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2019年07月の記事
大阪労連「三四労の会」第16回総会・学習交流会 自交総連からの発言
2019/07/29
白タク合法化絶対阻止 労働者奴隷化許さない
国際タクシー労組・運天武史副委員長
私たち自交総連はいま、白タク・ライドシェア合法化阻止の運動に全力で取り組んでいます。ライドシェアには利用者の安心・安全の問題、地域公共交通が破壊される問題、そして労働者が奴隷化されてしまう問題があります。
ライドシェアの大手プラットフォーム・ウーバーを例にとると、ウーバーはあくまで仲介手数料で儲ける立場であって、ドライバーはウーバーの社員ではなく顧客、労働者ではなく個人事業主、というのがタテマエです。しかし実態としてドライバーに自律性はありません。例えばアプリで呼び出されたらちゃんと応じてるかどうかというのはウーバーに管理されています。接客も含めてウーバーが求める水準に達しない場合にはペナルティがあり、最も重い場合はアプリの利用停止もあるということで従属的な立場です。けれども法定最低賃金もなければ労災保険もない、労働基本法に守られない、ウーバーにものを言えば登録を切られるということで、いわば“名ばかり自営業者”ということです。
安倍政権は「雇用関係によらない働き方」を推進しておりますから、いまは道路運送法で白タクが禁じられていてもこの先どうなるかわかりません。そして“名ばかり自営業者”の問題はタクシーだけではありません。すでにウーバーの場合はウーバーイーツという、飲食店の出前の仕事を“名ばかり自営業者”が請け負うアプリもありますけれども、これも配達員が事故を起こした時の補償をめぐって問題になっています。
ライドシェアの場合、プラットフォーマーはタクシー利用者とドライバーを仲介しますが、例えば事務の仕事であればプラットフォーマーが仲介するのは使用者と事務員ということになります。両者が結ぶのは雇用契約ではなく「請負」契約ですから、使用者としては労働者保護法制に縛られず、雇用責任を負うこともなく、事務員を好き放題使い倒すことができて好きな時に首切りもできるということですから、仲介手数料で儲けるプラットフォーマーはいわば現代の奴隷商人です。安倍政権は「雇用によらない働き方」という名の労働者奴隷化計画を進めようとしているわけです。
いま労働組合にとっての政治闘争の重要性がいわれておりますけれども、「雇用によらない働き方」の問題はまさしくこれに該当すると思います。白タク・ライドシェアを阻止するためには他産業のなかまの力も必要ですし、労働者の奴隷化を許さないための他産業のたたかいに自交総連も積極的に参加していきたいと考えております。
大タ協 全タク連 最賃引き上げ反対“猛省”すべき主張
2019/07/29
自らが招いたタク業界の構造的問題の解決を
業界紙報道によると、根本匠厚労相が最賃引上げの目安額について中央最低賃金審議会に諮問を行なった7月4日、全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連、川鍋一朗会長)は同審議会に宛てて慎重審議を求める要請書を提出。同書では昨年の最賃引き上げについて「事業の賃金支払い能力について詳細かつ十分な検討を重ねることなく政府の意向に沿って大幅な引上げがなされたものと考える」とした上で、「6月21日閣議決定された骨太の方針2019においても、『より早期に全国加重平均が1000円になることを目指す』とされており、昨年同様に極めて憂慮している。(中略)賃金の引上げは、生産性が向上して初めて可能なものであり、決して先行するものではない」と主張。「タクシー業界の実情を理解し、最賃改定の目安を示すに当たっては、慎重の上にも慎重にご審議を」と要請しています。
最賃1000円で賃金支払いに支障をきたすとは、もはやタクシー業界は破たんしてしまったとでもいうのでしょうか。
これに呼応するように大阪タクシー協会も毎回最賃引き上げに反対し「タクシーを最賃から除外してほしい」などと吐露する事業者が少なくなく、自らが招いた業界の構造的問題を看過してきたことを棚に上げる主張など国民・利用者は誰も支持しません。全タク連も含め猛省すべき主張だと言わざるを得ません。
