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2015年09月の記事
米国の自家用車配車アプリ「ウーバー」「リフト」
2015/09/28
行く末は業界の崩壊
白タク合法化許すな
福岡市で今年2月、「ライドシェア(相乗り)」と銘打ったサービスを始めた米国のITベンチャー「ウーバー(Uber)・テクノロジーズ」に対して国土交通省が「道路運送法に抵触する可能性がある」として指導、同サービスは中止になりました。しかし6月にはサンフランシスコに拠点を置くウーバーの競合社「リフト(Lyft)」が、政府の産業競争力会議のメンバーでもある楽天・三木谷浩史社長を取締役に迎え入れるなど、「白タク」合法化に向けて規制緩和推進勢力がうごめいています。
ウーバーに代表されるライドシェアは、事前登録した運転者が自家用車を使って乗客を運ぶサービスです。運転者は二種免許を持っていなくても登録できます。ウーバーはスマホのアプリ上で利用者と運転者を仲介することで利益を得ます。
利用者はスマホで近くにいる車を確認して呼びます。支払いは現金ではなく、事前登録したクレジットカードで行います。これは、利用客の利便性のためだけではなく、運転者と利用客が直接料金の授受を行うことを防ぎ、ウーバー側が仲介料を確実に得るためです。運転者には、利用客が支払った運賃から仲介料を除いた乗車料金が支払われるしくみです。
ニュースポータルサイト「マイナビニュース」のコラム「シリコンバレー101」(Yoichi Yamashita氏、昨年10月3日付)によると、米国では「ウーバー離れが進んでいる」といい、昨年9月だけでもウーバードライバーが「利用客をハンマーで殴った」、「車内にマリファナとアルコールを所持」、「駐車サービスの係員に拳銃を突きつけた」、「女性の利用客が男性ドライバーから嫌がらせを受けた」というように、ウーバードライバーによる事件が多発しています。
運動で断固として阻止
「リフト」の取締役会に加わった楽天・三木谷氏は、かつて医薬品のネット販売解禁を推進した人物です。薬のほか、さまざまなネット関連の規制を緩和することに力を入れており、「白タク」を合法化すべく、政府の規制改革会議や国家戦略特区諮問会議等に対して要望・提案しています。
自交総連東京地連も参加する東京ハイタク労組代表者会議は6月24日、決議「白タク行為合法化を断固として阻止」を確認。決議は「国家の法令を遵守し、利用者への『安心・安全』なサービスを提供している地域公共交通機関であるタクシー産業の根幹を揺るがすとともに、与野党一致しての議員立法により圧倒的多数の賛成を得て成立した『改正タクシー特措法』の意義を著しく損なうばかりか、『安心・安全』を求める利用者利便までも損ない、ひいてはハイタク労働者の労働条件のさらなる悪化をもたらし、その行く先は日本のタクシー事業の崩壊である」と指摘し、白タク合法化を「あらゆる手段と運動で断固として阻止していく」と宣言しています。
大阪駅 タクセン監視員はいずこへ
2015/09/15
違法営業が常態化
大阪駅のタクシー乗場が御堂筋口から桜橋口へ2月28日に移転して半年。現場では利用者からの不評の声を聞かない日はなく、乗務員も苦労を強いられてます。
「タクシー乗場はここしかないの?」「えらい不便になったね」──大阪駅を中心に営業しているなかまのAさんは、新乗場で日に2〜3回はこのような利用者の声を耳にするといいます。また、御堂筋口付近で手をあげて乗車する利用者からは「あそこ(桜橋口)まで行くのにタクシー乗らなあかんがな」との冗談も。
新乗場のタクシープールは駅の規模に比べると明らかに小さく、満車で入構できない場合が少なくありません。逆に悪天候など需要が多い時にはプールが瞬時に空になり、利用者が乗車まで長時間待たされるケースが移転前より増えています。
新乗場から車道への出口は2車線ですが、バスや一般車も桜橋口広場を通り抜けることから、利用者が乗車してから車道に青信号1回では出られないことがよくあります。また、同所には駅から新乗場への横断歩道があり、たまたま広場を通り抜けて信号待ち中の空車に利用者が乗り込んでしまうケースもあります。
一方で駅周辺各所では違法営業が常態化。日中は御堂筋口の横断歩道脇での待機、夜になると同所にバック付けが加わり、中央口の交差点内では相変わらずチャブリが客引きに励んでいます。
時間が経つに従い
状況の悪化すすむ
乗場移転当初はタクシーセンターの監視員が数人、頻繁に目を光らせていましたが、最近ではその姿を見るのは稀です。3月、新乗場で利用状況を聞き取りにきたタクセン職員にAさんが「違法営業がまん延するのではないか」と懸念を伝えたのに対し、職員は「時間をください」とのこと。いまAさんは「時間が経つに従い状況は悪化している」と憤慨しています。
乗場移転の協議会で指摘されたとおりの問題が噴出しています。抜本的解決に向けた議論が急がれます。
労働者の減少つづく 実感ない営収の増加
2015/09/15
大阪市域・7月平均営収 32,328円
大阪タクシー協会が毎月公表している「タクシー輸送実績」によると、大阪市域・7月の平均日車営収(中型車)は32328円。今年に入って前年同月比の増収が続いていますが、総需要が拡大しているのではなく、実働率の低下が続く中で実車率が上がるのに伴い、1車当たりの営収が増えているに過ぎません。
大阪市域(中型車)の平均日車営収は今年に入ってからすべての月で前年同月比増収となっています。3万円を下回ったのは2月と5月だけで、1月・3月・4月が3万1千円台。昨年は一年間で3万1千円台は8月と12月だけでした。
一方、大阪タクシーセンターがまとめる大阪地域※の「運転者証交付数」は=8月31日現在をみると、法人・個人を合わせて25823人と言う結果。タクシー活性化法施行日前日の09年9月30日のデータと比較してみると、法人が6353人減、個人が880人減で、合わせて7233人のタクシー労働者がこの間、減少しています。本紙前回報道時(今年6月30日現在・25995人)からでもわずか3か月間で172人減少しています。
大阪地連は、この間開催されてきた準特定地域合同協議会でも、1日も早い大阪市域交通圏の特定地域指定に向け、利用者代表や自治体代表に向け「業界の実態」や「地方公共交通としてのタクシーのあり方」など適宜発言し、業界の健全化に向けた協議ができる環境づくりに向け奮闘してきましたが、MKタクシーグループやワンコインタクシーグループなど、一部事業者の営業スタイルを守るための“エゴ”に掻き回され、時間だけが経過してきたと言っても過言ではありません。
五里霧中のタク業界
9月11日の公聴会の結果を受け、順当に進んでも、特定地域の指定は10月1日で、「改正」タクシー特定地域特措法施行からまる2年が経過。また「指定」されたとしても、国土交通省の真意が透ける運用基準のハードルの高さから現実的な改善は見込めず、五里霧中の業界は体力をそぎ落とされ、新たな敵に飲み込まれるのかの瀬戸際だと言うことを肝に命じた議論が急がれます。
※大阪地域=大阪市、堺市(美原区を除く)、豊中市、泉大津市、高槻市、守口市、和泉市、箕面市、門真市、東大阪市、島本町、忠岡町、池田市、摂津市、八尾市、茨木市、吹田市、高石市。