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2013年07月の記事
乗務距離規制取り消し訴訟 大阪地裁も不当判決
2013/07/26
規制緩和再来許されない
ワンコイン8社と、エムケイ3社が国を相手取り、乗務距離規制の取り消しなどを求めた訴訟の判決が7月4日にあり、大阪地裁・田中健治裁判長は「過剰な規制で違法」と判断、制限距離を超えて乗務することを認めました。
近畿運輸局は2010年1月から大阪市域・京都市・神戸市域各交通圏で、安全輸送と過労運転防止を理由に、日勤者の乗務距離限度を250キロに制限。原告の11社は「規制のために遠距離乗車を断らざるを得ないこともあり、利用者の不利益になっている」などと主張していました。
判決は乗務距離規制について「輸送の安全を確保するための規制手段として合理性はある」としながらも「走行速度が昼夜で異なることを考慮しないなど制限距離の決め方が不合理で、裁量権の逸脱・濫用があり違法」と断じました。
自交総連本部は7月11日に同判決についての見解を発表し、「(エムケイやワンコインは)リース制や名義貸しで可能になった低運賃政策をとる会社であり、運転者の長時間労働は業界では知らぬ者のない存在である。規制緩和に乗じて全国に進出し、限られた需要を略奪して地域の混乱を拡大した企業が、利己的な経営政策の邪魔となる規制を取り払うために訴訟を提起しているのであり、その意図を容認するような判断となっている点でも、理解しがたい」と司法を批判。
さらに同見解は「判決は、タクシーの規制自体を違法としたものではなく、あくまでそれを運用する手法を違法としたもの」「こうした判決を理由として、規制緩和を再来させることは許されない」と指摘しています。
60年続いた厚労省「通達」改定へ
2013/07/05
最高裁「不当解雇中の期間は全労働日に含まれ、かつ出勤日数として扱うべき」と判示
不当解雇を撤回させて職場復帰した労働者は、その直後から有給休暇を取得する権利がある――自交総連埼玉地連八千代交通労組がかちとった、従来の厚生労働省の行政解釈を否定する最高裁判決をもとに自交総連は6月26日、厚生労働省に通達の変更を申し入れ、同省はできるだけ早く通達を改正すると約束しました。
年次有給休暇付与には労働基準法で前年度の出勤率(出勤日/全労働日)が8割以上という要件が定められており、厚生労働省はこれまで通達で60年にわたり、出勤率を計算する際には「会社の責めによる休業は全労働日に算入しない」「全労働日がゼロとなる場合は有休は付与されない」という行政解釈を示してきました。
6月6日に最高裁で出された判決はこれを否定、「不当解雇中の期間は全労働日に含まれ、かつ出勤日数として扱うべき」として有休の権利を認めました。
自交総連の要請にたいし厚労省は、「現場の労働基準監督官や最高裁判決を知らない人でもわかるように誤解のないような通達にするために、不当解雇以外のケースや不可抗力による休業の定義など慎重に検討しているが、できるだけ早く改定したい」とし、現在、通達の改定作業をすすめていることを明らかにしました。
不当解雇が横行する現在、行政解釈によって、少なくない労働者が60年も不利益を受け続けてきました。会社から攻撃され、解雇撤回をかちとっても、行政から不利益を被るケースが、今回の自交総連と弁護団のたたかいで改善されます。