「公共交通機関の運行を確保するエッセンシャルワーカーであるタクシー運転者の雇用の確保と労働条件改善は待ったなし」「コロナ禍を機に減車をすすめさせ、適正台数を確保するとともに適正な運賃水準、同一地域同一運賃を確保するための諸施策を講じさせることが重要」と指摘。コロナ禍における雇用維持、賃金確保について「緊急事態宣言の再発令を機に、改めて雇用調整助成金の活用を求めるとともに、資金上の問題から活用できないとする事業者には、労働者が直接申請できる休業支援金の活用について協力させなければならない」としています。

3月5日に中央行動

 今回決定した21年春闘方針では白タク合法化阻止のたたかいについて、「菅政権がすすめる、コロナ危機を口実にしたデジタル化、規制改革のスピードアップに警戒を高め、ライドシェア解禁が組み込まれないよう、世論へアピールをつよめる」と打ち出しています。
 また同方針では3月5日、東京・霞ヶ関での「中央行動」を配置。厚生労働省にコロナ対策の強化や、長時間労働是正のための改善基準改正を求める個人請願書、国土交通省にコロナ対策、需給調整、ライドシェア禁止維持を求める個人請願書を提出し、交渉します。