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2020年03月の記事
〈自交本部3.5中央行動・続報〉厚労省交渉
2020/03/26
厚労省に要請書を提出する自交本部・高城委員長(右、3月5日)
「違法な賃金控除には是正指導」
「協定なき天引きは労基法違反」
自交総連本部(高城政利委員長)が「中央行動」(3月5日、東京)の一環として取り組んだ厚生労働省交渉では、新型コロナウイルス対策のほか、一部事業者が経営コスト負担押しつけや、運賃改定後のスライド賃下げを一方的に行なっている問題について同省の見解を質し、是正を要請しました。
組合側は、運賃改定後のスライド賃下げ(値上げによる増収分を経営者が独占するための足切り額引き上げ、賃率引き下げ)など、「労働者の同意なき一方的な不利益変更が行われないようにすること」を要請。また、国交省が事業者団体に「事業に要する経費を運転者に負担させる慣行がある場合には見直しを図る」よう指導していることを念頭に、厚労省からも同様の指導を行うよう要請しました。
省側は「労働条件は原則として労使の合意がなければ変更できない。就業規則を変更する場合でも、労働者の不利益になる場合は合理性が求められる」「賃金制度自体は労使でよく話し合って決めるものだが、違法な賃金控除や過重労働については引き続き是正に向けた指導を行なっていきたい」と回答。組合側が「仮に労働者本人が同意したとしても、労使協定がなければ賃金から天引きすることはできないですね」と確認すると省側は「協定がないとだめだ。労働基準法24条違反となる」と応じました。
新型コロナ対策
休業時の賃金保障を
組合側はライドシェア合法化問題に関連して「『雇用関係によらない働き方』の拡大をとめ、ギグ・エコノミー(インターネット経由の単発・個別請負型の労働)を利用して利益をあげるプラットフォームビジネスを規制し、雇用責任の明確化、労働関係法の適用、労働基本権の確認など労働者の権利を守ること」を要請。省側は「契約の形態がフリーランスであっても、労働者としての実態があれば労働関連法令にもとづき保護される」「厚労省として、そういう働き方を広げ、労基法の外に押し出していきたいとは思っていない」との考えを示しました。
新型コロナウイルスの問題では「発熱症状があるなど具合が悪い運転者がいても賃金の保障がなければ休みたくとも休めない。感染を拡げるおそれもある。労働者に対する施策が必要だ」と訴えた組合側に対し、省側は「雇用調整助成金の要件緩和や病気休暇をつくった企業に時間外労働等改善助成金を出すなど緊急の対策を進めている。実際に休業した運転者への保障は今後検討したい」としました。
労働者の生活守れ 大阪タクシー協会に要請〈3・12大阪総行動〉
2020/03/26
新型コロナウイルス禍の中で労働者の生活を守る手立てを大タ協に要請する大阪地連交渉団(右側)
新型コロナ 賃金が激減
自交総連大阪地連(福井勇委員長)は3月12日午前、春闘ヤマ場の「大阪総行動」(提起=大阪労連・大阪春闘共闘委員会)に呼応して新大阪駅、大阪駅、南海なんば駅で宣伝行動を展開。同日午後には大阪タクシー協会交渉に取り組み、「白タク合法化阻止に向けた共同」「労働条件改善」に加えて新型コロナウイルス禍による賃金低下・雇用危機から乗務員を守るよう要請しました。
午前の宣伝行動でマイクを握った福井委員長は待機中のタクシー乗務員に向けて「クレジットカードなどの手数料を労働者から徴収している会社が少なくない。たとえばスーパーのレジ係はカード手数料を徴収されているだろうか」「有休を取れば月給が大きく減るから休めない、これでは有休が付与されていないのと一緒だ」と指摘し、「労働条件改善を一人で訴えても会社は聞く耳を持たない。ぜひとも私たち自交総連にご相談を」と呼びかけました。
