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2019年03月の記事
自交総連3・7中央行動 経産省・警察庁交渉
2019/03/25
経産省・警察庁に要請趣旨を説明する自交本部・高城委員長(3月7日、東京都千代田区で)
新たに拡がる白タク行為
二種免許規制緩和するな
自交総連本部(高城政利委員長)が3月7日に東京都内で実施した「中央行動」では、経済産業省への請願行動やソフトバンクグループへの抗議デモ(前号報道済み)に続けて経産省・警察庁との交渉に取り組み、「ジャスタビ※1やnotteco(のってこ)※2、CREW(クルー)※3などの白タク行為を合法と認定しないこと」「二種免許の規制緩和を行わないこと」などを要請しました。
無責任な態度に終始
交渉は、国会議事堂に隣接する衆議院第2議員会館に経産省と警察庁の担当者を招いて行われました。
組合側は「経産省が、グレーゾーン解消制度※4でジャスタビや“のってこ”などの白タク行為を合法と認定した結果、クルーなどの新たな白タク行為も拡がっている」「この事業を監督する省庁は存在せず、二種免許を持たない運転者が自家用車に他人を乗せて運行する事業が野放図に行われている」と指摘。経産省に対し、国民の安全・安心、道路交通の安全を確保する観点から、認定後の事業の運営に責任を持たない無責任なグレーゾーン解消制度の運用を改め、白タク行為を合法と認定しないよう要請しました。
経産省側は「グレーゾーン解消制度は、法で定められた規制に入るのか入らないのかを判断するもので、新しい規制やルールをつくるかどうかは立法府で決めること」として行政責任を否定。「あらゆる事業にすべて規制があるというわけではない。業法がない方が多い。監督する官庁がないものもある」と開き直りました。
組合側が「誰も監督しないということは、もし事故や事件が起こったら、乗った人の自己責任ということか」と質すと省側は「誰が責任を取るかどうかというのを言うのは、私の職務の範囲を超えている」として回答を避けました。
国交省の判断を注視
警察庁に対する要請事項は、ジャスタビや“のってこ”、クルーなど「二種免許を持たない運転者が自家用車・レンタカーに他人を乗せて運行する白タク行為を禁止すること」と「二種免許の規制緩和(取得可能年齢、運転経験年数の短縮)を行わないこと」。
警察側はジャスタビなどについて「道運法に反するのか、旅客自動車運送事業に当たるのかどうかが本質と理解している。国交省の判断を注視している」、二種免許の規制緩和については「規制改革会議の答申にもとづき、現在検討中。有識者会議での議論は先月末に最終回が終わり、提言の最終的な調整をしているところなので詳細は言えないが、決して安全をなおざりにした検討はしていない」と回答しました。
※1 ジャスタビ=レンタカー旅行者と観光ドライバーを仲介するウェブサイト。「ドライバーのみ手配するサービス」なので「観光タクシーよりも安価」と宣伝している。
※2 のってこ=自家用車で長距離移動する運転者が相乗り相手を募るウェブサイト。ガソリン代・道路通行料などの実費を運転者と相乗り相手が折半。サービスが浸透するまで手数料は無料としている。
※3 クルー=近〜中距離移動が対象の相乗り仲介スマホアプリ。利用者の行き先指定に運転者が応じる。料金の内訳は、ガソリン代・道路通行料などの実費と、「マッチング手数料及び安心安全保証料」、任意の「謝礼」。
※4 グレーゾーン解消制度=自分が始めようとしている事業に法律の規制が適用されるかどうかを国に対して確認できる制度。ジャスタビなどは、事業を所管する経産省が相談を受け取り、規制を所管する国交省に確認し、「旅客自動車運送事業」に該当しないと回答。
白タク阻止大行動を 乗務員負担一掃せよ
2019/03/25
白タク合法化阻止の共同闘争と労働条件改善を要請する大阪地連要請団(左側、3月14日・大阪市中央区で)
大阪タクシー協会に要請
