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2008年07月の記事
国交省が次期通常国会での法改正・再規制方針をWGで提示
2008/07/25
運動の力で再規制加速させよう
交通政策審議会・タクシー問題ワーキンググループ(WG)の第7回会合(6月17日)で次期通常国会への改正法案提出を示唆したうえで、同第8回会合(7月3日)では「供給過剰・過度な運賃競争・悪質事業者」への対策としての再規制案を提示した国土交通省。11日に同省が各地方運輸局に出した緊急調整・特別監視地域制度の改正通達は、WGの最終取りまとめ(答申)が12月に出ると同時に「駆け込み増車」が殺到して再規制が空振りに終わってしまうことを危惧した同省が、先手をうったものと思われます。
現実に大阪では、情報を事前に掴んだとみられる19社(主にワンコインが中心)が通達直前に計139台の駆け込み増車を届出しています。
指定期間3年に
指定要件の緩和で「特別監視地域」「特定特別監視地域」が大幅に拡大し、指定期間も1年から3年に延長されました。大阪市域交通圏も指定された「特定特別監視地域」では措置の中身についても見直し・補強が行なわれました(上表)。
同省は第8回WGで示した「具体策」案に「供給過剰への対策」として「特定地域の指定及び指定基準の合理化」「特定地域における参入・増車要件引き上げ、手続き厳格化、監査強化、行政処分の加重」「減車へのインセンティブ(見返りを用意するなどの奨励策)措置」を盛り込みましたが、提案からわずか8日後に実行したかたちです。
確信持ち運動を
「改正」道路運送法が自民・公明・民主党などの賛成で成立してから8年余り。私たち自交総連は、一貫して公共交通の規制緩和が誤りであることを指摘し、行政や政治には法改正による再規制を、事業者には「抜け駆け精神からの脱却」「法令遵守」を、市民にはタクシーの公共性を訴え続けてきました。私たちの運動が世論の支持を得たことで、政治・行政に変化を促したのはまちがいありません。
そのことに確信を持ち需給バランスの回復、バラバラ運賃および累進歩合制賃金の是正、タクシー運転免許法制化など要求実現に向けた運動を強化しましょう。
オレンジキャブ大阪に自交の旗
2008/07/25
オレンジキャブ大阪労組のなかま(右2人)と(左から)大阪地連・堀川副委員長、同・沢田副委員長(7月7日)
事故弁済金・社内罰則金の廃止めざす
7月7日、潟Iレンジキャブ大阪(高橋節子社長、大阪市淀川区三津屋北2−18−19)で働くなかまが、明るく働きやすい職場の実現めざして「自交総連オレンジキャブ大阪労働組合」結成大会を自交会館で開催、同日に大阪地連に加盟しました。
同社は交通事故の損害弁済金を乗務員に負担させているうえ、乗務員が交通違反を起こした場合は警察の罰金額以上の「社内罰則金」を徴収しています(例=駐車違反2万円、速度違反10万円)。とても安心して働ける環境ではありません。
新労組のなかまは7月10日、会社に結成通知書と要求書などを提出、責任の持てる会社役員が出席する団体交渉に応じるよう求めました。応対した扇常務は「私の言うことが会社の言うこと。団体交渉には応じる」と回答しました。
◇執行部
執行委員長 新垣 進
副 委 員 長 土屋 太季
書 記 長 高木 善一
国交省が再規制案を提示
2008/07/15
「タクシーを巡る問題の背景に存在する根本的な問題」――供給過剰
一刻も早い規制強化を(イメージ)
3日に開かれた交通政策審議会・タクシー事業諸問題検討ワーキンググループ(WG、座長=山内弘隆一橋大学大学院商学研究科長)の第8回会合では、国土交通省が規制緩和政策・法制度を見直す案を提示し、業界紙のみならず各一般紙もいっせいに報道しました。
同省は「具体策」案(下表)とともに提示した文書「タクシー問題についての現時点での考え方」の中で、「過剰な輸送力の供給は、タクシー事業の収益基盤の悪化、タクシー運転者の労働条件の悪化、違法・不適切な事業運営、道路混雑・環境・都市問題、さらには過度な運賃競争やそれらを通じた安全性等の低下への懸念など、タクシーを巡るさまざまな問題の背景に存在する根本的な問題であり、」「供給過剰の解消やその防止に特に強力に取り組む必要がある」としています。
しかし、同文書はあくまで中間取りまとめのひとつのタタキ台、討議材料です。マスコミには「再規制には既存業者の既得権の維持という側面も強く、」(2日付日経)といった論調も根強く、タクシー再生への運動はこれからが正念場です。
WG第8回会合で国交省が示した
「考えられる具体策の例」(概要)
1.利用者ニーズに合致したサービスの提供
