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2016年06月の記事
泉州・泉南地域で白タク合法化阻止宣伝「日本経済新聞の主張、無責任極まりない」
2016/06/28
ライドシェア・白タク総じて“いらん”
大阪地連(秋山民夫委員長)は6月15日、「白タク合法化阻止」宣伝行動に取り組み、20人が参加。南海なんば〜泉佐野〜貝塚〜岸和田〜和泉府中の各駅で市民や乗務員に向けて白タク・ライドシェア導入を後押しする大手新聞社の無責任な主張に対して、その危険性と問題点を指摘し運動への協力を訴えました。
「白タクには法外な料金など危険なイメージがある。しかし日本人留学生が愛用する黒車の運転手たちは違った」─黒車とは中国での白タクの呼び名です。日本経済新聞の1面コラム「春秋」(5月30日付)が「東京から北京に留学していた若い女性」から聞いた話として「信用できる運転手の名は口コミで広がる。価格も高くない。正規のタクシーより使い勝手は上」との白タク評を紹介。「いま米国から世界へ、新手の有料相乗りサービスが広がりつつある」「タクシー会社は『白タク行為だ』と反発する」として、「安全性なら口コミをもとに自分たちで確認できれば十分。そんな新世代の価値観をタクシー業界は無視できるか」と結んでいます。
筆者が「新世代」の口を借りて白タク容認・ライドシェア推進論を展開した形ですが、社会の木鐸(ぼくたく)であるべき新聞社としての見識が疑われます。海外ではライドシェアの運転者が利用者への恐喝や女性への暴行等事件を起こし、ライドシェアを禁止している国もあり、ILOも警鐘を鳴らしています。
公共交通の最大価値は安心・安全
難波高島屋前での宣伝行動でマイクを握った秋山委員長は怒りを込め前出の内容を告発し指弾。つづけて「ライドシェアでは運転者の健康や労働時間の管理、飲酒チェックが行われない上に、事故時の責任は運転者任せで補償が行われない恐れもある」と警鐘を鳴らし、「白タク・ライドシェアはタクシーの労使だけの問題ではない」と強調。公共交通の最大の価値である安心・安全を守る運動への協力を呼びかけました。
呼びかけに足を止めて聞き入る市民(女性20歳代)にビラを手渡すと、その女性は「白タクができるようになるんですか」と訊いてきたので、組合員が実態を伝えると、怖いですねと、理解してくれたと報告しました。
また、ビラを要求する市民(男性40歳代)もいて、宣伝隊と話し込んでいました。その男性が指摘するのは「今も南や新地に白タクはおる、白タクはあかん、友達が白タクに乗って事故に遭ったが無保険で相手も見つけたが最終的に泣き寝入りした。白タクをもっと取り締まらなアカン」と話していました。
また、貝塚駅でタクシーを待つ利用者(女性60歳代)に秋山委員長が直接声をかけライドシェア問題を投げかけると「私はそんな危ないもんいらん、タクシーで十分」と応えていました。
泉佐野や貝塚、和泉府中の各駅では、福井・吉田副委員長がライドシェア・白タク合法化の問題点を詳細に述べ市民に訴えました。
27年度・中型日車営収 郡部が大阪市域を2,188円上回る
2016/06/15
府下全域で実働低下
昨年10月1日施行の「改正」タクシー業務適正化特別措置法に基づき大阪タクシーセンターは登録業務を行い、本年4月から(3月31日現在)大阪B地区の年齢別運転者証(事業者乗務証)交付数も公表しています。これまでは大阪A地区と個人タクシー事業者の年齢構成や交付数だけでしたが、府下のタクシー労働者の実態がより比較しやすくなり検証しました。
大阪府下の特定指定地域(大阪府A)及び大阪府下の単位地域(大阪府B・特定指定地域以外の地域)の営業所に配属される法人タクシー運転者は、大阪タクシーセンターで登録を受けなければなりません。
「改正」タクシー業務適正化特別措置法に基づき昨年から登録に向けた講習等を大阪タクシーセンターが各地で行い、3月31日現在の年齢別運転者証の交付数をまとめ4月4日から公表しています。
3月末と最新のデータを比較してみるとA地区もB地区も運転者数が一番多い層は、65歳以上70歳未満です。また法人事業者で働く運転者の60歳以上が占める割合は、大阪A地区が65%(1万4207人)、B地区も65%(1479人)と、まったく同じ傾向です。
