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2014年09月の記事
自交総連本部・大阪地連−「タクシー特区」阻止に向け全力でたたかう
2014/09/26
短絡的な発想に抗議
地域限定で規制緩和を進める「国家戦略特区」の公募に大阪市と大阪府が「タクシー自由化特区」を提案したのを受け、自交総連本部(高城政利委員長)は抗議声明(別掲)を発表、「短絡的な発想による提案を断じて容認できない」「阻止に向け全力をあげる」としています。
今回の特区構想は地下鉄民営化や大阪都構想など、橋下大阪市長の手法そのもの。住民の利益を喧伝して結果的に大企業や利己的経営者の利益拡大を図るだけのものでしかありません。「運賃は事業主で決めればいい」という橋下氏の主張(MSN産経、8月20日付)は「低額運賃」事業者と一致しています。
橋下氏は「サービスの良い、乗務員にとっても労働環境の良い会社を集める」としていますが、大阪の業界がどのような過程を経て現状に至ったかについては「低額」事業者も橋下氏も語りません。規制緩和によって台数が約4千台増えて1台当たりの営収が激減、その上名義貸し、リース制賃金を背景にした「低額」事業者が登場して不当な価格競争、55遠割を惹起→全体の賃金水準が悪化→若年層の求職者から敬遠され高齢化が急速に進行しました。
秋山委員長は「安心安全な公共交通を守るにはコストが必要で、規制緩和による“失われた12年”の真実や、運賃も労働者の生計費を基礎に算出されるべきであることを改めて利用者に訴え、タクシー特区阻止に向け全力でたたかう」と決意表明しています。
(声明)
大阪・橋下市長の「タクシー自由化特区」提案に抗議する
2014年9月17日 自交総連
1.大阪市は8月29日、大阪府と共同で、「都市格を高める『より良質なサービス』を提供するタクシーに対する規制緩和について」とする国家戦略特区への追加提案を行った。提案内容は、「特区制度を活用し、安全面・接遇面、労働環境などで一定水準を上回る優良な事業者に対して、運賃や台数についての規制を緩和する」というものである。橋下徹・大阪市長は同日の定例会見で、改正タクシー特定地域特措法を「バカげた法律」と非難する一方、運賃や台数についての規制を緩和(=自由化)する特区申請を認めるよう政府に要望すると述べている。
提案が政府に認められれば、今秋の臨時国会に提出される国家戦略特区法改正案に盛り込まれ、大阪が現実的に「タクシー自由化特区」となることが懸念される。加えて、この問題は改正タクシー特措法にもとづく特定地域指定にも重大な影響を与え、事業の将来にとっても見逃すことができない。
2.タクシーの規制緩和は2002年2月に実施され、たちまち大量増車や運賃競争の激化で全国的に様々な弊害がまきおこった。とりわけ大阪では、タクシー台数の急増による異常な供給過剰状態に加え、50種類を超えるバラバラ運賃・値下げ競争が発生した。交通事故の増加に加え、名義貸し、「チャブリ」(客引き)などの違法行為も出現し、安心・安全や輸送秩序が損なわれるとともに、運転者の労働条件は大幅に悪化し、貧困化現象が社会的問題となった。
タクシー労働者や利用者・国民、事業の将来にとって、規制緩和は何ら良い結果をもたらさなかった。こうした規制緩和失敗の反省の上に立って、2009年にタクシー特措法がすべての政党の賛成、全会一致で成立した。その法の下で、一定の規制強化が実現し、さらに昨年、公定幅運賃や特定地域での“強制減車”を可能とする改正法がみんなの党以外の賛成多数で成立した。これには橋下氏が代表を務める日本維新の会(当時)も賛成している。
3.橋下氏は「一番サービスの良い、乗務員にとっても労働環境の良いタクシー会社を集める」と主張しているが、規制緩和を適用する事業者の労働条件やサービス水準については、「これから詰める」として何ら具体的な基準は明らかにしていない。むしろ、これまで日本維新の会がワンコインタクシーなど低額運賃政策をとる事業者を評価する国会質問等を繰り返してきたことを思い起こせば、特区では、名義貸し類似行為やリース制など利益を先取りする経営手法が公認されることも懸念される。
自交総連は、短絡的な発想による大阪府・市の「タクシー自由化特区」提案を断じて容認できない。我々は阻止に向け全力をあげるとともに、安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献をはかる政策の実現をめざし奮闘していく決意である。
北東地協・14年度総括会議ひらき1年締めくくる
2014/09/16
なみはやの全面解決を
北東地協(福井勇議長)は8月30日、自交会館で14年度総括会議を開催し、総括及び決算、新役員を原案通り承認。記念講演では佐伯幸一(本部・大阪)元委員長から「自交労働者に共通する現在の中心的要求・課題」の講義を受けました。
8月30日午後、蝦名副議長の司会で総括会議を開会。主催者を代表して福井議長は、「この1年の厳しい闘いの中で、なみはや労組の仲間が北東地協に加わりともに運動を進めようとしていた矢先、解雇事件が発生したが、20日に大阪地裁が組合側の主張を全面的に認める仮処分命令を下した。今後、職場復帰など全面解決に向け支援していく」と決意表明するとともに、関中グループで発生した合理化問題の経過を報告しました。
