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2015年05月の記事
キャラバン・大津駅での訴え
2015/05/25
不条理な55遠割を廃止せよ
労働者犠牲の業界体質改めろ
国際タ労組・運天副委員長
先日、私は大阪駅から兵庫県の養父市八鹿までお客様をお送りしました。その人は同駅から乗る予定だった特急に乗り遅れたのですが仕事の都合上、予定時刻に遅れるわけにはいかないとのことでした。約130キロ走って八鹿に到着し、高速代を別にしたメーター料金は40600円でした。ところが皆さん、私が実際に受け取ったのは2万2800円でした。大阪には皆さんもご存じのとおり悪名高き「55遠割」があります。実に1万7800円が差し引かれたわけです。皆さん、大阪市域で1万7800円というのは、日勤でも容易ではない額です。賃率が60%なら1万680円の賃下げです。お客様の要請に応えて、往復260`の仕事をしたら賃金が1万円下げられるというのが大阪のタクシー業界なんです。
一昨年の11月、「改正」タクシー特定地域特措法が成立した際につけられた衆参両院の附帯決議は、事業者に対して「過度な遠距離割引運賃の是正」に努めるよう求めています。私たち自交総連は、あまりにも不条理な「55遠割」を一刻も早くやめさせるため、日々運動に取り組んでいるところです。
同決議では「事業に要する経費を運転者に負担させる慣行の見直し」も事業者に求めています。皆さんの職場ではクレジットカードやチケットの決済手数料を賃金から引かれていませんか。スーパーで買い物をしたお客さんがクレジットカードを使った場合、レジ係の労働者は手数料を賃金から引かれるでしょうか。労働者に負担させているのはタクシー業界だけです。デラックス車使用料、無線使用料など「受益者負担」と称して賃金から引かれていませんか。生産設備投資や営業コストは会社が負うべきものです。
皆さん、02年の規制緩和以降、タクシー業界は労働者を犠牲にして生き延びてきたと言っても過言ではありません。乗務員負担もその一例です。供給過剰で一台当たりの営収が落ちれば賃率カット、その結果として最賃割れが発生すると事業者団体はタクシーの最賃法除外を訴える始末です。
おかしいことに対して「おかしい」と声をあげることができる、それが労働組合です。皆さん、私たちとともに団結してたたかいましょう。
自交総連関西ブロック「未組織宣伝キャラバン」
2015/05/25
山科駅(京都府)で宣伝する大阪地連・京都地連のなかま(5月19日)
過当競争に歯止めを
自交総連関西ブロック(秋山民夫議長=大阪地連委員長)は5月18〜20日、未組織労働者への宣伝「キャラバン行動」を新大阪駅を皮切りに和歌山、兵庫、京都、滋賀各府県で取り組み、大阪・京都・和歌山各地連のなかま・のべ17人が奮闘しました。
和歌山の平均年齢68歳
キャラバン隊は初日は新大阪→南海・和歌山市→JR和歌山→新神戸→京都、2日目は京都→二条→亀岡→山科→大津京→大津、3日目は大津→草津の各駅タクシープールで宣伝に取り組みました。また2日目は二条城で貸切バス運転者にビラを配布しました。
大阪地連・秋山委員長は新大阪駅での第一声で「下限割れ運賃で営業を続ける事業者は、安全を守るためのコストや経営リスクを乗務員に転嫁して低額運賃を維持している。こうした事業者には前近代的な手法で労働者を食い物にする事例が少なくない。交通事故を起こせば全額負担や高額負担を科す事業者も後を絶たない」と述べ、「労働問題でお困りの方は自交総連にご相談を」と呼びかけました。
南海・和歌山市駅でマイクを握った和歌山地連・杉本書記長は「和歌山県の法定最低賃金は時給715円だが、実感として私たちの1時間当たりの営収からして最賃をクリアしていない。そして有給休暇はゼロに等しいというのが和歌山の現実だ。法律を守れと言いたい。私たちの平均年齢は68歳、それでも行動しなければ状況は悪くなる一方だ」と訴えました。
競争で誰も得をしない
京都駅でマイクを握った京都地連・石原委員長は、京都業界の7割(台数)の事業者が深夜早朝割増廃止を申請している問題について、「利用者にお願いして1割程度の運賃値上げをする一方で深夜2割増を外す、世間の常識では考えられないことだ」「割増をやめた事業者は経営が圧迫され、まともな賃金を払わないとなれば犠牲になるのは労働者。そして割増を継続している事業者は利用者から敬遠される。いずれ全ての事業者が廃止せざるを得なくなり、6社の先行廃止は無意味になる」「利用者は過当競争でクタクタに疲れ果てた運転者の車に乗らなければならない、結局誰も得をしない」と指摘。「この馬鹿げた事業者間競争をストップさせるためにも私たちと共に運動に立ち上がってほしい」と訴えました。
同駅で待機中の乗務員に話を伺うと──
「エムケイは免許取り上げなあかんのと違(ちゃ)うの。国の方針に従えへんのやろ。聞いた話やけどエムケイは賃金未払いが多いらしいやん。いわゆるブラック企業っていうか、そんな会社、大きい顔させたらあかんのと違(ちゃ)うん」(60代男性)
「四条通り(の渋滞)を何とかせんことにはどないしょうもないわ。市バスが右折するのに(交差点の)ど真ん中に止まったまんま。(片側1車線化は)警察も反対してるのになあ。救急車やパトカーが通られへん」(60代男性)
