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2020年06月の記事

要求実現、雇調金上限1万5000円に 再交渉で休業手当支給率引き上げよう
2020/06/25

緊急対応期間9月30日まで延長、中小企業への助成率100%に


 6月12日に第二次補正予算が成立し、この予算で対処される雇用調整助成金の上限引き上げが確定しました。これまでは労働者1人当たり1日8330円だった上限が1万5000円になります。また緊急対応期間は9月30日まで延長され、中小企業への助成率は100%になります。引き上げを要求してきた労働組合、野党の声が反映されたものです。
 上限引き上げは、さかのぼって適用になりますから、すでに支給した休業手当を見直して増額し、追加で支給した場合にも支払われます(追加の支給手続きが必要)。これまで、上限を超えないように休業手当の支給率を抑えていた場合は、会社と再交渉して支給率を引き上げて支給させ、会社に追加手続きをさせることが必要です。増額分は国から雇調金で支払われ、会社の持ち出し分が増えるわけではないので、必ず見直しましょう。
 (自交総連本部『自交労働者情報』6月16日付)

官邸主導の規制緩和「スーパーシティ法」成立
2020/06/15

ライドシェア実証実験許すな


 安倍政権と自民・公明・維新がまたしてもコロナ禍対策をなおざりに、不要不急の「スーパーシティ法(改正国家戦略特区法)」を成立させました。白タク・ライドシェアや自動運転の実証実験を特区で行えるようにする、官邸主導の規制緩和です。

 政府は秋以降に全国で5か所ほどの自治体を「スーパーシティ」に指定するとしています。朝日新聞デジタル(5月21日付)は「万博の開催予定地である大阪市の人工島『夢洲』を含む地域も『候補地』に挙がっている」と報じています。
 維新が最大会派の大阪市議会は「スーパーシティ構想実現のための早期法改正に関する意見書」を今年3月26日に可決。意見書は「スーパーシティ構想」について、「スマートシティやエネルギー・交通など、(中略)最先端技術を活用して(中略)、暮らしやすさやビジネスのしやすさにおいて、よりよい未来社会を包括的に先行実現する」「今般の法改正は、弊害となる複数の規制について、一括して迅速に規制緩和をすることができるように改めるもの」と評価しています。
 自交総連は白タク・ライドシェアの実証実験→解禁につながりかねない「規制のサンドボックス制度」とそれを具体化する「スーパーシティ法」に反対してきました。同法の参院附帯決議には「ライドシェア事業のような安全や雇用に問題が指摘されている事業の実証については、規制法令に違反するものが認定されることのないよう厳に対応すること」との文言が盛り込まれましたが、今後も注視が必要です。

日本が監視社会に

 政府が唱える「スーパーシティ構想」の眼目は、国や自治体が持っている個人情報や、民間企業が持つ行動履歴などの個人データを一元化して様々な住民サービスに利用することにありますが、法案採決が行われた5月27日の参院本会議で反対討論を行なった日本共産党・大門実紀史(みきし)議員は、「日本を中国のような監視社会に導き、個人のプライバシーと権利を侵害する重大な危険性がある」「目先の利益だけを追う一部の企業家などの拙速な要求だけで社会のあり方を変えようとする本法案は言語道断」と厳しく批判しました。

急激な供給増は自殺行為
2020/06/15

各事業者は様々な制度を活用しながら、注意深く行動を


 大阪タクシーセンターの統計によると、管内の今年5月30日現在の運転者証交付数(個人タクシーは事業者乗務証)は21574人で前年同月からの1年間で1227人の減。また大阪タクシー協会の「輸送実績」によると大阪府下全域のタクシー日車営収平均は最新のデータとなる3月が27117円。コロナ禍を反映して前月から6040円、前年同月比で6238円もの大幅下落となっています。

