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2008年05月の記事
【第一交通闘争】第一交通産業は団体交渉を行え
2008/05/26
高裁判決確定を受け、支援者に謝辞を述べるとともに佐野南海交通労組の組合員を激励する権田委員長(14日、自交会館で)
最高裁「決定」を受け勝利集会
昨年10月26日の大阪高裁判決※を不服とする第一交通産業の上告および上告受理申立を、最高裁第一小法廷が5月1日にそれぞれ「棄却」「不受理決定」したことを受け、第一交通闘争支援共闘会議・大阪地連・佐野南海交通労組は5月14日に「勝利報告集会」を開催。100人を超えるなかま・支援者が喜びを分かち合いました。(関連記事2面)
集会冒頭の主催者あいさつ。大阪地連の権田委員長は「皆さんの絶大な支援で昨年10月26日の大阪高裁判決が確定しました!本当にありがとうございました」と謝辞を述べると、会場から盛大な拍手が起こりました。
“運動”で職場復帰させ完全勝利めざす
権田委員長は続けて、他産業でも企業買収による組合つぶしが行われている中で今回の「確定」が「たたかう労働者・労働組合の権利を守る防波堤になる」と評価。これから争議解決に向けて労働組合の真価が問われる、として「“運動”で本当に完全勝利して、解雇されたなかまを職場に戻すためにがんばりましょう」と呼びかけました。
司法では最大の勝利収めた
原告を代表してあいさつに立った佐野南海交通労組の堀川委員長は「自交総連のなかま、交運共闘、大阪労連、阪南地区協や大争共のなかまの支援で勝利できました。弁護団の皆さんには法律家としてのちからを発揮していただきました」と謝辞を述べました。
そして「司法では最大のたたかいで勝利を収めましたが、一筋縄ではいかない第一交通産業は、我々を追い詰めるためのいろんな条件づくりを始めています。我々も負けないように皆さんから勇気をいただき、がんばっていきたい」と力強く決意表明しました。
集会は最後に、第一交通産業・黒土始会長、田中亮一郎社長に対して「確定した大阪高裁判決を一日も早く完全履行すること」「早急に団体交渉を行うこと」を求める集会決議を満場の拍手で採択。団結ガンバロー三唱で締めくくりました。
【第一交通闘争】5・14勝利報告集会@
2008/05/26
「親会社の責任認めさせた意味大きい」
弁護団・学識者が喜びのあいさつ
労働者共通の大きな武器確立できた
皆さん自身とご家族、支援共闘会議や大争共など、なかまのちからに大きく支えられて今日を迎えたことを、皆さんと一緒に喜びたいと思っています。
まず、ひとつは第一交通という全国一のタクシーの会社相手に、皆さんが一歩も引かずに、最終的には現実の闘争でも法律の闘争でも追い込んで、ついに勝利したという点は実に画期的だと思います。法律闘争も含めてこの勝利はタクシー関係だけではなく、多くの争議をたたかっている、あるいはこれからたたかう広汎な人々にも大きな励ましになると思います。
それからふたつめには、西谷先生をはじめとする皆さんの協力を得て「法人格否認」という理論によって最高裁で最終的に勝利し、皆さんの身分が“第一交通産業との間にある”という確認を法律的にさせた意味は極めて大きいと思います。おそらく今後、いわゆる親会社や支配会社とのたたかいにおける大きな武器を、単に皆さんだけではなく、広く日本の労働者、労働組合の皆さんの共通の武器として確立することができたと考えます。
平成13年の4月度から約2年の間には第一側の策動で、こころならずも組合を脱退した人もいました。しかし原告が55人に確定してから以後は、第一側も個別の策動をできなくなり、55人は現在まで団結を維持してがんばってこれたことも、皆さんと一緒に喜びたいところです。
【第一交通闘争】5・14勝利報告集会A
2008/05/26
組合つぶしに歯止めかける歴史的判決
この事件についてお話をいただいたときに、こんな第一交通のようなことが許されるようだったらこれは労働法も終わりだと、こんな事件で負けるようだったら自分も労働法学者としてやってられない、という感じできました。
