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2018年06月の記事

規制のサンドボックス法案可決成立
2018/06/25

白タクもできる悪法


 規制のサンドボックス制度の創設などを含む生産性向上特別措置法が5月16日、ライドシェアのJIS認証も可能になる不正競争防止法等改正が同23日に参議院本会議で賛成多数で可決成立しました。
 サンドボックス制度は、企業が新しい技術やビジネスモデルなどの実証実験を行えるよう特区で現行法の規制を一時的に停止するものです。世耕経産大臣はライドシェア事業者から実証計画が申請された場合も対象になりうると明言しています。
 また、不正競争防止法等改正では日本工業規格JISを日本産業規格に変更、対象にサービス分野を追加。規制を法律ではなくJIS規格に肩代わりさせることでライドシェアを推進しようとする意図が透けて見えます。
 生産性向上特措法の反対は共産、社民、自由・無所属の一部、不正競争防止法改正の反対は共産党のみでした。


生産性向上特別措置法案に対する参議院附帯決議(抜粋)

二 「規制のサンドボックス」制度については、同様の制度を導入した他国と比較してより広範な措置となっていることに鑑み、全国一律の規制改革へと拡大する際には、多方面にわたり意見を募るなど慎重な検討を加え、適正な手続の下に進めること。また、実証を実施する事業者に対し、関係者等の安全性を確保させるとともに、特にライドシェア事業のような安全や雇用に問題が指摘される事業の実証については、規制法令に違反するものが認定されることのないよう厳に対応すること。さらに、実証を継続的にモニタリングすることとし、このため、事業者から定期的に主務大臣に報告させるよう、制度的な措置を講ずること。

五 「規制のサンドボックス」制度等に係る評価を行う革新的事業活動評価委員会の委員について、構成、任命理由等を明らかにし、その適格性及び公平性を担保すること。また、委員会での決定過程について、議事録等を作成し速やかに公表する等、その透明性を確保するとともに、委員会で表明された反対意見についても国民に周知すること。あわせて、一連の過程に係る書類等を適切に保管し、検証可能なものとすること。

地域の崩壊呼ぶ白タク・ライドシェア
2018/06/25

地域の崩壊呼ぶ白タク・ライドシェア 白タク・ライドシェアの危険性を告発する京都地連の吉村委員長(右端)

地方公共交通が壊される


 ライドシェアを解禁しようとする滋賀県大津市(越(こし)直美市長)の特区提案(2月28日)に対し、自交総連関西ブロック(福井勇議長=大阪地連委員長)は6月12日、JR京都駅烏丸口を皮切りに、大津市の主要ターミナル4か所で、ライドシェアの危険性を市民に告発する第2弾の宣伝行動に取り組み、大阪・京都両地連のなかま14人が奮闘しました。

 午前10時30分、JR京都駅烏丸口でマイクを握った福井議長は「大津市の越直美市長が特区を活用し、白タク・ライドシェアを導入しようとしている。もし導入されるようなことになれば京都も大変な状況に追いやられることは明らか。ライドシェアは諸外国でも、導入された後で事件や事故で裁判になるなど様々な問題が発生し、欧州などでは禁止する国が増えている」と指摘し、「このような危険な制度を日本に入れるべきではない。いまの安心・安全なタクシーやバスを活用した施策を進めるべきだ」と訴えました。京都地連の吉村委員長や大阪地連の吉田副委員長は「何か起これば個人責任、無責任な白タク・ライドシェアを解禁すれば、最終的に利用者が多大な犠牲を払うことになる。市民のみなさんも関心を持って反対していただきたい」と呼びかけました。
 宣伝隊は午後から、JR大津駅、JR膳所(ぜぜ)駅、JR瀬田駅、JR大津京駅で、白タク・ライドシェアの危険性を訴えました。
 大津京駅で待機していた女性乗務員と今回の特区提案について会話すると、「会社(大手)は何も言わないし、まったく知りませんでした。ありがとうございます」と述べていました。同様に4か所で話しかけると総じて同じ反応で、情報が共有されていないことが分かります。
 また、私たちの訴えを立ち止まって聴き入る市民も少なくなく、ビラの受け取りも良く、今回参加した旅客守口労組の一原委員長や関中自労組の荒木委員長も「元気の出る宣伝行動だった」と感想を寄せています。