人の命を預かる「地域公共交通」を持続安定的に確保していくには、労働者の労働環境改善は喫緊の課題。業界の底上げを果たす最賃引き上げは急務です。
本流逆流(7月15日付コラムより)
2019/07/16
大阪北部地震、豪雨災害から1年、やっと町の風景から屋根に貼られたブルーシートも外され、何もなかったかのようになっている。家屋を取り壊し空き地となったところも増えて少し違和感もあるが、これを書いている今、九州に豪雨が猛威を振るっており、当時の事を思い出す。
いろいろな場所や会議で「週末、雨、そして震災時にタクシーがいないので乗れない」と指摘され、ある団体からは「明け番者を出勤させてでも走らせるべきだ」と言うような過激な声も上がったが、制度上無理であることをどこか冷めたように説明し理解を得ていた。
ここ数年ライドシェア白タク合法化阻止の運動を進めていくなかで、大阪では本来の趣旨とは外れているように思われる距離短縮運賃や事前確定運賃が本当に利用者が求めていることのすべてなのか疑問に思う。
先のように乗りたい時に乗れて、非常時にはみんなで協力し、営業区域を越えてでも応援ができるような仕組みを作るなどのことも柔軟に考えていかなければ、いつまでも「ここの乗り場は俺らが守ってるんや!お前ら入ってくるな!」的な考え方では、利用者に支持されないのではないだろうか。
滋タ協幹部 白タク・ライドシェア大津市解禁問題の懇談で吐露
2019/07/16
政治には政治で対応
一昨年2月28日に越直美大津市長が白タク・ライドシェアを同市内で行おうと特区申請している問題で、自交総連関西ブロック(福井勇議長)は7月8日、安心・安全が担保できないライドシェアの危険性を市民に告発する宣伝行動とともに、ライドシェア阻止に向け滋賀県タクシー協会(田畑太郎会長)と現状も含め意見交換しました。(=右写真)
関西ブロックの宣伝隊は8日午前、観光客が多く訪れるJR京都駅烏丸口で、白タク・ライドシェア合法化阻止に向けた宣伝行動を行いました。
京都地連の森長さんは、「労働条件改善を目的にした運賃改定だったはずなのに、賃下げのスライドを行なった事業者がいる。まさに市民への公約違反だ」と指弾しました。
つづいて大阪地連の吉田副委員長は、ライドシェアを取り入れた諸外国での実態に触れ「レイプ殺人や強盗など安全が担保できない問題や労働者の処遇の劣悪さから、欧州をはじめ様々な国で禁止や規制が掛けられているのが現状。こうした危険なものを日本に持ち込ませてはならない」と告発し、支援を呼びかけました。
午後から宣伝隊は滋賀県タクシー協会を訪れ、同協会は濱田専務理事と野崎常務理事が応対。組合は5月13日の大津市役所交渉の内容を説明し、同協会もこれまでの対応について資料を示し詳細に説明しました。
両氏は、協会として事業者と共に自治体の要請にも一つひとつ丁寧に対応していることを説明するとともに各自治体の議員団に要請するなど「政治には政治で対応したい」と語りました。
大タ協・坂本栄二会長労働条件改善を公言
2019/07/08
消費者団体 運賃改定に同意
24年ぶりのタクシー運賃改定について、大阪タクシー協会は6月19日午後天王寺区のシェラトン都ホテル大阪で、消費者団体にたいし改定の主旨や利便性を高める活性化への取り組みなどを報告。同団体は労働条件改善や安全コストに充てる運賃改定に理解を示し同意しました。
事業者団体を代表しあいさつした坂本栄二会長(=写真)は「平成7年12月に行われた運賃改定から24年が経過し、タクシー業界は負のスパイラルに陥っている。運賃改定の増収分は乗務員の労働条件改善や利用者の利便、安全コストなどに充て地域の足の確保に努力していきたい」とあいさつしました。
全大阪個人タクシー協会・濱本民夫会長は「燃料代や車両代も倍になったが苦しい中でも皆様の足となり、今後災害があっても一番速く馳せ参じることができる唯一の公共交通機関として頑張っていきたい」と述べました。
続いて大タ協の道野隆経営委員長、後藤光男労務委員長、坂本篤紀広報サービス委員長、藤原大交通安全委員長が、担当分野のこれまでの取り組みを報告し理解を求めました。
労働条件改善には賛成も
運賃の改定率は最小限に
全大阪消費者団体連絡会の飯田秀男事務局長は「労働条件改善には賛成だが、利用者として改定率は最小限に抑えて欲しい」とし、なにわの消費者団体連絡会の岡本孝子事務局長からも同様の発言とともに「チョイ乗りは歓迎するが乗車拒否はしないで欲しいし、タクシー乗務員の高齢化も気がかりだ」と業界に懸念を示す発言がありました。