一部には「親会社の責任は認められない」「子会社の事業を承継した会社が雇用責任を負う」という雰囲気もあったので今回の最高裁の決定は労働法の研究者として、ものすごくうれしく思っています。
これは当然、全国的に、しかもタクシー関係だけではなくて、いろんな企業再編の中で労働組合つぶしが行なわれていますが、そういう動きに大きな歯止めをかける意味があると思います。つまり、親会社が子会社の労働組合をつぶすために子会社をつぶして別の会社に事業を承継させても、親会社が雇用責任を負わなければならないことを最高裁で確定させたことの意味はものすごく大きい。
実は今日、知人が編集した「労働法重要判例を読む」という本が届きました。その本では戦後の重要な判例を23例挙げてそれぞれ解説しています。この第一交通の事件は間に合わなかったので今回入っていませんが、確実に24番目の判決として歴史に残ると思います。
【第一交通闘争】佐野第一交通 解散解雇事件の組合側勝訴が確定
2008/05/15
弁護士 藤木邦顕
弁護士 藤木邦顕
最高裁第一小法廷は、5月1日、第一交通産業本社に対して自交総連佐野南海交通労組組合員の雇用を認めた大阪高裁平成19年10月26日判決を支持し、会社の上告および上告受理申立を退ける決定を下しました。これにより2003年4月の偽装解散全員解雇以来、不屈に闘ってきた佐野南海労組組合員らの雇用が第一交通産業本社との間にあることが確定しました。
第一小法廷は、同じ解散解雇の保全事件で雇用関係は受け皿として進出させた御影第一との間にあるという大阪高裁の保全抗告決定を支持していましたので、会社側の上告および上告受理申立が同小法廷に係属したと知ったときには、弁護団としては大阪高裁判決の見直しの可能性もあると警戒しました。今回の決定は、会社側の言い分は上告理由にもならず、最高裁としては重要な法律上の問題を含むと解さないとしたもので、大阪高裁の本訴の判決が完全に支持されました。
親会社による子会社の解散について、法人格否認の法理を使って労働者の雇用を守ることを認めた判決は、1970年代には見られましたが、80年代以降極めてまれになっていました。今回の最高裁決定は、組合つぶしのために子会社を解散するという親会社の無法は許されないとした点で従来の理論を再確認したものですが、企業の横暴が広がり、雇用が失われることの多い現代で、親会社の雇用責任を認めた点では労働者・労働組合の闘いに広く大きな武器を与えたことになります。
最高裁決定後、会社は組合員をどこで、いかなる条件で働かせるのかまだ明らかにしていません。組合・弁護団は、雇用が実現する時まで、さらに会社を追及する決意です。
【第一交通闘争】組合側の全面勝利「確定」
2008/05/15
最高裁第一小法廷 第一交通産業の上告棄却
最高裁第一小法廷(横尾和子・泉徳治・才口千晴・涌井紀夫裁判官)は5月1日、第一交通産業の上告と同受理申立に対し、裁判官が全員一致で「棄却」と「不受理決定」を下しました。
大阪高裁が昨年の10月26日に下した「判決」(平成15年4月16日の組合つぶしの佐野第一交通偽装廃業=親会社・第一交通産業への雇用責任と、黒土(くろつち)始(はじめ)会長、田中亮一郎社長に対する不法行為責任=佐野南海交通労組組合員各人と同労組、大阪地連への損害賠償金支払い命令)を不服として、同社と両氏が昨年11月8日に上告を申し立てた事件です。
最高裁は、決定理由について、「民訴法312条1項(上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とする)又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって明らかに該当しない」とし、不受理決定についても「民訴法318条1項(原判決に最高裁の判例と相反する判断がある事件、その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件)により受理すべきものとは認められない」としています。