「運賃を統一して下さいというのが第一。物価は上がってるのに賃金は下がっていく一方。消費税はこれからも上がる。安倍さん(首相)は上(富裕層の税金)ばっかり安くしてね、貧乏人はもっと貧乏人になれということでしょう、許せんわ」(女性乗務員)
──などと話してくれました。
なみはや労組の不当解雇撤回裁判が結審
2015/05/07
証人尋問を終え、大阪地連・地域のなかまや弁護団に謝辞を述べる松岡氏(右から3人目)
仕組まれた新会社設立
組合つぶしの陰謀続く
なみはや交通(門真市、乾義彦社長)から組合つぶしを目的に不当解雇された、なみはや労組(松岡共吉委員長)の組合員が会社を相手どり従業員としての地位確認と損害賠償を求めた裁判闘争(大阪地裁)は4月24日に原告側と被告側双方への証人尋問が行われて結審。判決は5月28日に言い渡されます。
証人尋問では、なみはや労組・松岡委員長と、乾社長の三男で元・同社取締役の乾勇太氏が証言台に立ちました。
松岡氏に対する会社側からの反対尋問で、会社側代理人から「組合ができてから社員が70人から40人に減った」「社員が減ると会社は困る。公租公課負担が重荷になる。あなたはそれをわかっているか」と問われた松岡氏は「原因は会社でしょう、私は解雇されたんですよ」「私たちを職場に戻していればこんなことにはならなかった」と強い口調で否定しました。
怪しいオアシス
昨年3月16日に「懲戒解雇」された組合側は大阪地裁に従業員としての地位保全など仮処分を申請。同地裁は8月20日、解雇が組合つぶしであることを明確に認定し、会社に対して組合員への金員(賃金)仮払いを命じました。
ところが乾社長は組合員の職場復帰を認めず、なみはや交通と同じ敷地内に「オアシス」という別法人を設立。今年2月2日には、なみはやの営業権や施設、従業員をオアシスに譲渡する申請を近畿運輸局に行なっています。
組合側は会社に対して、オアシスとの譲渡契約に他の従業員と同じく、組合員全員の雇用を条件にすることを求めていますが、会社は拒否。しかも会社側は、なみはやの乗務員に対してオアシスに移ることの承諾書にサインするよう求めていますが組合員には知らせていません。新会社設立・譲渡譲受が組合排除を目的に仕組まれた不当労働行為であることは明白です。
なみはや・オアシスの申請は早ければ数ヶ月後に認可される可能性もあり、裁判所や運輸当局に対するいっそうの運動強化が求められます。
特定地域指定、不同意事業者が議決方法に異議
2015/05/07
特定地域の指定について議論する構成員たち(4月27日午後、天王寺区で)
地域協結論6月末に延期
第3回大阪市域交通圏タクシー準特定地域協議会(会長=安部誠治・関西大学社会安全学部教授)が4月27日14時から天王寺区のホテルアウィーナ大阪で開催され、改正タクシー特定地域特措法に基づき大阪市域交通圏を特定地域に指定するか、否かを構成員(自治体・タクシー事業者・労働組合・バス事業者・消費者代表・学識者・大阪労働局・大阪府警・大阪タクシーセンター)が3時間超の時間を要し協議しましたが議決に至らず、結論は6月末に延期されました。
ホテルアウィーナ大阪の会場には溢れるほどの関係者が訪れ、異様な雰囲気のなか定刻を少し過ぎてから始まりました。
冒頭、足立事務局長が第3回大阪市域交通圏タクシー準特定地域協議会の構成員250人の内、207人(委任70人を含む)の出席があることを述べ、協議会の成立を宣言しました。
つづいて安部会長がこの間の特定地域の経緯を述べ「特定地域に指定されるのを希望するか否か、今日議論して決めてもらいたい」とし、「この1年間、協議会として何もしてこなかったのではなく活性化を進めてきた」などと報告し理解を求めました。
タクシーの現況や活性化の取り組みを近畿運輸局の藤本旅客2課長が報告。質疑では不同意事業者らが主に「賃金(年齢別が必要)や事故などのデータに根拠がない」などと主張しました。
次に特定地域の指定について議論が行われ、事前に事務局(大阪タクシー協会)が実施した意向調査による事業者構成員162者(12986両)の賛否について、足立事務局長は「合意は83者(7224両)、反対42者(2330両)、賛否の回答なし28者(2763両)、未回答9者(669両)で、賛成が過半数(55・6%)である」と報告しました。
大阪府「反対」を表明
その後、賛成派、反対派の事業者や学識者らが意見を述べるなかで、大阪府は「松井知事の意向として反対する」と表明しました。
安部会長は議決しようとしましたが、不同意事業者らから諾否の根拠や議決方法、議会運営の進め方が強引だとの意見や学識者、自治体からも「業界の意見がまとまっていない状況では棄権せざるを得ない」などの指摘がなされ、同議長は労使を除いた構成員に「本日議決するか」の賛否を取り、「延期すべき」が賛成多数で6月末に協議会が開催されることになりました。
自交総連大阪地連・庭和田書記長は「特定地域指定を業界のセーフティーネットとして活用すべきなのに木を見て森を見ない議論ばかり。指定基準を読み込めば、事業者が心配する減車も営業制限もできないことは明らかだ」と指摘し、「特定地域としてもっと利用者や自治体も含めて大阪のタクシーをどうしていくのかを議論すべき」との感想を寄せ、指定に向けた運動の必要性を訴えています。