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2012年07月の記事
自交総連大阪地連 2012年春闘中間総括(案)
2012/07/25
《2.闘いの到達点とその評価》より抜粋
要求闘争の結果とその評価
(1)賃上げ闘争の結果
自交総連大阪地連は、2012年春闘を、累進歩合制度や運転者負担制度廃止など、“一職場一重点要求の獲得”を掲げ、“職場・地域で労働組合の存在感を示してたたかう春闘”と位置づけ、とりくみを進めてきました。
依然として続く経済不況のなかで、一日一車当たりの売り上げが伸び悩み、倒産、廃業、身売りや経営からの「合理化」提案が想定されるなかでとりくまれた賃金要求は、賃下げを許さず、大勢が現行賃金体系維持プラスαをかちとる成果をあげました。また、解決金3000円〜2万円、高速道路帰路会社負担の拡充や嘱託労働者の有給休暇附与及び単価計算を改善させた組合もあります。
技工・観光バスでは、厳しい情勢の中にあっても現行労働条件維持、一時金獲得などを実現させています。
職場の重点要求では、運転者負担制度廃止、嘱託者・定時制の労働条件、有給休暇の改善、車内カメラ設置、福利厚生費支給などを獲得しています。
景気悪化がつづくなかで、賃下げを許さず、現行賃金体系維持、賃上げ獲得、足切り引き下げ、有休改善、運転者負担制度廃止などは実益のある成果です。また、雇用延長など職場要求の前進は権利拡大として評価できます。
春闘は労働組合が本領を発揮する場でもあります。全員参加で議論を行い、そのなかで出された不満・要望を要求にまとめ、会社に提出して労働条件改善をめざしていくのは労働組合運動の基本です。厳しい経済状況のなかでも、組合員の実利・実益をめざし、みんなで獲得した要求は、組合員の確信となります。労働条件改善、権利拡大にむけ、全員参加の運動を今後も追求していくことが必要です。
(2)政策闘争の到達点
1) 累進歩合制度・運転者負担撤廃などをめざす闘い
大阪から法違反の一掃、運転者負担制度廃止などにむけ様々なとりくみを行いました。全国的にも宮城地連は減車推進、最賃法違反の一掃などの課題で運輸局、労働局交渉を実施しました。東京地連は埼玉地連、神奈川地本と共同で運転者負担制度の廃止、累進歩合制度の廃止をめざし関東運輸局請願を実施しました。運転者負担制度廃止にむけ東京地連独自のマスコミ宣伝も実施しました。また、福岡でも昨年に引き続き労働3団体による共同闘争がとりくまれています。
大阪地連は、嘱託労働者に対する有休未付与や制裁金制度廃止、最賃法違反の是正などを目的に職場実態調査を行いました。また、同時に悪質事業者対策を強化するなかで、減車に協力しない事業者を世論で包囲するとともに行政指導の強化も要請してきました。
とりくみのなかでは、最賃法の是正、累進歩合制度や運転者負担制度の廃止など一定の前進面も出ていますが、その一方で、東京ではグループ化による新たな賃下げや運転者負担制度の提案なども出ています。こうした逆風を押し返すためにも、自交総連に結集し法違反の一掃、累進歩合制度や運転者負担制度などの廃止をめざし全国的に運動を強化することが重要です。
2) 減車の推進をめざす運動
地域計画にもとづく減車により、大阪では12年3月末時点で、2万39台となり規制緩和前と比較すると371台の減になり、ピーク時の08年からすると3317台減車している計算です。
減車効果により、都市部では昨年の震災の一時期を除き、日車営収は前年同月比でわずかながらも増収となっています。しかし、労働条件は地域協議会が目標としたものには到達していません。このため、3月8日に実施した中央行動では、3年を経過したタクシー活性化法の効果検証の強化と特定地域の再指定の可否について要請しました。国交省は要請に対し「再指定の基準自体も検討している」としたうえで「適正な車両数、労働条件の改善が法の目的なので、それを達成するために検討している」と回答しています。