〈大阪労連第48回評議員会・討論発言〉
2018/06/15

交通分野の自己責任化許さない
労働者の権利と安心・安全守る


自交総連大阪地連
松下末宏書記次長

 6月2日に行われた大阪労連第48回評議員会の討論に、自交総連大阪地連からは松下書記次長が参加し、次の通り発言しました。


 楽天やソフトバンクなどが合法化を狙う白タク・ライドシェアの問題が正念場を迎えています。自家用車が営利を目的に旅客運送を行うウーバーなどは私たちの運動もあって食い止められていますが、京都府京丹後市ではNPO法人による「公共交通空白地有償運送」がウーバーのアプリを使って行われています。
 スマホのアプリで利用者と運転者を仲立ちするライドシェアはすでに、中長距離移動を対象に燃料代や通行料など実費をマイカー運転者と利用者が割り勘する「のってこ」、レンタカー利用者と観光ドライバーを仲立ちする「ジャスタビ」などが事業を展開しています。これらはタクシーのような安全を担保する仕組みがないにも関わらず国土交通省は「道路運送法の枠外だ」として野放しにしています。「ジャスタビ」は事実上の運転代行でありながら運転者に二種免許を義務づけておらず、さらに東京都内では「クルー」というアプリで運転者が実費に加えて「謝礼」と称した報酬を得ており、明らかに違法行為です。
 アプリを運営するIT企業が輸送や雇用について責任を負わず、利益だけを貪るのがライドシェアです。これを許せば地域公共交通は崩壊し、庶民の移動手段はすべて自己責任になってしまいます。
 そのライドシェアを滋賀県大津市が国家戦略特区で導入しようと今年2月に国へ申請したことから、自交総連は5月に大津市で白タク合法化阻止の運動を展開。ビラを折り込んだティッシュ4000個以上を配布しました。大津市役所にも赴いてライドシェアの危険性などを説明し、再考を要請しました。自交総連は今月は日帰りで、来月は一泊二日での宣伝行動を大津市で行う予定です。東京では楽天本社への抗議行動なども行ないます。
 並行して、公共交通を破壊するライドシェア合法化阻止の一点で事業者、労働団体が組織の垣根を超え、運動を展開しています。5月23日には自交総連を含む労働8団体が集会とデモを行い、経産省・国交省・厚労省との交渉に共同で取り組みました。
 いま、いろんな分野で憲法の3大原則「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」を破壊している安倍政権ですが、このライドシェアも安倍首相は推進を公言しています。ライドシェアの運転者は「雇用によらない働き方」であり、労働法制に守られません。公共交通を破壊してIT企業を儲けさせるのと同時に、労働者から権利を引きはがすのが安倍政権や財界の狙いです。私たちは労働者の権利を守り、安心・安全なタクシーを守るために白タク合法化を必ず阻止する決意です。
(抜粋・一部省略、文責=編集部)

危険極まりない!!新経済連盟(楽天・三木谷)の手段選ばぬ銭儲け
2018/06/15

危険極まりない!!新経済連盟(楽天・三木谷)の手段選ばぬ銭儲け

地域公共交通壊す
ライドシェア新法


 自交総連本部(高城政利委員長)は6月7日午前、楽天本社がある東京・二子玉川駅前でライドシェア反対の抗議宣伝行動を実施。東京地連のなかまを中心に、全国から本部常任執行委員(以下、常執)が参加し、ライドシェアの危険性を告発しました。