自交総連大阪地連(福井勇委員長)は3月14日午前、「3・14大阪総行動」の一環として大阪タクシー協会(大阪市中央区、坂本栄二会長)に赴き、白タク合法化阻止に向けた共同闘争と運賃改定後速やかに労働条件を改善するよう求めました。
要請行動に大阪地連からは三役・専従ら8人が参加。協会側は井田信夫専務理事、黒田唯雄参与が応対しました。
組合側は白タク・ライドシェア合法化阻止闘争について、「大阪における労使共同の取り組みが停滞している」と指摘。労使が共同して議論できる場・勉強会などを早急に企画し、市民・利用者の耳目を集める大がかりな行動を行うよう要請しました。
また、「運賃改定の際に労働条件低下につながるスライド賃下げや賃率変更などが行われないよう加盟事業者を指導すること」や、「アプリやキャッシュレス化に伴う機器設置も含め、事業に要する経費を受益者負担などと称して運転者に負担させることのないよう協会がイニシアチブを発揮すること」も求めました。
組合側は「タクシーの利益率は3%といわれるがアプリの手数料は高く今の運賃の仕組みでは吸収できない問題だ」「総括原価方式で本来の高率なアプリ手数料込みの運賃値上げだと利用者の理解は到底得られない値上げ率になる」「消費税増税では乗り控えが予想され、営収が下がれば各種手数料負担を乗務員に押しつけてくるのは目に見えている」と問題点を列挙し協会側の見解を質しました。
協会側は、問題点について「運輸局にも投げかけてみる」と応じ、白タク阻止に向け労使が共同して議論する場については「小委員会のメンバーを協会が責任をもって4月中旬までに固める」と約束しました。
3・7中央行動 白タク許さぬ!!車両400両・組合員500人が請願行動
2019/03/15
経済産業省への請願書提出に駆けつけたタクシーの列(3月7日、東京・霞ヶ関で)
経産省取り巻くタクシー
自交総連本部(高城政利委員長)は3月7日、東京都内で白タク合法化阻止に向けた「中央行動」に取り組み、経済産業省への請願行動にはなかま500人に加えタクシー車両400台が参加。大阪地連からも24人と宣伝カーが参加してソフトバンクグループ本社へのデモなどに奮闘しました。
東京・霞ヶ関の経済産業省前では、乗務中のなかまが同省に「白タク合法化政策の中止を求める請願書」を提出する車両請願行動を10時から開始。「白タク合法化絶対反対!」などのステッカーを貼ったタクシー車両が次々と駆けつけ、列をなしました。
10時30分からの個人請願書提出・決起行動で主催者あいさつを行なった自交本部・高城委員長は「海外ではレイプや殺人など事件が多発していることからライドシェア禁止、規制強化に転じているのに官邸主導でシェアリングエコノミーを推進し、経産省はその旗振り役」「国民の犠牲をいとわず、利益をむさぼる利己的目的だけでライドシェア解禁を求めているのが竹中平蔵氏であり、ソフトバンクの孫正義氏であり、楽天の三木谷浩史氏」と指弾しました。
自交総連各地方の代表が決意表明。大阪地連・福井勇委員長は「人の命を守る規制を強化することはあっても緩和するのは許されない」と強調し、事実上の白タクであるクルーを「グレーゾーン解消制度」で容認した経産省・国交省について「一部の企業の利益のために便宜を図り、法や規制をねじ曲げた。人の命を何だと思っているのか」と語気を強めて批判しました。
東北地連・石垣敦書記長は「東日本大震災では他のあらゆる交通機関が止まる中で、タクシーだけは住民の足を守るために一生懸命に走った」「これが白タクだったらどうなるのか。法外な運賃要求、乗車拒否、こうしたことが起きることは明らか」「白タク合法化を断固として許さないために力を合わせてがんばろう」と呼びかけました。
午後からは日比谷公園から汐留のソフトバンクグループ本社に向けてデモ行進に出発。なかまは「ソフトバンクは公共交通を破壊するな!」「ソフトバンクは白タク推進をやめろ!」などと声を張り上げました。
全タク連に3・7中央行動への協力を要請
2019/03/05