●利用者への情報提供の充実
●乗り場等の整備
●苦情処理体制の充実・強化
●サービス向上のための研修等
●その他個々の事業者や団体の自主的な取り組みの活性化
●弾力的な運賃設定を可能にするための運賃制度の見直し
●経営効率化等の努力を一層促すための運賃査定方式の見直し
●地域交通向上のためにタクシーを活用する場合等の公的支援――など
2.供給過剰への対策
●緊急調整地域制度等特定地域の指定及び指定基準の合理化
●特定地域に次のような特例措置を導入
イ)参入・増車の要件の引き上げ
ロ)参入・増車手続きの一層の厳格化
ハ)監査の強化、効果的な実施
ニ)行政処分の加重
●特定地域において各種の措置を効果的に実施するための総合的計画制度の導入
イ)計画=▽当該地域のタクシーに関わる諸問題の改善目標▽地域におけるタクシーの役割を踏まえた需要拡大、利用喚起のための取り組み▽特定の地域への車両集中に伴う渋滞等を解消するための配車ルールの設定等▽独占禁止法との調整を前提とした協調的減車措置▽減車へのインセンティブ措置
ロ)期間=目標達成に必要と考えられる期間(例えば3年)
ハ)策定=利用者、地方公共団体等の関係者の意見を反映――など
3.過度な運賃競争への対策
●不当競争防止に関する考え方の明確化及びその運用の強化
●下限割れ運賃についての実態把握及び認可等の運用の強化
●監査の強化、効果的な実施
●行政処分の加重――など
4.悪質事業者対策
●参入・増車要件の厳格化(経営者の法令知識確認の厳格化、適切な事業運営のための体制・設備の確保、そのために必要な車両規模の設定など)
●参入・増車の手続きの厳格化(審査における現地確認の徹底、運輸開始時の確認など)
●監査の強化、効果的な実施
●行政処分の強化(減車命令の制度化など)
●運転者登録制度の拡充・強化
●利用者への情報提供の充実(ランク制度の充実など)――など
大タク協が「労使懇談会」開く
2008/07/15
府議会要請に向け署名を
7月7日午後、規制緩和で最も悪い影響を受けている大阪の現状を改善することを目的に、大阪タクシー協会(坂本克己会長)が各労働団体に呼びかけて「労使懇談会」を大阪市中央区内で開催。大阪地連からは権田委員長と岡田副委員長が参加しました。
労働側は自交総連のほか、交通労連関西ハイタク支部、私鉄関西ハイタク労連、全自交大阪地連、私鉄関西ハイタク協議会の各代表が参加し、大タ協側からは坂本会長をはじめ正副会長や事務局が参加しました。また学識者の代表として安部誠治関西大学副学長も参加しました。
冒頭、坂本会長は、「7月3日の交政審・ワーキンググループ(WG)の第8回会合で、タクシー規制緩和政策の見直しへの『中間とりまとめ』が発表された。私もこのWGで委員の一人として、『新しい規制』の構築を、との熱い思いで議論に参加してきた。良い事業者だけ参入し悪質事業者には退出してもらう制度が必要だ。運賃は流し、駅待ちは同一が良い。ハイヤー的なものは競争が働くので幅運賃がのぞましい。また、地方の実態にあったタクシー政策が必要だ。こうした制度改革を実現するためには、利用者の理解が不可欠なので努力をしたい。そして、労働組合にもご協力をお願いしたい」とあいさつしました。
「新大阪駅でアンケート実施したい」
関西大・安部副学長
つづいて、同じくWG委員である安部誠治関西大学副学長は「会議で地方の声をヒヤリングして感じたこととして、乗務員が低賃金で大変なことになっていることが共通認識となった。また、供給過剰状態となっていること。タクシー台数を元にもどすのであれば1978年当時に戻す必要がある。参入についてはハードルを高める制度が必要。良貨を伸ばし悪貨を駆逐する制度の確立が必要。タクシー運賃は『同一地域同一運賃』がよい。ただ運賃制定については意見がわかれることになるから、大いに議論が必要で消費者には問題提起し考えてもらうことも大切で、このために新大阪駅等で利用者アンケート調査を実施したい」と報告しました。
最後に大タ協から、@需給調整規制制度の確立、A流し地域における「同一地域同一運賃」制度の確立、を要請項目とする「タクシー事業の規制緩和の見直しを求める」請願書を国に提出するために、大阪府議会に働きかけを行なうのでご協力を、との要請がありました。
これに対して組合側は主旨に賛同し、9月上旬をめどにすべてのタクシー労働者及び家族を対象に署名活動に取り組むことを確認しました。
署名は11月頃に大阪府議会に提出されることになります。
【第一交通闘争】第一交通産業は7年間の謝罪しろ
2008/07/07
「第一交通は社会的責任を果たせ!」とシュプレヒコールで拳を突き上げるなかま(6月26日午前、北九州市小倉北区で)