 現役ドライバーの人数を示す運転者証交付数の「65歳以上70歳未満」を見ると、今年3月まで毎月40人ぐらいのペースで減少していたのが3月→4月の1か月でいきなり391人の減。「70歳以上75歳未満」は昨年5月から今年3月まで10か月連続、平均36.4人減少していたのが同じ1か月で487人増。「75歳以上」も今年3月まで10か月連続、平均28.6人減少していたのが同じ1か月で352人増と急激な変化を示しています。
 「50歳未満」「50歳以上55歳未満」「55歳以上60歳未満」をいわゆる現役世代としてひとくくりにして見ると、昨年3月に底を打って以降、全世代合計の減少が止まらない中で今年3月まではおおむね微増で推移。昨年3月の7689人から今年3月には8028人まで戻していました。ところが3月→4月で一気に486人減少して7542人となり、昨年3月の底をさらに割りました。
 日車営収の推移を見ると、昨年7月のG20サミットで大幅減収となったのが遠い昔のようです。まもなく4月の数字も公表されますが記録的低額になるのは間違いありません。
 また、6月に入り休業していた事業者が動き出していますが、一気に元の供給が復活することになれば回復傾向の日車営収の低下が懸念されます。各事業者が細心の注意を払い供給を調整する必要があります。

持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するための地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
2020/06/08

2020年5月26日 参議院国土交通委員会

 政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に万全を期すべきである。

一 交通事業者、物流事業者等が必要な輸送機能を維持できるよう、新型コロナウイルス感染症による急激な経営悪化に対する財政、税制、金融等の各種支援策を一層充実するとともに、その従業員に対して実施される雇用維持対策及び感染症予防対策等への更なる支援強化に努めること。

二 国及び地方公共団体は、持続可能な地域公共交通の確保及び維持のために安定的な財源の確保を図ること。また、バス、タクシーやデマンド交通の確保及び維持等、公共交通の利用環境の改善に関する取組に対しては、これまで以上に多様かつ柔軟な対応を図りつつ、財政的な支援を図ること。

三 地域公共交通の確保及び維持のために、自動車運転者等輸送の担い手である公共交通に従事する者の確保、育成及び定着に配慮するとともに、自動車運転者等の賃金及び労働時間等の労働条件の改善について幅広く検討すること。

四 地域公共交通計画を適切に作成し同計画に基づく事業計画等を円滑に推進するために、外部有識者からの助言なども含めた計画作成に要する費用を始めとする財政的支援を一層充実するとともに、ガイドラインの作成、知見やノウハウの提供、人材の確保や育成といった、ソフト面での支援や助言も十分に行うこと。また、地域公共交通計画の作成に当たり、地方公共団体における組織体制の充実のための支援を強化すること。

五 福祉輸送、スクールバス等の地域の輸送資源の総動員に当たっては、これらの担い手である関係者とともに高齢者、障害者等の移動弱者の声を代表する者が協議会に参画できるよう、基本方針やガイドラインで、明らかにすること。また、既存の公共交通サービスを改善する取組を推進し、バリアフリーの視点に立った利便性及び快適性の向上にむけた必要な環境整備を図ること。

六 MaaSを全国へ円滑に普及させる観点から、その導入によって実現される社会像を国民に分かりやすく示していくとともに、ICT等の最新技術の積極的な活用による交通ビッグデータの整備など、将来の交通社会の変革に資する環境整備を図ること。

七 自家用有償旅客運送が事実上の営利事業として地域公共交通の担い手となっているタクシー事業者の経営を圧迫することにならないよう対策を講ずること。また、地域公共交通会議等における関係者の協議を経て、安全の確保、利用者の保護等に万全を期すこと。あわせて、いわゆる「ライドシェア」は引き続き導入を認めないこと。

八 高齢化の進行や人口の減少に伴って交通空白が急速に拡大する過疎地域での移動手段の確保のため、より身近な地域コミュニティにおける道路運送法の許可や登録を要しない共助による運送の在り方について、ライドシェアを除外したうえで検討を深めること。