また、飯田事務局長はライドシェアと自動運転にも触れ「一見利用しやすいように思うが、利用者の安全への懸念がある。やはり二種免許を持った人に担って欲しい」と言及し、業界の対応を訊ねました。
坂本会長は「ライドシェアは労使共通の問題であり、阻止に向け労使で努力している。今後とも地域公共交通のタクシーを守っていきたい」と応じました。
各労働組合代表からも意見表明し、自交総連大阪地連の庭和田書記長は「地域公共交通としてのタクシーを持続・安定的に守っていくには労働条件改善はリンクする問題。そしてその延長線上に利用者の安心・安全、地域の足の確保がある。今回、消費者代表の方々が揃って運賃改定をご支持いただいたことをありがたく思うとともに、何よりこの場で大阪タクシー協会の坂本会長が『労働条件を改善する』と公言したことは業界にとっても喜ばしいことである」と発言しました。
閉会あいさつで大タ協の照屋勝晴副会長は「貴重な意見をいただいた。公共交通として、安全・安心を提供していくとともに、利用者の多様なニーズに対応でき、地域に貢献できるタクシーにしていきたい」と決意を述べ説明会を締めくくりました。
国土交通省 自家用有償運送 タクシー事業者の直接運営認めぬ方針だが…
2019/07/08
例外的制度なし崩しの危険
政府は6月21日、成長戦略実行計画(未来投資会議の答申)、経済財政運営と改革の基本方針2019(経済財政諮問会議の答申、いわゆる『骨太の方針』)を閣議決定しました。また、規制改革推進会議の第5次答申(6月6日)にもとづく規制改革実施計画も同日、閣議決定しました。
ライドシェア解禁狙う
これらの計画・方針では、自家用有償旅客運送を拡大する方針が明記され、2020年通常国会に道路運送法改正案を提出するとされています。
自家用有償旅客運送とはバス・タクシーのない交通空白地に限って、二種免許を持たない運転者でも自家用車で地域住民を有償運送できる、とする例外的な制度です。この原則をなし崩しにして、どこでも誰でも運送できるように拡大することは、公共交通機関に求められる安全性に重大な問題が生じます。さらに自家用有償旅客運送事業の拡大を求めた政府の諮問機関・ライドシェア推進勢力の真の意図は、ライドシェアの全面解禁にあります。
安心・安全より金儲け
未来投資会議第24回会議(3月7日)で、竹中平蔵議員は、今年1月のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)で自身と安倍首相がライドシェア大手ウーバーのCEOと昼食会をともにしたことを自慢げに語り、「日本では既得権益者の猛烈な反対でライドシェアによる成長機会を逃してきた」と言及しました。
そして、自家用有償旅客運送制度の改善は、「突破口として非常に重要なポイントになる」と、その意図をあけすけに述べています。竹中氏に代表されるライドシェア推進論者らは、利用者の「安心・安全」より金儲けのことしか考えていません。
こうした動機で、自家用有償旅客運送制度を利用することは許されず、ライドシェアへの「突破口」とすることを断固、阻止しなければなりません。
移動権守る補助金増やせ
規制改革推進会議の答申では自家用有償旅客運送の実施主体について、国土交通省が“タクシー事業者が市町村・NPOから委託を受けて協力するのはいいが直接運営することは認められない”としているため、タクシー事業者が実施主体となれるように引き続き検討を行うべきとされ、国交省に翻意を促しています。
自家用有償旅客運送の拡大や道路運送法の改悪を阻止し、交通空白地の住民の移動を保障するためには、補助金を大幅に増やして乗合タクシーなどの活用をはかることが大切です。
現在、「地域公共交通確保維持改善事業」で220億円(2019年度当初予算)が支出されていますが、これはバス路線維持や離島航路への補助などの総額で、乗合タクシーへの支出はその1割程度しかありません。総額も乗合タクシーへの補助も抜本的に拡大すれば、交通空白地でもタクシー事業者が乗合タクシーを運行することができるようになります。
自交総連は、地域住民の移動を確保し、生活を守るために、地域公共交通であるタクシー・バスの活用をすすめ、それに見合う補助金を抜本的に拡大することを政府・国土交通省につよく求めています。