「株主総会」会場前 6・26抗議宣伝行動
6月26日、第一交通産業本社で同社の第44期株主総会が開かれるのにあわせ、大阪地連と佐野南海交通労組、福岡地連、山口地連のなかまが北九州市内で「組合つぶし糾弾6・26抗議宣伝行動」を展開。市民や株主に同社の無法行為や不誠実な対応を告発し、争議の早期解決を訴えました。
最高裁「決定」後も団結権の侵害を継続
昨年10月26日の大阪高裁判決(組合つぶしのために佐野第一交通を偽装廃業させた親会社・第一交通産業の雇用責任を認定、同社に損賠と賃金支払いを命令、同社の黒土始会長・田中亮一郎社長の不法行為責任も認め両氏に損賠を命令)が、5月1日に最高裁「決定」で確定して以後も、黒土会長・田中社長は団体交渉に出席せず、労働組合を認めない姿勢にまったく変化はありません。
そして同社は鹿児島県鹿屋市にあった休眠会社を「有限会社佐野交通」に社名変更したうえで泉佐野市に開設。無線も顧客もなく、駅乗り入れも確保されていない状況なのに田中社長は組合と協議することもなく「佐野交通」での就労を指示する辞令を一方的に組合員に郵送。団結権の侵害を継続しています。
組合側は会社側が提起した「就労に際する研修」をすべて済ませ、就労拒否の意思がないことを表明していますが、「まず就労条件・労働条件の諸問題を労使対等の団体交渉で決めるべき。黒土会長・田中社長は誠意をもって団交に出席し、争議の全面解決を図るべきだ」と主張しています。
小倉駅前で市民に訴え
前夜にマイクロバスと宣伝カーで大阪を出発した大阪地連と佐野南海交通労組のなかま18人は、当日のあさ7時にはJR小倉駅に到着。なかまは長旅の疲れをものともせず、さっそく通勤中の市民や駅待ちのタクシー乗務員への宣伝を開始しました。
今回なかまが配布したビラの大見出しは『誠実に最高裁判所の決定守らない第一交通産業』。偽装廃業から「佐野交通」に至る経過を紹介し、「団交での決着を目指してがんばりますので、市民・労働者の皆さんのご支援を心から訴えます」と結んでいます。
小倉駅での行動を終えると株主総会会場でもある第一交通産業本社に移動。福岡地連と山口地連のなかま15人と合流しました。
第一交通産業の社員が玄関前にズラッと並びカメラで威嚇する中、弁士7人が経営トップや株主に向かって「日本最大のタクシー会社としての責務を果たすべきだ」「株主の皆さんは黒土会長と田中社長に争議解決を図るよう進言してほしい」と声を涸らしました。(2・3面参照)
そして、佐野南海労組・岩永書記長がリードするシュプレヒコールでは「第一交通産業は7年間の謝罪をしろ!」「全面解決の話し合いをしろ!」などと、なかま全員で拳を突き上げました。
【第一交通闘争】第一交通産業本社を怒り込め糾弾
2008/07/07
本当の当事者が誠心誠意をもって団交に出るべき
大阪地連 権田委員長
第一交通産業は、最高裁の決定(5月1日)を逆手にとって、今度は「就労せよ」の一点張りだ。私たちは就労を拒否しない。基本的には元の職場に戻りたい。条件が整えば1日も早くハンドルを握りたい。
7年前に大阪に乗り込んできて、無法の組合つぶしをやった張本人の吉積常務が6月3日の団体交渉で「就労してください」。よくそんなことが言えたものだと思った。
第一交通が団交でまずやるべきことは「この7年間、組合の皆さんに非常にご迷惑をかけました」と謝罪し、「組合と対等平等に、真摯(しんし)に誠実に話し合って、労働条件・就労条件を決めたい」と言うべきではないのか。
私たちは団体交渉に本当の当事者、責任者である黒土始会長と田中亮一郎社長に出てきてほしい、と言っている。2人が出てこなければ争議は解決しない。当事者が誠心誠意をもって交渉することが大事だ。
なかまの勇気に支えられ最後の最後まで闘いぬく
佐野南海交通労組 堀川委員長
最高裁「決定」を受けて田中亮一郎社長は、私たちに対して一方的に「佐野交通に出向しろ」という辞令を郵便で送りつけてきた。ここに第一交通産業の不誠実さがある。
私たちは就労に向けての研修はすべて受けた。しかし就労にあたっては、まず「第一交通産業からの在籍出向であることの確認を文書で行ないたい」というのが私たちの強い思いだ。
これがなければ、組合壊滅目的の廃業が再び、今度は営業不振を口実に行われる。
私たちはこういった不誠実な第一交通産業に対して、労働組合として憲法28条で認められている労働三権を当然、認めさせる。
団体交渉では労働組合法や労働基準法が認めているところの「労使対等」な立場で就労・労働条件を決めていく。この姿勢は一貫して崩さないつもりだ。
本日参加の、多くのなかまの皆さんの勇気に支えられて、最後の最後までたたかいぬく決意だ。