九 営業区域外旅客運送を行うタクシー事業については、住民の利便性の向上に資する観点から、地域公共交通会議等において十分な協議を経て、一定のルールの下で、事業者において混乱なく、また、運用の効率化ができるよう、ガイドラインの制定や通知の発出等必要な措置を講ずること。

十 地域公共交通利便増進事業において、乗合バスの新規参入等に係る通知を受けて地方公共団体から地域の意見が提出された場合は、その意見を十分に尊重し判断を行うこと。あわせて、運行計画におけるいわゆるクリームスキミング規制について時間帯による運行本数のみならず面的なネットワークの維持に繋がるよう地域の判断を前提とした今回の制度改正の効果を検証し、必要に応じてその見直しを検討すること。また、同事業における事業者間の利害調整が円滑に進むよう環境整備に努めること。

十一 地域公共交通計画において事業の効率化に関する指標を定めた上で、毎年度、実施状況の評価等を行い、それを翌年度以降の事業予算等に反映されるという適正なPDCAサイクルが地方公共団体において継続的に実施されるよう、支援や助言を十分に行うこと。

十二 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構による民間事業者への資金の貸付制度の運用に当たっては、公的資金を原資とするものであることを踏まえ、真に地域公共交通の活性化を図る目的に合致した事業に限定するとともに、選定基準の明確化を図ること。また、貸付対象となる事業者について、客観的かつ中立的な立場から審査及び評価を行うとともに、第三者委員会を活用して選定過程の透明化と説明責任の向上を図るよう機構を指導すること。

右決議する。

自家用有償拡大法案が成立
2020/06/08

白タク・ライドシェア合法化反対の声 附帯決議には反映


 5月27日に開かれた参議院本会議で、自家用有償旅客運送の拡大・道路運送法の改悪を含む地域公共交通活性化・再生法改正が賛成多数で可決、成立しました。反対は日本共産党とれいわ新選組でした。
 自交総連は、ライドシェアへの突破口につながる法案に反対し、衆参議長に1万9606筆(5月21日現在)の署名を提出、直前にも議員に全国からファックス要請を集中するなど運動をつよめてきましたが、野党内でもライドシェアにはつながらないという楽観論があり、審議が十分深まらないまま可決に至りました。
 今後は、審議の中で明らかになった矛盾点や附帯決議で「ライドシェアは引き続き導入を認めないこと」と明記された点を生かして、運用面での規制強化を求め、ライドシェア阻止のとりくみをいっそう強めていきます。

東京・日本交通グループ 余りにもひどい仕打ち
2020/06/08

聞いたことない1か月雇用


 一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会の会長を務める川鍋一朗氏が率いるグループ会社(東京・日本交通京都営業所)で、驚くべき事が行われていたことが判明しました。
 新コロナウイルス感染症の拡大が全国で叫ばれ、業界内ではロイヤルリムジンの全員解雇事件(4月8日)が報じられているまさにその時でした。

運輸規則違反は明白

 本紙が入手した労働条件通知書によりますと、契約期間が雇用の定めありとし、その期間は2020年4月16日〜2020年5月15日までの1か月となっています。
 そもそも旅客自動車運送事業の運輸規則第36条で、「二月以内の期間を定めて使用される者」を運転者に選任してはならないとされています。

どこが「遵法」なのか

 東京・日本交通グループは社訓で「エクセレントカンパニー宣言」をし、「遵法」を掲げていますが、この労働条件通知書を見る限り真逆の事をしていると言わざるを得ません。もともとの労働条件の契約期間は、期間の定めなしとなっていましたが、京都営業所で働く労働者たちは突然この通知書への記名捺印を求められたとの事です。
 事業所の売買や閉鎖等を考えての1か月雇用ということなのかは定かではありませんが、おかしな動きであることは間違いないとともに、労働者を軽んじているとしか評せません。
 グループの意思か、中間管理職の功を焦っての仕業なのかは現時点では定かではありませんが、今後も注視していかなければなりません。全タク連の会長会社であれ、コロナ禍のどさくさ紛れに何をしても許される会社などありません。