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2018年09月の記事
「規制のサンドボックス」実質的運用始まる
2018/09/25
白タク実証実験狙う
内閣府の「革新的事業活動評価委員会」(評価委)初会合が8月31日に開かれ、「規制のサンドボックス制度」の実質的運用が始まりました。この会合で委員長に選任された中央大学法科大学院の安念潤司教授は、政府の規制改革推進会議委員やシェアリングエコノミー検討会議座長を務めています。
「サンドボックス制度」とは、企業が新しい技術やビジネスモデルなどの実証実験を行えるように特区で現行法の規制を一時的に停止するものです。世耕経産大臣は、ライドシェア事業者から実証計画が申請された場合について「主務大臣が安全性や規制法令に違反していないかチェックをして認定する」としています。
認定判断に際して評価委は「主務大臣に意見を述べる」ことができ、主務大臣は評価委の意見を踏まえることとされている上に、主務大臣が評価委の意見を踏まえた検討を行っていないなどの場合には、評価委が「内閣総理大臣を通じて主務大臣に対し、必要な勧告をすることができる」と定められています(生産性向上特措法に基づく政府の『基本方針』)。しかも「基本方針」には「『まずやってみる』ことを許容し、情報・資料を収集・分析することで、迅速な実証と社会実装の実現を図る」とまで書き込んでいます。
規制及ばぬ特区
住民危険に晒す
業界紙によると初会合では評価委運営規則案を了承し、評価委の議事は会議出席者(委員および議事に関係のある臨時委員)の過半数で決すること、可否同数の場合には委員長の判断で決することなどが決まりました。
評価委の座長・メンバーから考えると、ライドシェア事業者から実証計画が申請されたら、どう転んでも認定されることになります。「サンドボックス」という規制が及ばない環境でライドシェアの実証実験が行われたら住民の生命・身体が危険にさらされることになります。「まずやってみる」などという無責任な方針は許されません。
ハンドル5の日行動 なんば〜三国ヶ丘
2018/09/25
白タク合法化阻止宣伝に奮闘する大阪地連のなかま(9月11日・難波で)
日本の公共交通守れ
危険な白タク・ライドシェア合法化阻止
自交総連大阪地連(福井勇委員長)は9月11日、毎月定例の「白タク合法化阻止」市民宣伝と組織拡大宣伝に取り組み、難波・高島屋前を皮切りに天王寺、堺東、三国ヶ丘の各駅でのべ20人が奮闘しました。
宣伝のマイクを握った吉田副委員長は「ライドシェアの運転者は労働者としての権利が一切保障されない」「アメリカではウーバーの運転者が起こした人身事故についてウーバーが責任を認めず大問題になっている。安心・安全を担保できない者に公共交通を担う資格はない」と指弾。
松下書記次長は「夜中に女性・子どもが一人でも安心して利用できる、世界に誇れる日本のタクシーが潰されようとしている」「タクシーだけではなく地方の赤字路線バスも維持できなくなる」と訴えました。
〈大阪労連第53回定期大会・討論発言〉
2018/09/18
交通運輸産業の破壊許さない
自交総連大阪地連
松下末宏書記次長
私たち自交総連は、地域公共交通や雇用を破壊するライドシェア・白タク合法化阻止の運動を繰り広げています。
「ライドシェア」を訳すると「相乗り」、簡単に言うと燃料代や高速代を割り勘にしたい運転者と、交通費を安くあげたい利用者を仲介するサービスのことで、日本では2007年5月から「のってこ」が中長距離の相乗りを仲介するサービスを開始しています。ネットで「のってこ」について調べると「すっぽかされた」「サービスエリアに置き去りにされた」「運転者が割り勘以外の目的を持っていた」などの事例が散見されます。
ライドシェアアプリの運営会社は利用者と運転者を仲介するだけで輸送の責任を一切負わず、事故で利用者が亡くなったり後遺症が残ったりしても、運転者が無保険だった場合は泣き寝入りするしかありません。
収受される金額が実費の範囲内であることから国交省は「道路運送法の枠外だ」として規制せず、法改正に動く兆しすらありませんが、交通手段の自己責任化を放置するのは運輸行政の不作為と言わざるを得ません。
海外で事実上の白タク運転者と利用者を仲立ちしている「ウーバー」や「リフト」のような「営利型ライドシェア」は日本では道路運送法違反です。海外では事件やトラブルが多発し、タクシー運転者の労働条件悪化を招いたことからイギリス、フランス、ドイツ、韓国など禁止している国や地域も少なくありません。ところが逆に解禁を進めようとしているのが安倍政権と、楽天やソフトバンクなど大手IT企業です。
楽天・三木谷会長兼社長が代表理事を務める新経済連盟は、これまで政府の規制改革推進会議に向けてライドシェア解禁提案を4回行なっています。楽天はリフトに3億ドル出資し、三木谷氏はリフトの取締役を務めています。国交省は「提案の内容は安全確保、利用者保護等の観点から適切ではない」として「対応不可」との回答を維持していますが先は見通せません。
