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2020年05月の記事

仙台・センバ流通不当解雇 仮処分申立て
2020/05/25

極めて悪質 千葉オーナー聞く耳を持て


 宮城県仙台市のセンバ流通(タクシー)は4月30日、組合員全員を含む大部分の労働者に突然、整理解雇を通告。組合の提案に聞く耳を持たず、一方的に解雇を強行してきました。当該の東北地連ハイタク一般労組(石垣敦委員長)センバ流通支部の仲間は5月12日、仙台地裁に地位確認と賃金の支払いを求める仮処分を申立てると同時に、東北地方連合会(本間昭委員長)と連名で、以下の「声明文」を出し広く支援を呼びかけています。

(有)センバ流通での地位保全仮処分申請に対する声明文


2020年5月12日

 現在、仙台市内のタクシー会社では、新型コロナウイルスの影響で営業収入が激減し、歩合給で働く労働者の賃金の減少、会社の経営危機を引き起こしています。
 こうした傾向が全国的に広がったため自交総連本部では、営業車を休車させ、労働者には休業手当を支給し、国の雇用調整助成金制度や売り上げが減少した会社に対する助成措置を活用し、緊急事態に備えるよう経営側に対し要請してきました。国土交通省や厚生労働省も、同様の指導を強め、労働者の雇用の確保を指導してきました。
 (有)センバ流通に対しても、団交以前にもこうした制度の活用を説明した自交総連の文書を渡し、4月20日の団体交渉でも直接説明しました。新型コロナというかつてない緊急事態に対し、会社も労働者も危機を乗り越えるよう一体となって取り組みを進めることが求められていました。

 ところが、4月30日、団体交渉の席上で(有)センバ流通の千葉オーナーがいきなり、整理解雇通知書を組合員全員分出してきました。団体交渉は、大混乱となり、冷静な話し合いができない状態となりました。千葉オーナーは、会社を残すために労働者の首を切るといって、聞く耳を持たない状態でした。
 センバ流通での整理解雇は、整理解雇の四要件に反するものであり、断じて認められないものです。
 第1に、人員整理の必要性が、認められません。団交の場でも雇用調整助成金の活用などについて求めましたが、千葉オーナーは毎月赤字が出ると繰り返すばかりで、会社の経営状況や資産の内容について説明しようとはしませんでした。仙台市内の各タクシー会社が、休車で乗り切ろうとしていることを告げても、1年後に結果が出るからと、解雇の考えを撤回する意思がないことを表明しました。
 第2に、整理解雇回避の努力については、上記の通り全く行われていません。センバ流通で働く多くの労働者の雇用と生活を守る必要について、経営者としての責任放棄を追及しましたが、再検討の余地はないとの態度でした。
 第3に、整理解雇の対象についても、会社の言うことを聞いてどんなことでもやるものだけ残すなどと、極めて恣意的な判断となっており、認められるものではありません。
 第4に、労働組合との新型コロナ問題での対策について、話し合いが行われ始めた矢先の一方的な通告は、認められるものでは、ありません。
 上記の通り、センバ流通での整理解雇は、整理解雇の四要件に全く該当しない、極めて悪質なものです。
 タクシーは、公共交通機関として新型コロナが広がる中でも政府や自治体から運行の要請がなされており、社会的な役割の発揮が求められています。同時に、乗客の減少は、仙台市でも明らかであり、需給の調整がなされるべきであります。さらに、一番肝心なことは、タクシー労働者の仕事と生活を守ることです。
 センバ流通の千葉オーナーの判断は、こうした使命や役割を投げ捨て、会社の生き残りのみに走るものであり、絶対に認めるわけにはいきません。この様な会社の生き残りだけを優先し、労働者の解雇をするようなやり方が認められるなら、他の会社にも広がってしまいます。
 自交総連センバ支部における解雇撤回・地位保全の闘いに、皆様のご支援をお願いします。

雇用調整助成金、臨時休車など 特例制度活用し生き残りを図れ
2020/05/25

雇用調整助成金、臨時休車など 特例制度活用し生き残りを図れ 高島屋が営業再開しても人通りまばらな南海難波駅タクシー乗り場(5月20日)

新型コロナ危機突破
生活の維持が最優先


 新型コロナウイルス感染の拡大のため、自交総連本部は5月14日の第3回中央闘争委員会を延期し、各委員確認の上で「2020年春闘 コロナ危機突破にむけた対策」を決定しました。大阪地連も機関会議を延期している関係上この闘争方針を基に、新型コロナウイルスの危機突破、道運法改悪阻止闘争の前進、春闘集約のとりくみに奮闘します。
(以下、抜粋)
新型コロナウイルス問題での対策
○ 雇用確保、生活維持を最優先課題として、雇用調整助成金、臨時休車などの特例制度を活用した計画休業の合意をひきつづき追求します。休業手当については、雇用調整助成金の制度上、最大限高くなるように求め、今後、1日の上限や助成率の引き上げなど制度拡充が行われた場合は、再交渉して引き上げるようにします。また、第2次補正予算で「みなし失業手当」(東日本大震災時に特例で実施)の制度が実施されれば活用を求めていきます。
○ 休業計画の合意をしたところでも、雇用調整助成金が給付されるまでの間の資金がなく、休業手当が支払えないというところもあります。経産省の特別貸付制度でも金融機関が貸し渋りをする事例があり、融資が円滑・迅速に行われるよう要求していきます。
○ 緊急事態宣言発出以降、自治体から休業要請がされた事業には協力金等が支払われていますが、タクシーは休業要請の対象となっていません。社会生活に不可欠な公共交通機関であるタクシー事業を維持するため、営業収入の減収分を補填する緊急の現金給付措置を国・地方自治体に求めていきます(個人タクシーを含む)。
○ 乗務員の感染防止対策(マスク、消毒薬の支給、客室とのビニール仕切りなど)のいっそうの充実を要求し実施させます。国交省・厚労省、自治体に公共交通維持の観点から、優先的な対応を求めていきます。
○ 雇用確保の努力をせず、解雇等で会社のみが生き残ろうとする動きに対しては、断固としてたたかいます。宮城・センバ流通(タクシー)の組合員全員の整理解雇については、会社の無責任な態度を糾弾し、解雇撤回をめざします。東京・ロイヤルリムジンの退職強要を跳ね返したのは、労働組合の団結があったからこその成果であり、組合の重要性を示しています。このことを確信に、未組織労働者にも伝えてたたかう必要があります。