 楽天の会長兼社長の三木谷浩史氏が代表理事を務める新経済連盟は5月8日に「『ライドシェア新法』の提案」を発表、各省庁に申し入れて、新法をつくりライドシェアを道路運送法の適用除外にして合法化することを求めています。
 宣伝は川崎常執(東京)の司会ではじまり、高城委員長が、ライドシェアの危険性を説明して、世界各国で禁止が相次ぐ中で日本でライドシェアを解禁するのは時代に逆行、自社の利益のために新法をごり押しするなと訴えました。
 続いて石垣副委員長(宮城)、石野常執(埼玉)、早川副委員長(東京)、冨松常執(神奈川)、庭和田副委員長(大阪)、内田常執(福岡)、菊池書記長がマイクを握り、地方の実情もふまえて訴えました。
 庭和田副委員長は、「ライドシェアが導入されるとタクシーだけでなく路線バスも大きく影響を受け、行き着く先は地域公共交通の破壊。それが郡部、地方から起こり都市部も例外ではない。三木谷代表らは自らの儲けのために、これまで築いてきた世界に誇れる安心・安全の地域公共交通をつぶそうとしている。移動が自己責任化され、利用者が多大な犠牲を払うことになる」と訴えました。
 駅前では東京地連の組合員らが横断幕(写真)を掲げ、ティッシュ付のビラを配布。「何の宣伝ですか」と足を止める人もいて、「危険な白タクを合法化しろと言う楽天に抗議しています」との説明に、「それは危ないですね」とビラを読む人や、「がんばってね。応援します」と激励する人もいました。

道運法の不備明白 ハイタク労組8団体行政交渉で浮き彫りに
2018/06/05

 5月23日午前に「白タク合法化阻止! 安全な地域公共交通を守る5・23集会」を開いたハイタク労働組合8団体は同日午後、衆議院第1議員会館内で、経済産業省・国土交通省・厚生労働省の担当者を呼んで順次、要請交渉を実施しました。総合司会進行を自交総連・高城委員長が行い、立憲民主党・近藤昭一衆院議員、日本共産党・山添拓参院議員らの議員も同席しました。

経産省


自己責任交通を推進
都合の「良い規制に」


 経産省交渉で組合側は、ライドシェア事業者が『規制のサンドボックス制度』を活用して実証計画の申請を行なった場合に、認定されることがないようにするよう要請。
 また同省が「グレーゾーン解消制度」で「ジャスタビ」や「のってこ」を合法としたことを念頭に、「道路運送法の許可を得ないで報酬を得て他人を運送する事業を、利用者の安全性の確保について十分に精査することなく、合法との認定を行わないこと」などを要請しました。
 要請の趣旨説明を行なった全自交・伊藤委員長は、「サンドボックス制度についての国会審議では、ライドシェアを含めて対象分野を問わないという大臣からの答弁があり、強く懸念している。国交省はライドシェアへの法的措置を利用者保護の観点から対応不可としている。安全や人命に関わることについては経産省も重く受け止めて慎重に対応していただきたい」と述べました。
 省側はサンドボックス制度について、「実証計画の認定要件として法律に違反しないこととされている。ライドシェアでいえば道路運送法に違反しない範囲で行う実証実験でデータを集め、それによってより良い規制にしていく」「これは単純規制緩和ではない。規制制度の見直し、改革のためのものだ」と強調。道路運送法に違反しない、つまり運転者が受け取る金銭が実費を超えない“ヒッチハイク割り勘”型のライドシェアを優先してサポートしようとする姿勢が透けて見えます。

国交省に責任丸投げ

 また、「グレーゾーン解消制度」について省側は、「事業者から照会があったものについて国交省と議論をして回答している。安全・安心についても一定クリアされたものが認定される。なかには合法と認定しない場合もある」と説明。
 これに対し、自交総連・菊池書記長は、「安全性を検討したというが、本当にされているのか。タクシーのような点呼やアルコールチェックが行われているのか、まったくわからない」「しかも道路運送法の枠外だから国交省は監督できない、経産省はグレーゾーン制度で判断しただけだから監督する立場ではないという。安全性をチェックする者がいないのに合法とされて堂々と営業している。そういうものを認めるのは無責任ではないか」と追及。
 省側は「あくまで道路運送法という規制法令を所管しているのは国交省」「旅客運送とはどういうものであるのか、あるいはそれをさらに違うものとして位置付けるのか、ということも含めた政策判断があった上で、道路運送法という規制によって監督すべきところも整理がされていくものと考えている」と述べ、経産省としての責任は認めませんでした。