新経済連盟は「ライドシェアは好きなときに働ける形態」「働き方革命、一億総活躍社会を実現」などと喧伝していますが、安倍政権の「働き方改革」と軌を一にして労働者から権利を奪うための方便でしかありません。例えばウーバーの運転者は会社の指示通りのサービス提供が求められ、運賃設定に対しても発言権はありませんが、会社は運転者を個人事業主として扱うことで労働者保護法制や社会保険負担から免れています。
ライドシェア合法化を許せば、安心・安全のためのコストをまじめに負担してきた既存事業者は存続できません。そしてタクシーにとどまらず、バスやトラック産業にも確実に波及します。労働者の権利、安心・安全な交通運輸産業を安倍首相の“お友達”の金儲けのために破壊させてはなりません。
18年総括&学習 各地協 白タクの危険性拡げよう
2018/09/18
実際の裁判で争われた「不当労働行為」をヒントに作成した問題事例を提起し、参加者に回答を求める実践型講義を行う西川大史弁護士(=一番奥中央)
市民やタクシー労働者の反応“まだまだ”
北東地区協議会(福井勇議長)と南西地区協議会(吉田栄二議長)は8月26日午後、自交会館で2018年度総括会議をそれぞれ開き、18年度運動総括、同決算報告ならびに監査報告、19年度役員について提案し、原案通り全会一致で承認。また、各会議の前後に北東・南西の共催で学習会が行われ、南大阪法律事務所の西川大史弁護士が、「不当労働行為に対する闘い」と題して講演しました。
北東 積極的に運動できた1年
26日13時、北東地協2018年度総括会議の主催者あいさつで福井議長は、白タク・ライドシェア合法化阻止に向けた宣伝行動について、「北東地協として、この1年間積極的に運動できたことは、厳しい中でも各単組役員の協力があったからです」と謝辞を述べました。
つづけて同議長は、「2月28日に滋賀県大津市の越(こし)直美市長が内閣府に対し、特区でのライドシェア解禁を求めたことから、大阪府下の宣伝行動のみならず、大津市でも反対の声を上げなければならない状況が生まれた。京都地連の仲間とともに、6月、7月、8月と宣伝行動を行なっているが、市民や各ターミナルで待機しているタクシー労働者の反応は、“ライドシェアって何?”といった感じで、危険性がまったくといっていいほど浸透していないので、情報をしっかり伝えなければならないとの思いで、各戸ビラ配布など宣伝に取り組んでいる。今後も北東地協として奮闘していきたい」と決意を述べました。
18年度運動総括と同決算報告及び監査報告が行われ全会一致で承認。
19年度役員は議長・福井勇(茨木)、副議長・荒木正人(関中自)、会計監査・片岡邦和(大商)の各氏を選任しました。
南西 組合の原点に立ち返ろう
南西地協2018年度総括会議も同年の運動総括を全会一致で承認。全役員が再任されました。
総括会議は松原副議長の司会で開会。主催者あいさつを行なった吉田議長は商都交通について、「元委員長の山本均氏を中心に自交総連組合が再結成された。歴史ある組合には、たたかう伝統を受け継ぎ守り抜く活動家が必ず存在することが証明された」と力を込め、「組合の原点に立ち返って“要求で団結”し、組織を大きく拡大してほしい」と期待を寄せました。
最後に、「タクシー産業を破壊するライドシェア・白タク合法化阻止のたたかいは喫緊の課題であり、引き続き全力で取り組まなくてはならない。力の限りたたかい抜こう」と奮闘を呼びかけました。
18年度運動総括と同決算報告及び監査報告が行われ全会一致で承認。
19年度役員は、議長・吉田栄二(未来都)、副議長・松原伸一(朝日)、会計監査・杉山元昭(佐野南海)山本宣雄(大阪東洋)の各氏を選任しました。
自交関西ブロックが大津市で宣伝行動
2018/09/06
宣伝物のポスティング開始前に分担を打ち合わせる大阪・京都両地連のなかま(8月30日、大津市向陽町で)
安心安全を脅かす
白タク特区許すな
自交総連関西ブロック(福井勇議長=大阪地連委員長)は8月30日、危険な白タク・ライドシェア導入の国家戦略特区申請が出されている滋賀県大津市でポスティング宣伝に取り組み、大阪・京都両地連から14人が参加。JR湖西線小野駅西側の「びわ湖ローズタウン」でビラ+宣伝用ティッシュを約3千組配布しました。
大阪・京都両地連のなかまは大津市に入る前に京都駅前でライドシェア・白タク合法化反対の宣伝行動に取り組みました。マイクを握った大阪地連・福井委員長は「米国ではウーバーのドライバーが起こした交通事故で、ウーバーが“我が社に責任はない”と主張して大問題となった。また乗客への恐喝事件なども起き、欧州やアジア各国でも禁止の規制をしている。このように事件、事故が多発して危険なものをなぜいま日本に、安全基準や法律をねじ曲げてまで入れる必要があるのか」と訴えました。
今回大津市で配布したビラでは、「(大津市の)越(こし)(直美)市長は、安心・安全を担保できないライドシェアの危険性について、市民に知らせての特区申請なのでしょうか?」と疑問を呈しています。