ロイヤルリムジン問題 衆院国交・厚労委質疑
2020/05/07

ルールなき解雇許すな
助成金活用し雇用守れ


 4月10日の衆議院国土交通委員会では、ロイヤルリムジンの乗務員全員解雇の問題が取り上げられました。
 立憲民主党の道下大樹議員は、政府は解雇より雇用継続を強く働きかけるとともに雇用調整助成金(雇調金)の拡充や迅速な対応をすべきではないかと質問。国交省の一見勝之自動車局長は、同社から事情を聞き指導をする、雇調金の教育訓練費の拡充なども求めていきたいと答えました。
 赤羽一嘉国交相は、日本共産党・高橋千鶴子議員への答弁で、「偽装的なところ、やり方には感心しない。こうしたことが起きないよう雇調金など支援策がしっかり活用されるよう、関係省庁と連携してとりくむ」と答えました。
 同日の衆議院厚生労働委員会では、日本共産党の宮本徹議員が、社長は解雇予告手当を支払えないと言っている、整理解雇4要件に照らして解雇回避努力をしたのかも問われている、ルールなき解雇はダメだと指導すべきではないかと質問しました。
 加藤勝信厚労相は、個別の事案には答えられないとしながら、「問題のある事案を把握した場合には適切に指導等を行う、まずは雇調金を活用して雇用の維持を図っていただくということを説明していきたい」と答えました。

自交総連 目黒自交労組 雇用継続を確認 ロイヤルリムジンの無法跳ね返す
2020/05/07

自交総連 目黒自交労組 雇用継続を確認 ロイヤルリムジンの無法跳ね返す 団交に臨む方針を話し合う目黒自交労組のなかま(4月18日)

不当な退職強要撤回


 新型コロナウイルスを口実に、従業員600人に退職強要をしていた東京・ロイヤルリムジングループ傘下の目黒自動車交通で4月24日、会社は団体交渉で自交総連目黒自交労組に対し、退職強要を撤回し、雇用を維持することを表明しました。会社の身勝手なやり方をはねかえす成果です。

 ロイヤルリムジングループ(金子健作代表)では、「緊急事態宣言」発出後の4月8日、コロナウイルスの蔓延により事業を休止し、従業員600人全員は辞めてもらい失業手当を受けてもらう、休業補償より失業手当の方がメリットがある、会社を再出発させたら従業員に戻ってもらうなどと発表、大量「解雇」としてマスコミでも大きく取り上げられました。
 会社は、組合との団交で、退職合意書に合意してほしい、解雇予告手当は払えない、計画休業して休業補償をすることは考えていないなどとする一方で、兵庫県で新たに1社を買収していることが明らかになりました。
 コロナ危機に便乗して、労働者を辞めさせ、会社負担のない失業手当を受給させ、会社だけ生き残ろうという無法・不当なやり方です。

悪質、コロナ危機に便乗

 国会でも問題になり、赤羽一嘉国交相は「偽装的なやり方は感心しない」と述べ、国交省・厚労省が相次いで事務連絡やQ&Aを出して、(1)解雇が、客観的に合理的な理由を欠く場合は無効、(2)やむを得ず解雇をする場合でも、30日前の予告か解雇予告手当の支払いが必要、(3)失業手当と休業手当のどちらの方が多くもらえるかは一概には言えず、解雇の場合は、労働者に国民健保・年金の負担や将来の年金額の減少などが生じる、(4)再雇用を前提としている場合は失業手当は支給されない――として、ロイヤルリムジンのやり方は労働者にメリットがないことを明らかにし、雇用調整助成金を使った雇用の維持が重要であることを強調していました。
 組合では、退職合意書にはサインをしない、解雇されていないので雇用は継続している、臨時休車や雇用調整助成金を使って計画休業して会社を続けさせ、休業補償で雇用を守るという基本方針で臨み、24日の団交では、社内の多数派労組(KPU目黒自交ユニオン)も一緒に参加するなかで、金子社長が、退職合意を拒否した労働者は雇用が継続している、退職合意書撤回にも応じる、稼働車両を減らして営業を再開し、退職者が多い場合はグループ他社からも運転者を集めるとの考えを示し、今後、さらに具体的な方向を詰めていくことにしています。