上告が棄却されたことで、組合側の「完全勝利」が確定し第一交通産業との裁判闘争は大きな山を乗り越えたことになりますが、同社は労働組合の団体交渉申し入れ(08年3月25日)にもまったく応じようとはせず、組合敵視政策を改めようとはしていません。
大阪地連の権田委員長は「第一交通産業の動き(牛イ野交通開設)を見ても紆余曲折が予想されるが、組合員の職場を確保した上で全面解決するまで奮闘する」とコメントしています。
水鉄労組が「勝利報告集会」開催
2008/05/07
「裁判としてはかなり厳しいものがあったが、当該労組が旧経営陣は許さないという強い意志があり団結して闘ってきたことで勝利和解できた」と経過報告する西本弁護士=円内
旧水鉄資本経営陣の責任追及
団結背景に
不当労働行為責任取らせた
水鉄タクシー労組(今川久志委員長)が水間鉄道旧経営陣に対して、不当労働行為の責任を追及した裁判は3月31日に組合側勝利の内容で和解が成立、3年半にわたる争議が終結しました。4月27日には、同労組が支援者への感謝の気持ちを込めて「勝利報告集会」を貝塚市内で開き、80人のなかま・支援者が喜びを分かちあいました。
組合つぶしに敢然と闘った
04年1月、水鉄労組(以後、組合)はそれまでの「労使協議会」方式を改めるために労使対等の団交を求めましたが、会社は拒否。同年6月には組合との合意がないまま一方的賃下げ(公休出勤水揚の月間営収組入れ廃止など)を強行しました。
同労組が即座に抗議の市民宣伝を展開すると、会社は報復として古和委員長(当時)を含む6人に出勤停止処分を行ない、自交つぶしにかかりました。
その後も公出廃止、残業禁止などの兵糧攻めや、10数人にも及ぶ嫌がらせの出番変更などの攻撃が続きましたが、組合は裁判所に提訴するとともに、大阪府労働委員会に「不当労働行為救済」申立を行なって、敢然と立ち向かいました。
05年4月、バブル期の過剰投資で140億円の負債を抱え込んでいた親会社の水間鉄道が大阪地裁に会社更生法適用を申請、保全命令を受けたことで争議は急展開します。子会社のタクシーにも同法が適用されたことで、代表取締役だった増本隆夫氏を含む5人の経営陣は解任されました。
会社が同年12月に事業の引き受け手が現われたことで廃業を免れると、管財人は組合に一定額の和解案を提示しました。組合は会社再建の見地からこれを受け入れましたが、旧経営陣への責任追及の手は緩めず提訴。約2年を経て今回の勝利和解となりました。
励ましあって勝利つかんだ
集会の主催者あいさつで今川委員長は、支援への謝辞を述べるとともに「厳しい争議で組合員が一時は元の4分の3にまで減りましたが、励ましあって最後までたたかいきることができました。今後も一同団結してがんばっていきたい」とのべました。
続けて南地協の堀川議長が「このたたかいは今後の水鉄労組にとって、大きなちからになると思う。その証しとして私鉄組合から多くのなかまが入ってきました」とあいさつ。貝塚労連の北田議長、日本共産党貝塚市議団の尾崎議員も祝辞を寄せました。
司法で糾弾!! 三和交通の陰謀
2008/05/07
十河広勝委員長(三和交通労組)
一連の府労委闘争で追い詰められた三和交通(新家照正社長)は昨年12月、新たな組合つぶしとして就業規則を一方的に改変し、従来の60歳定年制を65歳に延長したうえで嘱託再雇用を廃止。12月〜1月に65歳の誕生日を迎えた三和労組の十河委員長と原田副委員長を狙い撃ち解雇しました。
組合は即座に抗議文を提出し、2月28日には不当解雇事件として大阪地裁民事5部に提訴しました。また、会社が団交で約束した「走行経費の還元(努力費)廃止撤回」をホゴにした不誠実団交事件についても、未払い賃金請求として提訴し、府労委闘争と併行してたたかうことになりました。
4月18日には第1回口頭弁論が開かれ、菊井裁判官は被告(会社)に対して解雇不当の訴えに対する反論を、また原告(組合)に対しては走行経費についての反論の準備書面の提出を求めました。
次回は6月13日、午前11時から同地裁・611号法廷で口頭弁論が行なわれます。