吉田副委員長は「安倍政権は道路運送法を改悪し、自家用有償旅客運送を拡大しようと狙っている。ライドシェア・白タク合法化推進勢力は自家用有償を突破口にするつもりだ。巨大IT企業の金儲けのために利用者を危険に晒し、運転者を“名ばかり自営業者”にし、地域公共交通を亡ぼす企みを許してはならない」と訴えました。
スライド賃下げの防止
国交省「告示」守らせろ
同日午後からの大阪タクシー協会交渉で組合側は、
(1)〈自家用有償旅客運送の拡大についてライドシェアへの突破口とされないよう反対の立場をとること。地域公共交通会議や各種法定協議会などでは自家用有償の安易な拡大に道を開かぬよう警戒心を高めて対処すること〉
(2)〈運賃改定時のスライド賃下げの防止、運転者負担の解消等について、国交省通達を遵守し、運転者の労働条件改善をするよう各事業者に指導すること。春闘課題についても各事業者が真摯に対応するようイニシアチブを発揮すること〉
(3)〈新型コロナウイルス対策で、マスク・消毒薬の確保や労働者の休業時の生活保障等の措置を国や地方自治体に協力を求めて、実施すること。予想される営業収入低下について、タクシー事業の経営維持、労働者の生活を保障する特別な緊急対策を政府に強く要請するとともに、加盟事業者に対しては雇用調整助成金制度や『病気休暇』(3月3日から実施、上限50万円)の活用など、あらゆる手段を講じて雇用・賃金を守るよう指導すること〉を要請しました。
大タ協からは井田信夫専務理事、黒田唯雄参与が応対。協会側は自家用有償について「さまざまな角度から検討し、白タク・ライドシェアに道を開かないよう努力する」、スライド賃下げ防止、労働条件改善については「通達とか附帯決議で謳(うた)われていることを無視するわけには絶対にいかない」、新型コロナ対策については「全タク連が事業者助成金の創設などを行政に要請しているが大タ協としても求めていく」と応じました。
大阪労連第77回中央委員会 執行部まとめ
2020/03/16
「受益者負担」制度許さない
庭和田裕之書記長
労使関係の黄信号注意
アプリ配車やキャッシュレス決済の手数料など、何があろうと賃金にまつわるものを合意もないのに勝手に天引きするのは労働基準法24条違反であり、絶対に許されないことです。これまで労使で話し合ってやってきたはずなのに今回そういうことがなされたというのは黄信号。赤信号にさせてはいけません。
もっと小ずるいのは直接給料から引くのではなく営業収入から引くというやり方をしている会社も少なくありません。本来、会社が負担すべき経営コストを「受益者負担」だのわけのわからない名をつけて乗務員に押しつけてくるという問題、そして運賃が総括原価方式で決められている中で、営業収入から勝手に引いている問題に対しては、労働組合としてきちんとモノを言っていかなければなりません。
維新の悪政が生活直撃
大阪における維新政治とのたたかいは11年にもなります。私たちは大阪維新が掲げているタクシー自由化に対しても一貫して反対の声をあげてきました。
いま大阪府、大阪市ともにスマートシティ(情報通信技術を活用して都市のマネジメントを行う)構想を持っていますが、その中にライドシェアのことも含めて盛り込まれる危険性が大きく、それを可能にする特区法の改正が国会に出てきたら大変なことになります。
維新政治というのは何でもかんでも自分らの決めたことに関しては絶対にやり遂げるという悪い信念を持っています。否決された大阪都構想の住民投票をまたぞろ11月に行おうとするのは駄々をこねる子どもと一緒ですが、彼らは財力もマンパワーも持ちながら、したたかに考えています。
御堂筋の歩行者空間化計画を見てもわかるように、そこでタクシー営業してる者がどうなるのかということは彼らの頭の中には全くありません。
維新をのさばらしていたら我々の生活に直撃するということだけは間違いありません。私たちは大津市で行なってきた運動以上の取り組みを大阪府下全域で展開しなければなりません。
職場要求吸い上げよう
「労使対等」は法律で定められた原則ですが、こちら側がへりくだったモノの言い方をしている限り対等になんて絶対になりません。だからといって暴言を吐くのではなく、おかしいことに対して普通の言葉できちっと“おかしい”と指摘するのが対等に近づく一歩です。