国交省


白タク類似行為容認
運輸行政の責任放棄


 続く国交省交渉で組合側は、レンタカー旅行者と観光ドライバーをマッチングする「ジャスタビ」について「道路運送法2条3項で定義される『他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業』であり、白タク・白バス行為にあたることは明らか」と指摘。また、EUの欧州司法裁判所が“ウーバーは運輸サービスでありタクシーと同様の規制対象”と裁定したことも紹介し、白タク類似行為が「グレーゾーン」とされないよう、道路運送事業の定義を厳格化するよう要請しました。
 省側は「ジャスタビ」について「レンタカーでは、借り受けた者と運転する者が同一でなければいけないという規定はない。貸し渡しの際に運転者の紹介と一体とならないよう監視していく」と回答。組合側が「実際に乗客を乗せて運行しているものを誰も監督しないというのは無責任ではないか」と追及したのに対し、「道路運送法の枠外の事業だ。いまのところ規制を広げることは考えていない」と従来の姿勢に変わりがないことを示しました。
 それでも山添拓参院議員、近藤昭一衆院議員が「国交省が対応するべきだ」「国交省としてどうするか考えるべきだ」と発言すると「ご意見を受けとめて、国交省としてどういうことができるか考えたい」と応じました。

実態は労働者と同じ

 厚労省交渉で組合側は、ライドシェアを含むシェアリングエコノミーの働き方について「形式は個人請負であっても実態は事業者の指揮命令下に置かれ、雇用労働者と同じだ」と指摘し、労働者性の認定基準を厳格にするよう要請。
 省側は「シェアリングエコノミーで雇用によらない働き方が広がることは承知している。どういう問題があるか検討を深めていく」と回答しました。

ハイタク労組8団体が共同で総決起集会
2018/06/05

ハイタク労組8団体が共同で総決起集会 労組の枠を超えて8団体・400人が集まった総決起集会(5月23日、東京都内で)

白タク・ライドシェア合法化阻止へ
団結と行動を


 ハイタク労働組合8団体が共同して5月23日、「白タク合法化阻止! 安全な地域公共交通を守る5・23集会」を東京・星陵会館でひらき、400人が参加。白タク合法化阻止のためにナショナルセンターの枠を超えて、KPU、交通労連、自交総連、私鉄総連、新運転、全自交、全中労、中労協の8団体が共同、およそ2年ぶり2度目の集会となりました。同日午後には経産省・国交省・厚労省との共同の交渉も行いました。

 9時45分から始まった決起集会では、全タク連、労働弁護団から来賓あいさつを受け、立憲民主、国民民主、公明、社民、共産の各党議員が連帯あいさつ。 自民党と自由党からメッセージが寄せられました。
 実行委員会を代表してあいさつを行なった全自交・伊藤委員長は、「人命を預かるドライバーを、労働法も適用されない、不安定な個人請負形態で働かせる労働破壊、雇用破壊を許してはならない」「人命よりも金儲け優先、公共交通を破壊するライドシェア・白タク合法化を阻止するために全力を尽くしていく」と強調しました。
 基調提案を行なった自交総連・菊池書記長は、「地方における地域住民の移動手段としてライドシェア導入の動きが地方自治体も巻き込んで進んでいることは重大。ライドシェアは安心・安全が保障されず、公共性を持たないもので、持続的な地域住民の足にはなりえない」と指摘し、「公共交通が不便な地域では、住民とともに乗合タクシーやデマンド交通などタクシーの活用を前面に掲げ、補助金や予算措置など国の施策の大幅な拡充を求めて、安全で持続的な公共交通の再構築を図らなければならない」と訴えました。
 続けて各組合の代表が決意表明。自交総連・庭和田副委員長(大阪地連書記長)は「白タク合法化を許せば我々の産業がいままで培(つちか)ってきたものがすべて壊れる」「いまの我々の状況は四面楚歌。これを突破するのは全国の自交産業で働く労働者の行動以外にない」と力を込め、団結を呼びかけました。
 集会では、「運動の輪を広げ、最後の最後まで闘い抜く」とする決議を採択したほか、5月16日の参議院で可決・成立した「生産性向上特別措置法」で設けられる「規制のサンドボックス」によって「ライドシェアが合法化されることがないよう反対の運動を拡げていく」とする特別決議を採択しました。
 集会後は雨が降るなか、赤坂見附から赤坂方面へデモ行進。シュプレヒコールをあげて、ライドシェア阻止を訴えました。