3)運転者の資質向上にむけたとりくみ
自交総連が従来要求していた、良質な運転者の確保にむけたタクシー運転者登録制度の講習強化では、2月16日、特定指定地域(東京・横浜・大阪)について、修了基準を70%から80%に引き上げる通達が出されました。しかし、その他の指定地域は現状のままであり、引き続きいっそうの厳格化を要求していくことが必要です。
(3)全体を通じての評価
地域協議会での奮闘もあり、各地方とも減車は確実に進行しています。減車効果で、東京では実車率が40%台となり、売り上げも4万円台で推移しています。大阪も売り上げが12か月連続(6月現在)で前年同月比を上回り、実車率も40%台に回復、微増ではあるものの賃金の増加につながっています。
今日の減車は、自交総連が一貫して求めてきたものであり、タクシー活性化法を成立させ、その後も、確実な減車の実現を求め、大阪地連が近畿運輸局・大阪労働局交渉、悪質事業者の告発など、工夫を凝らした運動を展開してきた成果です。しかし、減車の規模は、目標とした労働条件の到達点から見ればいまだに不十分であり、引き続き、実効ある減車を求めて運動を継続していくことが必要です。
また、単に地域計画に盛り込まれた減車を実現させるだけでは、タクシーの安心・安全・快適、労働者の労働条件改善には不充分な点があることも事実であり、当面してはタクシー運転者登録制度の指定地域拡大と効果測定・修了基準のいっそうの高度化を求めるとともに、タクシー運転者の資質をたかめ、数を制限することにより無謀な増車を制限し、需要に見合った適正な車両数をめざすタクシー運転免許も展望し、今後の運動を構築していかなければなりません。
未組織キャラバン行動では、和歌山地連に新規組合が結成されるなど前進が見られ、兵庫や岡山で働く労働者の実態を知ることができたことなど貴重な行動となりました。また、地域交通政策のなかに占めるタクシーの位置付けが弱いことは、各地の新たな駅整備に照らしても明らかとなっています。こうした点からも、地域協議会の機能強化のみならず、地域住民の移動する権利の確保やタクシー需要を喚起する上でも、タクシー運賃の補助制度確立や増額、積極的なタクシーの活用を求めていくことが必要です。
営収回復は頭打ち 大幅減車待ったなし
2012/07/17
大タ協「2割減車で3万5千円」どこいった
大阪タクシー協会がまとめた「タクシー輸送実績」の直近6か月分によると、大阪市域の平均日車営収は前年同月比増が続いているものの、上がり幅は中型車が3月の1938円、小型車は同月の2304円が最大でした。12月以外は3万円にも届かず依然として厳しい状況が続いています。
前年同月比は3月を境に額がはね上がっていますが、昨年の東日本大震災による営収低下が反映しているのは明白で、私たち現場の実感として、夏以降に3ケタに戻るのは目に見えています。
大阪府では特定地域計画にともなう事業再構築(減休車)が昨年1月末に完了、ピーク時に比べて車が3317台減りました。
大阪タクシー協会の経営委員会は2010年11月に「20%減車で日車営収が3万5千円に回復する」と予測し、「2次減車を議論するのは早計」との見解を示していましたが、労働条件改善が頭打ちになっている以上、2次減車をこれ以上先延ばしにすることは許されません。
「輸送実績」では中型車の実働率が8割を下回る状況が続いており、減車する余地はまだまだあります。
あと2か月半ほどで、タクシー活性化法による特定地域指定期間の満了を迎えますが、現状では再指定しか考えられません。
最後まであきらめない
タクシー再生に向け努力する労使を奈落の底に突き落とす消費税増税法案が民主・自民・公明党による談合を経て衆議院を通過しましたが、私たちは最後まであきらめるわけにはいきません。同法案には、どの世論調査でも5割以上の人が反対しています。増税談合を行なった3党を糾弾する世論を私たちの運動の力でさらに大きく拡げ、参議院での同法案成立を必ず阻止しましょう。