全タク連・武居労務委員長(左)に要請書を提出する自交本部・高城委員長(2月25日、東京都千代田区で)
共同拡げ白タク阻止
自交総連本部の高城委員長、舞弓副委員長、菊池書記長、中村常執は2月25日、全国ハイヤー・タクシー連合会(東京都千代田区、川鍋一朗会長)に赴き、「3・7中央行動」でタクシー車両を使用する請願行動などへの協力を要請。全タク連からは武居労務委員長、神谷理事長ら8人が応対しました。
組合側は3月7日に予定している「中央行動」(東京・霞ヶ関)について、経済産業省に向けて白タク合法化政策の中止を求める請願行動に取り組むことを説明。全タク連に車両使用への理解を求めるとともに、車両への一時的なステッカー貼付も含めた協力を要請しました。併せてジャスタビ、のってこ、クルーなど運転者マッチングサービスの禁止、白タク合法化阻止に向けて労使の「共同が進められるようにすること」や、春闘での労働条件改善も求めました。
全タク連・武居労務委員長は車両請願について、「タクシー車両を使うことはこれまでもやってきてクレームがついたことはないのではないか」と話し、「白タク合法化反対では(組合側と)一致している。組合が必死にやっているのに、事業者の中には危機感が薄いところもある。全タク連として文書で指示するというのはできないが、各社で参加してもらえればありがたい」との考えを示しました。
さらに全タク連からは「クルー※に危機感を持っている。全タク連でも試乗調査をしている。組合とも情報を共有したい」「官邸の意向で、ライドシェアの話が未来投資会議などで出されている。竹中平蔵氏も動いている。いまはタクシーと協業しているウーバーも、白タクが合法化されたら“ライドシェアでいこう”と狙っているので信用はできない」との意見表明がありました。
※クルー=近〜中距離移動が対象の相乗りアプリ。利用者の行き先指定に運転者が応じる。料金の内訳は、ガソリン代・道路通行料などの実費と、「マッチング手数料及び安心安全保証料」、任意の「謝礼」。
悩ましい現象 稼働率アップは日車営収減に直結
2019/03/05
総需要増えねば共倒れ
大阪タクシーセンターの統計によると大阪地域における1月31日現在の運転者証(個人タクシーは事業者乗務証)交付数は23072人で前年同日からの1年間で583人の減。また、大阪タクシー協会が毎月公表している「輸送実績」によると大阪市域・中型車の平均日車営収は3万円台をキープしているものの昨年比では鈍化傾向を示し、反して実働率は若干持ち直しています。
大阪地域の運転者証(事業者乗務証)交付数を5歳ごとの年齢別に見ると、前年同日比で最も減少したのが、「65歳以上70歳未満」で903人の減(6071人→5168人)でした。
前回調査時は「75歳以上」(222人増)だけが増と言う結果でしたが、今回は「70歳以上75歳未満」(407人増)と50歳未満(22人増)も少数ですが増加に転じています。
高齢化がいっそう進行していることが分かります。業界でいう若年層も若干ではあるものの増加傾向に転じていますが、全体では583人の減でした。また、タクシー活性化法施行前日の09年9月30日現在の交付数・33056人と比較してみると施行後9年4か月で9984人減少しています。
稼働率は65%から67.6%と若干持ち直していますが、稼働率が上がると日車営収のプラス幅が鈍化傾向を示す相関関係が見て取れます。業界関係者から「乗務員不足」というフレーズがよく出ますが、全体の総需要が目に見えて増えない限り、日車営収の低下に直結することが読み取れます。
大阪は24年ぶりに、運賃改定が行われることになりましたが、全国的に行われている距離短縮運賃に大阪もなります。近畿運輸局がどう判断するのかも注目しなくてはなりません。
しかし考えあわせておかねばならないのは、運賃改定と同時期に消費増税も予定されており、乗り控えが起こることも懸念され、労働環境悪化を招く危険性を孕(はら)んでいることを念頭におく必要があります。