今春闘で一番大事にしてほしいのは「一職場一重点要求」、職場の組合員さんの声をよく聞くことです。どの職場にも“これを変えてほしい”という問題が必ずあり、それを吸い上げ獲得のため奮闘するのが執行部の役目です。
大阪地連執行部は今後ともしっかり団結をし、現場に目線をおきながら、皆さんと機関会議等での話し合いに基づいて問題を解決していきたいということを強く表明をして、討論のまとめとします。
自交総連本部が「3・5中央行動」
2020/03/16
国土交通省交渉で要請趣旨を説明する自交総連本部・高城政利委員長(3月5日、東京都千代田区で)
“準タクシー”拡げるな
自交総連本部は3月5日、自家用有償旅客運送の拡大、道路運送法改悪の阻止に加えて、新型コロナウイルス問題への緊急対応も含め議員要請し、国土交通省・厚生労働省交渉にもとりくみました(国会前での決起集会は新コロナ感染問題のため中止)。議員要請では各党33人の議員へ要請行動を行いました。
高城委員長をはじめとする中執メンバーらは15時から衆議院第2議員会館第8会議室で国交省、厚労省と交渉、日本共産党の武田良介参院議員も参加しました。
国交省交渉では、自家用有償旅客運送の輸送対象・地域等の拡大について、組合側が、実施可能となる「交通空白地」か否かが各地域の公共交通会議や法定協議会等の協議が調えば決まるということになれば、無制限に自家用有償旅客運送を全国に広めるものではないかと追及するとともに、障がい者のタクシー利用へ国の補助金を出すことも強く求めました。
省側は、自家用有償旅客運送を進める上で「協議が調う」という採決の方法を含め各地域で決めるものだとしました。この回答に対し庭和田副委員長(大阪地連書記長)は「国交省がいう『協議が調う』というのは、少数の反対があっても過半数で良いということか。それなら日本全国どこでもできるということになる」と述べた上で「先ほど自家用有償旅客運送はライドシェアとは全く異なるものと言っていたが、こうした仕組みだとタクシー運賃の概ね半額の『準タクシー』(自家用有償旅客運送車)が全国で走り出すことになる。そうなるとタクシーやバス事業が維持できなくなるのは明白だ」と指摘しました。
つづけて、「そもそも道運法78条に基づく自家用有償運送は『合議が調う』ということで新規申請や更新が認められているが、国交省は地域公共交通会議の議決を過半数で良いと途中で変えてきた経緯がある」と指摘し、どちらに基づくもので決めていくのか訊ねると省側は沈黙し、回答できませんでした。
また菊池書記長が2月からの運賃改定について「改定の趣旨に反するスライド賃下げなどを言い出している事業者への対応を国交省はどうするのか」と訊ねると、省側は「(守らない事業者については)地方運輸局に申告してほしい」と答えました。
新型ウイルス対策急げ
厚労省では、新型コロナウイルスの問題について、発熱症状があるなど具合が悪い運転者がいても賃金の保障がなければ休みたくとも休めない、対応策はないのかと質問すると、省側は、現状では柔軟に休暇がとれるように有休の利用や傷病見舞金などで対応するほかないとしましたが、雇用調整助成金の要件緩和や病気休暇をつくった企業に時間外労働等改善助成金を出すなど緊急の対策をすすめており、今後検討していきたいとしました。
国会議員33人に要請
国会議員要請は、2人で1班、全9班をつくり、衆参33人の議員に要請しました。
要請事項は、(1)法案の中の自家用有償旅客運送の拡大、道路運送法の改悪部分に反対してほしい、(2)この狙いはライドシェアへの突破口とすることにある、(3)地域公共交通充実、障がい者らのタクシー利用への運賃補助のため予算をふやすこと、(4)請願書を議院に提出する際の紹介議員になることへの承諾、というものに加え、緊急にコロナウイルス対策の要請も行いました。左表のような報告が集まっています。
広域地連「自交総連関西地連」が発足
2020/03/06