記念講演では、佐伯元委員長が「北東地協は関中グループが大半を占めているが、豊中、関空リムジンなど歴史のある組合も参加する地協で大阪地連を支える柱」「北東は『ハンドルおおさか』を見ても原水禁運動に数多くの組合員を派遣するなど本当にがんばっている」と評価するとともに、歴史を振り返りながら大阪地連や地協の役割、関中・薬師寺代表との闘争などを語り、いっそうの奮闘を求めました。
橋下市長 タクシー産業つぶす気か
2014/09/09
特区は言語同断 業界挙げた反対運動が求められる
大阪府と大阪市は8月29日、地域を限って規制緩和を行う「国家戦略特区」の提案募集に対し、タクシーの運賃や車の台数についての規制緩和を提案しました。大阪市の橋下市長は「サービス向上のためには行政が需給調整をするのは望ましくない」(NHK)と主張していますが、ようやく緒に就いたばかりのタクシー再生の道を、思いつきの人気取りで閉ざされたのではたまったものではありません。
府と市が応募した提案名は「都市格を高める『より良質なサービス』を提供するタクシー規制緩和」。安全面・接遇面、労働環境などについて国が「優良」と認めた事業者に対し、改正タクシー特措法の適用除外などで運賃値下げや車の台数を増やすことができるようにする、という内容です。
橋下市長は「運賃は事業主で決めればいい。料金なんかで需給を調整することはない」(msn産経)との考えですが、今年2月の大阪府地域協議会で「低額運賃」事業者が「資本主義の国なのだから運賃は事業者が自由に決めるべき」と主張していたのが思い起こされます。
改正タクシー特措法は日本維新の会も賛成して成立したはずですが、日よりや風を見ながらコロコロ方針転換するデタラメぶりは相変わらずです。EVタクシーのように業界が振り回されるのはうんざりです。タクシー規制強化の流れに対し、市場原理主義者による巻き返しの動きが強まっています。業界を挙げた反対運動が求められます。
自交総連本部が規制改革会議に意見書
2014/09/09
規制改革会議事務局と意見交換を行う自交総連本部要請団(右側)
法規制非難は本末転倒
政府の規制改革会議は6月9日にタクシー「特定地域」の指定について意見をまとめ、「慎重にすべき」「国全体のタクシーの半数以上に影響が及ばないようにすべき」と国土交通省に圧力をかけています。自交総連本部(城政利委員長)は8月1日、規制改革会議に「国民の安心・安全より『営業の自由』を上に置くことは許されない」とする「意見書」を提出しました。
自交総連の「意見書」は「現在のタクシー規制は、規制緩和失敗の痛切な経験のうえに実施されているもの。規制緩和の旗を振り、見直しに抵抗してきた規制改革会議が、今回再び意見を出して、規制の強化をできるだけしないように求めているのは、無反省・無責任」と批判しています。
適切な指定基準に
また、規制改革会議の「意見」が運転者の賃金水準の向上に言及していることについて自交総連の「意見書」は、「タクシー事業において最低賃金法違反が続出するようになるほど賃金水準が低下した事態は、営業収入が減れば自動的に賃金も下がるという歩合給制の仕組みの特性を無視して、規制緩和が強行されたことが大きな原因。規制緩和に重大な責任のある規制改革会議が、その弊害を除去することを目的とした法規制を非難するのは本末転倒」と指摘しています。
要請団から意見書を受けとった規制改革会議事務局は「要請内容は委員に伝える」と応じました。
要請団は続けて国土交通省に赴き、「適切な特定地域指定基準の策定を求める要請書」を提出、あらかじめ車両数の上限などを設けることのないように申し入れました。
営収の低空飛行続く
2014/09/09
特定地域指定で大幅減車を 運動の力で実現しよう
4月に消費税増税が強行されて以降のタクシーの状況を大阪タクシー協会の統計で検証すると、日車営収は前年同月比では若干の増となっているものの2万8千円〜3万円台にとどまり、実働率は70%台前半まで落ち込んでいます。
直近の大タ協「タクシー輸送実績」によると、大阪市域・中型の日車営収は4月が2万9867円、5月が2万8329円、6月が2万9574円。7月になって3万523円と3万円を上回っています。前年同月比は4〜7月すべて増で、4月が836円、5月が962円、6月が376円、7月が388円とわずかながら増となっています。
実車回数は4〜6月が19回、7月が20回で、消費税増税で危惧された急激な乗り控えは見られませんが“杞憂に終わった”などと結論づけるのは早計でしょう。前回の消費税増税と規制緩和で落ちるところまで落ちてしまったという見方もできます。
改正タクシー特措法のもとで大阪市域は現在、準特定地域に指定されていますが、現在の売り上げの水準では特措法の目的である労働条件改善にはほど遠い状況です。
さらなる大幅減車が必要ですが、強制減車措置がとられる特定地域に指定されるかどうかは、いままさにせめぎ合いの段階です。行政に強く働きかける私たちの運動が重要です。