しかし、運転者の減少が依然続くA地区に比してB地区は20人(4月10人、5月10人)の微増という結果です。
府下、3割稼働せず
大阪タクシー協会報の日車営収のデータ(3月末)を比較すると、大阪市域の中型が3万1468円、小型2万8873円。その他(郡部)の中型が3万3251円、小型2万6248円で、中型を比較すると郡部が1783円上回り、27年度(15年4月〜16年3月)の平均では、市域の中型は3万1304円、その他が3万3492円で、2188円上回っています。
いま大阪のタクシーは実働(稼働)率の低下が顕著で、大阪市域・中型は68.6%、その他・同73.9%と、府下の約3割の車両が車庫で埃を被っているのが実態です。これらの背景があり営収は僅かながらも微増傾向ですが、もし車両数に見合う労働者が充足していれば恐ろしい事態を招いていたと言えます。
この間、タクシー労働者の労働条件改善を主たる目的に法改正は行われましたが、実態が伴っていないというのが「現場の声」。規制緩和の失敗を反省しない行政、労働条件改善に踏み出さない事業者、そこに白タク・ライドシェア問題、まさに三重苦。組織を越えくらしを守るたたかいに労働者が団結する時です。
ライドシェア推進者の要求に応える「法改正」
2016/06/07
自民・公明・おおさか維新が賛成 民進・共産・生活は反対
国家戦略特区法改正案が5月26日、参議院内閣委員会で可決されました。自民・公明・おおさか維新が賛成、民進・共産・生活は反対しました。27日には参議院本会議で可決、成立しました。衆院につづき参院でも附帯決議(バス・タクシー関係3つ)が付されました。
白タク解禁の地ならし
同法案は、海外からの旅行者の足にする名目で自家用有償旅客運送を特区内で拡大して運用しようというもので、これまでの審議で、一般ドライバーが運転し、旅行者に限らず誰でも乗せられ、適用地域は特区会議で決められるなど、自家用車による運送が無限定に拡大するおそれが明らかになっています。
現行の自家用有償旅客運送制度でも可能なものを、ことさら外国人旅行者対象などとして必要性もないのに行うことは、ライドシェア(白タク)への地ならしとしての意味を持っているとの疑念がいっそう増しています。
反対討論で、民進党の風間直樹議員は、「運転者に二種免許が義務付けられないなど事故の危険性が増す。ライドシェア解禁につながり、バス・タクシーを衰退させ、公共交通に弊害が多い」と述べました。
参入のハードルが低い
日本共産党の山下芳生議員は、「ライドシェアは白タク行為として禁止されている。法改正は現行制度を拡大してライドシェア推進者の要求に応えるものになっている。外国人旅行者といいながら事実上、誰でも運送でき、運送地域も特区会議が決めるなど参入のハードルが低くなる」と述べました。
生活の党の山本太郎議員は、「ライドシェア企業のリフトに3億ドル出資し取締役になっている楽天の三木谷氏が産業競争力会議の委員となって規制緩和を推進しているのは利益相反で許されない」と述べました。
法案可決に際し、附帯決議(下に別掲)が付されました。
国家戦略特別区域法の一部を
改正する法律案に対する附帯決議
5月26日 参議院内閣委員会
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。
一、二、三 (略、株式会社の農地所有関連)
四 国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業については、公共交通であるバス・タクシー等が極端に不足している地域における観光客等の移動の利便性の確保が目的であることから、既存の一般旅客自動車運送事業で対応可能な場合はこれを認めないこと。また、同制度の全国での実施や、いわゆる「ライドシェア」の導入は認めないこと。
五 自家用自動車による有償運送において、観光客等を対象にする場合には、運転手に第二種運転免許の取得者を充てるなど、タクシー事業者に準じた安全対策を講ずること。
六 自家用有償旅客運送はあくまで特例であることに鑑み、公共交通を維持・発展させるために、バス・タクシー等の一般旅客自動車運送事業の振興や、それらへの公的補助、業務委託など、バス・タクシーの活用についても併せて取り組むこと。
七 (略、薬剤師の服薬遠隔指導関連)