来賓あいさつで祝辞を述べる自交総連本部・高城委員長(2月26日)
大阪・京都・和歌山
危機突破めざし団結
自交総連の大阪地連・京都地連・和歌山地連が結集する広域地連、関西地方連合会の結成大会が2月26日に国労大阪会館(大阪市北区)で開かれ、綱領と規約、議事運営規定、初年度役員案を全会一致の賛成で決定、関西地連が発足しました。
大阪地連第77回中央委員会(2月26日、国労会館)に続いて同会場で開かれた関西地連結成大会では、自交総連本部・高城政利委員長、大阪労連・菅(かん)義人議長、大阪交運共闘・南修三議長、日本共産党・辰巳孝太郎前参院議員、和歌山県地評・杉勝則事務局長、京都総評・梶川憲議長が来賓あいさつ。
自交本部・高城委員長は「地方組織は全国的にどこも厳しい状況下にある。複数の組織が一つにまとまるのは大変だが、要求のもとに団結するのが労働組合。これまでの困難を思えば前向きにがんばっていける」「本部としても引き続き支援していきたい」と激励しました。
京阪和一丸で運動強化
大阪地連・京都地連・和歌山地連の各組織は関西地連のもとで存続します。関西地連の規約は「各府県単位に、府・県協議会を設置する。府・県協議会は、当該府・県内において対外的に府・県地連を名乗ることができる」としています。
11月に開く大会まで、関西地連の役員は大阪・京都・和歌山各地連三役が暫定的に務めます。
関西地連三役(暫定、敬称略)
委員長=福井勇(大阪地連委員長)
副委員長=吉村勇路(京都地連委員長)・吉田栄二(大阪地連副委員長)・佐野至則(和歌山地連委員長)
書記長=庭和田裕之(大阪地連書記長)
新役員を代表してあいさつを行なった福井委員長は「苦境にくじけず踏ん張ってこられた京都、和歌山のなかまに敬意を表したい」と述べ、会場は大きな拍手に包まれました。
吉村副委員長は「ライドシェア問題は非常に厳しい状況になっている。自家用有償旅客運送の拡大を許してしまうと全国に飛び火する。ここが正念場と考えて運動を強化していきたい」と決意表明しました。
第77回中央委員会 2020年春闘方針を決定
2020/03/06
春闘勝利に向け団結と奮闘を呼びかける大阪地連・福井委員長(2月26日)
“準タクシー”の拡大阻止
スライド賃下げ許さない
自交総連大阪地連(福井勇委員長)は2月26日、第77回中央委員会を国労大阪会館(大阪市北区)で開き、「自家用有償運送拡大・道運法改悪阻止を最重点としてたたかい、ライドシェアへの突破口とさせない」などとする「2020年春闘方針」を全会一致の賛成で決定しました。
あいさつを行なった福井委員長は、ソフトバンクや楽天など白タク・ライドシェア推進勢力が東京五輪や過疎地住民の交通手段確保を大義名分に圧力を強めていると指摘。また2月1日に実施された運賃改定について「国交省が出した通達に従えば、値上げ・増収にともなって足切り額を上げたり賃率を下げるなどのスライド賃下げは許されない」と強調。「今春闘は、乗務員負担やアプリ手数料など山積している問題を解決するチャンス」として、いっそうの団結と奮闘を呼びかけました。
議案提案を行なった庭和田書記長は、自家用有償旅客運送を拡大する道路運送法改悪が今通常国会で狙われていることについて、「これを許せば運賃半額の“準タクシー”が生まれる。既存の公共交通は弱体化して撤退していく」「規制緩和で容易に撤退できるようになっている。ライドシェアへの道すじだ」と指摘。ライドシェア解禁が安倍政権による「雇用によらない働き方」推進とリンクしていることについて、「非正規雇用拡大でボロ儲けしてきたのが今度は“非労働者化”。規制緩和で地域公共交通が壊れ、地域社会が壊れる」と強調し、市民向け宣伝の強化を訴えました。
討論では日本城労組・田中純一氏、朝日労組・一井潤氏、新商都労組・山本均氏、テイサン大阪労組・内藤顕二氏が発言。山本氏は「大阪市中央区では維新の大阪市議が公職選挙法違反で失職し、3月22日に再選挙が行われる。維新はタクシーについても規制緩和論者。維新の議席復活を阻止したい」と決意を述べました。